みんかぶニュース コラム

明日の株式相場に向けて=米経済スタグフレーション兆候で春の嵐も

配信日時:2025/02/25 17:30 配信元:MINKABU
 3連休明けとなった(25日)の東京株式市場は日経平均株価が前営業日比539円安の3万8237円と急反落。前週末の米国株市場ではNYダウが今年最大となる750ドル近い下げに見舞われ、75日移動平均線を大陰線で踏み抜くという派手な下落を演じた。更にハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数の下げは一段と厳しく、下落率でダウを上回る急落を余儀なくされた。週明け24日はダウの方はかろうじて下げ止まったものの自律反発とも呼べない小幅な上昇にとどまり、ナスダック指数の方は大幅続落。ショート筋にすればここぞとネガティブ材料の大合唱となりがちな毎度お馴染みの風景となった。  しかし、そうしたなか東京市場では日経平均が先物主導で一気に3万8000円大台攻防の水準まで大きく下押す可能性が意識されたが、思ったよりは底堅かった。これまで繰り返されてきた3万8000~4万円のゾーンの往来相場であれば、ここはそろそろ買い向かってもいい頃合いであり、キャッシュポジションを高めていた投資家サイドとしては、買い出動するか見送るか思案に暮れる場面に遭遇している。  一つ気をつけなければいけないのは、米国株の下げの背景だ。これまではFRBによる利下げ期待が株高の根拠で、強い経済指標はバッドニュースと受け止められるケースが多く、弱い指標が好まれる傾向があった。ところが前週末の急落は、これまでの公式が当てはまらなかった。発表された2月の米購買担当者景気指数(PMI)が49.7と事前予想に反して低下し50を下回り、1年5カ月ぶりの低い水準。更に同日開示された1月の米中古住宅販売件数もコンセンサスを下回る結果となり、米景気は減速モードであることを複数の指標が明示した。そのなかリスクオフの引き金を引いたのは、2月のミシガン大学米消費者態度指数で1年先の予想インフレ率が4.3%と大幅上昇し、こちらは1年3カ月ぶりの高水準となったことだ。つまり景気が停滞感を指し示すなか、物価高への懸念がにわかに急浮上し、スタグフレーションという亡霊が再び姿を現したことになる。  また、AI用半導体関連や光ファイバーなどデータセンター関連への見方も揺れまくっており、マグニフィセントセブンの古参グループに属する2社の動きに思惑が錯綜した。24日にアップル<AAPL>が米国で5000億ドル(日本円で約75兆円)以上を投資すると発表、AIサーバーの生産を重点に置いた投資を行うとしたのだが、同日にマイクロソフト<MSFT>は一部のデータセンターのリースを解約したことを発表するなど、AIデータセンター関連の現在地が霧に包まれ確認しにくくなっている印象を受ける。  26日のAI関連の象徴株であるエヌビディア<NVDA>の四半期決算発表を目前に、何か株価下落のお膳立てができているような雰囲気があり、強気派としては穏やかではない。加えて、ここビットコイン価格が下落基調となっていることも気がかりだ。「暗号資産取引所バイビットの巨額のハッキング被害が取り沙汰されるなか、トランプ政権下での仮想通貨フィーバーがアダ花となる警戒感も拭えない」(ネット証券アナリスト)という指摘が出ている。仮想通貨の動向とエヌビディアの株価との連動性も高い。  他方、光明となったのは三菱商事<8058.T>を筆頭とする総合商社株だ。米著名投資家のウォーレン・バフェット氏が公表したバフェットレターで、今まで10%未満としていた5大商社の保有上限を緩和することで5社と合意したと明らかにし、時間の経過とともに持ち分比率は若干上昇するかもしれないとの見解をオマケでつけた。たったこれだけで、マーケットは過剰なまでの反応を示し総合商社株は軒並み大幅高に買われた。もっともこれがバリュー株シフトの号砲となったかは不明で、穿った見方では、売り場を探しているがゆえの「売りたい強気」であるという声も市場では聞かれた。何より買い増すというような具体的な投資行動には一切言及しておらず、マーケットの勝手解釈の域に過ぎないのだが、それにしても御年94歳にして衰えぬカリスマ性には恐れ入るというよりない。  あすのスケジュールでは、12月の景気動向指数改定値、基調的なインフレ率を捕捉するための指標など。海外では20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議(~27日)、タイ中銀の政策金利発表、1月の米新築住宅販売件数など。インド市場は休場となる。なお、この日はエヌビディア<NVDA>、セールスフォース・ドット・コム<CRM>の決算発表が予定され、マーケットの関心が高い。(銀) 出所:MINKABU PRESS

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