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昭和産業 Research Memo(5):2025年3月期は原料相場や輸送コストの影響で価格改定が難航(2)
配信日時:2025/07/04 13:05
配信元:FISCO
*13:05JST 昭和産業 Research Memo(5):2025年3月期は原料相場や輸送コストの影響で価格改定が難航(2)
■業績動向
2. セグメント別業績
(1) 食品事業
昭和産業<2004>の売上高は273,533百万円(前期比3.1%減)、営業利益は10,975百万円(同14.6%減)となった。インフレによる国内消費低迷の一方、インバウンドによる外食産業の拡大や海外での日本食人気が需要を支えている。2024年3月期からのマーケットイン営業体制を推進しており、顧客への事業横断でクロスセルを推進し販売数量の拡大を実現した。併せて海外向け販売の強化や付加価値商品拡充に向けた開発等、各種施策に取り組み、成果が現れつつある。
製粉カテゴリの売上高は106,367百万円(前期比2.9%減)で、売上総利益は同1億円増加した。海外向け小麦粉と外食市場向けパスタの販売が好調であった。海外向け小麦粉については、インバウンド消費から継続する需要への対応である。訪日時に体験した日本式ベーカリーを帰国後も楽しみたいニーズがあり、日本式パンの人気が高まっている。そもそも日本人は異文化と日本文化と融合させ独自の新しいものを作り出すことが得意で、ジャパナイゼーションされたパンの人気はうなずける。日本製の小麦粉で作れば再現性が高いため、品質が安定している同社の海外向け小麦粉販売が増えたと言える。高需要に的確にリーチすることで販売量に加え利益面での寄与も大きい。2025年6月にはパン職人の祭典「ベーカリー・エキスポ・ジャパン」にオフィシャルパートナーとして参加した。メインコンテンツである世界最高レベルの国際ブーランジェコンクールでは、独自の配合と粉砕方法で風味や旨味を引き出した同社の「ble du A(ブレドA)」が使用された。パンの本場フランスからも参戦しており、同社商品の高評価が世界に拡がる絶好のチャンスである。外食市場向けパスタについては、人手不足等社会情勢の影響もあり、コストバリューの高さだけでなく、オペレーション等の課題にも対応できる課題解決型商品が顧客に受け入れられ、販売実績が増えてきた。2024年3月期に外食向けに展開したパスタソリューションでは、顧客ニーズに即して原料と工程を深掘りし、短時間の調理で本物の「美味しさ」を再現する商品を開発した。顧客に寄り沿うソリューションが結実し、2025年3月期に業績寄与が加速したと考えられる。一方、プレミックスの販売量が足元6期で減少している。要因の1つが小売りの総菜売り場向けに推進していたプレミックス天ぷら粉販売の落ち込みで、背景にはコロナ禍を境とした売り場構成の変化がある。対策として、同社中国のグループ会社で冷凍フライ品向け天ぷら粉やミックス粉を製造し、海外で国内向け冷凍総菜を手掛ける企業へ供給している。なお、調理冷凍食品輸入量のうち、2024年の家庭用フライ類については前年比20%以上増加しており、輸入国はタイ、中国、ベトナムが上位を占めることからも収益拡大の機会は大きい。
製油カテゴリの売上高は93,876百万円(前期比4.1%減)で、売上総利益は同10億円減少した。適正価格の設定に難航する製油販売では、原料価格に左右されない価格設定で利益率の高い高機能で高付加価値な商品開発を推進している。大豆たん白を活用した付加価値商品に力を入れており、50年以上の商品開発で得た技術力で大豆の可能性を最大限に引き出し、「代替」ではない多様な用途で利用できる植物性食材として2024年秋に「SOIA SOIYA(ソイアソイヤ)」を販売開始した。様々な調理方法で活用でき、現時点でヴィーガン専門店や日本料理店等で活用されている。第2弾として2025年2月には「SOIA SOIYA HMSP チャーシュー風 醤油味」をリリースした。初の加工食品で見た目も食感も遜色なく楽しめることから、インバウンドで人気の高いラーメンに活用することで日本の文化を楽しんでもらえるだろう。グローバルで見れば健康志向や食文化の背景から市場拡大予想も聞かれるが、元来菜食習慣があり大豆製品を好む日本では、味だけでなく用途をカテゴライズしてターゲティングする等工夫が必要とも捉えられる。販売促進さらには市場創造に向けて同年5月には、産学連携により東京家政大学 東京家政大学短期大学部の【食べて考える!未来の食プロジェクト】に、食の様々な課題を解決する可能性のある食材使用を特徴とした学食メニューとして、同社の「SOIA SOIYA」を提供する。第1弾として前述のプラントベースチャーシューの提供が決まっている。食の安全や健康に敏感な若い世代の需要をつかむことで次世代につながり、将来のプラントベース食品の拡がりに期待したい。同社はプラントベース市場の再燃を見据え、味や食感等技術のブラッシュアップを継続し、競合に備えている。なお、2020年10月に販売開始した大豆ミート「まめたん」を2024年11月に機能性表示食品としてリニューアルした。植物性という付加価値に健康効果が追加されたことで、今後の需要拡大が期待される。
糖質カテゴリの売上高は65,811百万円(前期比4.0%減)で、売上総利益は同8億円の増加となった。グループ連携を図り、低分解水あめや粉あめなど独自性のある商品群の拡販、医薬用など幅広く取り扱うぶどう糖商品群の強みを生かした商品提案に取り組んだ。また、サンエイ糖化では、はちみつに含まれる希少なオリゴ糖成分である「マルトビオン酸」を主成分とした「サワーオリゴ/サワーオリゴC」を上市しており、骨密度の維持、骨成分の維持、カルシウムの吸収促進、整腸作用という4つの機能を有する点などを差別化要因として顧客に訴求することで販売を拡大する考えで、販促活動に力を入れている。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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2. セグメント別業績
(1) 食品事業
昭和産業<2004>の売上高は273,533百万円(前期比3.1%減)、営業利益は10,975百万円(同14.6%減)となった。インフレによる国内消費低迷の一方、インバウンドによる外食産業の拡大や海外での日本食人気が需要を支えている。2024年3月期からのマーケットイン営業体制を推進しており、顧客への事業横断でクロスセルを推進し販売数量の拡大を実現した。併せて海外向け販売の強化や付加価値商品拡充に向けた開発等、各種施策に取り組み、成果が現れつつある。
製粉カテゴリの売上高は106,367百万円(前期比2.9%減)で、売上総利益は同1億円増加した。海外向け小麦粉と外食市場向けパスタの販売が好調であった。海外向け小麦粉については、インバウンド消費から継続する需要への対応である。訪日時に体験した日本式ベーカリーを帰国後も楽しみたいニーズがあり、日本式パンの人気が高まっている。そもそも日本人は異文化と日本文化と融合させ独自の新しいものを作り出すことが得意で、ジャパナイゼーションされたパンの人気はうなずける。日本製の小麦粉で作れば再現性が高いため、品質が安定している同社の海外向け小麦粉販売が増えたと言える。高需要に的確にリーチすることで販売量に加え利益面での寄与も大きい。2025年6月にはパン職人の祭典「ベーカリー・エキスポ・ジャパン」にオフィシャルパートナーとして参加した。メインコンテンツである世界最高レベルの国際ブーランジェコンクールでは、独自の配合と粉砕方法で風味や旨味を引き出した同社の「ble du A(ブレドA)」が使用された。パンの本場フランスからも参戦しており、同社商品の高評価が世界に拡がる絶好のチャンスである。外食市場向けパスタについては、人手不足等社会情勢の影響もあり、コストバリューの高さだけでなく、オペレーション等の課題にも対応できる課題解決型商品が顧客に受け入れられ、販売実績が増えてきた。2024年3月期に外食向けに展開したパスタソリューションでは、顧客ニーズに即して原料と工程を深掘りし、短時間の調理で本物の「美味しさ」を再現する商品を開発した。顧客に寄り沿うソリューションが結実し、2025年3月期に業績寄与が加速したと考えられる。一方、プレミックスの販売量が足元6期で減少している。要因の1つが小売りの総菜売り場向けに推進していたプレミックス天ぷら粉販売の落ち込みで、背景にはコロナ禍を境とした売り場構成の変化がある。対策として、同社中国のグループ会社で冷凍フライ品向け天ぷら粉やミックス粉を製造し、海外で国内向け冷凍総菜を手掛ける企業へ供給している。なお、調理冷凍食品輸入量のうち、2024年の家庭用フライ類については前年比20%以上増加しており、輸入国はタイ、中国、ベトナムが上位を占めることからも収益拡大の機会は大きい。
製油カテゴリの売上高は93,876百万円(前期比4.1%減)で、売上総利益は同10億円減少した。適正価格の設定に難航する製油販売では、原料価格に左右されない価格設定で利益率の高い高機能で高付加価値な商品開発を推進している。大豆たん白を活用した付加価値商品に力を入れており、50年以上の商品開発で得た技術力で大豆の可能性を最大限に引き出し、「代替」ではない多様な用途で利用できる植物性食材として2024年秋に「SOIA SOIYA(ソイアソイヤ)」を販売開始した。様々な調理方法で活用でき、現時点でヴィーガン専門店や日本料理店等で活用されている。第2弾として2025年2月には「SOIA SOIYA HMSP チャーシュー風 醤油味」をリリースした。初の加工食品で見た目も食感も遜色なく楽しめることから、インバウンドで人気の高いラーメンに活用することで日本の文化を楽しんでもらえるだろう。グローバルで見れば健康志向や食文化の背景から市場拡大予想も聞かれるが、元来菜食習慣があり大豆製品を好む日本では、味だけでなく用途をカテゴライズしてターゲティングする等工夫が必要とも捉えられる。販売促進さらには市場創造に向けて同年5月には、産学連携により東京家政大学 東京家政大学短期大学部の【食べて考える!未来の食プロジェクト】に、食の様々な課題を解決する可能性のある食材使用を特徴とした学食メニューとして、同社の「SOIA SOIYA」を提供する。第1弾として前述のプラントベースチャーシューの提供が決まっている。食の安全や健康に敏感な若い世代の需要をつかむことで次世代につながり、将来のプラントベース食品の拡がりに期待したい。同社はプラントベース市場の再燃を見据え、味や食感等技術のブラッシュアップを継続し、競合に備えている。なお、2020年10月に販売開始した大豆ミート「まめたん」を2024年11月に機能性表示食品としてリニューアルした。植物性という付加価値に健康効果が追加されたことで、今後の需要拡大が期待される。
糖質カテゴリの売上高は65,811百万円(前期比4.0%減)で、売上総利益は同8億円の増加となった。グループ連携を図り、低分解水あめや粉あめなど独自性のある商品群の拡販、医薬用など幅広く取り扱うぶどう糖商品群の強みを生かした商品提案に取り組んだ。また、サンエイ糖化では、はちみつに含まれる希少なオリゴ糖成分である「マルトビオン酸」を主成分とした「サワーオリゴ/サワーオリゴC」を上市しており、骨密度の維持、骨成分の維持、カルシウムの吸収促進、整腸作用という4つの機能を有する点などを差別化要因として顧客に訴求することで販売を拡大する考えで、販促活動に力を入れている。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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