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富士紡HD Research Memo(8):2026年3月期は不透明感はあるものの、引き続き増収増益を見込む(2)
配信日時:2025/06/20 12:08
配信元:FISCO
*12:08JST 富士紡HD Research Memo(8):2026年3月期は不透明感はあるものの、引き続き増収増益を見込む(2)
■今後の見通し
2. セグメント別業績見通し
(1) 研磨材事業
売上高20,700百万円(前期比7.2%増)、営業利益5,150百万円(同8.9%増、営業利益率24.9%)を予想している。研磨材事業の主軸となるCMP用途やシリコンウエハー用途では先端半導体向けを中心に2026年3月期も好調に推移するものと予想している。特に、富士紡ホールディングス<3104>の研磨材(ソフトパッド)は、ロジック半導体製造プロセスにおいて高いシェアを占めており、生成AIやIoT分野で使用されるロジック半導体の高成長が受注拡大をけん引している。また、シリコンウエハー用途でも、ソフトパッドが使われており、ロジック系半導体需要の拡大とともに受注拡大が期待できる。
ハードディスク用途も、AI関連でデータセンターの建設ラッシュを背景に、ニアラインHDD(Nearline HDD)と呼ばれるデータ保存用ハードディスクドライブの需要が急増しており、売上高拡大が予想されている。液晶ガラス用途は、海外向け需要がガラス基板メーカーやパネル加工メーカーの稼働好調により回復基調になると見ている。
次世代パワー半導体分野はEVの需要鈍化やFA向けの投資減退、中国の景気悪化などの要因によりSiCウエハー用途は在庫調整段階にあるが、中長期的には需要も徐々に回復していくものと予想している。
また、スマートフォンやPC向け半導体デバイスでは、微細化及び高精細化プロセスが求められるため、同社のソフトパッドが使用されている。スマートフォンやPC関連市場はこれ以上の悪化は見込まれないものの、直ちに回復する兆しは見られない。しかし、同社としては今後の市場回復や売上増加の余地に期待している。
新用途市場として、「半導体の微細化と積層化」を見込んでいる。メモリー半導体分野においては、AI向けHBM用途などで同社のソフトパッド需要につながる可能性がある。既にNANDフラッシュメモリ分野中心にソフトパッドが使われ始めており、今後の業績への貢献が期待できる。
(2) 化学工業品事業
売上高15,000百万円(前期比11.3%増)、営業利益1,300百万円(同6.8%増、営業利益率8.7%)を予想している。化学業界全体の需要回復や半導体関連を中心とした電子材料は引き続き堅調に推移すると見込んでいる。2021年より大手化学メーカーと新しい素材開発・試作を進めてきたが、既に一部量産化がスタートしており、新規顧客や新規受注獲得に注力する。さらに、機能性材料は中長期的に受注拡大が見込まれることから、国内2工場(柳井工場、武生工場)の連携強化を一層進め、2026年4月からの稼働に向けて強い需要が見込まれる製品に係わる新プラント設備の建設も進行中である。本案件は、2027年3月期の売上高・営業利益への貢献が見込まれ、さらに次期中期経営計画の化学工業品事業における収益拡大基盤となる。
(3) 生活衣料事業
売上高7,000百万円(前期比0.5%増)、営業利益500百万円(同14.7%減、営業利益率7.1%)を予想している。繊維製品は、円安の進行により物価水準が高止まり、厳しい状況が続いているが、主力品「B.V.D.」はECサイトやSNSなど多様なメディアを活用し、認知度を高めることで商品の販売力向上を図る。また、高級肌着「アングル」も海外向けが好調であり、さらなる販路拡大に取り組む。EC販売を積極的に拡大することで実店舗での売上減少をカバーしていく。繊維素材については、事業の一部を休止し、経営資源を研磨材事業へ選択集中する計画である。
(4) その他(化成品)事業
売上高3,500百万円(前期比10.7%増)、営業利益50百万円(前期は57百万円の損失)を予想している。化成品部門では、医療機器用途向けのさらなる需要拡大に対応し、新工場立ち上げや統合で新たな生産体制の整備を進める。また、金型部門は当面厳しい状況が続くが、2026年3月期には自動車用金型の業績改善を見込み、事務機器用金型も利益を確保できる体制を整える予定だ。また、事業環境が変化するなか研究開発の重要性が高まっており、中長期的な視野で次世代事業の開発を推進している。
3. 設備投資と研究開発費の見通し
(1) 設備投資
2026年3月期の設備投資額は8,230百万円(前期比2,085百万円増)の計画である。主な大型投資テーマは、研磨材事業における「台湾の研究開発施設の建設」、化学工業品事業における「機能性材料の新プラント建設」、化成品事業における「新工場建設」とそれに付随する研究開発、能力増強並びに省力化投資などだ。
(2) 研磨材事業の研究開発投資
2026年3月期の研磨材事業の研究投資額は、1,620百万円とほぼ前期並み(前期は1,666百万円)を予定しており、特に、台湾研究開発センターへの研究開発投資は継続実施する。半導体の微細化は、2030年頃にオングストローム時代(2nm世代から0.3nm世代へ)を迎えようとしている。顧客からの要求水準がますます厳しくなるが、同社の研磨材ソフトパッドは確実にキャッチアップできている。今後も、微細化対応への研究開発投資を継続実施できれば、研磨材事業の“未来は明るい”と同社では見ている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水啓司)
<HN>
2. セグメント別業績見通し
(1) 研磨材事業
売上高20,700百万円(前期比7.2%増)、営業利益5,150百万円(同8.9%増、営業利益率24.9%)を予想している。研磨材事業の主軸となるCMP用途やシリコンウエハー用途では先端半導体向けを中心に2026年3月期も好調に推移するものと予想している。特に、富士紡ホールディングス<3104>の研磨材(ソフトパッド)は、ロジック半導体製造プロセスにおいて高いシェアを占めており、生成AIやIoT分野で使用されるロジック半導体の高成長が受注拡大をけん引している。また、シリコンウエハー用途でも、ソフトパッドが使われており、ロジック系半導体需要の拡大とともに受注拡大が期待できる。
ハードディスク用途も、AI関連でデータセンターの建設ラッシュを背景に、ニアラインHDD(Nearline HDD)と呼ばれるデータ保存用ハードディスクドライブの需要が急増しており、売上高拡大が予想されている。液晶ガラス用途は、海外向け需要がガラス基板メーカーやパネル加工メーカーの稼働好調により回復基調になると見ている。
次世代パワー半導体分野はEVの需要鈍化やFA向けの投資減退、中国の景気悪化などの要因によりSiCウエハー用途は在庫調整段階にあるが、中長期的には需要も徐々に回復していくものと予想している。
また、スマートフォンやPC向け半導体デバイスでは、微細化及び高精細化プロセスが求められるため、同社のソフトパッドが使用されている。スマートフォンやPC関連市場はこれ以上の悪化は見込まれないものの、直ちに回復する兆しは見られない。しかし、同社としては今後の市場回復や売上増加の余地に期待している。
新用途市場として、「半導体の微細化と積層化」を見込んでいる。メモリー半導体分野においては、AI向けHBM用途などで同社のソフトパッド需要につながる可能性がある。既にNANDフラッシュメモリ分野中心にソフトパッドが使われ始めており、今後の業績への貢献が期待できる。
(2) 化学工業品事業
売上高15,000百万円(前期比11.3%増)、営業利益1,300百万円(同6.8%増、営業利益率8.7%)を予想している。化学業界全体の需要回復や半導体関連を中心とした電子材料は引き続き堅調に推移すると見込んでいる。2021年より大手化学メーカーと新しい素材開発・試作を進めてきたが、既に一部量産化がスタートしており、新規顧客や新規受注獲得に注力する。さらに、機能性材料は中長期的に受注拡大が見込まれることから、国内2工場(柳井工場、武生工場)の連携強化を一層進め、2026年4月からの稼働に向けて強い需要が見込まれる製品に係わる新プラント設備の建設も進行中である。本案件は、2027年3月期の売上高・営業利益への貢献が見込まれ、さらに次期中期経営計画の化学工業品事業における収益拡大基盤となる。
(3) 生活衣料事業
売上高7,000百万円(前期比0.5%増)、営業利益500百万円(同14.7%減、営業利益率7.1%)を予想している。繊維製品は、円安の進行により物価水準が高止まり、厳しい状況が続いているが、主力品「B.V.D.」はECサイトやSNSなど多様なメディアを活用し、認知度を高めることで商品の販売力向上を図る。また、高級肌着「アングル」も海外向けが好調であり、さらなる販路拡大に取り組む。EC販売を積極的に拡大することで実店舗での売上減少をカバーしていく。繊維素材については、事業の一部を休止し、経営資源を研磨材事業へ選択集中する計画である。
(4) その他(化成品)事業
売上高3,500百万円(前期比10.7%増)、営業利益50百万円(前期は57百万円の損失)を予想している。化成品部門では、医療機器用途向けのさらなる需要拡大に対応し、新工場立ち上げや統合で新たな生産体制の整備を進める。また、金型部門は当面厳しい状況が続くが、2026年3月期には自動車用金型の業績改善を見込み、事務機器用金型も利益を確保できる体制を整える予定だ。また、事業環境が変化するなか研究開発の重要性が高まっており、中長期的な視野で次世代事業の開発を推進している。
3. 設備投資と研究開発費の見通し
(1) 設備投資
2026年3月期の設備投資額は8,230百万円(前期比2,085百万円増)の計画である。主な大型投資テーマは、研磨材事業における「台湾の研究開発施設の建設」、化学工業品事業における「機能性材料の新プラント建設」、化成品事業における「新工場建設」とそれに付随する研究開発、能力増強並びに省力化投資などだ。
(2) 研磨材事業の研究開発投資
2026年3月期の研磨材事業の研究投資額は、1,620百万円とほぼ前期並み(前期は1,666百万円)を予定しており、特に、台湾研究開発センターへの研究開発投資は継続実施する。半導体の微細化は、2030年頃にオングストローム時代(2nm世代から0.3nm世代へ)を迎えようとしている。顧客からの要求水準がますます厳しくなるが、同社の研磨材ソフトパッドは確実にキャッチアップできている。今後も、微細化対応への研究開発投資を継続実施できれば、研磨材事業の“未来は明るい”と同社では見ている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水啓司)
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