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ケンコーマヨ Research Memo(6):2026年3月期は原材料費、固定経費等の増加を価格改定効果で吸収
配信日時:2025/07/04 12:06
配信元:FISCO
*12:06JST ケンコーマヨ Research Memo(6):2026年3月期は原材料費、固定経費等の増加を価格改定効果で吸収
■今後の見通し
1. 2026年3月期の業績見通し
ケンコーマヨネーズ<2915>の2026年3月期の連結業績は、売上高で前期比4.1%増の95,500百万円、営業利益で同0.9%減の4,800百万円、経常利益で同0.6%減の4,970百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同8.2%減の3,217百万円を見込んでいる。鶏卵相場の上昇など原材料費の上昇や人件費を中心とした固定経費等の増加を価格改定効果で吸収し、営業利益と経常利益は前期並みの水準を確保する計画だ。特別利益の減少や工場再編等に関連した特別損失の発生が見込まれるため、親会社株主に帰属する当期純利益については減益見通しとなっている。
主要市場の動向を見ると、外食業界については2025年に入ってからも前年同月比で6~7%増と堅調に推移している。客数については微増ペースに鈍化しているものの、食材費や人件費の上昇を背景とした価格改定実施による客単価の上昇が売上増要因となっている。一方、中食業界のうち総菜の販売動向についても5%前後の伸びが続いている。コメ価格の高騰により米飯類の好調が続いているようで、同社が主力とするサラダ関連については4月に入って野菜市況が落ち着きを見せ始めたこともあり、伸びが鈍化したようだ。今後はコメ価格も備蓄米の放出により緩やかに低下していくことが予想されるため、外食や中食業界においては若干のマイナス影響を受けると考えられ、伸び率も鈍化していく可能性が高いと弊社では見ている。
こうしたなか、同社の売上高は調味料・加工食品事業で前期比5.4%増の75,798百万円、総菜関連事業等で同0.4%減の18,881百万円、その他で同4.7%減の821百万円を見込んでいる。調味料・加工商品事業の内訳は、サラダ・総菜類で同8.2%増の22,664百万円、マヨネーズ・ドレッシング類で同5.3%増の28,796百万円、タマゴ加工品で同2.7%増の22,387百万円、その他で同9.0%増の1,948百万円となる見通し。主な増収要因は価格改定効果による。同社は原材料価格や資材価格、人件費、物流費等の上昇を受け、2025年4月から全商品を対象に価格改定を実施することを発表した。値上げ率は商品ごとに異なり約3〜45%の幅となるが、顧客との交渉期間もあるため、実際に業績面で効果が現れるのは第2四半期以降となりそうだ。
総菜関連事業等の売上高については、野菜や鶏卵など原材料価格の高騰で価格改定を状況に応じて実施しており、顧客の買い控えが起こる可能性を考慮して前期並みの水準を見込んでいる。野菜価格については4月に入ってから良好な天候状況を受け落ち着いてきたが、年間契約で仕入れている野菜は前期よりも高値で仕入れている品目もあるため、採算面を考えるとすぐには値下げできないのが実情だ。その他については2024年7月にサラダカフェ1店舗を退店した影響により減収となる見通しだ。
販路別では、2025年3月期とトレンドは大きく変わらず、外食業界向けを中心にすべての業界で売上拡大を目指す。新たな取り組みとして営業部門の生産性向上を図るため営業支援ツールを導入し、2025年6月以降に運用を開始する予定だ。同ツールを活用することで業務効率が向上し、顧客への訪問・商談件数が増えていくと予想される。こうした効果も2026年3月期下期以降の売上増に貢献することが期待される。また、2025年秋に開催予定の商品展示会も従来以上に業態別のメニュー提案等を行い、自社ブランド商品の拡販に注力する方針だ。
営業利益は前期比45百万円の減少を見込んでいるが、増減要因を見ると価格改定効果で2,901百万円、生産効率の向上で841百万円の増益となる一方で、販売数量で237百万円、原材料価格高騰の影響で1,602百万円、固定経費等の増加で1,949百万円の減益要因となる。生産効率向上効果のうち約6億円は商品の統廃合による。同社は商品数を約1,300品目から約1,100品目まで絞り、商品数削減による売上高への影響は軽微だが、工場の生産効率や業務効率が向上するほか、原材料費の削減効果も見込まれている。今後、効果検証を行ったうえで、さらなる統廃合の検討も進める。また、固定経費等の増加については、従業員の賃金ベースアップによる人件費増や新基幹システムの稼働に伴う減価償却費・運用費の増加のほか、海外戦略費用や東京本社移転費用(2026年2月予定)等が含まれる。新東京本社はより都心に近い立地(杉並区高井戸から千代田区麹町に移転)となることから商談件数の増加につながるものと期待される。
主要原材料の1つである鶏卵の相場については、高病原性鳥インフルエンザ発生による鶏の大量殺処分が影響して2025年2月以降価格が高騰し、4〜6月は前年同期比で1.6倍の水準となった。供給量が増加し始める夏場以降は緩やかに相場も下落傾向に転じるが、季節要因で年末にかけて再び上昇する可能性がある。2年前は鶏卵不足によりタマゴ加工品の休売や販売制限が実施されたが、2025年は供給不足に備えて殻付き卵の在庫を多めに保有したり、凍結卵を活用するなどの対策を計画していることから2年前のように休売を強いられる状況にはならないと考えられる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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1. 2026年3月期の業績見通し
ケンコーマヨネーズ<2915>の2026年3月期の連結業績は、売上高で前期比4.1%増の95,500百万円、営業利益で同0.9%減の4,800百万円、経常利益で同0.6%減の4,970百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同8.2%減の3,217百万円を見込んでいる。鶏卵相場の上昇など原材料費の上昇や人件費を中心とした固定経費等の増加を価格改定効果で吸収し、営業利益と経常利益は前期並みの水準を確保する計画だ。特別利益の減少や工場再編等に関連した特別損失の発生が見込まれるため、親会社株主に帰属する当期純利益については減益見通しとなっている。
主要市場の動向を見ると、外食業界については2025年に入ってからも前年同月比で6~7%増と堅調に推移している。客数については微増ペースに鈍化しているものの、食材費や人件費の上昇を背景とした価格改定実施による客単価の上昇が売上増要因となっている。一方、中食業界のうち総菜の販売動向についても5%前後の伸びが続いている。コメ価格の高騰により米飯類の好調が続いているようで、同社が主力とするサラダ関連については4月に入って野菜市況が落ち着きを見せ始めたこともあり、伸びが鈍化したようだ。今後はコメ価格も備蓄米の放出により緩やかに低下していくことが予想されるため、外食や中食業界においては若干のマイナス影響を受けると考えられ、伸び率も鈍化していく可能性が高いと弊社では見ている。
こうしたなか、同社の売上高は調味料・加工食品事業で前期比5.4%増の75,798百万円、総菜関連事業等で同0.4%減の18,881百万円、その他で同4.7%減の821百万円を見込んでいる。調味料・加工商品事業の内訳は、サラダ・総菜類で同8.2%増の22,664百万円、マヨネーズ・ドレッシング類で同5.3%増の28,796百万円、タマゴ加工品で同2.7%増の22,387百万円、その他で同9.0%増の1,948百万円となる見通し。主な増収要因は価格改定効果による。同社は原材料価格や資材価格、人件費、物流費等の上昇を受け、2025年4月から全商品を対象に価格改定を実施することを発表した。値上げ率は商品ごとに異なり約3〜45%の幅となるが、顧客との交渉期間もあるため、実際に業績面で効果が現れるのは第2四半期以降となりそうだ。
総菜関連事業等の売上高については、野菜や鶏卵など原材料価格の高騰で価格改定を状況に応じて実施しており、顧客の買い控えが起こる可能性を考慮して前期並みの水準を見込んでいる。野菜価格については4月に入ってから良好な天候状況を受け落ち着いてきたが、年間契約で仕入れている野菜は前期よりも高値で仕入れている品目もあるため、採算面を考えるとすぐには値下げできないのが実情だ。その他については2024年7月にサラダカフェ1店舗を退店した影響により減収となる見通しだ。
販路別では、2025年3月期とトレンドは大きく変わらず、外食業界向けを中心にすべての業界で売上拡大を目指す。新たな取り組みとして営業部門の生産性向上を図るため営業支援ツールを導入し、2025年6月以降に運用を開始する予定だ。同ツールを活用することで業務効率が向上し、顧客への訪問・商談件数が増えていくと予想される。こうした効果も2026年3月期下期以降の売上増に貢献することが期待される。また、2025年秋に開催予定の商品展示会も従来以上に業態別のメニュー提案等を行い、自社ブランド商品の拡販に注力する方針だ。
営業利益は前期比45百万円の減少を見込んでいるが、増減要因を見ると価格改定効果で2,901百万円、生産効率の向上で841百万円の増益となる一方で、販売数量で237百万円、原材料価格高騰の影響で1,602百万円、固定経費等の増加で1,949百万円の減益要因となる。生産効率向上効果のうち約6億円は商品の統廃合による。同社は商品数を約1,300品目から約1,100品目まで絞り、商品数削減による売上高への影響は軽微だが、工場の生産効率や業務効率が向上するほか、原材料費の削減効果も見込まれている。今後、効果検証を行ったうえで、さらなる統廃合の検討も進める。また、固定経費等の増加については、従業員の賃金ベースアップによる人件費増や新基幹システムの稼働に伴う減価償却費・運用費の増加のほか、海外戦略費用や東京本社移転費用(2026年2月予定)等が含まれる。新東京本社はより都心に近い立地(杉並区高井戸から千代田区麹町に移転)となることから商談件数の増加につながるものと期待される。
主要原材料の1つである鶏卵の相場については、高病原性鳥インフルエンザ発生による鶏の大量殺処分が影響して2025年2月以降価格が高騰し、4〜6月は前年同期比で1.6倍の水準となった。供給量が増加し始める夏場以降は緩やかに相場も下落傾向に転じるが、季節要因で年末にかけて再び上昇する可能性がある。2年前は鶏卵不足によりタマゴ加工品の休売や販売制限が実施されたが、2025年は供給不足に備えて殻付き卵の在庫を多めに保有したり、凍結卵を活用するなどの対策を計画していることから2年前のように休売を強いられる状況にはならないと考えられる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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