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アルファパーチェス Research Memo(3):購買代行を行うMRO事業と役務代行のFM事業が2本柱
配信日時:2025/03/28 11:03
配信元:FISCO
*11:03JST アルファパーチェス Research Memo(3):購買代行を行うMRO事業と役務代行のFM事業が2本柱
■アルファパーチェス<7115>の事業概要
1. 事業セグメント
同社の事業セグメントは、設備・機械の修理用備品やオフィス備品などの間接材購買プラットフォーム「APMRO」及び「無限カタログ」を運営する「MRO事業」と商業施設のメンテナンスなどを行う「FM事業」、「その他」の3つで開示されている。
2024年12月期のセグメント別売上高は、「MRO事業」が41,221百万円(売上構成比73.7%)、「FM事業」が14,665百万円(同26.2%)、「その他」が65百万円(同0.1%)であった。また、セグメント別営業利益は、「MRO事業」が769百万円(営業利益構成比61.9%)、「FM事業」が389百万円(同31.3%)、「その他※」が83百万円(同6.7%)であった。
※ 「その他」は子会社であるATC(株)のソフトウェア事業の外販売上(連結内部控除される同社向けのITサービス事業売上を除く売上)が計上されている。一方で、「その他」の営業利益には、ATCの同社向けサービス事業の利益等が含まれるため、セグメント利益が売上高を上回っている。
(1) MRO事業
多くの企業では、本社、支社、研究所、工場等で必要となる様々な間接材※を購入するが、それぞれの現場ごとにバラバラで購入するのは効率が悪く、多くの企業が「モノに関する課題」を抱えている。企業の「購買業務を改善したい」との要望に対して、同社のITプラットフォームである「APMRO」や「無限カタログ」を中心に、効率的に適切かつ低コストで購入できる仕組み・サービスを提供するのがMRO事業である。
※ 企業が製造現場で必要とする原材料や部品等を「直接材」、それ以外の備品、消耗品、作業工具・用品、安全用品、研究備品、OA機器、家電、書籍などを「間接材」と言う。
1) 事業モデル
同社のサービスを利用する企業は、まず同社と契約を締結し、その後同社が提供するITプラットフォーム(「APMRO」や「無限カタログ」)を利用して様々なサプライヤーから商品購買を行う。商流としては、同社が一度商品を購入し、決められたマージンを上乗せして顧客へ売却する形を取る。商品自体はサプライヤーから顧客へ直接配送されるため、在庫や物流センター等は持たない。同社の売上高は顧客への商品の販売額であり、システム利用料ではない※。
※ システムのカスタマイズ費用等、顧客の要望に基づき必要となる費用を徴収するが、それを含めたシステム利用料は売上の1%未満。
2) 対象(ターゲット)顧客
同社では、ターゲット顧客を売上高1,000億円以上の大企業に絞っており、中堅企業や中小企業、個人商店などは対象としていない。理由は、企業グループの売上金額が増えるに従いMRO調達に関するニーズが高度化し、高度な管理に社員を使わずにできるサービスが求められるからである。売上高が1,000億円未満の中堅企業、中小企業、個人向けなどは親会社のアスクルの事業領域であり、棲み分けがされている。
購買代行に求められるサービスとして「早い、安い、探しやすい」は重要だが、大手企業においてはそれ以上に全社購買統制や基幹ITシステム(主にERP)とのシステム連携や取引業者登録ルールの方が重要視される。社内ルール、手順、システムに従った買い方でないと支払いができないなどの問題が生じることがあるため、大企業ほど安全かつ自社システムとの連携ができるサービスを求める。同社では、このような顧客の要望に対応できる仕組み(「APMRO」や「無限カタログ」)を自社開発して提供しており、これが差別化につながっている。
2024年12月期のMRO事業のうち83.4%が大企業向けの直販で、残り16.6%が親会社のアスクル経由での中小事業所向けであった。さらにこの大企業向けのうち、売上金額の94.3%が月平均1,000万円以上購入する大手顧客であり、5.4%が同100~1,000万円の顧客で、0.3%が同100万円未満の顧客であった。
契約企業数(2024年12月期末)は、月平均1,000万円以上購入の企業グループが42社(前期第4四半期に1社増)、100〜1,000万円が45社(同1社増)の計87社(同2社増)となった。
具体的な顧客企業としては、味の素<2802>、リコー<7752>、旭化成<3407>、東レ<3402>、三菱ケミカル(株)、東京エレクトロン<8035>、関西電力<9503>、(株)東芝、キオクシア(株)、クボタ<6326>、ソニー(株)、帝人<3401>、理化学研究所、ダイハツ工業(株)、豊田自動織機<6201>、トヨタ車体(株)、トヨタ自動車<7203>、デンソー<6902>、ENEOS(株)、五洋建設<1893>などがある。
(2) FM事業
顧客が運営する店舗や施設に対して、商業施設の修繕、商業施設の清掃、各種工事、保守・点検などの「役務」を提供するほかに、店舗の内装資材・看板や各種備品・消耗品の購買代行を行う事業である。店舗数が千店を超えるような大規模チェーン店では、自社の建設部、店舗開発部等の人手による管理が難しくなるため、DXツールや、外部のBPO(Business Process Outsourcing)サービスへのニーズが顕在化している。これを担うのが同社のFM事業だ。
1) 事業モデルとサービス内容
顧客からの要請に応じて同社が決められた料金設定に基づいて役務を提供する。顧客側のメリットは、店舗や施設によってばらつきのない均一なサービスを受けられることに加えて、自社内の建設部、修繕部、購買部などの人員(固定費)を抑制できることだ。この事業もMRO事業と同様に「アウトソーシング」を受ける事業と言える。
同事業のサービス内容は大きく3つに分けられる。チェーン店向け役務サービス(修繕、保守点検、清掃、改装案件管理等の役務サービス)、大型の改装工事(ビジネスホテル、多店舗チェーン向け建設業法対応の大型改装工事)、そして材・工分離による資材納入サービス(多店舗チェーンの新店・改装に応じてタイムリーに必要資材を納品するサービス)である。なお売上高としては、資材納入サービスの比率が高い。
2) 対象(ターゲット)顧客
FM事業においても、同社が対象(ターゲット)とするのは同一ブランド・同型店舗が多い店舗数1,000店以上、売上高1,000億円以上の大規模チェーンである。理由はMRO事業と同様に、企業グループの店舗数が増えるに伴いアウトソーシングに対するニーズが高度化し、社員を使わずに高度な管理が可能なサービスが求められるからである。また建物数は少ないが部屋数が多い大手のホテルチェーンなども対象顧客だ。主な顧客業界は、コンビニエンスストア、ファストフードチェーン、ドラッグストアチェーン、ビジネスホテルチェーンなどである。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
<HN>
1. 事業セグメント
同社の事業セグメントは、設備・機械の修理用備品やオフィス備品などの間接材購買プラットフォーム「APMRO」及び「無限カタログ」を運営する「MRO事業」と商業施設のメンテナンスなどを行う「FM事業」、「その他」の3つで開示されている。
2024年12月期のセグメント別売上高は、「MRO事業」が41,221百万円(売上構成比73.7%)、「FM事業」が14,665百万円(同26.2%)、「その他」が65百万円(同0.1%)であった。また、セグメント別営業利益は、「MRO事業」が769百万円(営業利益構成比61.9%)、「FM事業」が389百万円(同31.3%)、「その他※」が83百万円(同6.7%)であった。
※ 「その他」は子会社であるATC(株)のソフトウェア事業の外販売上(連結内部控除される同社向けのITサービス事業売上を除く売上)が計上されている。一方で、「その他」の営業利益には、ATCの同社向けサービス事業の利益等が含まれるため、セグメント利益が売上高を上回っている。
(1) MRO事業
多くの企業では、本社、支社、研究所、工場等で必要となる様々な間接材※を購入するが、それぞれの現場ごとにバラバラで購入するのは効率が悪く、多くの企業が「モノに関する課題」を抱えている。企業の「購買業務を改善したい」との要望に対して、同社のITプラットフォームである「APMRO」や「無限カタログ」を中心に、効率的に適切かつ低コストで購入できる仕組み・サービスを提供するのがMRO事業である。
※ 企業が製造現場で必要とする原材料や部品等を「直接材」、それ以外の備品、消耗品、作業工具・用品、安全用品、研究備品、OA機器、家電、書籍などを「間接材」と言う。
1) 事業モデル
同社のサービスを利用する企業は、まず同社と契約を締結し、その後同社が提供するITプラットフォーム(「APMRO」や「無限カタログ」)を利用して様々なサプライヤーから商品購買を行う。商流としては、同社が一度商品を購入し、決められたマージンを上乗せして顧客へ売却する形を取る。商品自体はサプライヤーから顧客へ直接配送されるため、在庫や物流センター等は持たない。同社の売上高は顧客への商品の販売額であり、システム利用料ではない※。
※ システムのカスタマイズ費用等、顧客の要望に基づき必要となる費用を徴収するが、それを含めたシステム利用料は売上の1%未満。
2) 対象(ターゲット)顧客
同社では、ターゲット顧客を売上高1,000億円以上の大企業に絞っており、中堅企業や中小企業、個人商店などは対象としていない。理由は、企業グループの売上金額が増えるに従いMRO調達に関するニーズが高度化し、高度な管理に社員を使わずにできるサービスが求められるからである。売上高が1,000億円未満の中堅企業、中小企業、個人向けなどは親会社のアスクルの事業領域であり、棲み分けがされている。
購買代行に求められるサービスとして「早い、安い、探しやすい」は重要だが、大手企業においてはそれ以上に全社購買統制や基幹ITシステム(主にERP)とのシステム連携や取引業者登録ルールの方が重要視される。社内ルール、手順、システムに従った買い方でないと支払いができないなどの問題が生じることがあるため、大企業ほど安全かつ自社システムとの連携ができるサービスを求める。同社では、このような顧客の要望に対応できる仕組み(「APMRO」や「無限カタログ」)を自社開発して提供しており、これが差別化につながっている。
2024年12月期のMRO事業のうち83.4%が大企業向けの直販で、残り16.6%が親会社のアスクル経由での中小事業所向けであった。さらにこの大企業向けのうち、売上金額の94.3%が月平均1,000万円以上購入する大手顧客であり、5.4%が同100~1,000万円の顧客で、0.3%が同100万円未満の顧客であった。
契約企業数(2024年12月期末)は、月平均1,000万円以上購入の企業グループが42社(前期第4四半期に1社増)、100〜1,000万円が45社(同1社増)の計87社(同2社増)となった。
具体的な顧客企業としては、味の素<2802>、リコー<7752>、旭化成<3407>、東レ<3402>、三菱ケミカル(株)、東京エレクトロン<8035>、関西電力<9503>、(株)東芝、キオクシア(株)、クボタ<6326>、ソニー(株)、帝人<3401>、理化学研究所、ダイハツ工業(株)、豊田自動織機<6201>、トヨタ車体(株)、トヨタ自動車<7203>、デンソー<6902>、ENEOS(株)、五洋建設<1893>などがある。
(2) FM事業
顧客が運営する店舗や施設に対して、商業施設の修繕、商業施設の清掃、各種工事、保守・点検などの「役務」を提供するほかに、店舗の内装資材・看板や各種備品・消耗品の購買代行を行う事業である。店舗数が千店を超えるような大規模チェーン店では、自社の建設部、店舗開発部等の人手による管理が難しくなるため、DXツールや、外部のBPO(Business Process Outsourcing)サービスへのニーズが顕在化している。これを担うのが同社のFM事業だ。
1) 事業モデルとサービス内容
顧客からの要請に応じて同社が決められた料金設定に基づいて役務を提供する。顧客側のメリットは、店舗や施設によってばらつきのない均一なサービスを受けられることに加えて、自社内の建設部、修繕部、購買部などの人員(固定費)を抑制できることだ。この事業もMRO事業と同様に「アウトソーシング」を受ける事業と言える。
同事業のサービス内容は大きく3つに分けられる。チェーン店向け役務サービス(修繕、保守点検、清掃、改装案件管理等の役務サービス)、大型の改装工事(ビジネスホテル、多店舗チェーン向け建設業法対応の大型改装工事)、そして材・工分離による資材納入サービス(多店舗チェーンの新店・改装に応じてタイムリーに必要資材を納品するサービス)である。なお売上高としては、資材納入サービスの比率が高い。
2) 対象(ターゲット)顧客
FM事業においても、同社が対象(ターゲット)とするのは同一ブランド・同型店舗が多い店舗数1,000店以上、売上高1,000億円以上の大規模チェーンである。理由はMRO事業と同様に、企業グループの店舗数が増えるに伴いアウトソーシングに対するニーズが高度化し、社員を使わずに高度な管理が可能なサービスが求められるからである。また建物数は少ないが部屋数が多い大手のホテルチェーンなども対象顧客だ。主な顧客業界は、コンビニエンスストア、ファストフードチェーン、ドラッグストアチェーン、ビジネスホテルチェーンなどである。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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