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いちご Research Memo(2):心築事業・ホテル事業を軸に3上場投資法人を運用・管理
配信日時:2025/05/26 10:32
配信元:FISCO
*10:32JST いちご Research Memo(2):心築事業・ホテル事業を軸に3上場投資法人を運用・管理
■会社概要
1. 会社概要
いちご<2337>は、オフィス、商業施設、ホテル、レジデンスなど幅広いタイプの不動産を対象に、不動産価値向上ノウハウを活用し、投資・運用を行う心築を強みとしている。また同社は、オフィス特化型、ホテル特化型、再生可能エネルギー発電施設の3つの投資法人(いちごオフィス、いちごホテル、いちごグリーンインフラ投資法人<9282>(以下、いちごグリーン)を運用・管理するユニークな企業グループである。ストック型とフロー型の収益モデルを有し、特にストック収益の成長に注力するとともに、キャッシュ・フローを最大化する経営を徹底してきた。2002年11月に大阪証券取引所ナスダック・ジャパン市場(現 東京証券取引所(以下、東証)グロース市場)に上場。2015年11月に東証1部に昇格し、2022年4月に東証プライム市場へ移行した。同社はすべての事業において社会貢献を目指し、心築事業における環境負荷低減やクリーンエネルギーの創出など本業を通じた貢献に加え、Jリーグのトップパートナーとして地域活性に参画するほか、「RE100」や「国連グローバル・コンパクト」に加盟するなど多面的な活動を通じて、サステナブルな社会の実現に力を注いでいる。
2. 事業内容
同社の収益構造はストック収益とフロー収益があり、バランス良く成長するなか、特にストック収益の強化を図ってきた。ストック収益は、2025年2月期通期実績で22,975百万円となり、過去最高を記録した。ストック収益の内訳としては、保有資産の賃料収入、発電所の売電収入など保有アセットからの収入に加え、ノンアセット収益であるアセットマネジメント(AM)のベース運用フィーやホテルオペレーター収益及びPROPERA利用料などがあり、収益源を多様化しながら順調に積み上がっている。フロー収益は主に心築事業などにおける不動産譲渡益であり、同15,671百万円の実績である。収益全体に占めるストック収益の比率を60%以上にすることを目標としており、2025年2月期に59.5%まで進捗した。ストック収益は、同社の固定費(固定販管費+支払利息)の2倍以上(209.7%)に相当し、十分カバーして余りあることから、不況期で仮に不動産価値が下がった場合でも安定した収益で固定費を賄えるため、無理な不動産売却を行う必要がない。
同社の事業セグメントは、1) アセットマネジメント事業、2) 心築事業(新定義)、3) いちごオーナーズ事業(新)、4) ホテル事業(新)、5) クリーンエネルギー事業の5つである。心築事業(旧)が大きくなっていたこと、いちごオーナーズ事業とホテル事業の成長が継続していることから、業績可視化を主目的に、いちごオーナーズ事業とホテル事業を分離独立させた形である。
アセットマネジメント事業は、自社グループで運用するいちごオフィス、いちごホテル、いちごグリーン及び不動産私募ファンドに対し、案件の発掘や供給、運営・管理に加え、心築により物件価値を向上させ、投資主価値の最大化を図る。また、2023年2月期よりセキュリティ・トークンを活用した不動産投資商品である「いちご・レジデンス・トークン」の運用も担う。アセットマネジメント事業の拡大は、安定性と継続性の基盤であり、バランスシートに依存せずにキャッシュ創出を図る同社の戦略の柱である。2025年2月期通期の売上総利益(ALL-INベース)は全社構成比で11.6%であり、利益に貢献している。
心築事業は不動産保有期間の賃料収入を享受しつつ遵法性の確保や耐震補強といったベーシックな価値向上に加え、テナントニーズに基づき、共用部機能の充実、近隣とのコミュニティ形成や災害時のBCP対策を目的としたイベントの開催など、稼働率改善及びテナント満足度の向上を通じた賃料の向上を図り、不動産価値を高めて売却することで高い売却益を得る。保有物件はオフィス及び商業施設が多く、ロジスティクスや底地等を含めて56件となり、潤沢なストック収益を生み出している。平均保有年数3〜5年でじっくりと価値向上を行ったうえで、相対的に高い粗利率(実績平均32%)を獲得する。2025年2月期通期の売上総利益(ALL-INベース)は全社構成比で35.3%であり、同社の収益の柱である。
いちごオーナーズ事業は、多様な買主ニーズと入居者ニーズを集積し、同社の強みであるマーケティング・ブランディングを活用し、いちごのレジデンスブランド「PASEO」シリーズを展開する。建設を外部デベロッパーへ委託するファブレス経営により建設リスク・コストを軽減しつつ、商品企画や品質管理を徹底する。出口としては、機関投資家や富裕層などに加え、セキュリティ・トークン市場での売却も拡大する。保有物件は、37棟、58,701百万円(簿価ベース)である。粗利率は11%と心築に比べると低く設定しているが、平均保有年数は約1年で回転率の高いビジネスモデルである。2025年2月期通期の売上総利益(ALL-INベース)は全社構成比で13.7%である。
ホテル事業は、心築技術とノウハウを礎に、大規模リニューアルなどを施したうえでの自社ブランドホテルの展開、ホテルオペレーション、DXの提供(自社開発のAIレベニューマネジメントシステム「PROPERA」の提供等)まで、多面から現存ホテルに新しい価値を創造する事業である。保有物件は、12棟、68,768百万円(簿価ベース)である。保有ホテルのRevPAR(平均客室単価×平均客室稼働率で求められる、ホテルの収益力を示す指標)では、前期比21.3%増の14,218円となり、ストック収益の拡大に大きく貢献した。2025年2月期通期の売上総利益(ALL-INベース)は全社構成比で31.3%であり、第2の収益の柱である。
クリーンエネルギー事業は、2012年に開始され、現在では全国64ヶ所の太陽光及び風力発電所プロジェクトをグループで運営するまでに成長した。内訳としては、同社が保有する太陽光発電所が48ヶ所、151.4MW。同社が保有する風力発電所が1ヶ所、7.3MW。いちごグリーンが保有し、同社が運営する太陽光発電所が15発電所、29.4MW。前期末に稼働を開始した同社2番目の規模のいちごえびの末永ECO発電所(13.9MW)は、2025年2月期は期初から業績に貢献したが、電力会社の出力制御や天候不順の影響を受けて減益となっている。今後の開発計画としては、グリーンバイオマス発電所(4ヶ所、3.2MW)、Non-FIT太陽光発電所(8発電所、17.4MW)があり、蓄電池事業への参入も検討されている。2025年2月期通期の売上総利益(ALL-INベース)は全社構成比で8.0%である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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1. 会社概要
いちご<2337>は、オフィス、商業施設、ホテル、レジデンスなど幅広いタイプの不動産を対象に、不動産価値向上ノウハウを活用し、投資・運用を行う心築を強みとしている。また同社は、オフィス特化型、ホテル特化型、再生可能エネルギー発電施設の3つの投資法人(いちごオフィス、いちごホテル、いちごグリーンインフラ投資法人<9282>(以下、いちごグリーン)を運用・管理するユニークな企業グループである。ストック型とフロー型の収益モデルを有し、特にストック収益の成長に注力するとともに、キャッシュ・フローを最大化する経営を徹底してきた。2002年11月に大阪証券取引所ナスダック・ジャパン市場(現 東京証券取引所(以下、東証)グロース市場)に上場。2015年11月に東証1部に昇格し、2022年4月に東証プライム市場へ移行した。同社はすべての事業において社会貢献を目指し、心築事業における環境負荷低減やクリーンエネルギーの創出など本業を通じた貢献に加え、Jリーグのトップパートナーとして地域活性に参画するほか、「RE100」や「国連グローバル・コンパクト」に加盟するなど多面的な活動を通じて、サステナブルな社会の実現に力を注いでいる。
2. 事業内容
同社の収益構造はストック収益とフロー収益があり、バランス良く成長するなか、特にストック収益の強化を図ってきた。ストック収益は、2025年2月期通期実績で22,975百万円となり、過去最高を記録した。ストック収益の内訳としては、保有資産の賃料収入、発電所の売電収入など保有アセットからの収入に加え、ノンアセット収益であるアセットマネジメント(AM)のベース運用フィーやホテルオペレーター収益及びPROPERA利用料などがあり、収益源を多様化しながら順調に積み上がっている。フロー収益は主に心築事業などにおける不動産譲渡益であり、同15,671百万円の実績である。収益全体に占めるストック収益の比率を60%以上にすることを目標としており、2025年2月期に59.5%まで進捗した。ストック収益は、同社の固定費(固定販管費+支払利息)の2倍以上(209.7%)に相当し、十分カバーして余りあることから、不況期で仮に不動産価値が下がった場合でも安定した収益で固定費を賄えるため、無理な不動産売却を行う必要がない。
同社の事業セグメントは、1) アセットマネジメント事業、2) 心築事業(新定義)、3) いちごオーナーズ事業(新)、4) ホテル事業(新)、5) クリーンエネルギー事業の5つである。心築事業(旧)が大きくなっていたこと、いちごオーナーズ事業とホテル事業の成長が継続していることから、業績可視化を主目的に、いちごオーナーズ事業とホテル事業を分離独立させた形である。
アセットマネジメント事業は、自社グループで運用するいちごオフィス、いちごホテル、いちごグリーン及び不動産私募ファンドに対し、案件の発掘や供給、運営・管理に加え、心築により物件価値を向上させ、投資主価値の最大化を図る。また、2023年2月期よりセキュリティ・トークンを活用した不動産投資商品である「いちご・レジデンス・トークン」の運用も担う。アセットマネジメント事業の拡大は、安定性と継続性の基盤であり、バランスシートに依存せずにキャッシュ創出を図る同社の戦略の柱である。2025年2月期通期の売上総利益(ALL-INベース)は全社構成比で11.6%であり、利益に貢献している。
心築事業は不動産保有期間の賃料収入を享受しつつ遵法性の確保や耐震補強といったベーシックな価値向上に加え、テナントニーズに基づき、共用部機能の充実、近隣とのコミュニティ形成や災害時のBCP対策を目的としたイベントの開催など、稼働率改善及びテナント満足度の向上を通じた賃料の向上を図り、不動産価値を高めて売却することで高い売却益を得る。保有物件はオフィス及び商業施設が多く、ロジスティクスや底地等を含めて56件となり、潤沢なストック収益を生み出している。平均保有年数3〜5年でじっくりと価値向上を行ったうえで、相対的に高い粗利率(実績平均32%)を獲得する。2025年2月期通期の売上総利益(ALL-INベース)は全社構成比で35.3%であり、同社の収益の柱である。
いちごオーナーズ事業は、多様な買主ニーズと入居者ニーズを集積し、同社の強みであるマーケティング・ブランディングを活用し、いちごのレジデンスブランド「PASEO」シリーズを展開する。建設を外部デベロッパーへ委託するファブレス経営により建設リスク・コストを軽減しつつ、商品企画や品質管理を徹底する。出口としては、機関投資家や富裕層などに加え、セキュリティ・トークン市場での売却も拡大する。保有物件は、37棟、58,701百万円(簿価ベース)である。粗利率は11%と心築に比べると低く設定しているが、平均保有年数は約1年で回転率の高いビジネスモデルである。2025年2月期通期の売上総利益(ALL-INベース)は全社構成比で13.7%である。
ホテル事業は、心築技術とノウハウを礎に、大規模リニューアルなどを施したうえでの自社ブランドホテルの展開、ホテルオペレーション、DXの提供(自社開発のAIレベニューマネジメントシステム「PROPERA」の提供等)まで、多面から現存ホテルに新しい価値を創造する事業である。保有物件は、12棟、68,768百万円(簿価ベース)である。保有ホテルのRevPAR(平均客室単価×平均客室稼働率で求められる、ホテルの収益力を示す指標)では、前期比21.3%増の14,218円となり、ストック収益の拡大に大きく貢献した。2025年2月期通期の売上総利益(ALL-INベース)は全社構成比で31.3%であり、第2の収益の柱である。
クリーンエネルギー事業は、2012年に開始され、現在では全国64ヶ所の太陽光及び風力発電所プロジェクトをグループで運営するまでに成長した。内訳としては、同社が保有する太陽光発電所が48ヶ所、151.4MW。同社が保有する風力発電所が1ヶ所、7.3MW。いちごグリーンが保有し、同社が運営する太陽光発電所が15発電所、29.4MW。前期末に稼働を開始した同社2番目の規模のいちごえびの末永ECO発電所(13.9MW)は、2025年2月期は期初から業績に貢献したが、電力会社の出力制御や天候不順の影響を受けて減益となっている。今後の開発計画としては、グリーンバイオマス発電所(4ヶ所、3.2MW)、Non-FIT太陽光発電所(8発電所、17.4MW)があり、蓄電池事業への参入も検討されている。2025年2月期通期の売上総利益(ALL-INベース)は全社構成比で8.0%である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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