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みずほリース Research Memo(3):リース取引を中心に各種金融サービスを展開
配信日時:2025/07/02 16:03
配信元:FISCO
*16:03JST みずほリース Research Memo(3):リース取引を中心に各種金融サービスを展開
■事業概要
1. 事業の概要
みずほリース<8425>はリース取引を中心に各種金融サービスを展開している。リース取引とは、借手となる顧客(企業等)が希望する物件(産業機械、工作機械、事務用機器、輸送用機器、医療機器、商業設備、物流施設等)を、リース会社が顧客に代わって購入し、顧客に賃貸する取引である。リース物件の所有権はリース会社にあり、リース会社は顧客から物件価格・金利・諸税・保険料等を含めた代金をリース料として受け取る。リース取引の分類としてはファイナンス・リースとオペレーティング・リースの2種類がある。ファイナンス・リースは契約期間中に契約を解除できず(解約不能)、かつ物件価格と諸経費のおおむね全額をリース料として借手が負担する(フルペイアウト)取引である。さらにファイナンス・リースは、リース資産の所有権が借手に移転する「所有権移転取引」と、リース会社に留まる「所有権移転外取引」に分類される。一方、オペレーティング・リースは資産の所有権がリース会社に残り、契約終了後には資産を返却するのが一般的である。リース取引を利用することによる借手側のメリットとしては「設備導入時に多額の資金が不要」「設備の使用予定期間にあわせてリース期間を設定できる」「資産のアウトソーシング効果が得られる」などがある。
同社は決算短信・有価証券報告書ベースの報告セグメント区分を、リース・割賦(不動産、産業・工作機械、情報関連機器、輸送用機器、環境・エネルギー関連設備等のリース及び割賦販売業務)、ファイナンス(不動産、航空機、船舶、環境・エネルギー分野等を対象とした金銭貸付、出資、ファクタリング業務等)、その他(中古物件売買、発電事業等)としている。
2025年3月期のセグメント別売上高(外部顧客への売上高)はリース・割賦が645,193百万円、ファイナンスが41,488百万円、その他が8,742百万円、営業利益(全社費用等調整前)はリース・割賦が28,356百万円、ファイナンスが23,808百万円、その他が1,402百万円、契約実行高はリース・割賦が957,031百万円(内訳はファイナンス・リースが389,832百万円、オペレーティング・リースが507,350百万円、割賦が59,848百万円)、ファイナンスが814,940百万円、その他が23,712百万円、営業資産残高はリース・割賦が1,970,339百万円(内訳はファイナンス・リースが1,040,972百万円、オペレーティング・リースが815,415百万円、割賦が113,951百万円)、ファイナンスが1,217,493百万円、その他が94,024百万円となった。営業利益ベースで見ると、リース・割賦とファイナンスが収益の2本柱となっている。
売上総利益は拡大基調、営業資産残高は不動産・環境エネルギー関連が大幅増加
2. 事業分野別の推移
同社は決算短信・有価証券報告書ベースの報告セグメント区分とは別に、管理会計ベースの事業分野別区分(国内リース事業、不動産・環境エネルギー事業、海外・航空機事業、ファイナンス・投資事業)の売上総利益、期末営業資産残高、契約実行高を公表しており、当レポートでは同社資料に基づき、事業分野別の区分によって分析・解説を進めていく。
管理会計ベースの事業分野別売上総利益と構成比、期末営業資産残高と構成比、契約実行高と構成比の過去5期(2021年3月期~2025年3月期)の推移は以下のとおりである。2025年3月期の全社ベースの売上総利益は863億円で、売上総利益構成比(事業分野別の売上総利益は2025年3月期決算説明資料より開示、2023年3月期までは差引利益を開示)は国内リース事業が40.8%、不動産・環境エネルギー事業が33.8%、海外・航空機事業が21.4%、ファイナンス・投資事業が3.9%となった。不動産・環境エネルギー事業と海外・航空機事業は売上総利益額が大幅に拡大し、売上総利益構成比も上昇した。国内リース事業は売上総利益構成比が低下傾向だが、売上総利益額は堅調に推移している。この結果、国内リース事業、不動産・環境エネルギー事業、海外・航空機事業が3本柱というバランスの取れた収益構造となっている。
全社ベースの期末営業資産残高は2021年3月期末23,224億円から2025年3月期末32,819億円へ拡大した。国内リース事業は同15,319億円から14,479億円へとやや減少したが、不動産・環境エネルギー事業が同4,373億円から13,778億円へと大幅に拡大した。そして期末営業資産残高構成比は国内リース事業が同66.0%から44.1%へ低下し、不動産・環境エネルギー事業が同18.8%から42.0%へ上昇した。また全社ベースの契約実行高(事業別契約実行高は2024年3月期決算説明資料より開示)は2023年3月期14,705億円から2025年3月期17,957億円へ拡大した。国内リース事業は同9,465億円から8,223億円へ減少したが、不動産・環境エネルギー事業が同4,083億円から7,050億円へ、海外・航空機事業が同707億円から2,348億円へ大幅に拡大した。これは、成長性の高い環境エネルギー等のグロース分野や、サーキュラーエコノミー等のフロンティア分野への事業展開を加速させているためである。
強固な顧客基盤、事業基盤、資金調達基盤、人材基盤が特徴・強み
3. 特徴・強み、リスク要因・収益特性、課題・対策
同社の特徴・強みとしては、みずほグループというわが国屈指の企業グループを中心とする強固な顧客基盤、優良アセットを積み上げた事業基盤、徹底したリスク管理、業界トップ水準の外部信用格付に基づく資金調達基盤、リース取引や金融サービスに関する豊富な知識・ノウハウを持つ人材基盤などがある。
リース業界における一般的なリスク要因としては、世界経済低迷や金利・為替の急激な変動等による企業の設備投資抑制、取引先の業績悪化・経営破綻等による信用コストの発生、保有するアセットの価値下落、信用格付等による資金調達への影響などがある。こうした需要変動リスク、信用リスク、アセットリスク、資金調達にかかる流動性リスクや金利変動リスク、自然災害リスク等に対して、同社は経営への影響を低減するため、リスク管理グループ長が全社的視点でリスクマネジメントを統括・推進するとともに、各リスク所管部門を通じてリスク事象に対して迅速かつ機動的に対応する体制を整備している。各リスク所管部門は、事業に関連するリスクの把握・制御を適時に実施するとともに、実効性を検証する。そしてリスク管理委員会において、リスク低減に関する諸施策の遂行状況、浸透状況や有効性に関する検証を行い、その結果を取締役会に報告している。
同社の業績は資産売却、M&A関連費用、信用コスト等の一時的要因で変動する可能性があるものの、強固な顧客基盤、事業基盤、資金調達基盤、人材基盤を強みとして、コア分野が岩盤収益基盤となり、全体としてのリスク極小化が図られていると弊社では評価している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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1. 事業の概要
みずほリース<8425>はリース取引を中心に各種金融サービスを展開している。リース取引とは、借手となる顧客(企業等)が希望する物件(産業機械、工作機械、事務用機器、輸送用機器、医療機器、商業設備、物流施設等)を、リース会社が顧客に代わって購入し、顧客に賃貸する取引である。リース物件の所有権はリース会社にあり、リース会社は顧客から物件価格・金利・諸税・保険料等を含めた代金をリース料として受け取る。リース取引の分類としてはファイナンス・リースとオペレーティング・リースの2種類がある。ファイナンス・リースは契約期間中に契約を解除できず(解約不能)、かつ物件価格と諸経費のおおむね全額をリース料として借手が負担する(フルペイアウト)取引である。さらにファイナンス・リースは、リース資産の所有権が借手に移転する「所有権移転取引」と、リース会社に留まる「所有権移転外取引」に分類される。一方、オペレーティング・リースは資産の所有権がリース会社に残り、契約終了後には資産を返却するのが一般的である。リース取引を利用することによる借手側のメリットとしては「設備導入時に多額の資金が不要」「設備の使用予定期間にあわせてリース期間を設定できる」「資産のアウトソーシング効果が得られる」などがある。
同社は決算短信・有価証券報告書ベースの報告セグメント区分を、リース・割賦(不動産、産業・工作機械、情報関連機器、輸送用機器、環境・エネルギー関連設備等のリース及び割賦販売業務)、ファイナンス(不動産、航空機、船舶、環境・エネルギー分野等を対象とした金銭貸付、出資、ファクタリング業務等)、その他(中古物件売買、発電事業等)としている。
2025年3月期のセグメント別売上高(外部顧客への売上高)はリース・割賦が645,193百万円、ファイナンスが41,488百万円、その他が8,742百万円、営業利益(全社費用等調整前)はリース・割賦が28,356百万円、ファイナンスが23,808百万円、その他が1,402百万円、契約実行高はリース・割賦が957,031百万円(内訳はファイナンス・リースが389,832百万円、オペレーティング・リースが507,350百万円、割賦が59,848百万円)、ファイナンスが814,940百万円、その他が23,712百万円、営業資産残高はリース・割賦が1,970,339百万円(内訳はファイナンス・リースが1,040,972百万円、オペレーティング・リースが815,415百万円、割賦が113,951百万円)、ファイナンスが1,217,493百万円、その他が94,024百万円となった。営業利益ベースで見ると、リース・割賦とファイナンスが収益の2本柱となっている。
売上総利益は拡大基調、営業資産残高は不動産・環境エネルギー関連が大幅増加
2. 事業分野別の推移
同社は決算短信・有価証券報告書ベースの報告セグメント区分とは別に、管理会計ベースの事業分野別区分(国内リース事業、不動産・環境エネルギー事業、海外・航空機事業、ファイナンス・投資事業)の売上総利益、期末営業資産残高、契約実行高を公表しており、当レポートでは同社資料に基づき、事業分野別の区分によって分析・解説を進めていく。
管理会計ベースの事業分野別売上総利益と構成比、期末営業資産残高と構成比、契約実行高と構成比の過去5期(2021年3月期~2025年3月期)の推移は以下のとおりである。2025年3月期の全社ベースの売上総利益は863億円で、売上総利益構成比(事業分野別の売上総利益は2025年3月期決算説明資料より開示、2023年3月期までは差引利益を開示)は国内リース事業が40.8%、不動産・環境エネルギー事業が33.8%、海外・航空機事業が21.4%、ファイナンス・投資事業が3.9%となった。不動産・環境エネルギー事業と海外・航空機事業は売上総利益額が大幅に拡大し、売上総利益構成比も上昇した。国内リース事業は売上総利益構成比が低下傾向だが、売上総利益額は堅調に推移している。この結果、国内リース事業、不動産・環境エネルギー事業、海外・航空機事業が3本柱というバランスの取れた収益構造となっている。
全社ベースの期末営業資産残高は2021年3月期末23,224億円から2025年3月期末32,819億円へ拡大した。国内リース事業は同15,319億円から14,479億円へとやや減少したが、不動産・環境エネルギー事業が同4,373億円から13,778億円へと大幅に拡大した。そして期末営業資産残高構成比は国内リース事業が同66.0%から44.1%へ低下し、不動産・環境エネルギー事業が同18.8%から42.0%へ上昇した。また全社ベースの契約実行高(事業別契約実行高は2024年3月期決算説明資料より開示)は2023年3月期14,705億円から2025年3月期17,957億円へ拡大した。国内リース事業は同9,465億円から8,223億円へ減少したが、不動産・環境エネルギー事業が同4,083億円から7,050億円へ、海外・航空機事業が同707億円から2,348億円へ大幅に拡大した。これは、成長性の高い環境エネルギー等のグロース分野や、サーキュラーエコノミー等のフロンティア分野への事業展開を加速させているためである。
強固な顧客基盤、事業基盤、資金調達基盤、人材基盤が特徴・強み
3. 特徴・強み、リスク要因・収益特性、課題・対策
同社の特徴・強みとしては、みずほグループというわが国屈指の企業グループを中心とする強固な顧客基盤、優良アセットを積み上げた事業基盤、徹底したリスク管理、業界トップ水準の外部信用格付に基づく資金調達基盤、リース取引や金融サービスに関する豊富な知識・ノウハウを持つ人材基盤などがある。
リース業界における一般的なリスク要因としては、世界経済低迷や金利・為替の急激な変動等による企業の設備投資抑制、取引先の業績悪化・経営破綻等による信用コストの発生、保有するアセットの価値下落、信用格付等による資金調達への影響などがある。こうした需要変動リスク、信用リスク、アセットリスク、資金調達にかかる流動性リスクや金利変動リスク、自然災害リスク等に対して、同社は経営への影響を低減するため、リスク管理グループ長が全社的視点でリスクマネジメントを統括・推進するとともに、各リスク所管部門を通じてリスク事象に対して迅速かつ機動的に対応する体制を整備している。各リスク所管部門は、事業に関連するリスクの把握・制御を適時に実施するとともに、実効性を検証する。そしてリスク管理委員会において、リスク低減に関する諸施策の遂行状況、浸透状況や有効性に関する検証を行い、その結果を取締役会に報告している。
同社の業績は資産売却、M&A関連費用、信用コスト等の一時的要因で変動する可能性があるものの、強固な顧客基盤、事業基盤、資金調達基盤、人材基盤を強みとして、コア分野が岩盤収益基盤となり、全体としてのリスク極小化が図られていると弊社では評価している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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