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株式会社ヘリオス×著名投資家はっしゃん氏対談動画文字起こし(4)

配信日時:2025/05/22 12:04 配信元:FISCO
*12:04JST 株式会社ヘリオス×著名投資家はっしゃん氏対談動画文字起こし(4) ヘリオス<4593>

経営体制についてご説明しますと、私はファウンダーとして経営全般を統括しております。取締役会には、アステラス製薬の元幹部や、第一三共の米国法人の元会長、金融・製薬分野の経験者が参画しています。

執行体制は3名で構成されており、私が経営全般を、財務と管理、研究領域・人事・神戸研究所の運営を各々担当しています。

●はっしゃん
少し質問させてください。

鍵本さんご自身は、九州大学でお薬の開発を手がけられたご経歴をお持ちですが、企業も立ち上げて、現場経験と経営の両方をお持ちということでしょうか。上場まで実現されていて、まさに“二刀流”で歩んでこられたのだなと感じました。

■ヘリオス 鍵本様
おっしゃる通りです。最初の会社を立ち上げてから約20年経ちますが、医師というよりは企業経営者としての期間のほうが長くなっています。

私はいわゆる「シリアルアントレプレナー」です。これまでに複数の会社を起業しており、最初の企業では大変なことも多かったですが、最終的には製品を世に出すことができました。そして現在は2社目として、このヘリオスを経営しています。

●はっしゃん
本当に素晴らしいですね。

■ヘリオス 鍵本様
これは少し冗談めかして言うこともありますが、正直なところ、こうした仕事には“中毒性”があるんですよね。2社目、3社目とやっていくうちに、だんだん分かってくることが増えて、上手くなっていきます。

これまでに培ってきた能力や経験を活かして、ディープテック領域で世界に貢献する治療法を確立し、なによりもそれをしっかり患者さんに届けていきたいと考えています。

●はっしゃん
医療の知識と経営の知識、両方をお持ちの方でないとできない領域ですよね。そこが御社の大きな強みにもなっていると感じました。

■ヘリオス 鍵本様
ありがとうございます。ここは、もう1段階だけ深掘りさせていただきたいポイントです。実は私、この部分が非常に大事だと思っているんですね。

メガファーマの中でも、今なお成長し続けている企業を見てみると、やはりトップに立つ経営者が「技術的なバックグラウンド」を持っていることが多いんです。つまり、技術の本質を理解したうえで、経営の意思決定をしているということですね。技術的な知見があると、何がいいか。結局のところ、このバイオ業界、製薬業界というのは、投資家の皆様がやっておられることと、構造的には非常に似ているんです。

何が同じかというと、「どの銘柄に、いつ、いくらで投資するか」「そして、いつのタイミングで、いくらで売却するか」。これに尽きるわけです。ポートフォリオ運用そのものですよね。

バイオも製薬も同じで、最終的には「この技術が、本当に薬になるのかどうか」。これをきちんと見極めて、「いつ、いくらで、その技術を取り入れて」「何年かけて製品化し」「どのような形で出口(エグジット)を迎えるか」。つまり、「現金化までの筋道を描けるか」が問われる世界なんです。ですから、まずは「このパイプラインが“金の卵”なのか、それとも“単なる可能性止まりのもの”なのか」。ここを見誤ると、すべてが崩れてしまいます。ですので、まずこの“目利き”が最も重要です。そしてそのうえで、技術の価値を最大化するために、しっかりと経営判断を下せること。この両輪がそろっている経営者こそが、メガファーマの世界で“無限の成長”を描いているのだと、私は考えています。

たとえば、重症肺炎。この疾患領域は非常に大きく、もしアメリカで承認を取得できれば、年間3,000億〜1兆円の売上が見込めるパイプラインになると考えています。さらに、脳梗塞はその何倍もの市場があります。こういった“世界の手本となるような薬”を、次にしっかりと世に出していきたいと思っています。

●はっしゃん
日本からそういう企業が出てくるのは、本当に喜ばしいことです。個人的にも応援させていただきたいと思います。

■ヘリオス 鍵本様
ありがとうございます。それでは、次の話題に移らせていただきます。

こちらが、冒頭でご紹介した九州大学の眼科から出てきた「BBG」という製品です。

私個人としては、お金のない研究室で発見したものが、今では世界中で使われているというのは、非常に誇らしく感じています。この製品は無事に製品化され、事業としては、我々は細胞領域に注力する方針を取りましたので、技術としては譲渡しています。

現在の事業体制ですが、いくつかのビジネスドメインに分かれています。

1つ目が医療材料、2つ目が骨髄由来幹細胞、そして3つ目がiPS細胞関連の開発です。我々としては、やはり“最後の要”はiPS細胞にあると考えております。最初と最後の核、どちらもiPS細胞です。ただし、技術の進展スピードというのは、自社だけですべてをコントロールできるものではありません。それでも最終的には、日本の強みであり、細胞医療の究極の可能性はiPS細胞にあると確信しています。

そのiPS細胞について、まずご説明させていただきます。何がすごいかと申しますと、iPS細胞というのは、たとえば我々の皮膚など、体のどこかの細胞を採取して、それをiPS細胞に変換することで、体中のどの細胞にもつくり変えることができる技術なんです。こんな技術は、過去には存在しませんでした。さらに今は、「遺伝子改変」という技術も出てきました。

この2つを組み合わせると、非常に広がりのある応用が可能になります。人間には、生まれつき足が速い子や、頭の良い子などさまざまな個性がありますよね。その違いの多くは、ある程度は遺伝子で決まっている部分もあると考えられています。

では仮に、肝臓の細胞をiPS細胞から作ったとして、そこに遺伝子改変を加えて「アルコール処理能力を10倍にする」という設計をすれば、実際に10倍の処理能力を持った肝細胞が作れてしまうんです。これは本当にすごいことで、こうした技術を使えば、体に不足している機能を補ったり、あるいは年齢とともに免疫力が下がってがんになりやすくなるといった状況に対しても、免疫細胞をiPS細胞から作り、遺伝子改変によって能力を高めることができる。そうして作った高機能の免疫細胞を、がんの患者さんに投与することで、多種多様ながん細胞を攻撃していくことができるようになります。

こうした取り組みが、現在のiPS細胞をめぐるイノベーションの、最もすごいところだと思っています。

株式会社ヘリオス×著名投資家はっしゃん氏対談動画文字起こし(5)に続く

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