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ケンコーマヨ Research Memo(8):2028年3月期の営業利益目標を33億円以上から上方修正検討中(2)
配信日時:2025/07/04 12:08
配信元:FISCO
*12:08JST ケンコーマヨ Research Memo(8):2028年3月期の営業利益目標を33億円以上から上方修正検討中(2)
■今後の見通し
(2) 基本戦略と取り組み状況
ケンコーマヨネーズ<2915>の中長期経営計画では、基本戦略として「成長戦略」「スマート化」「人材投資」「サステナビリティと社会的責任」の4つをテーマに各種施策に取り組んでいる。
a) 成長戦略
市場環境の変化に適応できる強い事業基盤を構築するため、既存事業の収益基盤強化とブランド構築の実行、事業ポートフォリオの再構築を推進していく。具体的には、マーケットインの発想による商品開発の強化や、基盤商品のブランディング強化により、調味料・加工食品事業におけるNB商品売上比率を約30%から2028年3月期に50%に引き上げる。また、海外市場を本格的に開拓することで、海外売上高を2028年3月期に17億円(2025年3月期実績は前期比6.8%増の12.5億円)に拡大し、2036年3月期には売上構成比で10%以上を目指す。EC事業では、一般消費者や小規模事業者向けをターゲットに、同社の強みを生かしたオリジナリティのある商品(自社商品以外の料理アイテムなども含む)を拡充することで、2028年3月期に2億円(2025年3月期実績は前期比40%増の56百万円)を売上目標に設定した。
このうち、NB商品売上比率に関しては2025年3月期にNB商品の統廃合を進めたため、一旦比率は低下する見込みだが、2026年3月期以降にPB商品を中心とした統廃合の検討をしており、50%の達成は可能と見られる。海外事業に関しては2026年3月期に進出地域及び方法を決定し、具体的にプロジェクトを始動する予定だ。EC事業に関してはEC公式通販サイトにて、セット販売を強化しているほか、SNSを活用したキャンペーンを実施している。また、EC限定商品の開発も進めている。ブランディング強化の取り組みの1つとして、2025年大阪・関西万博に出展し、大阪外食産業協会が主催するORA外食パビリオンにて「和のサンドイッチのサラダ料理教室」を開催する(開催期間:8月18日〜24日)。
商品・メニュー開発においては、顧客要望に応える機動力の向上を図るべく、商品化決定基準を見直したほか、分野別戦略と連携した商品開発を進めている。商品化の決定基準として従来は、最低ロット・最低利益の水準を定めて決定していたが、今後は商品カテゴリー別やNB商品、PB商品ごとになど、政策的な商品化の決定していく。これは中長期経営計画で設定した連結営業利益率6%以上の達成を意識した取り組みだ。このほか、コロナ禍で停滞していた新規顧客開拓における対面での営業・メニュー提案活動を強化する。コロナ禍においては訪問営業が難しく、オンライン営業が中心であったが、新規顧客の開拓では、対面での営業活動が重要との考えに基づくものだ。ブランディング戦略としては、引き続きマスメディアや各種展示会を通じて企業ブランド力の向上を目指す。
b) スマート化
DXを通じて企業改革や生産性の向上を図るとともに、合理化・効率化・成長するための事業拠点の再編などを推進する。2024年9月より本格的に稼働を開始した新基幹システムでは、事業拠点や商品ごとの売上高・利益状況を早期に可視化することが可能となり、今後の商品統廃合の可否を迅速に判断する際に役立つと考えられる。また、営業部門で営業支援ツールを導入したほか、バックオフィスでは生成AIの導入、RPAの活用による業務の効率化を推進し、製造拠点では協働ロボットの導入や人材教育での動画マニュアル導入などによって生産性向上に取り組んでおり、労働生産性を2028年3月期までに10%、2036年3月期までに30%向上することを目標としている。
一方、事業拠点の再編・強化に向けた取り組みでは、グループの生産拠点(16拠点)の再編・統合と併せてエネルギーコストを抑えた新拠点の開設や能力増強投資などの具体的な再編計画を第1フェーズの期間に策定し、実行する。事業拠点の再編及び強化に関連した投資額として、2028年3月期までの第1フェーズで48億円を投下する予定だが、時期としては後半の2年間で38億円を投下する計画である(2025年3月期実績1億円、2026年3月期計画9億円)。
c) 人材投資
グローバル企業化、働き方改革としてのダイバーシティを推進するほか、2024年4月より新人事制度の運用を開始し、自己実現や成長を実感できる制度並びにキャリアプランを実現する研修制度の充実、資格取得の支援制度などを導入した。また、多様性に対応した働き方(勤務体系、育児短時間勤務期間の延長、年間総労働時間の見直し)についても各種制度を整備し充実を図っている。採用面では、キャリア採用やグローバル化を見据えた採用活動を強化する方針だ。従業員エンゲージメント向上のための意識調査も実施しており、エンゲージメント総合スコアで70ポイント(2025年3月期実績57.6ポイント)を目標としている。
d) サステナビリティと社会的責任
環境問題への取り組みと地域社会への貢献活動を推進するほか、グループ従業員の健康と働きがいに注力した健康経営を目指す。環境への取り組みとして、CO2排出量の削減について2019年度比原単位で2027年度に25.4%削減を目指す。2024年度は御殿場工場と西日本工場にベントコンデンサー※を導入したほか、省エネ対策に取り組んだことでCO2排出量は2019年度比原単位で10.5%削減した。
※ 廃蒸気を利用して熱交換を行う装置。
また、廃棄物削減に関しても2019年度比原単位で2027年度に14.1%削減を目標としていたが、2024年度で12.3%の削減を実現した。廃棄マヨネーズを分離・精製してバイオディーゼル燃料として活用したほか、廃棄物の堆肥化を推進した。環境に配慮したサステナブル素材の使用については2027年度の使用率56.0%の目標に対して、2024年度は45.5%(2025年1月時点)となった。量販店向け総菜パックに再生トレイや植物由来のプラスチックを使用している。
(3) キャッシュアロケーション
第1フェーズの4年間におけるキャッシュアロケーションについて見ると、キャッシュインは営業キャッシュ・フロー(営業利益見込み+減価償却費)で242億円、政策保有株式の売却で2億円、手元資金45億円の計290億となり、キャッシュアウトとして成長戦略に109億円、スマート化に86億円、人材投資に43億円、サステナビリティと社会的責任に51億円を投下する予定だ。2025年3月期はこのうち40億円を投下し、2026年3月期は49億円を計画しており、2027年3月期以降は年間100億円ペースと投資が加速する見通しで、なかでも成長戦略に対する投資が年間53億円ペースと最も大きくなる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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(2) 基本戦略と取り組み状況
ケンコーマヨネーズ<2915>の中長期経営計画では、基本戦略として「成長戦略」「スマート化」「人材投資」「サステナビリティと社会的責任」の4つをテーマに各種施策に取り組んでいる。
a) 成長戦略
市場環境の変化に適応できる強い事業基盤を構築するため、既存事業の収益基盤強化とブランド構築の実行、事業ポートフォリオの再構築を推進していく。具体的には、マーケットインの発想による商品開発の強化や、基盤商品のブランディング強化により、調味料・加工食品事業におけるNB商品売上比率を約30%から2028年3月期に50%に引き上げる。また、海外市場を本格的に開拓することで、海外売上高を2028年3月期に17億円(2025年3月期実績は前期比6.8%増の12.5億円)に拡大し、2036年3月期には売上構成比で10%以上を目指す。EC事業では、一般消費者や小規模事業者向けをターゲットに、同社の強みを生かしたオリジナリティのある商品(自社商品以外の料理アイテムなども含む)を拡充することで、2028年3月期に2億円(2025年3月期実績は前期比40%増の56百万円)を売上目標に設定した。
このうち、NB商品売上比率に関しては2025年3月期にNB商品の統廃合を進めたため、一旦比率は低下する見込みだが、2026年3月期以降にPB商品を中心とした統廃合の検討をしており、50%の達成は可能と見られる。海外事業に関しては2026年3月期に進出地域及び方法を決定し、具体的にプロジェクトを始動する予定だ。EC事業に関してはEC公式通販サイトにて、セット販売を強化しているほか、SNSを活用したキャンペーンを実施している。また、EC限定商品の開発も進めている。ブランディング強化の取り組みの1つとして、2025年大阪・関西万博に出展し、大阪外食産業協会が主催するORA外食パビリオンにて「和のサンドイッチのサラダ料理教室」を開催する(開催期間:8月18日〜24日)。
商品・メニュー開発においては、顧客要望に応える機動力の向上を図るべく、商品化決定基準を見直したほか、分野別戦略と連携した商品開発を進めている。商品化の決定基準として従来は、最低ロット・最低利益の水準を定めて決定していたが、今後は商品カテゴリー別やNB商品、PB商品ごとになど、政策的な商品化の決定していく。これは中長期経営計画で設定した連結営業利益率6%以上の達成を意識した取り組みだ。このほか、コロナ禍で停滞していた新規顧客開拓における対面での営業・メニュー提案活動を強化する。コロナ禍においては訪問営業が難しく、オンライン営業が中心であったが、新規顧客の開拓では、対面での営業活動が重要との考えに基づくものだ。ブランディング戦略としては、引き続きマスメディアや各種展示会を通じて企業ブランド力の向上を目指す。
b) スマート化
DXを通じて企業改革や生産性の向上を図るとともに、合理化・効率化・成長するための事業拠点の再編などを推進する。2024年9月より本格的に稼働を開始した新基幹システムでは、事業拠点や商品ごとの売上高・利益状況を早期に可視化することが可能となり、今後の商品統廃合の可否を迅速に判断する際に役立つと考えられる。また、営業部門で営業支援ツールを導入したほか、バックオフィスでは生成AIの導入、RPAの活用による業務の効率化を推進し、製造拠点では協働ロボットの導入や人材教育での動画マニュアル導入などによって生産性向上に取り組んでおり、労働生産性を2028年3月期までに10%、2036年3月期までに30%向上することを目標としている。
一方、事業拠点の再編・強化に向けた取り組みでは、グループの生産拠点(16拠点)の再編・統合と併せてエネルギーコストを抑えた新拠点の開設や能力増強投資などの具体的な再編計画を第1フェーズの期間に策定し、実行する。事業拠点の再編及び強化に関連した投資額として、2028年3月期までの第1フェーズで48億円を投下する予定だが、時期としては後半の2年間で38億円を投下する計画である(2025年3月期実績1億円、2026年3月期計画9億円)。
c) 人材投資
グローバル企業化、働き方改革としてのダイバーシティを推進するほか、2024年4月より新人事制度の運用を開始し、自己実現や成長を実感できる制度並びにキャリアプランを実現する研修制度の充実、資格取得の支援制度などを導入した。また、多様性に対応した働き方(勤務体系、育児短時間勤務期間の延長、年間総労働時間の見直し)についても各種制度を整備し充実を図っている。採用面では、キャリア採用やグローバル化を見据えた採用活動を強化する方針だ。従業員エンゲージメント向上のための意識調査も実施しており、エンゲージメント総合スコアで70ポイント(2025年3月期実績57.6ポイント)を目標としている。
d) サステナビリティと社会的責任
環境問題への取り組みと地域社会への貢献活動を推進するほか、グループ従業員の健康と働きがいに注力した健康経営を目指す。環境への取り組みとして、CO2排出量の削減について2019年度比原単位で2027年度に25.4%削減を目指す。2024年度は御殿場工場と西日本工場にベントコンデンサー※を導入したほか、省エネ対策に取り組んだことでCO2排出量は2019年度比原単位で10.5%削減した。
※ 廃蒸気を利用して熱交換を行う装置。
また、廃棄物削減に関しても2019年度比原単位で2027年度に14.1%削減を目標としていたが、2024年度で12.3%の削減を実現した。廃棄マヨネーズを分離・精製してバイオディーゼル燃料として活用したほか、廃棄物の堆肥化を推進した。環境に配慮したサステナブル素材の使用については2027年度の使用率56.0%の目標に対して、2024年度は45.5%(2025年1月時点)となった。量販店向け総菜パックに再生トレイや植物由来のプラスチックを使用している。
(3) キャッシュアロケーション
第1フェーズの4年間におけるキャッシュアロケーションについて見ると、キャッシュインは営業キャッシュ・フロー(営業利益見込み+減価償却費)で242億円、政策保有株式の売却で2億円、手元資金45億円の計290億となり、キャッシュアウトとして成長戦略に109億円、スマート化に86億円、人材投資に43億円、サステナビリティと社会的責任に51億円を投下する予定だ。2025年3月期はこのうち40億円を投下し、2026年3月期は49億円を計画しており、2027年3月期以降は年間100億円ペースと投資が加速する見通しで、なかでも成長戦略に対する投資が年間53億円ペースと最も大きくなる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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