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アトラG Research Memo(1):2025年12月期は玩具販売事業の店舗整理が継続も、損益面は回復局面へ
配信日時:2025/05/19 14:01
配信元:FISCO
*14:01JST アトラG Research Memo(1):2025年12月期は玩具販売事業の店舗整理が継続も、損益面は回復局面へ
■要約
アトラグループ<6029>は、鍼灸接骨院「ほねつぎ」を全国に151院(2024年12月末時点)チェーン展開している。柔道整復師、はり師・きゅう師をターゲットに、鍼灸接骨院の経営を総合的に支援する事業を展開している企業である。具体的には鍼灸接骨院のほねつぎチェーン事業に加えて、主に自費施術で必要となる機材を販売する「機材、消耗品販売」、療養費の請求を代行する「アトラ請求サービス」、鍼灸接骨院の予約システムと物販サービスを提供する「HONEY-STYLE」、セミナーの開催や情報発信を行う「アトラアカデミー」などの事業を手掛ける。また、鍼灸接骨院と親和性の高い介護支援やフィットネス関連の事業も行う。さらに2021年12月には、おもちゃ、雑貨、文具販売の(株)ペリカン(2022年4月1日に(株)ビーユーから社名変更)を買収し、玩具販売事業に進出した。戦略としては、少子高齢化のなかで国民医療費抑制の傾向が高まっていることを受けて、療養費に過度に依存しないよう、自費施術の拡大を推進している。これにより、顧客である鍼灸接骨院業界全体の市場規模拡大と同社業績の成長をねらう構えである。
1. 2024年12月期の業績概要
2024年12月期の連結業績は、売上高が前期比5.9%減の4,234百万円、営業利益が同88.9%減の5百万円、経常利益が同98.4%減の0百万円、親会社株主に帰属する当期純損失が36百万円(前期は53百万円の利益)となり、期初に発表した業績予想である売上高4,783百万円、営業利益120百万円、経常利益110百万円、親会社株主に帰属する当期純利益80百万円に対しては、すべてにおいて下振れての着地となった。売上高は会社計画比で548百万円未達となったが、その主な要因は、ほねつぎチェーンにおける加盟院数の純減、機材、消耗品販売におけるセミナー集客の計画未達、自社新商材の製造遅延などに伴う販売数低迷、玩具販売事業の不採算店舗の閉店影響などである。利益面については、広告宣伝費の効果検証の実施によるコスト効率化を図り、販管費率が前期比横ばいだったものの、連結売上高の減収効果、玩具販売事業の不採算店舗の閉店に伴う減損損失計上、相対的に収益性が高い機材、消耗品販売の減収に伴う売上ミックスの悪化などにより、営業利益は同88.9%減、会社計画比では114百万円未達で着地した。
2. 2025年12月期の業績見通し
2025年12月期の連結業績は、売上高が前期比10.3%減の3,800百万円、営業利益が同867.7%増の55百万円、経常利益が50百万円(前期は0百万円の利益)、親会社株主に帰属する当期純利益が26百万円(同36百万円の損失)の見通しである。売上高は前期比434百万円減の計画である。その主な要因は、玩具販売事業が2025年12月期もペリカンの不採算店の整理を継続することによる事業規模縮小である。他方で、鍼灸接骨院支援事業はいずれのセグメントも増収に転じる見通しである。特に、コア事業であるアトラ請求サービスにおける「A-COMS」の新機能追加による会員数の拡大、及び機材、消耗品販売における自社商材の営業強化による販売数拡大などにより増収を確保したいとしている。営業利益は同49百万円増の計画である。鍼灸接骨院支援事業の増収効果、玩具販売事業の不採算店の閉店に伴う収益性の改善、アトラ請求サービスのシステム開発に関する減価償却費の一部償却期間終了に伴うコスト減少などにより、営業利益は回復に向かうと見込まれる。玩具販売事業における不採算店の整理は2025年12月期で一巡すると見込まれるため、損益面は底打ち感があろう。
3. 中長期の成長戦略
鍼灸接骨院支援事業においては、療養費が減少基調にあるなか、同社では療養費に依存し過ぎることなく、自費施術や物販の拡大、周辺事業への進出などを通じて収益基盤の多角化を進める方針を打ち出している。鍼灸接骨院の新規開設をやみくもに進めて店舗数の拡大をねらうのではなく、鍼灸接骨院との親和性の高い「ほねつぎデイサービス」や「アトラアカデミー」を通じた施術者向けの有料の技術セミナーを通じた収益機会の獲得、自費施術を促進し、競争の激化する鍼灸接骨院の差別化を図ることができる機材販売の強化、「A-COMS」の機能拡張による市場シェア拡大などに注力する。また、同社は他社との積極的な協業を通じて新たなサービス及びソリューションの提供も推進しており、ブレインテック関連事業を推進する(株)メディアシークや歩行センシング・ウェルネスソリューションを提供する日本電気<6701>と協業し、施術サービスの高度化及び効率化を図る。
玩具販売事業においては、国内の玩具市場は堅調な拡大が続いているなか、2025年12月期まではペリカンの不採算店の整理を優先して実行し、収益基盤の整備を進める。既存店については、同社が鍼灸接骨院経営のなかで培った店舗運営ノウハウを生かし、最新の玩具需要と収益性のバランスを意識した商品構成の見直し、業務オペレーションの効率化などに伴う生産性の向上により、稼ぐ力を強化する。玩具販売事業は2023年12月期以降、営業赤字が継続していたが、各種施策の推進により早期の営業黒字転換が待たれる。
■Key Points
・2024年12月期は利益低迷、玩具販売事業の不採算店の閉店コストが影響
・2025年12月期は玩具販売事業の店舗整理が続くも、損益面は回復局面入りへ
・中長期的には、鍼灸接骨院支援事業は自費施術の強化、請求サービス、機材販売など総合力で事業拡大を目指す。玩具販売事業は収益基盤を整備しつつ、既存店の生産性を改善して稼ぐ力の強化へ
(執筆:フィスコ客員アナリスト 吉林拓馬)
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アトラグループ<6029>は、鍼灸接骨院「ほねつぎ」を全国に151院(2024年12月末時点)チェーン展開している。柔道整復師、はり師・きゅう師をターゲットに、鍼灸接骨院の経営を総合的に支援する事業を展開している企業である。具体的には鍼灸接骨院のほねつぎチェーン事業に加えて、主に自費施術で必要となる機材を販売する「機材、消耗品販売」、療養費の請求を代行する「アトラ請求サービス」、鍼灸接骨院の予約システムと物販サービスを提供する「HONEY-STYLE」、セミナーの開催や情報発信を行う「アトラアカデミー」などの事業を手掛ける。また、鍼灸接骨院と親和性の高い介護支援やフィットネス関連の事業も行う。さらに2021年12月には、おもちゃ、雑貨、文具販売の(株)ペリカン(2022年4月1日に(株)ビーユーから社名変更)を買収し、玩具販売事業に進出した。戦略としては、少子高齢化のなかで国民医療費抑制の傾向が高まっていることを受けて、療養費に過度に依存しないよう、自費施術の拡大を推進している。これにより、顧客である鍼灸接骨院業界全体の市場規模拡大と同社業績の成長をねらう構えである。
1. 2024年12月期の業績概要
2024年12月期の連結業績は、売上高が前期比5.9%減の4,234百万円、営業利益が同88.9%減の5百万円、経常利益が同98.4%減の0百万円、親会社株主に帰属する当期純損失が36百万円(前期は53百万円の利益)となり、期初に発表した業績予想である売上高4,783百万円、営業利益120百万円、経常利益110百万円、親会社株主に帰属する当期純利益80百万円に対しては、すべてにおいて下振れての着地となった。売上高は会社計画比で548百万円未達となったが、その主な要因は、ほねつぎチェーンにおける加盟院数の純減、機材、消耗品販売におけるセミナー集客の計画未達、自社新商材の製造遅延などに伴う販売数低迷、玩具販売事業の不採算店舗の閉店影響などである。利益面については、広告宣伝費の効果検証の実施によるコスト効率化を図り、販管費率が前期比横ばいだったものの、連結売上高の減収効果、玩具販売事業の不採算店舗の閉店に伴う減損損失計上、相対的に収益性が高い機材、消耗品販売の減収に伴う売上ミックスの悪化などにより、営業利益は同88.9%減、会社計画比では114百万円未達で着地した。
2. 2025年12月期の業績見通し
2025年12月期の連結業績は、売上高が前期比10.3%減の3,800百万円、営業利益が同867.7%増の55百万円、経常利益が50百万円(前期は0百万円の利益)、親会社株主に帰属する当期純利益が26百万円(同36百万円の損失)の見通しである。売上高は前期比434百万円減の計画である。その主な要因は、玩具販売事業が2025年12月期もペリカンの不採算店の整理を継続することによる事業規模縮小である。他方で、鍼灸接骨院支援事業はいずれのセグメントも増収に転じる見通しである。特に、コア事業であるアトラ請求サービスにおける「A-COMS」の新機能追加による会員数の拡大、及び機材、消耗品販売における自社商材の営業強化による販売数拡大などにより増収を確保したいとしている。営業利益は同49百万円増の計画である。鍼灸接骨院支援事業の増収効果、玩具販売事業の不採算店の閉店に伴う収益性の改善、アトラ請求サービスのシステム開発に関する減価償却費の一部償却期間終了に伴うコスト減少などにより、営業利益は回復に向かうと見込まれる。玩具販売事業における不採算店の整理は2025年12月期で一巡すると見込まれるため、損益面は底打ち感があろう。
3. 中長期の成長戦略
鍼灸接骨院支援事業においては、療養費が減少基調にあるなか、同社では療養費に依存し過ぎることなく、自費施術や物販の拡大、周辺事業への進出などを通じて収益基盤の多角化を進める方針を打ち出している。鍼灸接骨院の新規開設をやみくもに進めて店舗数の拡大をねらうのではなく、鍼灸接骨院との親和性の高い「ほねつぎデイサービス」や「アトラアカデミー」を通じた施術者向けの有料の技術セミナーを通じた収益機会の獲得、自費施術を促進し、競争の激化する鍼灸接骨院の差別化を図ることができる機材販売の強化、「A-COMS」の機能拡張による市場シェア拡大などに注力する。また、同社は他社との積極的な協業を通じて新たなサービス及びソリューションの提供も推進しており、ブレインテック関連事業を推進する(株)メディアシークや歩行センシング・ウェルネスソリューションを提供する日本電気<6701>と協業し、施術サービスの高度化及び効率化を図る。
玩具販売事業においては、国内の玩具市場は堅調な拡大が続いているなか、2025年12月期まではペリカンの不採算店の整理を優先して実行し、収益基盤の整備を進める。既存店については、同社が鍼灸接骨院経営のなかで培った店舗運営ノウハウを生かし、最新の玩具需要と収益性のバランスを意識した商品構成の見直し、業務オペレーションの効率化などに伴う生産性の向上により、稼ぐ力を強化する。玩具販売事業は2023年12月期以降、営業赤字が継続していたが、各種施策の推進により早期の営業黒字転換が待たれる。
■Key Points
・2024年12月期は利益低迷、玩具販売事業の不採算店の閉店コストが影響
・2025年12月期は玩具販売事業の店舗整理が続くも、損益面は回復局面入りへ
・中長期的には、鍼灸接骨院支援事業は自費施術の強化、請求サービス、機材販売など総合力で事業拡大を目指す。玩具販売事業は収益基盤を整備しつつ、既存店の生産性を改善して稼ぐ力の強化へ
(執筆:フィスコ客員アナリスト 吉林拓馬)
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