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前田工繊:「繊維×土木」の融合で社会課題を解決、M&Aで攻めるインフラ系ニッチトップ銘柄
配信日時:2025/06/25 14:44
配信元:FISCO
*14:44JST 前田工繊:「繊維×土木」の融合で社会課題を解決、M&Aで攻めるインフラ系ニッチトップ銘柄
前田工繊は<7821>土木・建築用ジオシンセティックス製品や不織布・繊維加工製品を手がけるメーカーである 。1972年設立以来、盛土補強材や河川護岸材などの土木資材の製造・販売に加え、高性能ワイピングクロスなどの産業資材の製造加工も行う。事業セグメントは「ソーシャルインフラ事業」と「インダストリーインフラ事業」に大別される。2025年6月期第3四半期時点のセグメント別売上高では、ソーシャルインフラ事業が56%、インダストリーインフラ事業が44%を占め、公共工事向け土木資材等を中心とするソーシャルインフラ事業が主力である。
同社は「土木資材に繊維を持ち込んだパイオニア」としての地位を築いている。強みは、独自の繊維加工技術を核とし、農業資材、自動車、防衛、漁業など多岐にわたる分野で新事業を展開している。単なる資材メーカーにとどまらず、全国の中小企業とのM&Aを通じて、地域の強みや技術を取り込みながら、スピーディかつ柔軟に事業領域を広げてきた。実際、2016年時点でM&Aによる売上高は64.2%を占めており、その後も「M&A」が企業成長の重要な役割を担っており、2024年時点でM&Aによる売上高は75.5%を占めている。直近では、M&Aによる非連続的な成長を軸に企業価値向上を図っている企業(GENDA<9166>、技術承継機構<319A>など)が増えているが、まさに同社は10年以上前からM&Aによる成長を図ってきている。さらに、OODAループを活用した自律的な経営判断により、変化の激しい現場ニーズにも即応し、各分野で最適なソリューションを提供する「専門家集団」としての強みを確立している。また、事業ポートフォリオの多角化と地方との協働によって、社会課題解決と経済成長の両立を目指す企業姿勢も高く評価されている。
2025年6月期第3四半期累計の売上高は47,558百万円(前年同期比13.5%増)、営業利益は10,152百万円(同26.0%増)と2桁増収増益で着地した。好調の主因は主力の公共工事向け製品および自動車・産業向け製品の伸長である。ソーシャルインフラ事業では、盛土補強材、河川護岸材、海洋土木製品など公共工事用資材の販売が堅調に推移した。一方、園芸用ハウスや酪農用製品等の農業資材など一部分野は伸び悩んだが、子会社の業績も概ね順調で、特に、獣害対策製品、防衛関係製品は堅調で、海外子会社についても安定した受注を確保できている。インダストリーインフラ事業では、BBSジャパンを通じた国内外での鍛造ホイール販売が好調で、BBS製造の生産効率化(工場稼働率、自動化、省力化)により利益率が向上したようだ。また、未来コーセンの精密機器向けワイピングクロス等も回復。
2025年6月期通期の売上高は62,000百万円(前期比11.0%増)、営業利益は12,000百万円(同11.8%増)を見込む。ソーシャルインフラ事業では公共投資の安定需要に対応しつつ、犀工房の子会社化などM&A効果の寄与を見込む。インダストリーインフラ事業では、BBSによるグローバル販売や未来コーセンの需要回復を背景に事業拡大を図る。そのほか、2025年4月1日付で三井化学産資株式会社の全株式を取得しており、併せて商号を「前田工繊産資株式会社」に変更している。
国内では社会資本の老朽化対策や防災・減災インフラ整備を目的とした公共投資が継続しており、特に道路・河川の補修・強化工事への資材需要が底堅い。また温暖化対策や災害対策として地盤補強材や防災資材への注目が高まっている。一方、自動車業界では世界的に生産・販売がやや停滞しているが、プレミアム車を中心に鍛造ホイールなど高付加価値商品の需要は堅調である。産業用繊維・不織布市場も、半導体関連や精密機械需要の回復でワイピングクロス等が増加。しかし、エネルギー・原材料価格の上昇や為替変動はコスト面での課題であり、企業は価格転嫁や生産効率向上で対応している。
中長期的には国内インフラ市場の安定需要に加え、海外展開による成長が重要となる。同社では四か年計画(2024年6月期~2027年6月期)で、2027年6月期に売上高700億円、その後は売上高1,000億円を掲げている。設備投資に150億円、M&A投資枠に200億円、配当等に50億円(計400億円)を設定し、生産能力増強や事業領域拡大を進めている。計画に対する進捗では、2024年6月期時点で設備投資に33億円、M&Aに55億円、配当などに10億円と、今後に向けて資金の余力は確保されている。また、特に海外では市場の拡大が期待されており、2027年6月期までに海外売上比率30%を目標と定めている。研究開発面でも軽量高強度素材の開発や新工法提案による競争力強化を図っており、持続的成長の基盤を整えている。総じて、環境インフラ整備への国の支援やグローバルな環境対策需要を背景に、同社の技術力を活かした土木資材・不織布製品へのニーズは引き続き見込まれる。
同社の株価指標はPER(会社予想ベース)約15.6倍、PBR約1.96倍(いずれも2025年6月期想定)と評価されている。株価は長期的に右肩上がりで推移してきているが、前述のM&Aによる非連続的な成長を目指している企業群とのバリュエーション比較では割安感も残る。自己資本比率は約78%と高く、財務基盤は安定。配当面では、上場以来、安定的な累進配当を実施、DOE(自己資本配当率)を指標としている。防災対策が新たな段階へ進む中、急激な変化に対応した強固な組織を創っていく方針を掲げている同社の今後の動向には注目しておきたい。
<HM>
同社は「土木資材に繊維を持ち込んだパイオニア」としての地位を築いている。強みは、独自の繊維加工技術を核とし、農業資材、自動車、防衛、漁業など多岐にわたる分野で新事業を展開している。単なる資材メーカーにとどまらず、全国の中小企業とのM&Aを通じて、地域の強みや技術を取り込みながら、スピーディかつ柔軟に事業領域を広げてきた。実際、2016年時点でM&Aによる売上高は64.2%を占めており、その後も「M&A」が企業成長の重要な役割を担っており、2024年時点でM&Aによる売上高は75.5%を占めている。直近では、M&Aによる非連続的な成長を軸に企業価値向上を図っている企業(GENDA<9166>、技術承継機構<319A>など)が増えているが、まさに同社は10年以上前からM&Aによる成長を図ってきている。さらに、OODAループを活用した自律的な経営判断により、変化の激しい現場ニーズにも即応し、各分野で最適なソリューションを提供する「専門家集団」としての強みを確立している。また、事業ポートフォリオの多角化と地方との協働によって、社会課題解決と経済成長の両立を目指す企業姿勢も高く評価されている。
2025年6月期第3四半期累計の売上高は47,558百万円(前年同期比13.5%増)、営業利益は10,152百万円(同26.0%増)と2桁増収増益で着地した。好調の主因は主力の公共工事向け製品および自動車・産業向け製品の伸長である。ソーシャルインフラ事業では、盛土補強材、河川護岸材、海洋土木製品など公共工事用資材の販売が堅調に推移した。一方、園芸用ハウスや酪農用製品等の農業資材など一部分野は伸び悩んだが、子会社の業績も概ね順調で、特に、獣害対策製品、防衛関係製品は堅調で、海外子会社についても安定した受注を確保できている。インダストリーインフラ事業では、BBSジャパンを通じた国内外での鍛造ホイール販売が好調で、BBS製造の生産効率化(工場稼働率、自動化、省力化)により利益率が向上したようだ。また、未来コーセンの精密機器向けワイピングクロス等も回復。
2025年6月期通期の売上高は62,000百万円(前期比11.0%増)、営業利益は12,000百万円(同11.8%増)を見込む。ソーシャルインフラ事業では公共投資の安定需要に対応しつつ、犀工房の子会社化などM&A効果の寄与を見込む。インダストリーインフラ事業では、BBSによるグローバル販売や未来コーセンの需要回復を背景に事業拡大を図る。そのほか、2025年4月1日付で三井化学産資株式会社の全株式を取得しており、併せて商号を「前田工繊産資株式会社」に変更している。
国内では社会資本の老朽化対策や防災・減災インフラ整備を目的とした公共投資が継続しており、特に道路・河川の補修・強化工事への資材需要が底堅い。また温暖化対策や災害対策として地盤補強材や防災資材への注目が高まっている。一方、自動車業界では世界的に生産・販売がやや停滞しているが、プレミアム車を中心に鍛造ホイールなど高付加価値商品の需要は堅調である。産業用繊維・不織布市場も、半導体関連や精密機械需要の回復でワイピングクロス等が増加。しかし、エネルギー・原材料価格の上昇や為替変動はコスト面での課題であり、企業は価格転嫁や生産効率向上で対応している。
中長期的には国内インフラ市場の安定需要に加え、海外展開による成長が重要となる。同社では四か年計画(2024年6月期~2027年6月期)で、2027年6月期に売上高700億円、その後は売上高1,000億円を掲げている。設備投資に150億円、M&A投資枠に200億円、配当等に50億円(計400億円)を設定し、生産能力増強や事業領域拡大を進めている。計画に対する進捗では、2024年6月期時点で設備投資に33億円、M&Aに55億円、配当などに10億円と、今後に向けて資金の余力は確保されている。また、特に海外では市場の拡大が期待されており、2027年6月期までに海外売上比率30%を目標と定めている。研究開発面でも軽量高強度素材の開発や新工法提案による競争力強化を図っており、持続的成長の基盤を整えている。総じて、環境インフラ整備への国の支援やグローバルな環境対策需要を背景に、同社の技術力を活かした土木資材・不織布製品へのニーズは引き続き見込まれる。
同社の株価指標はPER(会社予想ベース)約15.6倍、PBR約1.96倍(いずれも2025年6月期想定)と評価されている。株価は長期的に右肩上がりで推移してきているが、前述のM&Aによる非連続的な成長を目指している企業群とのバリュエーション比較では割安感も残る。自己資本比率は約78%と高く、財務基盤は安定。配当面では、上場以来、安定的な累進配当を実施、DOE(自己資本配当率)を指標としている。防災対策が新たな段階へ進む中、急激な変化に対応した強固な組織を創っていく方針を掲げている同社の今後の動向には注目しておきたい。
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