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ヒガシHD Research Memo(7):「中期経営計画2028」を策定、プライム市場昇格を目指す
配信日時:2025/06/16 11:07
配信元:FISCO
*11:07JST ヒガシHD Research Memo(7):「中期経営計画2028」を策定、プライム市場昇格を目指す
■成長戦略
1. 「中期経営計画2028」
ヒガシホールディングス<9029>は2020年7月に策定した長期経営ビジョン「ヒガシグループ VISION2030」で、目指す姿として「お客様に最高のサービスをお届けするために変革し続ける企業」を掲げている。そして前中期経営計画「中期経営計画2026」(2024年3月期〜2026年3月期)については、積極的な大型3PLセンター開設やM&Aなどによって事業成長を加速し、主たる経営目標値を1期前倒しで超過達成した。
2025年5月に策定した「中期経営計画2028」(2026年3月期~2028年3月期)は「プライム市場昇格へ向けたファンダメンタルズを完成させる3年」と位置付け、プライム市場昇格という新たなステージを目指す姿勢を明確に示した。持株会社体制に移行してグループガバナンスを強化するほか、M&Aも活用した事業成長の加速、資本効率向上などにより企業価値の向上を図る。主たる経営目標値には2028年3月期売上高550億円、経常利益35億円、1株当たり配当金57.0円、ROE8.0%以上、配当性向30.0%以上、従業員数1,800名を掲げた。
主要施策としては、プライム市場への昇格に向けて、全事業領域の成長によるグループ売上高のさらなる伸長、成長投資(EC領域における新規倉庫開設・庫内作業標準化・配車業務効率化、新規M&Aなど)の追求、強固なグループ経営基盤(プライム市場への昇格を見据えたグループガバナンス高度化、経営資源の最適な再配分機能強化など)の構築、サステナビリティ経営(TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に基づく情報開示、CO2排出量削減目標達成に向けた取り組み、人的資本価値向上に向けた人材育成と採用戦略、輸送安全に関する目標設定と安全に向けた取り組み、ひまわりプロジェクトを軸とした社会貢献活動など)の推進に取り組む。
2028年3月期の売上高計画550億円の業務領域別内訳は、オフィスサービス事業が72億円、3PL事業が170億円、ITサービス事業が38億円、ビルデリバリー事業が24億円、介護サービス事業が12億円、一般物流事業(3PL事業領域を除く輸配送等関連業務)が234億円としている。
事業領域別戦略として、オフィスサービス事業は首都圏マーケットでの移転事業規模拡大を推進するほか、オフィスレイアウト提案・什器販売・内装工事・配線工事など周辺領域までワンストップで受注できる体制の強化などを図る。3PL事業はアマゾンジャパン向け既存LCの安定稼働や業務効率化による収益性向上、関西電力グループ向け3PLの取扱品目増加による事業拡大、新規開設した小牧LCを生かした名古屋地区での3PL事業拡大、物流コンサルティングを生かした新規取引先開拓などを推進する。ITサービス事業はSE派遣のイシカワコーポレーション、IT機器キッティングのヒガシトゥエンティワン、コールセンターの旅人のそれぞれの強みを生かすとともに、グループシナジーを高めてITサービスを拡大する。ビルデリバリー事業は都心大規模再開発の機会を捉えたビルデリバリー拠点拡大、メール室領域の多面化と高度化による同社独自サービスの構築などを推進する。介護サービス事業は対応力や品質向上による差別化戦略による事業拡大を行う。一般物流事業はアマゾンジャパン向け拠点間輸送業務拡大、首都圏輸送業務拡大などに取り組むほか、中長期的な視点で関西大手スーパー向け冷蔵・冷凍配送業務へ本格参入する。
2028年3月期の経常利益計画35億円については、付加価値の高い物流サービスの提供などにより、陸運業の経常利益率の中央値4.5%(2024年3月期、同社調べ)を超える経常利益率6%以上の確保を目指す。ROE計画8.0%以上については、事業拡大に伴う投資費用の影響でROE低下圧力があるものの、陸運業のROE中央値7.0%(同)以上の確保を目指す。従業員数計画1,800名(2025年3月期末実績1,603名)については、移転事業拡大に伴う現場管理者の増員、3PL事業拡大に伴う倉庫管理者の増員、物流現場力の基礎となるドライバーや倉庫作業員の確保・増員を図る。
連結配当性向30%以上を目安に利益還元
2. 株主還元策
株主還元については、長期的発展の礎となる財務体質の強化と安定配当の維持を基本としつつ、成長により獲得した利益を、連結配当性向30%以上を目安に還元する方針である。この方針に基づき、2025年3月期の配当は前期比6.0円増配の42.0円(期末一括)とした。配当性向は30.7%である。2026年3月期の配当予想は前期比4.0円増配の46.0円(期末一括)を見込んでいる。5期連続増配で予想配当性向は30.1%である。「中期経営計画2028」では2028年3月期の配当目標に57.0円を掲げており、中長期的な利益成長に伴ってさらなる株主還元の充実も期待されると弊社では考えている。
サステナビリティ経営も積極推進
3. サステナビリティ経営
サステナビリティ経営については2021年12月にサステナビリティ基本方針を制定し、各種施策を推進しているが、「中期経営計画2028」でも積極的に取り組む方針だ。
気候変動に関する指標と目標については、TCFD提言に基づく開示を行い、2023年度を基準年度として2030年度までの7年間でCO2排出量を20%削減する目標値を設定した。具体的な取り組みとしてエコドライブ、低公害車の導入拡大、再生可能エネルギー由来電力への切り替え、非化石証書の購入、事務所・倉庫のLED照明化などを推進する。
人的資本価値向上への取り組みでは、長期経営ビジョンで掲げた目指す姿「お客様に最高のサービスをお届けするために変革し続ける企業」の実現に向けて行動できる人材の育成を目指す。具体的な取り組みとして、人材確保では年度25名(新卒・第二新卒合計)採用計画の継続、人材育成では各種研修(階層別研修、女性活躍推進研修など)の強化、労働環境整備では国交省の「働きやすい職場認証制度(正式名称:運転者職場環境良好度認証制度)」の二つ星認証獲得、女性管理職登用、エンゲージメント調査などに取り組む。
安全に関する取り組みでは、輸送の安全確保を最重要課題と位置付け、グループ全体の所有車両台数に対する事故件数割合2%以内の実現、重大事故・飲酒運転及び過積載違反ゼロ件の維持などに取り組む。
コーポレート・ガバナンスについては、2019年6月の指名委員会等設置会社への移行、2025年4月の持株会社への移行などを通じて、プライム市場昇格に向けグループガバナンスのさらなる高度化を推進している。
成長が加速する可能性に注目
4. 弊社の視点
同社は付加価値の高い物流サービスや成長領域の物流サービスへ積極展開するユニークな総合物流企業であり、「中期経営計画2026」の最終年度目標を1期前倒しで大幅に超過達成するなど、長期ビジョンに基づく業容拡大戦略の成果が顕著に表れている。さらに新「中期経営計画2028」ではM&Aも活用した事業規模の拡大、陸運業界平均を上回る高収益性の達成、企業価値の向上を通じてプライム市場への昇格を目指す方針を明確に打ち出しており、長期的に成長が加速する可能性に注目したい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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1. 「中期経営計画2028」
ヒガシホールディングス<9029>は2020年7月に策定した長期経営ビジョン「ヒガシグループ VISION2030」で、目指す姿として「お客様に最高のサービスをお届けするために変革し続ける企業」を掲げている。そして前中期経営計画「中期経営計画2026」(2024年3月期〜2026年3月期)については、積極的な大型3PLセンター開設やM&Aなどによって事業成長を加速し、主たる経営目標値を1期前倒しで超過達成した。
2025年5月に策定した「中期経営計画2028」(2026年3月期~2028年3月期)は「プライム市場昇格へ向けたファンダメンタルズを完成させる3年」と位置付け、プライム市場昇格という新たなステージを目指す姿勢を明確に示した。持株会社体制に移行してグループガバナンスを強化するほか、M&Aも活用した事業成長の加速、資本効率向上などにより企業価値の向上を図る。主たる経営目標値には2028年3月期売上高550億円、経常利益35億円、1株当たり配当金57.0円、ROE8.0%以上、配当性向30.0%以上、従業員数1,800名を掲げた。
主要施策としては、プライム市場への昇格に向けて、全事業領域の成長によるグループ売上高のさらなる伸長、成長投資(EC領域における新規倉庫開設・庫内作業標準化・配車業務効率化、新規M&Aなど)の追求、強固なグループ経営基盤(プライム市場への昇格を見据えたグループガバナンス高度化、経営資源の最適な再配分機能強化など)の構築、サステナビリティ経営(TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に基づく情報開示、CO2排出量削減目標達成に向けた取り組み、人的資本価値向上に向けた人材育成と採用戦略、輸送安全に関する目標設定と安全に向けた取り組み、ひまわりプロジェクトを軸とした社会貢献活動など)の推進に取り組む。
2028年3月期の売上高計画550億円の業務領域別内訳は、オフィスサービス事業が72億円、3PL事業が170億円、ITサービス事業が38億円、ビルデリバリー事業が24億円、介護サービス事業が12億円、一般物流事業(3PL事業領域を除く輸配送等関連業務)が234億円としている。
事業領域別戦略として、オフィスサービス事業は首都圏マーケットでの移転事業規模拡大を推進するほか、オフィスレイアウト提案・什器販売・内装工事・配線工事など周辺領域までワンストップで受注できる体制の強化などを図る。3PL事業はアマゾンジャパン向け既存LCの安定稼働や業務効率化による収益性向上、関西電力グループ向け3PLの取扱品目増加による事業拡大、新規開設した小牧LCを生かした名古屋地区での3PL事業拡大、物流コンサルティングを生かした新規取引先開拓などを推進する。ITサービス事業はSE派遣のイシカワコーポレーション、IT機器キッティングのヒガシトゥエンティワン、コールセンターの旅人のそれぞれの強みを生かすとともに、グループシナジーを高めてITサービスを拡大する。ビルデリバリー事業は都心大規模再開発の機会を捉えたビルデリバリー拠点拡大、メール室領域の多面化と高度化による同社独自サービスの構築などを推進する。介護サービス事業は対応力や品質向上による差別化戦略による事業拡大を行う。一般物流事業はアマゾンジャパン向け拠点間輸送業務拡大、首都圏輸送業務拡大などに取り組むほか、中長期的な視点で関西大手スーパー向け冷蔵・冷凍配送業務へ本格参入する。
2028年3月期の経常利益計画35億円については、付加価値の高い物流サービスの提供などにより、陸運業の経常利益率の中央値4.5%(2024年3月期、同社調べ)を超える経常利益率6%以上の確保を目指す。ROE計画8.0%以上については、事業拡大に伴う投資費用の影響でROE低下圧力があるものの、陸運業のROE中央値7.0%(同)以上の確保を目指す。従業員数計画1,800名(2025年3月期末実績1,603名)については、移転事業拡大に伴う現場管理者の増員、3PL事業拡大に伴う倉庫管理者の増員、物流現場力の基礎となるドライバーや倉庫作業員の確保・増員を図る。
連結配当性向30%以上を目安に利益還元
2. 株主還元策
株主還元については、長期的発展の礎となる財務体質の強化と安定配当の維持を基本としつつ、成長により獲得した利益を、連結配当性向30%以上を目安に還元する方針である。この方針に基づき、2025年3月期の配当は前期比6.0円増配の42.0円(期末一括)とした。配当性向は30.7%である。2026年3月期の配当予想は前期比4.0円増配の46.0円(期末一括)を見込んでいる。5期連続増配で予想配当性向は30.1%である。「中期経営計画2028」では2028年3月期の配当目標に57.0円を掲げており、中長期的な利益成長に伴ってさらなる株主還元の充実も期待されると弊社では考えている。
サステナビリティ経営も積極推進
3. サステナビリティ経営
サステナビリティ経営については2021年12月にサステナビリティ基本方針を制定し、各種施策を推進しているが、「中期経営計画2028」でも積極的に取り組む方針だ。
気候変動に関する指標と目標については、TCFD提言に基づく開示を行い、2023年度を基準年度として2030年度までの7年間でCO2排出量を20%削減する目標値を設定した。具体的な取り組みとしてエコドライブ、低公害車の導入拡大、再生可能エネルギー由来電力への切り替え、非化石証書の購入、事務所・倉庫のLED照明化などを推進する。
人的資本価値向上への取り組みでは、長期経営ビジョンで掲げた目指す姿「お客様に最高のサービスをお届けするために変革し続ける企業」の実現に向けて行動できる人材の育成を目指す。具体的な取り組みとして、人材確保では年度25名(新卒・第二新卒合計)採用計画の継続、人材育成では各種研修(階層別研修、女性活躍推進研修など)の強化、労働環境整備では国交省の「働きやすい職場認証制度(正式名称:運転者職場環境良好度認証制度)」の二つ星認証獲得、女性管理職登用、エンゲージメント調査などに取り組む。
安全に関する取り組みでは、輸送の安全確保を最重要課題と位置付け、グループ全体の所有車両台数に対する事故件数割合2%以内の実現、重大事故・飲酒運転及び過積載違反ゼロ件の維持などに取り組む。
コーポレート・ガバナンスについては、2019年6月の指名委員会等設置会社への移行、2025年4月の持株会社への移行などを通じて、プライム市場昇格に向けグループガバナンスのさらなる高度化を推進している。
成長が加速する可能性に注目
4. 弊社の視点
同社は付加価値の高い物流サービスや成長領域の物流サービスへ積極展開するユニークな総合物流企業であり、「中期経営計画2026」の最終年度目標を1期前倒しで大幅に超過達成するなど、長期ビジョンに基づく業容拡大戦略の成果が顕著に表れている。さらに新「中期経営計画2028」ではM&Aも活用した事業規模の拡大、陸運業界平均を上回る高収益性の達成、企業価値の向上を通じてプライム市場への昇格を目指す方針を明確に打ち出しており、長期的に成長が加速する可能性に注目したい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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