注目トピックス 日本株
ウェーブロックHD Research Memo(11):収益構造改革でマテリアルソリューション事業の利益率改善進む見通し
配信日時:2025/06/25 11:11
配信元:FISCO
*11:11JST ウェーブロックHD Research Memo(11):収益構造改革でマテリアルソリューション事業の利益率改善進む見通し
■ウェーブロックホールディングス<7940>の今後の見通し
3. 基本戦略の進捗状況
(1) 成熟分野における稼ぐ力の再構築(マテリアルソリューション事業)
a) 低成長・低収益分野の構造改革と生産の最適化による収益改善
マテリアルソリューション事業では、成長が期待できる分野については経営資源を重点投入し、生産の効率化と能力増強を図っている。また、低成長・低収益製品については、海外拠点の活用によるコストダウンの推進や価格改定交渉などの取り組みにより利益率の改善を図り、それでも不採算となる品目については撤退することで事業全体の収益力を強化している。2025年3月期は原材料価格が上昇するなかでも第2四半期以降、収益が改善したことはこうした取り組みの成果が顕在化してきたものと弊社では見ており、2026年3月期もこれら施策の効果によって利益率の向上が見込まれる。
b) 地中熱ビジネスと既存分野の連携強化
マテリアルソリューション事業の収益力強化施策の1つとして、地中熱ビジネスと既存分野の連携強化を進めている。既述のとおり、2025年3月期は花卉市場やRP東プラの新工場に、地中熱システムと間仕切りカーテンを組み合わせたソリューションを提案し、売上規模の拡大につながった。地中熱ビジネスは、販売ターゲットとして施設園芸、工場・倉庫の2分野を設定し、受注規模も50~200百万円/件の案件を獲得していく戦略だ。受注規模の大きさに関わらず、案件に携わる要員数は変わらないためだ。今後もグループ製品と組み合わせることで、より付加価値の高いソリューション提案を行い、地中熱空調システムの普及拡大に取り組む。
(2) 成長分野の拡大(アドバンストテクノロジー事業)
成長分野として金属調加飾フィルムを中心としたデコレーション&ディスプレー分野の売上拡大に取り組んでいる。中期経営計画では2024年3月期実績の約32億円から2027年3月期に約2倍増を目指すとしていたが、自動車市場の先行き不透明感から、拡大ペースはやや減速する見込みとなった。とは言え、金属調加飾フィルムの特徴から、今後も自動車向けの採用が広がっていく可能性は高く、今後も各地域に合わせた営業戦略を推進しながら事業規模を拡大していく方針だ。金属調、光透過、電波透過といった特性を持つ成型加工品の開発だけでなく、塗装代替または塗装保護用フィルムとしての開発も現在進めており、今後の動向が注目される。塗装代替フィルムについては、塗料と比較して環境にやさしいこと、多様な色味を実現できること、車体の軽量化に寄与することなどが長所となる。強度剛性の面でまだ課題があるため研究開発をしばらく続けていくことになるが、開発に成功すれば収益に大きく貢献することが予想されるだけに、今後の動向に注目したい。
製造基盤の強化と安定供給体制の構築に向けては、Tier-1を担える品質マネジメントシステムの強化に取り組んでおり、国内工場及びオハイオ工場にて、品質マネジメントシステムの国際規格となるISO9001を取得した。今後は自動車の品質マネジメントシステムの国際規格となるIATF16949の取得を目指す。
(3) グループシナジーの最大化と更なる関係深化
同社では資本提携先とのシナジー創出と関係深化に取り組むと同時に、既存事業(樹脂加工)の周辺領域におけるM&Aやさらなる新規事業の開発などの可能性についても検討を進めている。M&Aの資金としては30億円を上限に考えており、資金の調達手段については機動的に判断していく。
RP東プラとの関係では、地中熱空調システムをRP東プラの群馬工場に導入したほか、展示会への共同出展や取引拡大などを推進している。また、新規事業の投資案件を共同で検討するなど関係強化を進めている。生産集約化に伴う原材料の共同購買や共同物流といったコスト削減施策については、まだ協議中であり実施時期は未定としている。中期経営計画3ヶ年のなかで何らかのシナジーを創出したい考えだ。
産業資材の受発注プラットフォーム「ビニプロ.com」を運営する(株)チームライク(出資比率10%)とは、産業資材で複数製品の共同開発を推進している。また、「ビニプロ.com」内での同社製品の販売シェアも上昇しており、提携の効果が出ているようだ。
(4) 従業員のエンゲージメント向上
従業員のエンゲージメント向上施策として、(1) グループ人財育成の強化・推進、(2) 健康経営の推進、(3) 業績に応じた報酬還元により、約3~5%の賃上げを計画、の3点に取り組んでいる。
人財育成においては、学ぶ機会の提供や資格取得費用支援制度を拡張しており、健康経営については2025年3月に「健康経営優良法人2025(中小規模法人部門)※」に認定された。賃上げについては計画どおり実施しており、2027年3月期の人件費は2024年3月期比で20%増を見込んでいる。事業セグメントや地域、役割、成果に応じて積極的に報酬を還元し、モチベーションアップにつなげていく考えだ。
※ 健康経営優良法人とは、経済産業省が推奨している健康経営優良法人認定制度により認定された法人企業のことを指す。特に優良な健康経営を実践している大企業や中小企業等の法人を「見える化」することで、従業員や求職者、関係企業や金融機関などから社会的な評価を受けることができる環境を整備することを目的に、日本健康会議が認定している。
3年間累計の設備投資額は51億円を予定、D/Eレシオは0.4倍水準を見込む
4. 財務戦略
同社は2025年3月期からの3年間を成長基盤構築のための投資期間と位置付けており、3年間累計で51億円の設備投資を計画している。内訳は、既存設備の更新投資で17億円、成長投資で34億円である。成長投資については、金属調加飾フィルムの製造設備や国内外の成形設備の増強、及び効率化投資のほか、拡大を見込む成熟分野の増強及び効率化投資を想定している。設備投資資金の原資は営業キャッシュ・フローで大半をまかない、足りない部分については有利子負債で調達する予定で、D/Eレシオ(有利子負債比率)は0.4倍程度の水準(0.3~0.5倍を目安)を見込んでいる。
また、3年間のキャッシュアロケーションの考え方については、設備投資資金51億円と配当金などの株主還元資金7.6億円超のキャッシュ・アウト分を、営業キャッシュ・フロー46億円と有利子負債12.6億円超でまかなう格好となる。M&A資金が必要となった場合には別途、調達手段を検討する考えだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<HN>
3. 基本戦略の進捗状況
(1) 成熟分野における稼ぐ力の再構築(マテリアルソリューション事業)
a) 低成長・低収益分野の構造改革と生産の最適化による収益改善
マテリアルソリューション事業では、成長が期待できる分野については経営資源を重点投入し、生産の効率化と能力増強を図っている。また、低成長・低収益製品については、海外拠点の活用によるコストダウンの推進や価格改定交渉などの取り組みにより利益率の改善を図り、それでも不採算となる品目については撤退することで事業全体の収益力を強化している。2025年3月期は原材料価格が上昇するなかでも第2四半期以降、収益が改善したことはこうした取り組みの成果が顕在化してきたものと弊社では見ており、2026年3月期もこれら施策の効果によって利益率の向上が見込まれる。
b) 地中熱ビジネスと既存分野の連携強化
マテリアルソリューション事業の収益力強化施策の1つとして、地中熱ビジネスと既存分野の連携強化を進めている。既述のとおり、2025年3月期は花卉市場やRP東プラの新工場に、地中熱システムと間仕切りカーテンを組み合わせたソリューションを提案し、売上規模の拡大につながった。地中熱ビジネスは、販売ターゲットとして施設園芸、工場・倉庫の2分野を設定し、受注規模も50~200百万円/件の案件を獲得していく戦略だ。受注規模の大きさに関わらず、案件に携わる要員数は変わらないためだ。今後もグループ製品と組み合わせることで、より付加価値の高いソリューション提案を行い、地中熱空調システムの普及拡大に取り組む。
(2) 成長分野の拡大(アドバンストテクノロジー事業)
成長分野として金属調加飾フィルムを中心としたデコレーション&ディスプレー分野の売上拡大に取り組んでいる。中期経営計画では2024年3月期実績の約32億円から2027年3月期に約2倍増を目指すとしていたが、自動車市場の先行き不透明感から、拡大ペースはやや減速する見込みとなった。とは言え、金属調加飾フィルムの特徴から、今後も自動車向けの採用が広がっていく可能性は高く、今後も各地域に合わせた営業戦略を推進しながら事業規模を拡大していく方針だ。金属調、光透過、電波透過といった特性を持つ成型加工品の開発だけでなく、塗装代替または塗装保護用フィルムとしての開発も現在進めており、今後の動向が注目される。塗装代替フィルムについては、塗料と比較して環境にやさしいこと、多様な色味を実現できること、車体の軽量化に寄与することなどが長所となる。強度剛性の面でまだ課題があるため研究開発をしばらく続けていくことになるが、開発に成功すれば収益に大きく貢献することが予想されるだけに、今後の動向に注目したい。
製造基盤の強化と安定供給体制の構築に向けては、Tier-1を担える品質マネジメントシステムの強化に取り組んでおり、国内工場及びオハイオ工場にて、品質マネジメントシステムの国際規格となるISO9001を取得した。今後は自動車の品質マネジメントシステムの国際規格となるIATF16949の取得を目指す。
(3) グループシナジーの最大化と更なる関係深化
同社では資本提携先とのシナジー創出と関係深化に取り組むと同時に、既存事業(樹脂加工)の周辺領域におけるM&Aやさらなる新規事業の開発などの可能性についても検討を進めている。M&Aの資金としては30億円を上限に考えており、資金の調達手段については機動的に判断していく。
RP東プラとの関係では、地中熱空調システムをRP東プラの群馬工場に導入したほか、展示会への共同出展や取引拡大などを推進している。また、新規事業の投資案件を共同で検討するなど関係強化を進めている。生産集約化に伴う原材料の共同購買や共同物流といったコスト削減施策については、まだ協議中であり実施時期は未定としている。中期経営計画3ヶ年のなかで何らかのシナジーを創出したい考えだ。
産業資材の受発注プラットフォーム「ビニプロ.com」を運営する(株)チームライク(出資比率10%)とは、産業資材で複数製品の共同開発を推進している。また、「ビニプロ.com」内での同社製品の販売シェアも上昇しており、提携の効果が出ているようだ。
(4) 従業員のエンゲージメント向上
従業員のエンゲージメント向上施策として、(1) グループ人財育成の強化・推進、(2) 健康経営の推進、(3) 業績に応じた報酬還元により、約3~5%の賃上げを計画、の3点に取り組んでいる。
人財育成においては、学ぶ機会の提供や資格取得費用支援制度を拡張しており、健康経営については2025年3月に「健康経営優良法人2025(中小規模法人部門)※」に認定された。賃上げについては計画どおり実施しており、2027年3月期の人件費は2024年3月期比で20%増を見込んでいる。事業セグメントや地域、役割、成果に応じて積極的に報酬を還元し、モチベーションアップにつなげていく考えだ。
※ 健康経営優良法人とは、経済産業省が推奨している健康経営優良法人認定制度により認定された法人企業のことを指す。特に優良な健康経営を実践している大企業や中小企業等の法人を「見える化」することで、従業員や求職者、関係企業や金融機関などから社会的な評価を受けることができる環境を整備することを目的に、日本健康会議が認定している。
3年間累計の設備投資額は51億円を予定、D/Eレシオは0.4倍水準を見込む
4. 財務戦略
同社は2025年3月期からの3年間を成長基盤構築のための投資期間と位置付けており、3年間累計で51億円の設備投資を計画している。内訳は、既存設備の更新投資で17億円、成長投資で34億円である。成長投資については、金属調加飾フィルムの製造設備や国内外の成形設備の増強、及び効率化投資のほか、拡大を見込む成熟分野の増強及び効率化投資を想定している。設備投資資金の原資は営業キャッシュ・フローで大半をまかない、足りない部分については有利子負債で調達する予定で、D/Eレシオ(有利子負債比率)は0.4倍程度の水準(0.3~0.5倍を目安)を見込んでいる。
また、3年間のキャッシュアロケーションの考え方については、設備投資資金51億円と配当金などの株主還元資金7.6億円超のキャッシュ・アウト分を、営業キャッシュ・フロー46億円と有利子負債12.6億円超でまかなう格好となる。M&A資金が必要となった場合には別途、調達手段を検討する考えだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<HN>
Copyright(c) FISCO Ltd. All rights reserved.
ニュースカテゴリ
注目トピックス 市況・概況
NY市場・クローズ
海外市場動向
注目トピックス 日本株
注目トピックス 経済総合
強弱材料
コラム【EMW】
オープニングコメント
日経225・本日の想定レンジ
寄り付き概況
新興市場スナップショット
注目トピックス 外国株
個別銘柄テクニカルショット
ランチタイムコメント
後場の投資戦略
後場の寄り付き概況
相場概況
本日の注目個別銘柄
JASDAQ市況
マザーズ市況
Miniトピック
来週の買い需要
日経QUICKニュース
みんかぶニュース 投資家動向
みんかぶニュース 為替・FX
みんかぶニュース 市況・概況
みんかぶニュース 個別・材料
みんかぶニュース コラム
みんかぶニュース その他
ビットコインニュース
アルトコインニュース
GRICI
暗号資産速報
Reuters Japan Online Report Business News
金融ウォッチ その他
FISCO その他
グロース市況