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ケンコーマヨ Research Memo(1):中長期経営計画初年度の2025年3月期は、利益ベースで計画を上回り順調

配信日時:2025/07/04 12:01 配信元:FISCO
*12:01JST ケンコーマヨ Research Memo(1):中長期経営計画初年度の2025年3月期は、利益ベースで計画を上回り順調 ■要約

ケンコーマヨネーズ<2915>は、サラダ・総菜類、マヨネーズ・ドレッシング類、タマゴ加工品などを手掛けるケンコーマヨネーズ本体の調味料・加工食品事業と、連結子会社で構成されている総菜関連事業等からなる業務用食品メーカーである。

1. 2025年3月期の業績概要
2025年3月期の連結業績は、売上高で前期比3.4%増の91,703百万円、営業利益で同64.3%増の4,845百万円と、いずれも過去最高を更新した。売上高は前期に高病原性鳥インフルエンザ感染拡大による鶏卵不足によって休売や販売制限を余儀なくされたタマゴ加工品が外食向けや製パン業者向けを中心に同16.3%増収と大きく回復し、増収要因となった。営業利益は価格改定効果で1,035百万円、生産効率の向上で688百万円、原材料価格の低下で402百万円、販売数量増で127百万円の増益要因となり、人件費等の固定経費の増加356百万円を吸収し同1,896百万円の増益となった。

2. 2026年3月期の業績見通し
2026年3月期の連結業績は、売上高で前期比4.1%増の95,500百万円、営業利益で同0.9%減の4,800百万円を見込んでいる。売上高は主力の調味料・加工食品事業において2025年4月から商品価格の価格改定(約3〜45%の値上げ)を実施したことが増収要因となる。営業利益の増減要因は、価格改定効果で2,901百万円、商品の統廃合等による生産効率の向上で841百万円の増益要因となる一方で、原材料価格上昇の影響で1,602百万円、販売諸経費を含む販売数量の項目で237百万円減、固定経費等の増加で1,949百万円となり、合計で45百万円の減益を見込む。固定経費等の増加には人件費や2024年に刷新した基幹システムの償却費・運用費の増加、海外戦略費用に加えて、2026年2月に予定している東京本社移転費用なども含まれる。

3. 中長期経営計画『KENKO Vision 2035』の進捗状況
同社は2024年5月に中長期経営計画『KENKO Vision 2035』を発表し、2025年3月期からスタートした。「サラダ料理で世界一になる」をビジョンに掲げ、持続的な成長のために抜本的改革と企業価値の更なる向上を目指すことに取り組んでいる。第1フェーズとなる2028年3月期までの4年間は、事業構造の改革を推進する期間と位置付けており、主にNB(ナショナルブランド)商品売上比率を約30%から50%に引き上げ、工場の生産効率向上やブランド力の向上を図るほか、EC事業の拡大や海外事業の推進、新規事業の創出に取り組む。また、国内生産拠点の再編も来期以降、本格的に着手する予定だ。2024年9月から稼働を開始した新基幹システムでは商品・顧客ごとの月次損益管理が可能となり、今後の収益力向上につながると期待される。第1フェーズの営業利益の目標として33億円以上を掲げていたが、初年度となる2025年3月期に40億円を超えるなど計画を上回る順調な滑り出しだ。第1フェーズについては今後も同程度の利益水準を確保していく方針だ。2029年3月期以降は事業構造の改革の効果が顕在化し成長期に移行する見通しであり、最終目標として2036年3月期に連結売上高1,250億円以上、連結営業利益で75億円以上、連結営業利益率6%以上、ROE8%以上を目指す。

4. 株主還元策
同社は、業績変動に左右されない安定配当を継続するため、DOE(株主資本配当率)を基準に配当を実施する方針としている。中長期経営計画の第1フェーズ(~2028年3月期)はDOE1.5%以上、第2フェーズ(~2032年3月期)は2.0%以上、第3フェーズ(~2036年3月期)は2.5%以上と段階的に水準を切り上げていく。同方針に基づき、2025年3月期の1株当たり配当金は前期比13.0円増配となる43.0円(DOE1.7%)を実施し、2026年3月期は同4.0円の増配となる47.0円を予定している。また株主優待制度も導入しており、毎年3月末時点で100株以上保有の株主に対して保有株数に応じて自社製品(1,000円または2,500円相当)の贈呈を行っている。

■Key Points
・2025年3月期は7期ぶりに過去最高益を更新
・2026年3月期は原材料費、固定経費等の増加を価格改定効果で吸収
・2028年3月期の営業利益目標を、33億円以上から上方修正検討中
・配当金はDOEで2036年3月期に2.5%以上を目指す

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


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