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品川リフラ Research Memo(9):「ビジョン2030」を策定。2件のM&Aが想定以上のシナジーを発揮
配信日時:2025/07/07 13:09
配信元:FISCO
*13:09JST 品川リフラ Research Memo(9):「ビジョン2030」を策定。2件のM&Aが想定以上のシナジーを発揮
■品川リフラクトリーズ<5351>の中長期の成長戦略
2024年5月に長期目標「ビジョン2030」を策定し、第6次中期経営計画(2025年3月期〜2027年3月期)を推進している。2025年10月に創業150周年を迎えるが、同中期経営計画はその先の未来に向けた第一歩として策定した。2024年10月に創業150周年記念事業の一環としてスローガンを「150年、熱中。」と定め、記念ロゴマークも制定した。
1. 「ビジョン2030」の概要
長期目標「ビジョン2030」を策定し、事業成長と社会課題解決を一体で追求する基本方針を掲げた。同社は「日本だけ、耐火物だけ、鉄鋼だけではない、品川グループへ」をキャッチフレーズに、グローバル展開の強化とセクター戦略の深化を通じた成長分野への進出を図る。同時に、気候変動への対応や人的資本戦略の実行を進め、社会課題解決を目指す。
グローバル展開では、現地で製造・販売する「世界の耐火物メーカー」として、世界トップグループとしてのプレゼンス確保を目指し、グローバル展開を支える国内拠点の整備と技術開発力の強化を進める。また、各セクター戦略を深化させて、成長分野への進出、事業ポートフォリオの拡大を図り、ROICを重要指標として資本効率を重視した事業投資や設備投資を展開する。
社会課題解決においては、取引先の脱炭素化に貢献するため気候変動への対応を進める。さらに、「人材獲得」「人材定着」「人材・組織開発」を軸に人的資本戦略の実行を進め、経営基盤を確立する。
2031年3月期の具体的な目標として、財務目標とサステナビリティ目標を設定した。財務目標は、売上高2,400億円(2024年3月期1,441億円)、ROS12%(同9.6%)、EBITDAマージン16.0%(同12.3%)、ROIC10%(同9.1%)、海外売上高比率50%(同29.8%)である。サステナビリティ目標は、気候変動対応として2023年3月期比でCO2排出量50%削減、グリーン原料の使用比率20%(単体ベース、2024年3月期は10%)をKPIに設定した。人的資本戦略では、経営戦略に即した人材・組織開発、ダイバーシティ&インクルージョンの確立、働きやすい職場環境の創造を目指す。
目標に向けたキャッシュ・アロケーションについては、計画を変更した。当初2025年3月期から7ヶ年累計で1,280億円(第6次中期経営計画で410億円、第7次中期経営計画で870億円)の設備投資と事業投資を計画していたが、これを7ヶ年累計で980億円(第6次中期経営計画で600億円、第7次中期経営計画で380億円)に圧縮する。既に実施したGoudaとReframaxの大型M&A(約390億円)によるシナジーが想定した以上に見込まれ、「ビジョン2030」の売上高2,400億円の達成が十分に見込まれると判断したためだ。ただし、今後も良質なM&A案件や事業環境に対応する設備投資などがあれば、売上高目標とともに成長投資額を柔軟に変更することも想定している。
キャッシュインの源泉であるEBITDAは、7ヶ年累計で1,850億円(第6次中期経営計画で680億円、第7次中期経営計画で1,170億円)を見込み、成長投資980億円、株主還元400億円(第6次中期経営計画で140億円、第7次中期経営計画で260億円)を充当する計画だ。残る資金470億円と資産売却資金などは、売上増加に伴う増加運転資金(納税資金を含む)、有利子負債の返済に充てる。
有利子負債は成長投資に伴い引き続き継続して発生するため、2027年3月期末で740億円、2031年3月期末で660億円を想定している。これに対し、有利子負債/EBITDA倍率はそれぞれ2.7倍、2.1倍と健全性を維持する戦略である。
2. 第6次中期経営計画の概要と進捗状況
「ビジョン2030」実現に向けたマイルストーンとして、第6次中期経営計画を推進している。持続的成長に必要不可欠な組織能力の強化を図り、財務目標達成とサステナブルな企業への転換を目指す。主要取引先の高炉休止などの影響が一定の業績低下要因となるが、海外ビジネスをはじめとした事業拡大とコストダウンなどの取り組みによりカバーし、売上・利益ともに拡大する計画である。
2027年3月期の財務目標として、売上高は2024年3月期比24.8%増の1,800億円、ROS11%、EBITDA250億円(EBITDAマージン13.9%)、ROIC10%、海外売上高比率45%を掲げる。一方、サステナビリティ目標については、「ビジョン2030」で設定した目標について中期経営計画期間中に諸施策の検討を行う考えで、2027年3月期の目標は現時点では設定していない。
財務目標の達成に向けては、ROIC経営の徹底、既存事業における経営資源の配分見直し、3ヶ年累計410億円の積極的な成長投資を進め、資本コスト(同社のコストは6.5%)を上回る効果を発現する計画であった。しかし、既に実施した2件の大型投資により、成長投資額を600億円に修正した。2026年3月期の売上高予想は1,740億円と最終目標の1,800億円の達成が視野に入っている。しかし、EBITDA予想は225億円であり、最終目標250億円との差を埋めるには、さらなる売上高の伸長、またはEBITDAマージンの引き上げが必要である。今後は、GoudaとReframaxの両社と各セクターのシナジーを高めることが課題となるだろう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本章弘)
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2024年5月に長期目標「ビジョン2030」を策定し、第6次中期経営計画(2025年3月期〜2027年3月期)を推進している。2025年10月に創業150周年を迎えるが、同中期経営計画はその先の未来に向けた第一歩として策定した。2024年10月に創業150周年記念事業の一環としてスローガンを「150年、熱中。」と定め、記念ロゴマークも制定した。
1. 「ビジョン2030」の概要
長期目標「ビジョン2030」を策定し、事業成長と社会課題解決を一体で追求する基本方針を掲げた。同社は「日本だけ、耐火物だけ、鉄鋼だけではない、品川グループへ」をキャッチフレーズに、グローバル展開の強化とセクター戦略の深化を通じた成長分野への進出を図る。同時に、気候変動への対応や人的資本戦略の実行を進め、社会課題解決を目指す。
グローバル展開では、現地で製造・販売する「世界の耐火物メーカー」として、世界トップグループとしてのプレゼンス確保を目指し、グローバル展開を支える国内拠点の整備と技術開発力の強化を進める。また、各セクター戦略を深化させて、成長分野への進出、事業ポートフォリオの拡大を図り、ROICを重要指標として資本効率を重視した事業投資や設備投資を展開する。
社会課題解決においては、取引先の脱炭素化に貢献するため気候変動への対応を進める。さらに、「人材獲得」「人材定着」「人材・組織開発」を軸に人的資本戦略の実行を進め、経営基盤を確立する。
2031年3月期の具体的な目標として、財務目標とサステナビリティ目標を設定した。財務目標は、売上高2,400億円(2024年3月期1,441億円)、ROS12%(同9.6%)、EBITDAマージン16.0%(同12.3%)、ROIC10%(同9.1%)、海外売上高比率50%(同29.8%)である。サステナビリティ目標は、気候変動対応として2023年3月期比でCO2排出量50%削減、グリーン原料の使用比率20%(単体ベース、2024年3月期は10%)をKPIに設定した。人的資本戦略では、経営戦略に即した人材・組織開発、ダイバーシティ&インクルージョンの確立、働きやすい職場環境の創造を目指す。
目標に向けたキャッシュ・アロケーションについては、計画を変更した。当初2025年3月期から7ヶ年累計で1,280億円(第6次中期経営計画で410億円、第7次中期経営計画で870億円)の設備投資と事業投資を計画していたが、これを7ヶ年累計で980億円(第6次中期経営計画で600億円、第7次中期経営計画で380億円)に圧縮する。既に実施したGoudaとReframaxの大型M&A(約390億円)によるシナジーが想定した以上に見込まれ、「ビジョン2030」の売上高2,400億円の達成が十分に見込まれると判断したためだ。ただし、今後も良質なM&A案件や事業環境に対応する設備投資などがあれば、売上高目標とともに成長投資額を柔軟に変更することも想定している。
キャッシュインの源泉であるEBITDAは、7ヶ年累計で1,850億円(第6次中期経営計画で680億円、第7次中期経営計画で1,170億円)を見込み、成長投資980億円、株主還元400億円(第6次中期経営計画で140億円、第7次中期経営計画で260億円)を充当する計画だ。残る資金470億円と資産売却資金などは、売上増加に伴う増加運転資金(納税資金を含む)、有利子負債の返済に充てる。
有利子負債は成長投資に伴い引き続き継続して発生するため、2027年3月期末で740億円、2031年3月期末で660億円を想定している。これに対し、有利子負債/EBITDA倍率はそれぞれ2.7倍、2.1倍と健全性を維持する戦略である。
2. 第6次中期経営計画の概要と進捗状況
「ビジョン2030」実現に向けたマイルストーンとして、第6次中期経営計画を推進している。持続的成長に必要不可欠な組織能力の強化を図り、財務目標達成とサステナブルな企業への転換を目指す。主要取引先の高炉休止などの影響が一定の業績低下要因となるが、海外ビジネスをはじめとした事業拡大とコストダウンなどの取り組みによりカバーし、売上・利益ともに拡大する計画である。
2027年3月期の財務目標として、売上高は2024年3月期比24.8%増の1,800億円、ROS11%、EBITDA250億円(EBITDAマージン13.9%)、ROIC10%、海外売上高比率45%を掲げる。一方、サステナビリティ目標については、「ビジョン2030」で設定した目標について中期経営計画期間中に諸施策の検討を行う考えで、2027年3月期の目標は現時点では設定していない。
財務目標の達成に向けては、ROIC経営の徹底、既存事業における経営資源の配分見直し、3ヶ年累計410億円の積極的な成長投資を進め、資本コスト(同社のコストは6.5%)を上回る効果を発現する計画であった。しかし、既に実施した2件の大型投資により、成長投資額を600億円に修正した。2026年3月期の売上高予想は1,740億円と最終目標の1,800億円の達成が視野に入っている。しかし、EBITDA予想は225億円であり、最終目標250億円との差を埋めるには、さらなる売上高の伸長、またはEBITDAマージンの引き上げが必要である。今後は、GoudaとReframaxの両社と各セクターのシナジーを高めることが課題となるだろう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本章弘)
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