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フタバ Research Memo(1):創立80周年を迎え、2026年3月期からの新中期経営計画で成長投資に転ずる
配信日時:2025/07/09 15:01
配信元:FISCO
*15:01JST フタバ Research Memo(1):創立80周年を迎え、2026年3月期からの新中期経営計画で成長投資に転ずる
■要約
フタバ産業<7241>は、自動車マフラーの製造販売で国内首位、世界でもトップ3に入る自動車部品製造・販売のリーディングカンパニーだ。高いプレス・溶接技術を有したボデー/内装部品、排気系/燃料系部品、足回り部品など自動車等車両部品の製造・販売事業をメインに、大型の組立溶接設備や農業設備の製造・販売事業も展開する。日本を含めて世界8ヶ国に27生産拠点を展開し、トヨタ自動車<7203>の関連会社であるが、トヨタグループ以外にも国内外の数多くの自動車メーカーを得意先とする。
1. 2025年3月期の業績概要
2025年3月期の連結業績は、売上高※17,071億円(前期比11.1%減)、営業利益151億円(同21.0%減)、経常利益132億円(同28.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益62億円(同51.6%減)と減収減益となった。得意先の自動車生産台数の減少により受注量が減少し、期中に期初業績予想を下方修正したが、売上高、営業利益は同年1月の修正予想をそれぞれ71億円、1億円上回った。一方、営業外において為替差損18億円を計上したため経常利益は同予想から17億円下回った。親会社株主に帰属する当期純利益については、政策保有株式の売却による特別利益を計上したが、中国天津地区にかかる事業再編損が想定を上回ったことなどから7億円下回った。売上高は同2ケタ減となったが、得意先からの有償支給品を控除した売上高(支給品除く)は4,422億円と同1.6%減に留まっている。セグメント別では、日本、欧州、中国での減収を北米とアジアでの増収でカバーした形だ。損益面では、インフレによる材料費・労務費・経費の上昇を価格転嫁と合理化改善で吸収したものの、減収による利益減をカバーできず営業利益は2ケタ減となった。特別損益では、中国天津地区の生産拠点集約の決定に伴う事業再編損26億円、中国広州拠点の減損損失25億円を計上したが、財務的に余力が残る形で中国でのBEV※2化及び価格競争激化による今後の受注減少トレンドへの対策を躊躇なく講じることができたと言えよう。
※1 有償支給品込みの売上高は単に「売上高」と表記し、有償支給品を除く売上高は「売上高(支給品除く)」と表記する。支給品とは顧客から有償支給される触媒などの部品で、支給品を含む製品の売価には支給品額がそのまま含まれており、利益への影響はない。
※2 BEV(Battery Electric Vehicle):ハイブリッド車と異なりエンジンを使用せず電気を唯一の動力源とする自動車。HEV、PHEV、FCEVとは区別される。
HEV(Hybrid Electric Vehicle):内燃機関と電動モーターを組み合わせたハイブリッド車(外部充電は不可)
PHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle):外部充電が可能なハイブリッド車
FCEV(Fuel Cell Electric Vehicle):水素をエネルギー源とする燃料電池車
2. 2026年3月期業績見通し
2026年3月期通期の連結業績は、売上高6,800億円(前期比3.8%減)、営業利益160億円(同5.4%増)、経常利益160億円(同20.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益120億円(同93.3%増)と減収増益の見通しだ。売上高(支給品除く)は4,200億円(同5.0%減)と前期を222億円下回る予想だ。セグメント別では中国の売上高(支給品除く)が前期を161億円下回り、日本、欧州も微減となる見通しだ。損益面では、前期より繰り越している材料費・労務費・経費の増加を適正に価格転嫁していくことでカバーし、加えて生産の合理化改善を進めることで営業利益を前期より8億円、経常利益は27億円改善する。なお、同社のグローバル拠点は地産地消が進んでおり、日本から米国への輸出はそれほど多くなく米国関税の影響は軽微であるが、アメリカとカナダの間での部品等の輸出入にかかる関税の影響は予想が困難であり業績見通しには織り込んでいない。
3. 新中期経営計画(2025-2027年度)の概要
2025年5月に今後3ヶ年の新中期経営計画を公表した。前中期経営計画(2022-2024年度)の3ヶ年においては、コロナ禍で1.9%まで低迷していた営業利益率を平均3.3%まで引き上げ、フリー・キャッシュ・フローを平均で227億円稼ぎ出した。その結果、有利子負債を3ヶ年で414億円返済し、自己資本比率も3ヶ年で10.3ポイント高めるなど財務体質の健全化を実現した。新中期経営計画においては、PBR1倍の早期達成に向けてROE10.0%以上、営業利益率5.0%(2027年度)を目標とする。そのために、生産合理化などで収益力をさらに向上させ、稼いだキャッシュ・フローを成長戦略と位置付ける既存自動車部品事業の成長、新規事業の事業化、インド事業の成長に貢献する成長投資や株主還元に振り向けていく計画だ。株主還元においては、2025年3月期末より配当方針を変更した。安定的な配当の維持を基本に株主資本配当率(DOE)3.5%を下限とした累進配当とした。2024年度の1株当たりの年間配当は、前年度と同じ普通配当35.0円に2025年11月の創立80周年記念配当3.0円を増配し38.0円とし、2025年度は普通配当40.0円と2.0円増配を予定している。
■Key Points
・2025年3月期は日本・中国などでの得意先の自動車生産台数減少の影響から減収減益
・2026年3月期は中国の落ち込みで減収を見込むが、生産合理化効果により増益計画
・同社の貿易取引は少なく、米国関税の影響は軽微で限定的であり、年間予想には織り込まず
・新中期経営計画(2025-2027年度)では、収益力を強化しキャッシュ・フローを既存・新規事業、インド事業の成長など事業戦略への成長投資と株主還元に振り向ける
(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本章弘)
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フタバ産業<7241>は、自動車マフラーの製造販売で国内首位、世界でもトップ3に入る自動車部品製造・販売のリーディングカンパニーだ。高いプレス・溶接技術を有したボデー/内装部品、排気系/燃料系部品、足回り部品など自動車等車両部品の製造・販売事業をメインに、大型の組立溶接設備や農業設備の製造・販売事業も展開する。日本を含めて世界8ヶ国に27生産拠点を展開し、トヨタ自動車<7203>の関連会社であるが、トヨタグループ以外にも国内外の数多くの自動車メーカーを得意先とする。
1. 2025年3月期の業績概要
2025年3月期の連結業績は、売上高※17,071億円(前期比11.1%減)、営業利益151億円(同21.0%減)、経常利益132億円(同28.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益62億円(同51.6%減)と減収減益となった。得意先の自動車生産台数の減少により受注量が減少し、期中に期初業績予想を下方修正したが、売上高、営業利益は同年1月の修正予想をそれぞれ71億円、1億円上回った。一方、営業外において為替差損18億円を計上したため経常利益は同予想から17億円下回った。親会社株主に帰属する当期純利益については、政策保有株式の売却による特別利益を計上したが、中国天津地区にかかる事業再編損が想定を上回ったことなどから7億円下回った。売上高は同2ケタ減となったが、得意先からの有償支給品を控除した売上高(支給品除く)は4,422億円と同1.6%減に留まっている。セグメント別では、日本、欧州、中国での減収を北米とアジアでの増収でカバーした形だ。損益面では、インフレによる材料費・労務費・経費の上昇を価格転嫁と合理化改善で吸収したものの、減収による利益減をカバーできず営業利益は2ケタ減となった。特別損益では、中国天津地区の生産拠点集約の決定に伴う事業再編損26億円、中国広州拠点の減損損失25億円を計上したが、財務的に余力が残る形で中国でのBEV※2化及び価格競争激化による今後の受注減少トレンドへの対策を躊躇なく講じることができたと言えよう。
※1 有償支給品込みの売上高は単に「売上高」と表記し、有償支給品を除く売上高は「売上高(支給品除く)」と表記する。支給品とは顧客から有償支給される触媒などの部品で、支給品を含む製品の売価には支給品額がそのまま含まれており、利益への影響はない。
※2 BEV(Battery Electric Vehicle):ハイブリッド車と異なりエンジンを使用せず電気を唯一の動力源とする自動車。HEV、PHEV、FCEVとは区別される。
HEV(Hybrid Electric Vehicle):内燃機関と電動モーターを組み合わせたハイブリッド車(外部充電は不可)
PHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle):外部充電が可能なハイブリッド車
FCEV(Fuel Cell Electric Vehicle):水素をエネルギー源とする燃料電池車
2. 2026年3月期業績見通し
2026年3月期通期の連結業績は、売上高6,800億円(前期比3.8%減)、営業利益160億円(同5.4%増)、経常利益160億円(同20.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益120億円(同93.3%増)と減収増益の見通しだ。売上高(支給品除く)は4,200億円(同5.0%減)と前期を222億円下回る予想だ。セグメント別では中国の売上高(支給品除く)が前期を161億円下回り、日本、欧州も微減となる見通しだ。損益面では、前期より繰り越している材料費・労務費・経費の増加を適正に価格転嫁していくことでカバーし、加えて生産の合理化改善を進めることで営業利益を前期より8億円、経常利益は27億円改善する。なお、同社のグローバル拠点は地産地消が進んでおり、日本から米国への輸出はそれほど多くなく米国関税の影響は軽微であるが、アメリカとカナダの間での部品等の輸出入にかかる関税の影響は予想が困難であり業績見通しには織り込んでいない。
3. 新中期経営計画(2025-2027年度)の概要
2025年5月に今後3ヶ年の新中期経営計画を公表した。前中期経営計画(2022-2024年度)の3ヶ年においては、コロナ禍で1.9%まで低迷していた営業利益率を平均3.3%まで引き上げ、フリー・キャッシュ・フローを平均で227億円稼ぎ出した。その結果、有利子負債を3ヶ年で414億円返済し、自己資本比率も3ヶ年で10.3ポイント高めるなど財務体質の健全化を実現した。新中期経営計画においては、PBR1倍の早期達成に向けてROE10.0%以上、営業利益率5.0%(2027年度)を目標とする。そのために、生産合理化などで収益力をさらに向上させ、稼いだキャッシュ・フローを成長戦略と位置付ける既存自動車部品事業の成長、新規事業の事業化、インド事業の成長に貢献する成長投資や株主還元に振り向けていく計画だ。株主還元においては、2025年3月期末より配当方針を変更した。安定的な配当の維持を基本に株主資本配当率(DOE)3.5%を下限とした累進配当とした。2024年度の1株当たりの年間配当は、前年度と同じ普通配当35.0円に2025年11月の創立80周年記念配当3.0円を増配し38.0円とし、2025年度は普通配当40.0円と2.0円増配を予定している。
■Key Points
・2025年3月期は日本・中国などでの得意先の自動車生産台数減少の影響から減収減益
・2026年3月期は中国の落ち込みで減収を見込むが、生産合理化効果により増益計画
・同社の貿易取引は少なく、米国関税の影響は軽微で限定的であり、年間予想には織り込まず
・新中期経営計画(2025-2027年度)では、収益力を強化しキャッシュ・フローを既存・新規事業、インド事業の成長など事業戦略への成長投資と株主還元に振り向ける
(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本章弘)
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