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日本ヒューム Research Memo(3):基礎事業、下水道関連事業、太陽光発電・不動産事業、その他事業を展開
配信日時:2025/06/20 13:03
配信元:FISCO
*13:03JST 日本ヒューム Research Memo(3):基礎事業、下水道関連事業、太陽光発電・不動産事業、その他事業を展開
■日本ヒューム<5262>の事業概要
1. 事業概要
同社は、基礎事業(コンクリートパイル製造・販売・杭打工事など)、下水道関連事業(ヒューム管などコンクリート製下水道関連製品の製造・販売、コンクリート製道路関連製品の製造・販売、下水道関連工事など)を2本柱として、太陽光発電・不動産事業(太陽光発電、不動産賃貸・管理など)、その他事業(鉄工・鉄筋事業、環境・衛生コンサルティング事業、下水道関連工事用機材レンタルなど)も展開している。
(1) 基礎事業
基礎事業は、様々な土木・建築物を支える基礎工事に使用されるコンクリートパイルの製造・販売・施工などを行っている。コンクリートパイルは、工場において鋼製の円筒形型枠に鉄筋かごを配置した後、ミキサーで練り混ぜたコンクリートを投入し、遠心力を利用してコンクリートを締め固めて成形する。同社は大手メーカーとして、地盤や上部構造など各種条件に対応した豊富な種類の杭を取り揃えており、工事施工の面では排出残土の少ない中掘工法などを強みとしている。
(2) 下水道関連事業
下水道関連事業は、ヒューム管、合成鋼管、セグメントなどのコンクリート製下水道関連製品の製造・販売を中心に、壁高欄などのコンクリート製道路関連製品の製造・販売、さらに下水道関連の管渠更生工事などを行っている。ヒューム管は工場において遠心力を利用して成形し、下水道、農業・工業用水、雨水管、電線・ケーブルを通すための地中管など、様々な分野で幅広く使用されている。また、オリジナル工法であるPCウェル工法などのプレキャスト事業にも注力している。PCウェル工法は、工場で製作した鉄筋コンクリート造の単体ブロックを施工現場で接続・一体化し、内部をハンマグラブなどにより掘削・排土しながら、グランドアンカーなどを反力として注入・沈設する工法である。大深度(実績75m)の施工も可能で、1968年の実用化以来2,500基を超える実績がある。
(3) 太陽光発電・不動産事業、その他事業
太陽光発電・不動産事業は、同社の保有不動産を活用した賃貸事業や太陽光発電事業(NH東北太陽光発電所、NH岡山太陽光発電所)のほか、環境関連機器販売・コンサルティングなどを展開している。
基礎事業と下水道関連事業が2本柱
2. セグメント別推移
過去5期(2021年3月期〜2025年3月期)のセグメント別売上高・営業利益・営業利益率の推移を見ると、売上高構成比は基礎事業が約6割(2025年3月期実績は61%)、下水道関連事業が約3割(同35%)で2本柱となっている。基礎事業の売上高と営業利益は2022年3月期をボトムとして拡大基調となり、営業利益率も2022年3月期の1.4%から2025年3月期の5.7%へ上昇した。営業強化、売価改善、生産性向上などへの取り組みの成果として収益性が向上している。下水道関連事業は2024年3月期に発注遅延の影響で営業利益が落ち込んだが、この一時的要因を除けば売上高、営業利益、営業利益率ともおおむね横ばいで推移している。なお基礎事業と下水道関連事業の営業利益率に大きな差があるが、これは、基礎事業は民間建築工事が中心であるのに対して、下水道関連事業は公共工事が中心のためである。民間中心の建築関連工事の利益率が公共工事中心の土木関連工事に比べて低いという傾向は、同社だけでなく建設関連業界全般に共通した傾向である。太陽光発電・不動産事業は売上高、営業利益、営業利益率とも大きな変動がなく、規模は小さいものの利益率の高い安定収益源となっている。
コンクリートパイルとヒューム管の両方の分野で上位市場シェアは同社のみ
3. 特徴・強み
同社の強みは時代のニーズに合った新製品・新工法を開発する技術力である。1925年に日本で初めて遠心力を利用して下水用ヒューム管の製造を開始し、その技術を活用して事業領域をコンクリートパイルのほか、大口径分野や道路分野を含む各種プレキャストコンクリート製品へ広げている。また地震対策や社会インフラ老朽化対策では、各種コンクリート製品の機能・強度向上に努めているほか、施工面でも下水道管路・マンホール耐震化工法や管渠更生工法などの社会インフラ維持更新を目的とした事業を行っている。近年は、施工効率化に向けてICTを活用した施工管理「Pile-ViMSys(パイルヴィムシス)(R)」や、カーボンニュートラルに向けた低炭素型高機能コンクリート「e-CON(R)」など、次世代に向けた新技術・新製品の開発を強化している。
なお同社調べによると、同社の2025年3月期の市場シェア(出荷量ベース)は、下水道関連事業のヒューム管が23.5%(持分法適用関連会社の東京コンクリート工業(株)を含む)で1位、基礎事業のコンクリートパイルが8.9%で3位だった。ヒューム管専業あるいはコンクリートパイル専業が多い業界にあって、ヒューム管とコンクリートパイルの両方の分野で上位市場シェアを獲得しているのは同社のみである。このことは同社の技術力や品質力の高さを示している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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1. 事業概要
同社は、基礎事業(コンクリートパイル製造・販売・杭打工事など)、下水道関連事業(ヒューム管などコンクリート製下水道関連製品の製造・販売、コンクリート製道路関連製品の製造・販売、下水道関連工事など)を2本柱として、太陽光発電・不動産事業(太陽光発電、不動産賃貸・管理など)、その他事業(鉄工・鉄筋事業、環境・衛生コンサルティング事業、下水道関連工事用機材レンタルなど)も展開している。
(1) 基礎事業
基礎事業は、様々な土木・建築物を支える基礎工事に使用されるコンクリートパイルの製造・販売・施工などを行っている。コンクリートパイルは、工場において鋼製の円筒形型枠に鉄筋かごを配置した後、ミキサーで練り混ぜたコンクリートを投入し、遠心力を利用してコンクリートを締め固めて成形する。同社は大手メーカーとして、地盤や上部構造など各種条件に対応した豊富な種類の杭を取り揃えており、工事施工の面では排出残土の少ない中掘工法などを強みとしている。
(2) 下水道関連事業
下水道関連事業は、ヒューム管、合成鋼管、セグメントなどのコンクリート製下水道関連製品の製造・販売を中心に、壁高欄などのコンクリート製道路関連製品の製造・販売、さらに下水道関連の管渠更生工事などを行っている。ヒューム管は工場において遠心力を利用して成形し、下水道、農業・工業用水、雨水管、電線・ケーブルを通すための地中管など、様々な分野で幅広く使用されている。また、オリジナル工法であるPCウェル工法などのプレキャスト事業にも注力している。PCウェル工法は、工場で製作した鉄筋コンクリート造の単体ブロックを施工現場で接続・一体化し、内部をハンマグラブなどにより掘削・排土しながら、グランドアンカーなどを反力として注入・沈設する工法である。大深度(実績75m)の施工も可能で、1968年の実用化以来2,500基を超える実績がある。
(3) 太陽光発電・不動産事業、その他事業
太陽光発電・不動産事業は、同社の保有不動産を活用した賃貸事業や太陽光発電事業(NH東北太陽光発電所、NH岡山太陽光発電所)のほか、環境関連機器販売・コンサルティングなどを展開している。
基礎事業と下水道関連事業が2本柱
2. セグメント別推移
過去5期(2021年3月期〜2025年3月期)のセグメント別売上高・営業利益・営業利益率の推移を見ると、売上高構成比は基礎事業が約6割(2025年3月期実績は61%)、下水道関連事業が約3割(同35%)で2本柱となっている。基礎事業の売上高と営業利益は2022年3月期をボトムとして拡大基調となり、営業利益率も2022年3月期の1.4%から2025年3月期の5.7%へ上昇した。営業強化、売価改善、生産性向上などへの取り組みの成果として収益性が向上している。下水道関連事業は2024年3月期に発注遅延の影響で営業利益が落ち込んだが、この一時的要因を除けば売上高、営業利益、営業利益率ともおおむね横ばいで推移している。なお基礎事業と下水道関連事業の営業利益率に大きな差があるが、これは、基礎事業は民間建築工事が中心であるのに対して、下水道関連事業は公共工事が中心のためである。民間中心の建築関連工事の利益率が公共工事中心の土木関連工事に比べて低いという傾向は、同社だけでなく建設関連業界全般に共通した傾向である。太陽光発電・不動産事業は売上高、営業利益、営業利益率とも大きな変動がなく、規模は小さいものの利益率の高い安定収益源となっている。
コンクリートパイルとヒューム管の両方の分野で上位市場シェアは同社のみ
3. 特徴・強み
同社の強みは時代のニーズに合った新製品・新工法を開発する技術力である。1925年に日本で初めて遠心力を利用して下水用ヒューム管の製造を開始し、その技術を活用して事業領域をコンクリートパイルのほか、大口径分野や道路分野を含む各種プレキャストコンクリート製品へ広げている。また地震対策や社会インフラ老朽化対策では、各種コンクリート製品の機能・強度向上に努めているほか、施工面でも下水道管路・マンホール耐震化工法や管渠更生工法などの社会インフラ維持更新を目的とした事業を行っている。近年は、施工効率化に向けてICTを活用した施工管理「Pile-ViMSys(パイルヴィムシス)(R)」や、カーボンニュートラルに向けた低炭素型高機能コンクリート「e-CON(R)」など、次世代に向けた新技術・新製品の開発を強化している。
なお同社調べによると、同社の2025年3月期の市場シェア(出荷量ベース)は、下水道関連事業のヒューム管が23.5%(持分法適用関連会社の東京コンクリート工業(株)を含む)で1位、基礎事業のコンクリートパイルが8.9%で3位だった。ヒューム管専業あるいはコンクリートパイル専業が多い業界にあって、ヒューム管とコンクリートパイルの両方の分野で上位市場シェアを獲得しているのは同社のみである。このことは同社の技術力や品質力の高さを示している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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