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小松ウオール工業:間仕切業界トップシェア企業、株主還元強化を掲げ着実な進捗を見せる中計に注目
配信日時:2025/07/09 13:40
配信元:FISCO
*13:40JST 小松ウオール工業:間仕切業界トップシェア企業、株主還元強化を掲げ着実な進捗を見せる中計に注目
小松ウオール工業<7949>は、国内で31.6%のトップシェアを誇る間仕切メーカーである。受注から設計、製造、販売、施工、サービスまでの「自社一貫システム」と、顧客の細かな要望に応えるオーダーメイドでの設計・製作を特長とする。
同社は、多様なニーズに対応する各種間仕切を提供しており、主力製品は売上高構成比約40%を占める可動間仕切である。可動間仕切は、レイアウト変更時に容易に撤去や移設が可能な製品だ。不燃・遮音・断熱・耐震性能に優れた二重パネル構造を採用する「マイティウォール」は、同社売上高構成比のトップを占める。固定間仕切は、建物の躯体に溶接して設置されるもので、「学校用間仕切」や「鋼製軽量ドア」などがあり、教育施設やビル内装に活用されている。また、トイレブースでは防錆・耐水性に優れた「サニティブース」、移動間仕切では高遮音性を誇る「小松ランニング」などを展開する。
競合は製品カテゴリごとに異なるが、間仕切専業メーカーのコマニー、総合事務器メーカーのコクヨ<7984>・オカムラ<7994>・イトーキ<7972>、さらにはシャッターメーカーの三和シヤッター工業(三和ホールディングス<5929>子会社)や文化シヤッター<5930>などが挙げられる。特にオフィス向け市場では、什器や空間設計まで手がける総合メーカーとの競合も見られる中、間仕切に特化した専門性と対応力で優位性を保っている。同社の強みは、全国に展開する拠点による現場密着型の提案力や、小ロット・多品種に対応可能なオーダーメイド生産体制、そして納期遵守を徹底する信頼性の高さにある。加えて、遮音性や操作性に優れた大型移動間仕切、意匠性とコストバランスに優れたトイレブース製品など、各製品カテゴリで独自の競争力を備えている。また、内装業者やデザイン特化型企業などの参入により、近年は総合事務器メーカーによるオフィス空間の一括提案・供給から個別製品ごとの分離発注の流れが進んでおり、同社のような間仕切専業メーカーにとっては有利な市場環境が拡大している。
2025年3月期決算は、売上高が44,616百万円(前期比2.4%増)、営業利益は3,635百万円(同0.1%減)、経常利益は3,756百万円(同0.6%増)、当期純利益2,650百万円(同4.5%減)で着地した。主力製品である可動間仕切はオフィスや学校・工場向けの需要が好調で、売上高は19,661百万円(前期比7.3%増)となった。また、固定間仕切と移動間仕切も、それぞれ売上高9,398百万円(同2.3%増)、売上高6,012百万円(前期比0.8%増)も堅調な推移を示した。受注高については、46,833百万円(7.2%増)、受注残高は18,897百万円(13.3%増)といずれも前年を上回り好調だ。高付加価値製品の販売増により売上総利益は15,759百万円(同6.9%増)となったが、ショールームの増床や物流費の上昇により販売費および一般管理費が増加、利益面に影響を及ぼした。なお、1〜3月期は売上高が6.3%増、営業利益が65.0%増と好調であった。2026年3月期は、売上高46,500百万円(前期比4.2%増)、営業利益4,060百万円(同11.7%増)、経常利益4,130百万円(同10.0%増)、当期純利益2,930百万円(同10.5%増)を見込んでいる。オフィスのリニューアル需要が引き続き堅調であり、学校やトイレブース向けにも新製品を展開することで増収を図る。
2028年3月期を最終年度とする中期経営計画では、既存事業の成長、新製品創出、オペレーション高度化、サステナビリティ推進を柱に掲げ、売上高年平均成長率4~6%(2023年3月期基準)、営業利益率8~10%、ROE8%以上を目指している(2025年4月に上方修正)。2025年3月期において、売上高平均成長率と営業利益率は、それぞれ8.7%(2023年3月期基準)、8.1%と目標水準を達成したが、ROEは7.0%と修正目標未達となった。しかし、ショールームの強化や販促物の工夫、デザイン性の向上などによりオフィス向け売上高が2019年3月期比1.7倍となるなど、既存事業は順調に成長、高意匠製品の出荷も大幅に拡大し新製品創出も進んでいる。可動間仕切の生産能力を1.5倍に向上させる加賀工場2号棟の建設も予定通り進行しており、計画全体は順調に進捗していると言えよう。
同社は、2025年4月に株主還元方針の大幅な見直しを実施、従来DOE(純資産配当率)3.0%を下限としていた方針を、DOE6.0%を目安とする方針へと引き上げた。この変更は、資本効率の改善とROE8%の中期目標達成を見据えたものであり、株主への利益還元を一層強化する姿勢を明確にしたものだ。同方針に従い、2026年3月期の配当は前期比2倍の130円を計画している。
株主還元方針の見直しによる大幅な増配や、着実な進捗を見せる中期経営計画の実行により、同社は財務面・事業面の両面から企業価値の向上を図っている。加えて、現場に近いメンバーを中心に構成される戦略検討チームを通じて、M&Aも視野に入れた成長戦略を検討しており、非連続な成長の可能性もあろう。既存事業の深化と並行して、新たな事業機会を積極的に追求する同社の今後の展開には注目しておきたい。
<HM>
同社は、多様なニーズに対応する各種間仕切を提供しており、主力製品は売上高構成比約40%を占める可動間仕切である。可動間仕切は、レイアウト変更時に容易に撤去や移設が可能な製品だ。不燃・遮音・断熱・耐震性能に優れた二重パネル構造を採用する「マイティウォール」は、同社売上高構成比のトップを占める。固定間仕切は、建物の躯体に溶接して設置されるもので、「学校用間仕切」や「鋼製軽量ドア」などがあり、教育施設やビル内装に活用されている。また、トイレブースでは防錆・耐水性に優れた「サニティブース」、移動間仕切では高遮音性を誇る「小松ランニング」などを展開する。
競合は製品カテゴリごとに異なるが、間仕切専業メーカーのコマニー、総合事務器メーカーのコクヨ<7984>・オカムラ<7994>・イトーキ<7972>、さらにはシャッターメーカーの三和シヤッター工業(三和ホールディングス<5929>子会社)や文化シヤッター<5930>などが挙げられる。特にオフィス向け市場では、什器や空間設計まで手がける総合メーカーとの競合も見られる中、間仕切に特化した専門性と対応力で優位性を保っている。同社の強みは、全国に展開する拠点による現場密着型の提案力や、小ロット・多品種に対応可能なオーダーメイド生産体制、そして納期遵守を徹底する信頼性の高さにある。加えて、遮音性や操作性に優れた大型移動間仕切、意匠性とコストバランスに優れたトイレブース製品など、各製品カテゴリで独自の競争力を備えている。また、内装業者やデザイン特化型企業などの参入により、近年は総合事務器メーカーによるオフィス空間の一括提案・供給から個別製品ごとの分離発注の流れが進んでおり、同社のような間仕切専業メーカーにとっては有利な市場環境が拡大している。
2025年3月期決算は、売上高が44,616百万円(前期比2.4%増)、営業利益は3,635百万円(同0.1%減)、経常利益は3,756百万円(同0.6%増)、当期純利益2,650百万円(同4.5%減)で着地した。主力製品である可動間仕切はオフィスや学校・工場向けの需要が好調で、売上高は19,661百万円(前期比7.3%増)となった。また、固定間仕切と移動間仕切も、それぞれ売上高9,398百万円(同2.3%増)、売上高6,012百万円(前期比0.8%増)も堅調な推移を示した。受注高については、46,833百万円(7.2%増)、受注残高は18,897百万円(13.3%増)といずれも前年を上回り好調だ。高付加価値製品の販売増により売上総利益は15,759百万円(同6.9%増)となったが、ショールームの増床や物流費の上昇により販売費および一般管理費が増加、利益面に影響を及ぼした。なお、1〜3月期は売上高が6.3%増、営業利益が65.0%増と好調であった。2026年3月期は、売上高46,500百万円(前期比4.2%増)、営業利益4,060百万円(同11.7%増)、経常利益4,130百万円(同10.0%増)、当期純利益2,930百万円(同10.5%増)を見込んでいる。オフィスのリニューアル需要が引き続き堅調であり、学校やトイレブース向けにも新製品を展開することで増収を図る。
2028年3月期を最終年度とする中期経営計画では、既存事業の成長、新製品創出、オペレーション高度化、サステナビリティ推進を柱に掲げ、売上高年平均成長率4~6%(2023年3月期基準)、営業利益率8~10%、ROE8%以上を目指している(2025年4月に上方修正)。2025年3月期において、売上高平均成長率と営業利益率は、それぞれ8.7%(2023年3月期基準)、8.1%と目標水準を達成したが、ROEは7.0%と修正目標未達となった。しかし、ショールームの強化や販促物の工夫、デザイン性の向上などによりオフィス向け売上高が2019年3月期比1.7倍となるなど、既存事業は順調に成長、高意匠製品の出荷も大幅に拡大し新製品創出も進んでいる。可動間仕切の生産能力を1.5倍に向上させる加賀工場2号棟の建設も予定通り進行しており、計画全体は順調に進捗していると言えよう。
同社は、2025年4月に株主還元方針の大幅な見直しを実施、従来DOE(純資産配当率)3.0%を下限としていた方針を、DOE6.0%を目安とする方針へと引き上げた。この変更は、資本効率の改善とROE8%の中期目標達成を見据えたものであり、株主への利益還元を一層強化する姿勢を明確にしたものだ。同方針に従い、2026年3月期の配当は前期比2倍の130円を計画している。
株主還元方針の見直しによる大幅な増配や、着実な進捗を見せる中期経営計画の実行により、同社は財務面・事業面の両面から企業価値の向上を図っている。加えて、現場に近いメンバーを中心に構成される戦略検討チームを通じて、M&Aも視野に入れた成長戦略を検討しており、非連続な成長の可能性もあろう。既存事業の深化と並行して、新たな事業機会を積極的に追求する同社の今後の展開には注目しておきたい。
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