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大豊建 Research Memo(6):中期経営計画のアジャスト版を公表、外部環境の変化を踏まえて事業基盤強化を図る
配信日時:2025/06/09 17:36
配信元:FISCO
*17:36JST 大豊建 Research Memo(6):中期経営計画のアジャスト版を公表、外部環境の変化を踏まえて事業基盤強化を図る
■中長期の成長戦略
大豊建設<1822>が2023年5月19日に公表した2024年3月期から2028年3月期までの中期経営計画では、人的資本経営の強化及び事業構造の変革を基本方針として掲げ、企業価値と生産性の向上を目指してきた。人的資本経営では、働き方改革への対応を進めており、現場の人員配置を見直すことにより、4週8休の勤務体制を段階的に導入するとともに、2024年4月から始まった罰則付きの時間外労働の上限規制に対応した施工体制を整備している。また、新たな人事制度の策定・運用、エンゲージメントサーベイの定期的な実施による従業員のモチベーションの可視化などを通して、組織全体の現状を把握し、生産性向上を図っている。事業構造の変革については、同社が強みを有する技術分野のさらなる拡大、グループ内のシナジーの活用、収益性を重視した選別受注の継続、新たな事業領域への挑戦などを進め、経営の質的向上に取り組んでいる。
しかし、計画を開始してから2年の間に建設資材及び人件費の急騰、品質確保にかかる追加費用の発生などにより、採算が大きく悪化し、業績目標への未達となった。こうした状況を受け、基本方針自体は維持しつつも、外部環境の変化に対応できるように内容の見直しが行われ、2025年5月9日に中期経営計画のアジャスト版を新たに公表した。
中期経営計画の定量目標は、2028年3月期に売上高1,600億円、営業利益67億円、営業利益率4.2%、当期純利益46億円、ROE7%程度を掲げており、これらの実現に向けた重点施策が示されている。直近3年間の重点課題は内部統制の強化である。具体的には、物価変動を契約に反映できるように物価スライド条項を標準化すること、受注の選定やリスク管理を含めたマネジメント体制の強化、モニタリング機能を充実させた施工管理体制の再構築などが挙げられる。
事業セグメント別に見ると、土木事業では利益率の低い繰越工事が残っていることが課題となっており、進捗管理の徹底や設計変更交渉の強化を通じて、利益率の改善に取り組んでいく。また、同社が得意とする「シールド工法」や「ニューマチックケーソン工法」を生かした工事や、JVスポンサーや単独案件などの受注に注力し、収益力の回復を図る。建築事業では、資材価格の高騰による影響を受けた工事が2025年3月期までに完了しているため、選別受注の継続とともに、施工ミスを未然に防止するための施工管理体制のさらなる強化を通じて、安定的な利益の確保を目指す。
なお、2028年3月期以降については、得意分野において高収益体制を確立させるとともに、施工管理人員の増員による受注キャパシティの拡大、強みを持つ分野の深掘り、新たな競争力の源となる技術の獲得などを目的とするM&Aによる事業規模の拡大、などを通して長期的な事業基盤の強化に取り組む方針である。同社の中期経営計画は、厳しい事業環境の変化を踏まえたうえで柔軟かつ戦略的に方針を策定しており、収益基盤の強化と中長期的な成長により企業価値向上を目指す構えが窺える。
(執筆:フィスコアナリスト 吉林拓馬)
<HN>
大豊建設<1822>が2023年5月19日に公表した2024年3月期から2028年3月期までの中期経営計画では、人的資本経営の強化及び事業構造の変革を基本方針として掲げ、企業価値と生産性の向上を目指してきた。人的資本経営では、働き方改革への対応を進めており、現場の人員配置を見直すことにより、4週8休の勤務体制を段階的に導入するとともに、2024年4月から始まった罰則付きの時間外労働の上限規制に対応した施工体制を整備している。また、新たな人事制度の策定・運用、エンゲージメントサーベイの定期的な実施による従業員のモチベーションの可視化などを通して、組織全体の現状を把握し、生産性向上を図っている。事業構造の変革については、同社が強みを有する技術分野のさらなる拡大、グループ内のシナジーの活用、収益性を重視した選別受注の継続、新たな事業領域への挑戦などを進め、経営の質的向上に取り組んでいる。
しかし、計画を開始してから2年の間に建設資材及び人件費の急騰、品質確保にかかる追加費用の発生などにより、採算が大きく悪化し、業績目標への未達となった。こうした状況を受け、基本方針自体は維持しつつも、外部環境の変化に対応できるように内容の見直しが行われ、2025年5月9日に中期経営計画のアジャスト版を新たに公表した。
中期経営計画の定量目標は、2028年3月期に売上高1,600億円、営業利益67億円、営業利益率4.2%、当期純利益46億円、ROE7%程度を掲げており、これらの実現に向けた重点施策が示されている。直近3年間の重点課題は内部統制の強化である。具体的には、物価変動を契約に反映できるように物価スライド条項を標準化すること、受注の選定やリスク管理を含めたマネジメント体制の強化、モニタリング機能を充実させた施工管理体制の再構築などが挙げられる。
事業セグメント別に見ると、土木事業では利益率の低い繰越工事が残っていることが課題となっており、進捗管理の徹底や設計変更交渉の強化を通じて、利益率の改善に取り組んでいく。また、同社が得意とする「シールド工法」や「ニューマチックケーソン工法」を生かした工事や、JVスポンサーや単独案件などの受注に注力し、収益力の回復を図る。建築事業では、資材価格の高騰による影響を受けた工事が2025年3月期までに完了しているため、選別受注の継続とともに、施工ミスを未然に防止するための施工管理体制のさらなる強化を通じて、安定的な利益の確保を目指す。
なお、2028年3月期以降については、得意分野において高収益体制を確立させるとともに、施工管理人員の増員による受注キャパシティの拡大、強みを持つ分野の深掘り、新たな競争力の源となる技術の獲得などを目的とするM&Aによる事業規模の拡大、などを通して長期的な事業基盤の強化に取り組む方針である。同社の中期経営計画は、厳しい事業環境の変化を踏まえたうえで柔軟かつ戦略的に方針を策定しており、収益基盤の強化と中長期的な成長により企業価値向上を目指す構えが窺える。
(執筆:フィスコアナリスト 吉林拓馬)
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