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水道機工:日本の水道分野でのリーディングカンパニー、水道インフラの維持管理需要を捉えた安定成長へ
配信日時:2025/07/07 13:22
配信元:FISCO
*13:22JST 水道機工:日本の水道分野でのリーディングカンパニー、水道インフラの維持管理需要を捉えた安定成長へ
水道機工<6403>は、水道インフラ分野に特化した総合水処理エンジニアリング企業であり、全国の自治体向けに浄水施設の建設や更新、運転管理、保守点検までを一貫して提供している。同社はセグメントを「プラント建設」「O&M(運転管理・メンテナンス)」の2つに分類しており、2025年3月期における売上高構成比では、プラント建設64.0%、O&M36.0%と分かれている。特に浄水場を対象とした施設の設計・施工(プラント建設)と、その後の維持・保守・修繕を手がける点が特徴である。プラント建設では、浄水場の更新や水処理設備の整備を自治体から受注し、設計から調達、施工までを一貫して担っている。O&Mでは、施設の運転管理や定期メンテナンスを通じて、安定的な運用と機能維持を支えている。これにより、同社は施設のライフサイクル全体をカバーし、単発型ではなく継続型の収益基盤を構築している。近年は老朽化対応ニーズの高まりを背景に、O&Mの売上比率を高める戦略を推進しており、拠点整備や人員拡充を通じて体制強化を図っている。
競合他社との違いとして、同社は創業100年を超える歴史の中で、浄水場向け水処理プランの専業エンジニアリング企業として独自のポジションを築いている点が挙げられる。他社が下水処理やバルブ・配管等も手がける中で、水道インフラに特化した製品群と技術者集団、豊富な納入実績を有する点が、信頼と受注につながっている。たとえば、同社は凝集沈殿ろ過などの基本的な浄水技術を始め、膜処理、オゾン処理などの高難度技術にも幅広く対応でき、浄水場全体の一式更新を一貫して担える体制を保有している。競合として名前が挙がるのは、月島ホールディングス<6332>、メタウォーター<9551>、前澤工業<6489>、クボタ<6326>などであるが、同社のように「水道専業」で高い専門性を有する企業は少ない。また、非上場では水ingグループなどが一部競合するが、創業以来築かれたブランド力や技術的なラインナップにおいて差別化を図っている。
2025年3月期の売上高は25,966百万円(前期比20.0%増)、営業利益1,479百万円(同228.7%増)と過去最高を更新した。公共インフラ投資における浄水場の設備更新や下廃水新設工事の需要増を背景に、受注高は、プラント建設およびO&M(メンテナンス・運転管理)の両セグメントで伸長。売上高は、プラント建設では、大口案件の進捗が順調に進み、出来高増加により収益性が大きく改善したほか、O&Mではメンテナンス案件の受注増加に加え、高採算案件の完工および運転管理案件の採算改善が奏功し、収益体質の強化が図られた。加えて、サービスステーションの新設や人員拡充など、地域密着型体制の整備も進展し、運転管理業務の即応性と信頼性が向上した。
2026年3月期の通期見通しとしては、売上高30,000百万円(前期比15.5%増)、営業利益1,600百万円(同8.2%増)を見込んでいる。前期末時点で過去最高水準となった受注残(46,180百万円、前年比16.9%増)の施工進捗が業績をけん引する見通し。プラント建設では、既に契約済みの大型案件の売上寄与が見込まれ、O&Mでは、複数年契約の更新やサービス拠点の拡充による新規受注の増加が期待されている。特にメンテナンス領域では、既設設備の延命需要を的確に捉えた提案活動が引き続き拡販を支える。中長期的には、O&M比率の更なる拡大による収益構造の安定化を進めており、業界内における高い技術力と納入実績を背景とした競争優位性が、持続的な成長を支えていくものと見られる。
市場環境としては、水道インフラの老朽化が進み、DB(設計・施工一括)やDBO(設計・施工・運営一括)などの官民連携(PPP)の進展が中長期的な商機拡大となると見込んでおり、また、浄水施設維持のための既設設備へのメンテナンスに対する需要は増加し、同社にとってはO&M分野を足元での注力分野として位置付けている。また、民間向け案件の比率は限定的だが、工場などの排水処理設備についても東レグループとの連携を活かした受注拡大を図っており、今後の拡大余地は十分にある。
今後の見通しとしては、2023年に公表された中期経営計画(2023~2025年度)において、2030年までに売上高300億円、営業利益15億円超を目標としている。2025年度業績予想で目標達成を見込むが、中期経営計画における基本方針として掲げる「浄水場建設依存からメンテナンス分野への収益構造の転換」の実現に向けて課題展開を行い、その一環として、既設施設に対するメンテナンス提案営業の強化、大規模工事への対応体制の整備、生産性向上などの施策推進に注力している。現在2026年から開始の次期中経策定を開始しており、現状を踏まえ方針を決定予定となる。
株主還元では、安定配当の継続性を第一義として、業績及び諸指標を勘案して利益還元に努めることを基本方針としている。2025年3月期の連結配当性向は55%。1株当たり配当金金額を6年連続で維持、過去3年は配当性向50%超で株主還元を実施している。また、安定配当を継続するとともに、中長期の事業拡大のための設備投資や生産機能の確保を中心としたM&A投資を行っていく。
人の営みには絶対に欠かせない水を安全に提供している同社は、普段生活している人からは見えないところにいる、まさに縁の下の力持ちのような存在である。日本の水道分野でのリーディングカンパニーとなる同社は、株式投資家目線でも中長期的に応援したい企業となろう。
<HM>
競合他社との違いとして、同社は創業100年を超える歴史の中で、浄水場向け水処理プランの専業エンジニアリング企業として独自のポジションを築いている点が挙げられる。他社が下水処理やバルブ・配管等も手がける中で、水道インフラに特化した製品群と技術者集団、豊富な納入実績を有する点が、信頼と受注につながっている。たとえば、同社は凝集沈殿ろ過などの基本的な浄水技術を始め、膜処理、オゾン処理などの高難度技術にも幅広く対応でき、浄水場全体の一式更新を一貫して担える体制を保有している。競合として名前が挙がるのは、月島ホールディングス<6332>、メタウォーター<9551>、前澤工業<6489>、クボタ<6326>などであるが、同社のように「水道専業」で高い専門性を有する企業は少ない。また、非上場では水ingグループなどが一部競合するが、創業以来築かれたブランド力や技術的なラインナップにおいて差別化を図っている。
2025年3月期の売上高は25,966百万円(前期比20.0%増)、営業利益1,479百万円(同228.7%増)と過去最高を更新した。公共インフラ投資における浄水場の設備更新や下廃水新設工事の需要増を背景に、受注高は、プラント建設およびO&M(メンテナンス・運転管理)の両セグメントで伸長。売上高は、プラント建設では、大口案件の進捗が順調に進み、出来高増加により収益性が大きく改善したほか、O&Mではメンテナンス案件の受注増加に加え、高採算案件の完工および運転管理案件の採算改善が奏功し、収益体質の強化が図られた。加えて、サービスステーションの新設や人員拡充など、地域密着型体制の整備も進展し、運転管理業務の即応性と信頼性が向上した。
2026年3月期の通期見通しとしては、売上高30,000百万円(前期比15.5%増)、営業利益1,600百万円(同8.2%増)を見込んでいる。前期末時点で過去最高水準となった受注残(46,180百万円、前年比16.9%増)の施工進捗が業績をけん引する見通し。プラント建設では、既に契約済みの大型案件の売上寄与が見込まれ、O&Mでは、複数年契約の更新やサービス拠点の拡充による新規受注の増加が期待されている。特にメンテナンス領域では、既設設備の延命需要を的確に捉えた提案活動が引き続き拡販を支える。中長期的には、O&M比率の更なる拡大による収益構造の安定化を進めており、業界内における高い技術力と納入実績を背景とした競争優位性が、持続的な成長を支えていくものと見られる。
市場環境としては、水道インフラの老朽化が進み、DB(設計・施工一括)やDBO(設計・施工・運営一括)などの官民連携(PPP)の進展が中長期的な商機拡大となると見込んでおり、また、浄水施設維持のための既設設備へのメンテナンスに対する需要は増加し、同社にとってはO&M分野を足元での注力分野として位置付けている。また、民間向け案件の比率は限定的だが、工場などの排水処理設備についても東レグループとの連携を活かした受注拡大を図っており、今後の拡大余地は十分にある。
今後の見通しとしては、2023年に公表された中期経営計画(2023~2025年度)において、2030年までに売上高300億円、営業利益15億円超を目標としている。2025年度業績予想で目標達成を見込むが、中期経営計画における基本方針として掲げる「浄水場建設依存からメンテナンス分野への収益構造の転換」の実現に向けて課題展開を行い、その一環として、既設施設に対するメンテナンス提案営業の強化、大規模工事への対応体制の整備、生産性向上などの施策推進に注力している。現在2026年から開始の次期中経策定を開始しており、現状を踏まえ方針を決定予定となる。
株主還元では、安定配当の継続性を第一義として、業績及び諸指標を勘案して利益還元に努めることを基本方針としている。2025年3月期の連結配当性向は55%。1株当たり配当金金額を6年連続で維持、過去3年は配当性向50%超で株主還元を実施している。また、安定配当を継続するとともに、中長期の事業拡大のための設備投資や生産機能の確保を中心としたM&A投資を行っていく。
人の営みには絶対に欠かせない水を安全に提供している同社は、普段生活している人からは見えないところにいる、まさに縁の下の力持ちのような存在である。日本の水道分野でのリーディングカンパニーとなる同社は、株式投資家目線でも中長期的に応援したい企業となろう。
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