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いちご Research Memo(5):外部環境の激変時にも対応できる収益・財務基盤を確立
配信日時:2025/05/26 10:35
配信元:FISCO
*10:35JST いちご Research Memo(5):外部環境の激変時にも対応できる収益・財務基盤を確立
■いちご<2337>の中長期の成長戦略
1. 外部環境の激変時にも対応できる収益・財務基盤を確立
不動産業界を取り巻く外部環境は、コロナ感染拡大による一時的な停滞はあったものの、リーマンショック以降、良好な状況が続いている。一方で、同社ではリーマンショック時(2009年2月期)に大きな影響を受け、保有資産を売却せざるを得なかった状況に鑑み、外部環境変化に対応できる収益基盤と財務基盤の確立を目指してきた。2030年2月期に向けた長期VISION「いちご2030」では、安定収益を目的として、ストック収益比率(60%)及びストック収益固定費カバー率(200%)を重要経営指標としてきた。2025年2月期には、ストック収益比率が59.5%と目標に肉薄し、ストック収益固定費カバー率では209.7%と、前倒しで目標に到達している。また、保有資産の中身を入れ替えながらも含み益を拡大させてきた同社は、2,800億円に迫る保有不動産に731億円の含み益が存在し、実際の売却時には、その1.5~2.8倍の売却益を継続的に実現している。財務に関しても、加重平均借入期間で2.8年(リーマンショック時)から9.3年(2025年2月期)、3年以内返済予定借入割合で93%(リーマンショック時)から24%(2025年2月期)、加重平均借入金利で2.22%(リーマンショック時)から1.42%(2025年2月期、コーポレート有利子負債)といずれの指標においても大幅に良化している。仮に、大きな景気後退が発生したとしても、資金調達の返済期日を長くすることで返済のための売却をすることなく、逆にチャンスと捉えて積極的に買いにいける体制が整っていると言えるだろう。
2. CDP 2024気候変動・水セキュリティプログラムで「Aリスト企業」獲得
同社は、「サステナブルインフラ企業」として、事業活動を通じて社会的責任を果たすことを最大の目標としている。2025年2月には、環境情報開示に取り組む国際的な非営利団体CDPによる「気候変動プログラム2024」及び「水セキュリティプログラム2024」の2分野において、最高評価「Aリスト企業」へ選定された。CDPは、世界700社以上の機関投資家・金融機関を代表する国際的な非営利団体が管理するNGOである。評価は、ガバナンス、リスクマネジメント、事業戦略、目標と実績、エンゲージメント等、多岐の項目にわたる質問により行われ、リーダーシップレベル(A、A-)、マネジメントレベル(B、B-)、認識レベル(C、C-)、情報開示レベル(D、D-)の8段階で付与される。参加企業は全世界約25,000社(世界の時価総額の2/3)。同社は、情報開示とパフォーマンスの透明性において、特に高い評価を獲得し、「気候変動」で2年連続、「水セキュリティ」で初めて最高評価Aリスト企業に選ばれた。「気候変動」および「水セキュリティ」において、同時にAリストに選ばれた企業(ダブルAリスト企業)は全体の約0.3%であり、世界的に極めて稀有である。
■株主還元策
2025年2月期は年10.50円配当。株主還元策として自社株買いを継続中
同社は株主還元策として配当を実施している。配当の基本方針としては、日本で導入例が少なかった「累進的配当政策」を以前から導入している。原則として「減配なし、配当維持もしくは増配のみ」を明確な方針とし、企業の持続的な価値向上と長期的な株主還元にコミットするものだ。過去13期連続で累進的配当政策を維持しており、安定性に定評がある。また、2025年2月期には、経営目標である株主資本配当率(DOE)を3%以上から4%以上に引き上げた。2025年2月期の配当金は、年間10.50円(前期比1.50円増配)、配当性向30.1%、DOE4.2%と3期連続での増配となった。2026年2月期の配当金は、年間11.50円(前期比1.00円増配)、配当性向30.2%を予想する。
同社は、長期VISION「いちご2030」において「機動的な自社株買い」を掲げ、株主価値の向上策への積極的姿勢を打ち出している。この方針に沿って、2018年2月期から2025年2月期まで8期連続で実施しており、毎年平均約35億円の自社株買いを実施してきた。2025年2月期には、前期決定分の残額(12億円)を含めると55億円の自社株買いを実施した。進行期は新に50億円の自社株取得(2025年3月3日〜2025年8月29日、発行済み株式総数の4.0%が上限)を発表し、現在取得中である。強い財務基盤を持つ同社だけに、株式の市場価格によっては、今後も自社株購入による株主価値の向上が期待できる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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1. 外部環境の激変時にも対応できる収益・財務基盤を確立
不動産業界を取り巻く外部環境は、コロナ感染拡大による一時的な停滞はあったものの、リーマンショック以降、良好な状況が続いている。一方で、同社ではリーマンショック時(2009年2月期)に大きな影響を受け、保有資産を売却せざるを得なかった状況に鑑み、外部環境変化に対応できる収益基盤と財務基盤の確立を目指してきた。2030年2月期に向けた長期VISION「いちご2030」では、安定収益を目的として、ストック収益比率(60%)及びストック収益固定費カバー率(200%)を重要経営指標としてきた。2025年2月期には、ストック収益比率が59.5%と目標に肉薄し、ストック収益固定費カバー率では209.7%と、前倒しで目標に到達している。また、保有資産の中身を入れ替えながらも含み益を拡大させてきた同社は、2,800億円に迫る保有不動産に731億円の含み益が存在し、実際の売却時には、その1.5~2.8倍の売却益を継続的に実現している。財務に関しても、加重平均借入期間で2.8年(リーマンショック時)から9.3年(2025年2月期)、3年以内返済予定借入割合で93%(リーマンショック時)から24%(2025年2月期)、加重平均借入金利で2.22%(リーマンショック時)から1.42%(2025年2月期、コーポレート有利子負債)といずれの指標においても大幅に良化している。仮に、大きな景気後退が発生したとしても、資金調達の返済期日を長くすることで返済のための売却をすることなく、逆にチャンスと捉えて積極的に買いにいける体制が整っていると言えるだろう。
2. CDP 2024気候変動・水セキュリティプログラムで「Aリスト企業」獲得
同社は、「サステナブルインフラ企業」として、事業活動を通じて社会的責任を果たすことを最大の目標としている。2025年2月には、環境情報開示に取り組む国際的な非営利団体CDPによる「気候変動プログラム2024」及び「水セキュリティプログラム2024」の2分野において、最高評価「Aリスト企業」へ選定された。CDPは、世界700社以上の機関投資家・金融機関を代表する国際的な非営利団体が管理するNGOである。評価は、ガバナンス、リスクマネジメント、事業戦略、目標と実績、エンゲージメント等、多岐の項目にわたる質問により行われ、リーダーシップレベル(A、A-)、マネジメントレベル(B、B-)、認識レベル(C、C-)、情報開示レベル(D、D-)の8段階で付与される。参加企業は全世界約25,000社(世界の時価総額の2/3)。同社は、情報開示とパフォーマンスの透明性において、特に高い評価を獲得し、「気候変動」で2年連続、「水セキュリティ」で初めて最高評価Aリスト企業に選ばれた。「気候変動」および「水セキュリティ」において、同時にAリストに選ばれた企業(ダブルAリスト企業)は全体の約0.3%であり、世界的に極めて稀有である。
■株主還元策
2025年2月期は年10.50円配当。株主還元策として自社株買いを継続中
同社は株主還元策として配当を実施している。配当の基本方針としては、日本で導入例が少なかった「累進的配当政策」を以前から導入している。原則として「減配なし、配当維持もしくは増配のみ」を明確な方針とし、企業の持続的な価値向上と長期的な株主還元にコミットするものだ。過去13期連続で累進的配当政策を維持しており、安定性に定評がある。また、2025年2月期には、経営目標である株主資本配当率(DOE)を3%以上から4%以上に引き上げた。2025年2月期の配当金は、年間10.50円(前期比1.50円増配)、配当性向30.1%、DOE4.2%と3期連続での増配となった。2026年2月期の配当金は、年間11.50円(前期比1.00円増配)、配当性向30.2%を予想する。
同社は、長期VISION「いちご2030」において「機動的な自社株買い」を掲げ、株主価値の向上策への積極的姿勢を打ち出している。この方針に沿って、2018年2月期から2025年2月期まで8期連続で実施しており、毎年平均約35億円の自社株買いを実施してきた。2025年2月期には、前期決定分の残額(12億円)を含めると55億円の自社株買いを実施した。進行期は新に50億円の自社株取得(2025年3月3日〜2025年8月29日、発行済み株式総数の4.0%が上限)を発表し、現在取得中である。強い財務基盤を持つ同社だけに、株式の市場価格によっては、今後も自社株購入による株主価値の向上が期待できる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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