注目トピックス 日本株
kubell Research Memo(5):ARPUの上昇を追い風に、売上高は前期比30.6%増の成長実現
配信日時:2025/04/01 15:05
配信元:FISCO
*15:05JST kubell Research Memo(5):ARPUの上昇を追い風に、売上高は前期比30.6%増の成長実現
■kubell<4448>の業績動向
1. 2024年12月期業績概要
2024年12月期の連結業績は、売上高8,470百万円(前期比30.6%増)、営業利益96百万円(前期は677百万円の損失)、経常利益75百万円(同686百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,172百万円の損失(同620百万円の損失)となった。売上の拡大及び厳格な費用コントロールの結果、EBITDA、営業利益及び経常利益はいずれも業績予想を大きく上回る水準で黒字化を達成した。しかしながら、(株)kubellストレージ、(株)ミナジンののれんやその他の固定資産に関して1,249百万円の減損損失及び投資有価証券評価損44百万円が特別損失として計上されたため、親会社株主に帰属する当期純利益は損失となった。
Chatworkセグメントは売上高で前期比32.2%増の8,323百万円と著しく成長しており、依然として市場で強いパフォーマンスを発揮していることが確認できる。売上総利益も大幅に増加しており、前期比で40.8%増という顕著な成長を記録した。売上総利益率は69.0%と前期比で5.0ポイント上昇した。これは、売上高の拡大に加え、システム原価、特に開発人件費の資産計上が増加したことによるものである。さらに、EBITDAは5四半期連続で黒字を維持し、営業利益も黒字に転じた。同社はコロナ禍で大きく増加した需要に対して、認知率向上や体制構築等、中長期的成長を見越した投資を加速させた経緯がある。営業利益の黒字化達成はこれらの投資が結実した成果である。
成長投資についても適切に進行しており、長期的な成長を目指すなかで、費用コントロールを維持しつつ、体制強化に必要な人員を確保している。2024年12月期第4四半期においては、グループ全体で32名の純増が報告され、そのすべてがBPaaS事業に関わる契約社員であった。このBPaaS領域は同社の成長の柱となっており、顧客の需要が旺盛であるため、同社は積極的な採用を行っている。また、円安やサーバー・システム費の増加に伴う費用増加にもかかわらず、適切な費用管理によって利益を確保することができた点が評価される。2024年12月期は後述する中期経営計画の初年度に当たるが、2020年12月期以来の黒字転換を達成しており、今後の飛躍的成長に向けて順調なスタートが切れていると弊社では見ている。
2. 主要KPIハイライト
主要KPIも引き続き良好に推移している。まず、「Chatwork」の登録ID数は738.3万に上り、前期末比で11.2%の増加を続けている。これは同社のサービスが引き続き市場で支持を得ていることを示しており、堅実なユーザーベースの拡大を反映している。DAU(Daily Active User:1日当たりのサービス利用者数)は118.5万と前期比で6.9%の増加となった。サービスの普及に伴い、ユーザーの中心がアーリーアダプター層からマジョリティ層へ移行しており、DAUの伸びが多少緩やかになっていることは想定の範囲内であると言える。機能改善やユーザーとのコミュニケーション強化などの施策により、引き続きアクティブ率の向上に注力する方針である。課金ID数は78.8万と前期末比で7.8%増の成長を遂げており、価格改定による影響は一巡したと考えられる。また、前四半期比の増減率の推移を見ても着実な回復を見せており、今後もこの傾向が継続するのではないかと弊社では考える。さらに、ARPU(Average Revenue Per User:1日当たりの平均単価)は731.7円となり、前期末比で8.8%増にて推移している。第4四半期においては、相対的に単価の低いビジネスプランの契約数が増加したため、前四半期比では微減となっているものの、今後も有料プランの機能追加によってさらなるARPUの上昇が期待されている。同社はこれらのKPIにおいて堅調な成長を続けており、今後の展望についても有料化率のさらなる向上が見込まれ、2025年12月期以降の成長戦略が一層注目される。
3. BPaaSドメインについて
BPaaSドメインは、第4四半期単体の売上高が前年同期比105.5%増の220百万円、通期では前期比160.7%増の657百万円と急成長を遂げた。今後の売上成長の見通しについては、「現状のレベル感を維持したい」との考えを示しており、高成長の継続が期待される。また、2025年12月期からChatworkセグメントの名称をプラットフォーム事業に変更し、SaaSドメインとBPaasドメインの2つの区分とすることで、主要なKPIに関する開示も進むものと弊社では考える。BPaaSドメインの人員体制については、キャパシティを大きく拡大する時期と、キャパシティ限界まで営業努力を行う時期が交互に訪れる。2025年12月期の採用方針については、引き続き投資フェーズとして採用強化を進める。同事業の人件費は原価的な側面が強く、クライアントから委託された業務を担当する人材が増えるほど売上が拡大する構造となっている。人材確保については採用体制が着実に整備されており、専業主婦や在宅フルリモート勤務希望者など、正社員としてフルタイムで働けない層にも契約社員として働く機会を提供している。加えて、従業員の習熟・教育に関しては、マネージャーやオンボーディング体制の整備がなされている。
4. 財務状況
2024年12月期末の資産合計は、前期末比159百万円減の6,113百万円となった。流動資産は、同808百万円増の4,025百万円となった。主な要因としては、現金及び預金が810百万円増加した一方で、売掛金が77百万円減少した。固定資産では、同968百万円減の2,088百万円となった。主に、投資その他の資産が144百万円、ソフトウェアが573百万円増加した一方で、のれんが1,029百万円減少した。負債合計は同663百万円増の4,515百万円となった。流動負債は、同1,279百万円増の3,825百万円となった。主に、契約負債が416百万円、1年内返済予定の長期借入金が443百万円増加した。固定負債は、同615百万円減の689百万円となった。主に、長期借入金が657百万円減少した。純資産合計は同823百万円減の1,598百万円となった。主に、資本金が174百万円、資本剰余金が174百万円増加した一方で、利益剰余金が1,172百万円減少した。自己資本比率は同12.5ポイント低下の26.1%となった。EBITDAや営業利益の黒字化により現金及び預金が増加しており、財務基盤の改善が進んでいると弊社では見ている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)
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1. 2024年12月期業績概要
2024年12月期の連結業績は、売上高8,470百万円(前期比30.6%増)、営業利益96百万円(前期は677百万円の損失)、経常利益75百万円(同686百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,172百万円の損失(同620百万円の損失)となった。売上の拡大及び厳格な費用コントロールの結果、EBITDA、営業利益及び経常利益はいずれも業績予想を大きく上回る水準で黒字化を達成した。しかしながら、(株)kubellストレージ、(株)ミナジンののれんやその他の固定資産に関して1,249百万円の減損損失及び投資有価証券評価損44百万円が特別損失として計上されたため、親会社株主に帰属する当期純利益は損失となった。
Chatworkセグメントは売上高で前期比32.2%増の8,323百万円と著しく成長しており、依然として市場で強いパフォーマンスを発揮していることが確認できる。売上総利益も大幅に増加しており、前期比で40.8%増という顕著な成長を記録した。売上総利益率は69.0%と前期比で5.0ポイント上昇した。これは、売上高の拡大に加え、システム原価、特に開発人件費の資産計上が増加したことによるものである。さらに、EBITDAは5四半期連続で黒字を維持し、営業利益も黒字に転じた。同社はコロナ禍で大きく増加した需要に対して、認知率向上や体制構築等、中長期的成長を見越した投資を加速させた経緯がある。営業利益の黒字化達成はこれらの投資が結実した成果である。
成長投資についても適切に進行しており、長期的な成長を目指すなかで、費用コントロールを維持しつつ、体制強化に必要な人員を確保している。2024年12月期第4四半期においては、グループ全体で32名の純増が報告され、そのすべてがBPaaS事業に関わる契約社員であった。このBPaaS領域は同社の成長の柱となっており、顧客の需要が旺盛であるため、同社は積極的な採用を行っている。また、円安やサーバー・システム費の増加に伴う費用増加にもかかわらず、適切な費用管理によって利益を確保することができた点が評価される。2024年12月期は後述する中期経営計画の初年度に当たるが、2020年12月期以来の黒字転換を達成しており、今後の飛躍的成長に向けて順調なスタートが切れていると弊社では見ている。
2. 主要KPIハイライト
主要KPIも引き続き良好に推移している。まず、「Chatwork」の登録ID数は738.3万に上り、前期末比で11.2%の増加を続けている。これは同社のサービスが引き続き市場で支持を得ていることを示しており、堅実なユーザーベースの拡大を反映している。DAU(Daily Active User:1日当たりのサービス利用者数)は118.5万と前期比で6.9%の増加となった。サービスの普及に伴い、ユーザーの中心がアーリーアダプター層からマジョリティ層へ移行しており、DAUの伸びが多少緩やかになっていることは想定の範囲内であると言える。機能改善やユーザーとのコミュニケーション強化などの施策により、引き続きアクティブ率の向上に注力する方針である。課金ID数は78.8万と前期末比で7.8%増の成長を遂げており、価格改定による影響は一巡したと考えられる。また、前四半期比の増減率の推移を見ても着実な回復を見せており、今後もこの傾向が継続するのではないかと弊社では考える。さらに、ARPU(Average Revenue Per User:1日当たりの平均単価)は731.7円となり、前期末比で8.8%増にて推移している。第4四半期においては、相対的に単価の低いビジネスプランの契約数が増加したため、前四半期比では微減となっているものの、今後も有料プランの機能追加によってさらなるARPUの上昇が期待されている。同社はこれらのKPIにおいて堅調な成長を続けており、今後の展望についても有料化率のさらなる向上が見込まれ、2025年12月期以降の成長戦略が一層注目される。
3. BPaaSドメインについて
BPaaSドメインは、第4四半期単体の売上高が前年同期比105.5%増の220百万円、通期では前期比160.7%増の657百万円と急成長を遂げた。今後の売上成長の見通しについては、「現状のレベル感を維持したい」との考えを示しており、高成長の継続が期待される。また、2025年12月期からChatworkセグメントの名称をプラットフォーム事業に変更し、SaaSドメインとBPaasドメインの2つの区分とすることで、主要なKPIに関する開示も進むものと弊社では考える。BPaaSドメインの人員体制については、キャパシティを大きく拡大する時期と、キャパシティ限界まで営業努力を行う時期が交互に訪れる。2025年12月期の採用方針については、引き続き投資フェーズとして採用強化を進める。同事業の人件費は原価的な側面が強く、クライアントから委託された業務を担当する人材が増えるほど売上が拡大する構造となっている。人材確保については採用体制が着実に整備されており、専業主婦や在宅フルリモート勤務希望者など、正社員としてフルタイムで働けない層にも契約社員として働く機会を提供している。加えて、従業員の習熟・教育に関しては、マネージャーやオンボーディング体制の整備がなされている。
4. 財務状況
2024年12月期末の資産合計は、前期末比159百万円減の6,113百万円となった。流動資産は、同808百万円増の4,025百万円となった。主な要因としては、現金及び預金が810百万円増加した一方で、売掛金が77百万円減少した。固定資産では、同968百万円減の2,088百万円となった。主に、投資その他の資産が144百万円、ソフトウェアが573百万円増加した一方で、のれんが1,029百万円減少した。負債合計は同663百万円増の4,515百万円となった。流動負債は、同1,279百万円増の3,825百万円となった。主に、契約負債が416百万円、1年内返済予定の長期借入金が443百万円増加した。固定負債は、同615百万円減の689百万円となった。主に、長期借入金が657百万円減少した。純資産合計は同823百万円減の1,598百万円となった。主に、資本金が174百万円、資本剰余金が174百万円増加した一方で、利益剰余金が1,172百万円減少した。自己資本比率は同12.5ポイント低下の26.1%となった。EBITDAや営業利益の黒字化により現金及び預金が増加しており、財務基盤の改善が進んでいると弊社では見ている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)
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