注目トピックス 日本株
ロジザード Research Memo(3):創業以来、WMSをクラウド経由で顧客に提供(2)
配信日時:2025/03/12 13:03
配信元:FISCO
*13:03JST ロジザード Research Memo(3):創業以来、WMSをクラウド経由で顧客に提供(2)
■ロジザード<4391>の会社概要
(2) 店舗在庫管理システム「ロジザードZERO-STORE」
「ロジザードZERO-STORE」は、店舗における在庫管理の効率化を実現するシステムである。主な機能は、在庫管理、POSレジ(他社製品との連携でオプション提供)、分析ツールの3つである。分析ツールは、店舗での売上げを自動で集計・分析する機能を持ち、販売戦略の立案に活用することができる。在庫管理とPOSレジについては、管理者(本部)と事業所(店舗)それぞれに有用な機能を提供している。在庫管理においては、管理者向けに在庫管理・売上管理・棚卸管理などの機能を提供している。本部が各事業所のデータを一元管理できるようになり、各事業所の効率的管理や全体最適化に有効だ。事業所向けにはスマートフォンを利用した売上げ・在庫登録機能、他店舗の在庫をリアルタイムで確認できる他店舗在庫照会機能などを提供している。これらの機能によって、店舗作業の効率化と消費者への迅速な対応が可能となる。
POSレジは、タブレット端末を利用する精算業務支援サービスと連携して提供している。クレジットカード処理などの基本的なレジ機能に加えて、値引きなどの単価変更、領収書印刷、店舗売上データの本部への送信機能などがある。レシートプリンターやハンディターミナルといった周辺機器との連携も容易で、汎用性の高さも特徴だ。低コストで導入可能な点も魅力である。高価なPOSレジの代わりにタブレット端末でクラウド経由でサービスを受けられるため、中小規模の企業でも気軽に導入することができる。2023年9月には高機能クラウドPOSレジ「スマレジ」との連携を開始しており、顧客の利便性と同システムの訴求力を向上させている。また、短期間での導入や充実したサポート体制なども、ほかのサービスと同様に顧客から支持される要因の1つになっている。
具体的な活用シーンとしては、消費者から商品の在庫に関する問い合わせがあった際に、スマートフォンでの在庫の確認、在庫がある場合にはバックヤードのどの棚にあるかの確認などができ、消費者への迅速な対応が可能となる。
(3) OMO支援システム「ロジザードOCE」
「ロジザードOCE」は、顧客のオムニチャネルを支援するシステムである。同社の「ロジザードZERO」や「ロジザードZERO-STORE」と連携することで、店舗・倉庫の一元化したデータを活用して消費者ごとに最適な出荷・配送を実現できる。在庫を一元管理することによって、複数のチャネルを総合的に活用するオムニチャネル戦略のスムーズな運用にも貢献する。また、他社が提供するWMSと接続して上記の機能を活用できる点も特徴だ。OMOマーケティングに対するニーズが高まりを見せるなか、同システムに対する需要は、今後も堅調に推移していくと弊社は考える。
具体的な活用シーンとしては、消費者からEC経由で注文があった際に、対象商品の在庫がある店舗・倉庫を確認し、どこから配送するのが最も効率的なのかを判断できる。
(4) 料金体系と販売チャネル
「ロジザードZERO」「ロジザードZERO-STORE」「ロジザードOCE」のうち、「ロジザードZERO」では月額固定料と月額従量料を、「ロジザードZERO-STORE」「ロジザードOCE」では月額固定料を選択でき、顧客または顧客の荷主のビジネス上の特性に合わせて利用できる。外部システムとの連携は、アプリケーションパートナーが提供するアプリとの間では、オプション料を追加することで追加開発不要で使用できる。クラウドサービスで安定した収益を上げながら、オプションなどによるアップセルもできる収益モデルだ。
販売チャネルは、同社による直接販売、代理店をとおしての営業活動がある。代理店については、「ロジザード」シリーズと連携したシステムを開発・販売するアプリケーションパートナーと、代理店などの販売パートナーに分かれている。アプリケーションパートナーには、GMOメイクショップ(株)といったEC支援システムや受注管理システムなどを開発する企業が名を連ねている。
顧客獲得の手法については、展示会やWeb広告に加え、イントロダクションパートナーと呼ばれる紹介制度など、ユニークな仕組みが導入されている。セミナーや展示会は来場者数が増加傾向にある。既存顧客には情報収集の機会として開放しており、顧客接点の創出にもつながっている。また、WMSの豊富な導入実績も後押しし、Webサイト経由での問い合わせも多い。
また、ロジザードという社名から倉庫会社と誤認されるケースもあり、そうした問い合わせに対しては、同社のネットワークから物流倉庫会社を完全無料で紹介する「ロジザード・マッチン」を提供する。これは将来の顧客獲得につながるユニークな取り組みであると弊社では考える。
3. 特徴と強み
同社のプロダクト面の強みは、短納期・低価格・高サービスに大別できる。商品の特性、管理要件、出荷先特性を顧客へのヒアリングによって的確に把握する能力と、システムの高い汎用性によって、短納期・低価格での導入が可能となっている。さらに、中小規模の企業の顧客には専門のシステムエンジニアがいない場合も多く、同社による365日対応の運用サポートサービスが顧客のIT化を支援している。
また、先述のとおりサブスクリプションモデルによる、収益の安定性と高い収益率も同社の特徴だ。顧客のニーズを的確に捉え、ブラッシュアップを継続することが解約率の低下に寄与している。今後も既存顧客の解約率を定位安定させながら新規顧客を積み増すことにより、業績は堅調に拡大するものと弊社は考えている。解約率を低く抑えながら、新規アカウント数を順調に増やしてきたことにより、MRRも順調に積み上がっている状況だ。
4. 事業環境
同社を取り巻く事業環境に関しては、日常生活へのECの浸透や物流業界の人手不足、デジタル化に対応できる人材不足という現状から、今後も順調に市場が拡大すると弊社は見ている。特に、同社の主要顧客である中小規模の企業においてはデジタル化を推進する人材が不足している。経済産業省の「2023年版中小企業白書」によると、直近1年間の人材確保状況について、IT・デジタル人材を69.4%が「採用していない」、20.7%が「不足」と回答している。また、同「2024年版中小企業白書」によると、「アナログな状況からデジタルツールを利用した業務環境に移行している状態」と回答した企業であっても回答企業のうち38.2%が「DXを推進する人材が足りない」と回答している。これらのデータからも、依然としてデジタル化を推進する人材が不足していることが窺える。このような環境のなかで、クラウド経由で簡単に導入でき、365日対応の手厚いサポート体制を備えている同社サービスへの需要は、堅調に推移していくものと弊社は見ている。また、同社によると、比較的規模の大きいBtoB企業においてもIT人材が不足しているという。2025年の崖問題で指摘されているように、オンプレミスで構築したレガシーシステムを更新できる人材が不足している状況で、クラウド経由で利用できる同社サービスに対するニーズが高まることが期待される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)
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(2) 店舗在庫管理システム「ロジザードZERO-STORE」
「ロジザードZERO-STORE」は、店舗における在庫管理の効率化を実現するシステムである。主な機能は、在庫管理、POSレジ(他社製品との連携でオプション提供)、分析ツールの3つである。分析ツールは、店舗での売上げを自動で集計・分析する機能を持ち、販売戦略の立案に活用することができる。在庫管理とPOSレジについては、管理者(本部)と事業所(店舗)それぞれに有用な機能を提供している。在庫管理においては、管理者向けに在庫管理・売上管理・棚卸管理などの機能を提供している。本部が各事業所のデータを一元管理できるようになり、各事業所の効率的管理や全体最適化に有効だ。事業所向けにはスマートフォンを利用した売上げ・在庫登録機能、他店舗の在庫をリアルタイムで確認できる他店舗在庫照会機能などを提供している。これらの機能によって、店舗作業の効率化と消費者への迅速な対応が可能となる。
POSレジは、タブレット端末を利用する精算業務支援サービスと連携して提供している。クレジットカード処理などの基本的なレジ機能に加えて、値引きなどの単価変更、領収書印刷、店舗売上データの本部への送信機能などがある。レシートプリンターやハンディターミナルといった周辺機器との連携も容易で、汎用性の高さも特徴だ。低コストで導入可能な点も魅力である。高価なPOSレジの代わりにタブレット端末でクラウド経由でサービスを受けられるため、中小規模の企業でも気軽に導入することができる。2023年9月には高機能クラウドPOSレジ「スマレジ」との連携を開始しており、顧客の利便性と同システムの訴求力を向上させている。また、短期間での導入や充実したサポート体制なども、ほかのサービスと同様に顧客から支持される要因の1つになっている。
具体的な活用シーンとしては、消費者から商品の在庫に関する問い合わせがあった際に、スマートフォンでの在庫の確認、在庫がある場合にはバックヤードのどの棚にあるかの確認などができ、消費者への迅速な対応が可能となる。
(3) OMO支援システム「ロジザードOCE」
「ロジザードOCE」は、顧客のオムニチャネルを支援するシステムである。同社の「ロジザードZERO」や「ロジザードZERO-STORE」と連携することで、店舗・倉庫の一元化したデータを活用して消費者ごとに最適な出荷・配送を実現できる。在庫を一元管理することによって、複数のチャネルを総合的に活用するオムニチャネル戦略のスムーズな運用にも貢献する。また、他社が提供するWMSと接続して上記の機能を活用できる点も特徴だ。OMOマーケティングに対するニーズが高まりを見せるなか、同システムに対する需要は、今後も堅調に推移していくと弊社は考える。
具体的な活用シーンとしては、消費者からEC経由で注文があった際に、対象商品の在庫がある店舗・倉庫を確認し、どこから配送するのが最も効率的なのかを判断できる。
(4) 料金体系と販売チャネル
「ロジザードZERO」「ロジザードZERO-STORE」「ロジザードOCE」のうち、「ロジザードZERO」では月額固定料と月額従量料を、「ロジザードZERO-STORE」「ロジザードOCE」では月額固定料を選択でき、顧客または顧客の荷主のビジネス上の特性に合わせて利用できる。外部システムとの連携は、アプリケーションパートナーが提供するアプリとの間では、オプション料を追加することで追加開発不要で使用できる。クラウドサービスで安定した収益を上げながら、オプションなどによるアップセルもできる収益モデルだ。
販売チャネルは、同社による直接販売、代理店をとおしての営業活動がある。代理店については、「ロジザード」シリーズと連携したシステムを開発・販売するアプリケーションパートナーと、代理店などの販売パートナーに分かれている。アプリケーションパートナーには、GMOメイクショップ(株)といったEC支援システムや受注管理システムなどを開発する企業が名を連ねている。
顧客獲得の手法については、展示会やWeb広告に加え、イントロダクションパートナーと呼ばれる紹介制度など、ユニークな仕組みが導入されている。セミナーや展示会は来場者数が増加傾向にある。既存顧客には情報収集の機会として開放しており、顧客接点の創出にもつながっている。また、WMSの豊富な導入実績も後押しし、Webサイト経由での問い合わせも多い。
また、ロジザードという社名から倉庫会社と誤認されるケースもあり、そうした問い合わせに対しては、同社のネットワークから物流倉庫会社を完全無料で紹介する「ロジザード・マッチン」を提供する。これは将来の顧客獲得につながるユニークな取り組みであると弊社では考える。
3. 特徴と強み
同社のプロダクト面の強みは、短納期・低価格・高サービスに大別できる。商品の特性、管理要件、出荷先特性を顧客へのヒアリングによって的確に把握する能力と、システムの高い汎用性によって、短納期・低価格での導入が可能となっている。さらに、中小規模の企業の顧客には専門のシステムエンジニアがいない場合も多く、同社による365日対応の運用サポートサービスが顧客のIT化を支援している。
また、先述のとおりサブスクリプションモデルによる、収益の安定性と高い収益率も同社の特徴だ。顧客のニーズを的確に捉え、ブラッシュアップを継続することが解約率の低下に寄与している。今後も既存顧客の解約率を定位安定させながら新規顧客を積み増すことにより、業績は堅調に拡大するものと弊社は考えている。解約率を低く抑えながら、新規アカウント数を順調に増やしてきたことにより、MRRも順調に積み上がっている状況だ。
4. 事業環境
同社を取り巻く事業環境に関しては、日常生活へのECの浸透や物流業界の人手不足、デジタル化に対応できる人材不足という現状から、今後も順調に市場が拡大すると弊社は見ている。特に、同社の主要顧客である中小規模の企業においてはデジタル化を推進する人材が不足している。経済産業省の「2023年版中小企業白書」によると、直近1年間の人材確保状況について、IT・デジタル人材を69.4%が「採用していない」、20.7%が「不足」と回答している。また、同「2024年版中小企業白書」によると、「アナログな状況からデジタルツールを利用した業務環境に移行している状態」と回答した企業であっても回答企業のうち38.2%が「DXを推進する人材が足りない」と回答している。これらのデータからも、依然としてデジタル化を推進する人材が不足していることが窺える。このような環境のなかで、クラウド経由で簡単に導入でき、365日対応の手厚いサポート体制を備えている同社サービスへの需要は、堅調に推移していくものと弊社は見ている。また、同社によると、比較的規模の大きいBtoB企業においてもIT人材が不足しているという。2025年の崖問題で指摘されているように、オンプレミスで構築したレガシーシステムを更新できる人材が不足している状況で、クラウド経由で利用できる同社サービスに対するニーズが高まることが期待される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)
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