注目トピックス 日本株
ロジザード Research Memo(5):2025年6月期中間期は増収増益(2)
配信日時:2025/03/12 13:05
配信元:FISCO
*13:05JST ロジザード Research Memo(5):2025年6月期中間期は増収増益(2)
■ロジザード<4391>の業績動向
2. 製品施策の実施状況
(1) BtoBに広がるWMSニーズ
BtoBに広がるWMSニーズの取り込みについては、イオンリテール(株)と三栄コーポレーション<8119>の導入事例がある。
イオンリテールでは、リアル店舗とECを通じてフォーマルウェアのレンタルサービス「LULUTI」を展開している。多店舗展開と在庫管理の標準化を目指し、2023年9月にクラウドWMS「ロジザードZERO」を導入した。導入前は2,000点超の在庫をアナログ管理しており、ヒューマンエラーが課題となっていたが、同社の支援により業務フローを整理し、RFID※タグを活用して貸出・返却・クリーニングの状況を可視化した。加えて、ECシステムとの連携により在庫回転率を最適化した結果、ヒューマンエラーは約8割削減した。通常の在庫管理は在庫を保管し注文が入った時点で出荷して完結するが、レンタル事業の在庫管理では、レンタル品が戻ってきた後に、再度出荷するという循環型のプロセスが存在する。個体管理が必須となるレンタル事業において、在庫管理の標準化を実現できたことは大きな成果であると弊社では考える。
※ 電波を用いて内蔵したメモリのタグのデータを非接触で読みこむシステム。バーコードではレーザーでタグを1枚ずつスキャンするのに対し、RFIDでは電波で複数のタグを同時スキャンすることができる。電波が届く範囲であれば、タグが遠くにあっても読み取ることができる。
また、三栄コーポレーションでは、家具やガーデニング商材のEC運営を行うが、コロナ禍で需要が急増し、従来のアナログ在庫・出荷管理に課題があった。そこでWMS導入を検討し、受注管理システム「ネクストエンジン」と連携可能な「ロジザードZERO」を採用した。複数倉庫への自動出荷指示やバーコード管理の導入により誤出荷を削減し、業務効率の向上により残業時間がほぼゼロになった。また、リードタイム短縮や配送指定対応が可能になり、さらなる受注増につながった。
(2) 労働力不足を補う自動化トレンド
労働力不足を補う自動化トレンドについては、AI物流ロボットとの連携や、近距離無線通信を利用した自動認識技術であるRFIDのオプション機能化のほか、他社製品アプリとの自動連携による省力化に取り組んだ。
RFIDの導入に関しては、現状、顧客の商材が多岐にわたるため、電波の届き方など現場ごとに個別の課題が存在している。しかし、一部の導入企業では棚卸作業が10分で完了するとの評価も得られている。RFIDはバーコードに比べ単価が高く、また自動認識という特性上、電波の受信の制御が顧客環境において難しいという二つのネックが存在するが、近年、単価は低下傾向にありコスト面における課題は概ね解消されている。
他社製品アプリとの自動連携に関して、佐川急便(株)の事例では、送り状発行機能とのAPI※連携により自動で送り状を発行する仕組みが整備された。自動連携によって荷主の作業負担も軽減され、さらに倉庫会社側においてもAPI連携を活用し、荷主からの依頼を代行して受けることが可能となった。
※ API(Application Programming Interface)とは、ソフトウェアやアプリケーション同士を連携させるためのつなぎ役である。他社製品とAPI連携することで、自社システムに実装されていないソフトウェアやアプリケーションなどの機能を利用できるようになる。
(3) 進む店舗のスマート化とオンラインとの融合
進む店舗のスマート化とオンラインとの融合、すなわちOMOについて、従来の在庫管理システムは倉庫管理に留まっていたが、店舗での販売と通販が一体となるケースが増加する中、倉庫と店舗の在庫管理の一元化が求められている。
これに対する取り組みとして、クラウド型の店舗在庫管理システムである「ロジザードZERO-STORE」が挙げられる。同製品は、アプリのカメラ機能を活用し、商品の入出荷や移動をバーコード検品することで、各店舗の在庫数をリアルタイムに確認できる。これにより、店舗スタッフは在庫状況を即座に把握し、迅速な顧客対応が可能となる。また、スマレジやShopifyなどの周辺システムと連携し、オムニチャネルの実現をサポートする。さらに、クラウドWMS「ロジザードZERO」との連携により、倉庫と店舗の在庫を一元管理し、入出荷実績をリアルタイムで確認できる。これらの機能により、在庫管理の効率化と顧客満足度の向上が期待できる。
(4) ぷらっとホーム(株)との技術提携・共同研究を開始
同社は、ぷらっとホームとブロックチェーン技術の物流分野への活用に関する共同研究の実施について合意し、2025年2月13日付で技術提携契約を締結した。物流業界は、2024年問題に伴う人手不足や運送コストの上昇など多岐にわたる課題に直面しており、業界全体として効率化が急務となっている。同社が提供するクラウドWMS「ロジザードZERO」は、1,800を超える物流現場で利用され、在庫管理業務における各種情報・データが日々蓄積されている。本研究では、「ロジザードZERO」の物流ビッグデータとぷらっとホームが開発するブロックチェーン技術「ThingsTokenTM」を融合させることにより、物流現場でのWeb3技術活用の可能性を引き出し、物流業界への貢献を目指すものである。「ThingsTokenTM」は、現実世界の資産(RWA: Real World Asset)である物品や設備、デバイス群を仮想化することにより、Web2の世界とWeb3の世界を結び付け、現実資産に関連するトークンエコノミクスを加速するシステムであり、ぷらっとホームの登録商標である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)
<HN>
2. 製品施策の実施状況
(1) BtoBに広がるWMSニーズ
BtoBに広がるWMSニーズの取り込みについては、イオンリテール(株)と三栄コーポレーション<8119>の導入事例がある。
イオンリテールでは、リアル店舗とECを通じてフォーマルウェアのレンタルサービス「LULUTI」を展開している。多店舗展開と在庫管理の標準化を目指し、2023年9月にクラウドWMS「ロジザードZERO」を導入した。導入前は2,000点超の在庫をアナログ管理しており、ヒューマンエラーが課題となっていたが、同社の支援により業務フローを整理し、RFID※タグを活用して貸出・返却・クリーニングの状況を可視化した。加えて、ECシステムとの連携により在庫回転率を最適化した結果、ヒューマンエラーは約8割削減した。通常の在庫管理は在庫を保管し注文が入った時点で出荷して完結するが、レンタル事業の在庫管理では、レンタル品が戻ってきた後に、再度出荷するという循環型のプロセスが存在する。個体管理が必須となるレンタル事業において、在庫管理の標準化を実現できたことは大きな成果であると弊社では考える。
※ 電波を用いて内蔵したメモリのタグのデータを非接触で読みこむシステム。バーコードではレーザーでタグを1枚ずつスキャンするのに対し、RFIDでは電波で複数のタグを同時スキャンすることができる。電波が届く範囲であれば、タグが遠くにあっても読み取ることができる。
また、三栄コーポレーションでは、家具やガーデニング商材のEC運営を行うが、コロナ禍で需要が急増し、従来のアナログ在庫・出荷管理に課題があった。そこでWMS導入を検討し、受注管理システム「ネクストエンジン」と連携可能な「ロジザードZERO」を採用した。複数倉庫への自動出荷指示やバーコード管理の導入により誤出荷を削減し、業務効率の向上により残業時間がほぼゼロになった。また、リードタイム短縮や配送指定対応が可能になり、さらなる受注増につながった。
(2) 労働力不足を補う自動化トレンド
労働力不足を補う自動化トレンドについては、AI物流ロボットとの連携や、近距離無線通信を利用した自動認識技術であるRFIDのオプション機能化のほか、他社製品アプリとの自動連携による省力化に取り組んだ。
RFIDの導入に関しては、現状、顧客の商材が多岐にわたるため、電波の届き方など現場ごとに個別の課題が存在している。しかし、一部の導入企業では棚卸作業が10分で完了するとの評価も得られている。RFIDはバーコードに比べ単価が高く、また自動認識という特性上、電波の受信の制御が顧客環境において難しいという二つのネックが存在するが、近年、単価は低下傾向にありコスト面における課題は概ね解消されている。
他社製品アプリとの自動連携に関して、佐川急便(株)の事例では、送り状発行機能とのAPI※連携により自動で送り状を発行する仕組みが整備された。自動連携によって荷主の作業負担も軽減され、さらに倉庫会社側においてもAPI連携を活用し、荷主からの依頼を代行して受けることが可能となった。
※ API(Application Programming Interface)とは、ソフトウェアやアプリケーション同士を連携させるためのつなぎ役である。他社製品とAPI連携することで、自社システムに実装されていないソフトウェアやアプリケーションなどの機能を利用できるようになる。
(3) 進む店舗のスマート化とオンラインとの融合
進む店舗のスマート化とオンラインとの融合、すなわちOMOについて、従来の在庫管理システムは倉庫管理に留まっていたが、店舗での販売と通販が一体となるケースが増加する中、倉庫と店舗の在庫管理の一元化が求められている。
これに対する取り組みとして、クラウド型の店舗在庫管理システムである「ロジザードZERO-STORE」が挙げられる。同製品は、アプリのカメラ機能を活用し、商品の入出荷や移動をバーコード検品することで、各店舗の在庫数をリアルタイムに確認できる。これにより、店舗スタッフは在庫状況を即座に把握し、迅速な顧客対応が可能となる。また、スマレジやShopifyなどの周辺システムと連携し、オムニチャネルの実現をサポートする。さらに、クラウドWMS「ロジザードZERO」との連携により、倉庫と店舗の在庫を一元管理し、入出荷実績をリアルタイムで確認できる。これらの機能により、在庫管理の効率化と顧客満足度の向上が期待できる。
(4) ぷらっとホーム(株)との技術提携・共同研究を開始
同社は、ぷらっとホームとブロックチェーン技術の物流分野への活用に関する共同研究の実施について合意し、2025年2月13日付で技術提携契約を締結した。物流業界は、2024年問題に伴う人手不足や運送コストの上昇など多岐にわたる課題に直面しており、業界全体として効率化が急務となっている。同社が提供するクラウドWMS「ロジザードZERO」は、1,800を超える物流現場で利用され、在庫管理業務における各種情報・データが日々蓄積されている。本研究では、「ロジザードZERO」の物流ビッグデータとぷらっとホームが開発するブロックチェーン技術「ThingsTokenTM」を融合させることにより、物流現場でのWeb3技術活用の可能性を引き出し、物流業界への貢献を目指すものである。「ThingsTokenTM」は、現実世界の資産(RWA: Real World Asset)である物品や設備、デバイス群を仮想化することにより、Web2の世界とWeb3の世界を結び付け、現実資産に関連するトークンエコノミクスを加速するシステムであり、ぷらっとホームの登録商標である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)
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