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中部鋼鈑 Research Memo(8):新電気炉の安定稼働で増収増益を見込む。高付加価値製品の販売拡大に注力(2)
配信日時:2025/06/24 11:08
配信元:FISCO
*11:08JST 中部鋼鈑 Research Memo(8):新電気炉の安定稼働で増収増益を見込む。高付加価値製品の販売拡大に注力(2)
■中部鋼鈑<5461>の今後の見通し
2. 24中期経営計画の進捗状況
2024年5月に発表した「24中期経営計画」では、基本方針として「鉄鋼製品(厚板及び鋳片)80万トンの販売」「脱炭素対応」「持続可能な基盤整備」の3点を掲げ、最終年度の2027年3月期に時価総額1,000億円を目指す。24中期経営計画初年度の2025年3月期は想定外の事故の発生により業績面に影響を受けたが、現時点で計画の見直しは予定されていない。なお、主要KPIは以下のとおりである。
(1) 鉄鋼製品販売数量:80万トン(厚板+スラブ)
(2) 設備投資額(戦略投資):120億円(予算取得ベース)
(3) ROE:10%
(4) 連結経常利益:150億円
(5) 株主還元:DOE3.5%
(6) 付加価値労働生産性((経常利益+減価償却費+人件費)÷従業員数):40百万円(2024年3月期は約33百万円)
1) 鉄鋼製品(厚板及び鋳片)80万トンの販売
2025年3月期の鉄鋼製品販売数量の実績は、事故の影響等から39.8万トンとなり、2025年3月期期初計画(53万トン)比でマイナス13.2万トンとなった。2026年3月期については、24中期経営計画では70万トンと計画されているが、2026年3月期業績予想では54.2万トンと中期経営計画比では未達となる。前述のとおり、2026年3月期上期に前期に失った受注を取り戻し、下期にかけて本格的に販売数量を拡大することで遅れを少しでも取り戻す方針だ。
2) 脱炭素対応
2025年3月期は、新電気炉稼働による省エネルギー対応のほか、2024年4月には同社製品である「厚板」にて、電気炉厚板では初となる「エコリーフ」((一社)サステナブル経営推進機構が認証する環境ラベルプログラム)を取得した。「厚板」を購入・使用する顧客は、使用製品の環境負荷を定量的かつ客観的に評価することが可能となる。脱炭素対応を進める顧客にとってはメリットのある製品として評価されることになり、需要増加に伴い業績寄与が期待される。また、はじめてCDPからの質問書へ回答し、「B」評価(8段階中3番目の「マネジメント」レベル)を得た。さらに同社が参画するGXリーグでは、CO2排出量の実績報告を実施し、報告の開示範囲を同社単体から構内の建物(子会社を含む)に拡大したことで存在感を高めている。
再生可能エネルギー関連では、2024年6月よりオフサイトPPAを導入しており、年間515万kWh程度の電力を20年間調達し、CO2を年間約2,400トン削減する。24中期経営計画上の目標値は発電量で年間1,300万kWh、CO2排出量換算では年間5,000トンとしており、2026年3月期も利用拡大を進める。グリーンスチールに関しては現在開発中であり、2026年3月期中の販売開始を目指している。
同社は、日本鉄鋼連盟が組織した非化石価値を適用した鋼材のガイドラインを策定するワーキンググループのメンバーとして、2025年秋のガイドライン完成を目指して活動し、脱炭素対応に向けての各種施策を積極的に進めている。
3) 持続可能な基盤整備
人的資本戦略として付加価値労働生産性の最大化を目標に掲げ、従業員の活力や働き甲斐を向上させるための施策を展開中である。2025年3月期は人事制度改革として2024年4月より人事制度を改定し、従業員の会社への貢献度を処遇に反映させることや、賞与のインセンティブ引き上げ、有能な人材の早期登用といった施策を実行した。また並行して従業員エンゲージメントの向上策を実施した。具体的には年休取得率の向上、総労働時間の短縮等の働き方改革、健康経営の推進が挙げられ、さらに従業員エンゲージメント調査により、各種施策の効果検証や継続的な改善に役立てている。
スクラップ戦略については、AIによるスクラップの検収を2024年5月から導入した。業務効率改善については、鉄鋼製品の販売拡大を支援するため、製鋼4直3交替による工場24時間運転を2025年4月から開始することとしていたが、新電気炉の事故に伴う操業停止期間があったことで担当者の育成期間が確保できず延期されている。2025年4月から8月の間はこれまでどおりの2交替制とし、2025年9月より4直3交替制を開始する予定である。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
<HN>
2. 24中期経営計画の進捗状況
2024年5月に発表した「24中期経営計画」では、基本方針として「鉄鋼製品(厚板及び鋳片)80万トンの販売」「脱炭素対応」「持続可能な基盤整備」の3点を掲げ、最終年度の2027年3月期に時価総額1,000億円を目指す。24中期経営計画初年度の2025年3月期は想定外の事故の発生により業績面に影響を受けたが、現時点で計画の見直しは予定されていない。なお、主要KPIは以下のとおりである。
(1) 鉄鋼製品販売数量:80万トン(厚板+スラブ)
(2) 設備投資額(戦略投資):120億円(予算取得ベース)
(3) ROE:10%
(4) 連結経常利益:150億円
(5) 株主還元:DOE3.5%
(6) 付加価値労働生産性((経常利益+減価償却費+人件費)÷従業員数):40百万円(2024年3月期は約33百万円)
1) 鉄鋼製品(厚板及び鋳片)80万トンの販売
2025年3月期の鉄鋼製品販売数量の実績は、事故の影響等から39.8万トンとなり、2025年3月期期初計画(53万トン)比でマイナス13.2万トンとなった。2026年3月期については、24中期経営計画では70万トンと計画されているが、2026年3月期業績予想では54.2万トンと中期経営計画比では未達となる。前述のとおり、2026年3月期上期に前期に失った受注を取り戻し、下期にかけて本格的に販売数量を拡大することで遅れを少しでも取り戻す方針だ。
2) 脱炭素対応
2025年3月期は、新電気炉稼働による省エネルギー対応のほか、2024年4月には同社製品である「厚板」にて、電気炉厚板では初となる「エコリーフ」((一社)サステナブル経営推進機構が認証する環境ラベルプログラム)を取得した。「厚板」を購入・使用する顧客は、使用製品の環境負荷を定量的かつ客観的に評価することが可能となる。脱炭素対応を進める顧客にとってはメリットのある製品として評価されることになり、需要増加に伴い業績寄与が期待される。また、はじめてCDPからの質問書へ回答し、「B」評価(8段階中3番目の「マネジメント」レベル)を得た。さらに同社が参画するGXリーグでは、CO2排出量の実績報告を実施し、報告の開示範囲を同社単体から構内の建物(子会社を含む)に拡大したことで存在感を高めている。
再生可能エネルギー関連では、2024年6月よりオフサイトPPAを導入しており、年間515万kWh程度の電力を20年間調達し、CO2を年間約2,400トン削減する。24中期経営計画上の目標値は発電量で年間1,300万kWh、CO2排出量換算では年間5,000トンとしており、2026年3月期も利用拡大を進める。グリーンスチールに関しては現在開発中であり、2026年3月期中の販売開始を目指している。
同社は、日本鉄鋼連盟が組織した非化石価値を適用した鋼材のガイドラインを策定するワーキンググループのメンバーとして、2025年秋のガイドライン完成を目指して活動し、脱炭素対応に向けての各種施策を積極的に進めている。
3) 持続可能な基盤整備
人的資本戦略として付加価値労働生産性の最大化を目標に掲げ、従業員の活力や働き甲斐を向上させるための施策を展開中である。2025年3月期は人事制度改革として2024年4月より人事制度を改定し、従業員の会社への貢献度を処遇に反映させることや、賞与のインセンティブ引き上げ、有能な人材の早期登用といった施策を実行した。また並行して従業員エンゲージメントの向上策を実施した。具体的には年休取得率の向上、総労働時間の短縮等の働き方改革、健康経営の推進が挙げられ、さらに従業員エンゲージメント調査により、各種施策の効果検証や継続的な改善に役立てている。
スクラップ戦略については、AIによるスクラップの検収を2024年5月から導入した。業務効率改善については、鉄鋼製品の販売拡大を支援するため、製鋼4直3交替による工場24時間運転を2025年4月から開始することとしていたが、新電気炉の事故に伴う操業停止期間があったことで担当者の育成期間が確保できず延期されている。2025年4月から8月の間はこれまでどおりの2交替制とし、2025年9月より4直3交替制を開始する予定である。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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