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トランプ大統領の政策大転換に脅える株式市場 (4) 【シルバーブラットの「S&P500」月例レポート】
配信日時:2025/04/17 11:41
配信元:MINKABU
●インデックス・レビュー
◇S&P 500指数
株式市場では引き続き不透明感が根強く、不安定な地合いに終始したものの、3月のS&P500指数 をみると、活発な取引が続きました。トランプ政権が「米国解放の日」と呼ぶ4月2日と翌3日は、これまでに言及されてきた関税と相互関税が発動される可能性があるため、株式市場にとって極めて重要となるでしょう。これまでのところ、市場は繰り返される関税政策の変更にそのつど反応してきましたが、同時に市場関係者はこうした変更の大半を交渉過程の一場面と捉えています。しかし、少なくとも現時点では、当日になれば関税が実際に発動され、その影響が顕在化し始めるため、一部の産業では在庫状況の確認に着手することになるでしょう。しかしながら、市場がなお考えているように今後も交渉は続けられていくとみられます。
関税の導入直後の影響と予想される大々的なマスコミ報道によって不透明感は増幅されるでしょうが、たとえ詳細が明らかにされなくても、より具体的な関税率(と政策)が6月までに確認できることを市場は期待しています。そうなれば企業は行動計画(生産量や雇用水準、設備投資の見直しやサプライチェーンの調整)の策定に取り掛かることができます。その時まで、市場ではパズルのピースにひとつひとつ反応していくような動きが続き、現状の活発な取引と高ボラティリティにも変化はみられないでしょう。
S&P500指数は3月に5.75%下落し(配当込みのトータルリターンはマイナス5.63%)、月間としては2022年9月の9.34%下落以降で、最悪の下落率となりました。2月は1.42%の下落(同マイナス1.30%)、1月は2.70%の大幅上昇(同プラス2.78%)でした。2025年第1四半期の年初来の3ヵ月間では同指数は4.59%の下落(同マイナス4.27%)でした。対して、2024年第1四半期は10.16%の大幅上昇、2023年第1四半期は7.03%の上昇、2022年第1四半期は4.95%の下落でした。2024年通年では23.31%上昇(同プラス25.02%)しました。2023年は24.23%上昇(同プラス26.29%)、2022年は19.44%下落(同マイナス18.11%)でした。
3月は11セクター中2セクターのみが上昇しました。2月は11セクター中6セクターが上昇、1月は10セクターが上昇しました。3月のパフォーマンスが最高となったのはエネルギーで3.75%上昇しました(年初来では9.30%上昇、2023年末比では11.83%上昇)。パフォーマンスが最低だったのは一般消費財で、9.02%下落しました(同13.97%下落、同11.09%上昇)。
マグニフィセント・セブン 銘柄は全て、年初来のリターンがマイナスとなりました(平均でマイナス15.80%)。S&P500指数の年初来のトータルリターンはマイナス4.27%でしたが、マグニフィセント・セブン銘柄を除くとプラス0.50%となるはずでした。3月のリターンも全体ではマイナス5.63%でしたが、7銘柄を除くとマイナス2.59%となります。とはいえ、2022年末比でのリターンに占めるマグニフィセント・セブン銘柄の割合は54%となっています(2023年の年初から2025年3月末までのS&P500指数のリターンは51.14%ですが、マグニフィセント・セブン銘柄を除くと23.7%でした)。
3月の日中ボラティリティ(日中の値幅を安値で除して算出)は1.71%と、2月の1.09%から上昇(1月は0.91%)しました。年初来では1.29%となっています。2024年通年は0.91%で、2023年は1.04%、2022年は1.83%、2021年は0.97%、2020年は1.51%でした(長期平均は1.41%)。3月の出来高は、2月に前月比10%増加した後に、同9%増加し(営業日数調整後)、前年同月比では23%の増加となりました。3月までの過去12ヵ月間では前年同期比5%増加しました。2024年通年では前年比2%減、2023年は同1%減、2022年は同6%増でした。
3月は1%以上変動した日数は21営業日中12日(上昇が4日、下落が8日)で、2%以上の変動は2日ありました(上昇が1日、下落が1日)。2月は1%以上変動した日数は19営業日中5日(上昇が2日、下落が3日)、2%以上変動した日はありませんでした。年初来では、1%以上変動した日数が60営業日中21日で(上昇が8日、下落が13日)、2日で2%以上変動しました(上昇が1日、下落が1日)。2024年通年では、1%以上変動した日数は50日(上昇が31日、下落が19日)で、2%以上変動した日数は7日(上昇が3日、下落が4日)でした。
3月は21営業日中19日で日中の変動率が1%以上となり、2%以上変動した日は7日で、1日で3%以上変動しました。対して2月は1%以上の変動が19営業日中9日で、2%以上変動した日は2日でした。年初来では1%以上の変動が37日、2%以上の変動が9日、3%以上の変動が1日となっています。2024年通年では1%以上の変動が83日、2%以上の変動が11日、2023年は1%以上の変動が113日、2%以上の変動が13日でした。
3月は値上がり銘柄数が減少し、値下がり銘柄数を大幅に下回りました。3月の値上がり銘柄数は154銘柄でした(平均上昇率は4.32%)。2月は248銘柄が値上がりしました(同6.06%)。3月に10%以上上昇した銘柄数は13銘柄(同12.74%)で、2月の40銘柄(同14.18%)から減少し、25%以上上昇した銘柄はありませんでした(2月は1銘柄)。一方で、値下がり銘柄数を見ると、3月は349銘柄が値下がりしました(平均下落率は7.09%)。2月は255銘柄が値下がりしました(同7.45%)。3月に10%以上下落した銘柄数は85銘柄(同14.54%)で、2月の72銘柄(同15.69%)から増加し、2銘柄(2月は5銘柄)が25%以上下落しました。2024年通年では、値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を大幅に上回り、値上がり銘柄数が332銘柄(平均上昇率は28.17%)、値下がり銘柄数が169銘柄(平均下落率は16.07%)でした。
[執筆者]
ハワード・シルバーブラット
S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス
シニア・インデックス・アナリスト
※このレポートは、英文原本から参照用の目的でS&Pダウ・ジョーンズ・インデックス(SPDJI)が作成したものです。SPDJIは、翻訳が正確かつ完全であるよう努めましたが、その正確性ないし完全性につきこれを保証し表明するものではありません。英文原本についてはサイトをご参照ください。
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