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FB Research Memo(9):新中期経営計画「SiLK VISION 2027」がスタート
配信日時:2025/01/22 13:09
配信元:FISCO
*13:09JST FB Research Memo(9):新中期経営計画「SiLK VISION 2027」がスタート
■中長期戦略の方向性
1. 10ヶ年計画の方向性とロードマップ
フリービット<3843>は、5G/web3時代の到来やその先の6Gを見据え、2021年〜2030年にかけての10ヶ年計画を推進している。これまで通信インフラ事業で培ってきた技術的優位性に加え、独自開発したレイヤ1ブロックチェーン技術を組み合わせたWeb2.0とweb3のハイブリッド手法により段階的・補完的にweb3を社会実装することで「通信生まれのweb3実装企業~Platform Maker~」として進化し、複雑化する社会課題の解決と持続的な成長を実現する方針である。つまり、web3の時代においては、これまでのように巨大なITプラットフォーマーにゆだねるのではなく、様々なプラットフォーマーが分散された状態で社会を前に進めるような未来を創っていくために、新しく立ち上がってくるプラットフォーマーを「Building Blocks」(限界コストゼロ)で支援する高付加価値型事業への転換を目指している。そのためのロードマップとして10年間を3つのフェーズに分け、「SiLK VISION 2024」をPre 5G/web3(成長事業の創出)、「SiLK VISION 2027」をCore 5G/web3(社会実装と成長加速)、「SiLK VISION 2030」を6G/web4 Standby(事業拡張とグローバル展開)と位置付けている。
2. これまでの経緯
Pre 5G/web3(成長事業の創出)として位置付けた前中期経営計画「SiLK VISION 2024」では、1) ポートフォリオの整理に着手したうえで、2) 最終年度の売上高500億円、営業利益50億円の実現を目指すことと、3) 新規事業や技術開発への先行投資を行うことを重視して取り組んできた。特に世界的な成長領域と考えるモバイル革命領域(5Gインフラ支援)、生活革命領域(5G生活様式支援)、生産革命領域(企業・クリエイター 5G DX支援)にフォーカスするとともに、5G Infra Platform(MVNE、固定網、クラウドなど)や5G Homestyle(集合住宅向けインターネットサービス)などの既存事業を「パフォーマンスゾーン」と位置付け、そこから創出されたキャッシュを、成長事業への転換を図る「トランスフォーメーションゾーン」(5G Lifestyle TONE/DTI等)や革新的なシード創出を目指す「インキュベーションゾーン」(5G Workstyle、5G Heathstyle、StandAlone等)への戦略投資に振り向けてきた。その結果、1) については事業のオフバランス化や垂直統合により財務的な改善(ネットキャッシュ、自己資本比率等)が図れたほか、2) についても、既存事業における主力サービスの伸びや業務効率の推進などにより業績目標を達成できた。また、3) については、「トーンモバイル」における5G/web3を見据えた各種サービスの展開や、さらには「TONE Care」「TONE Coin」「TONE Chain」「ONE VISION」「StandAlone」など、今後に向けていくつものタネ(各種シード事業)を生み出した。
3. 新中期経営計画「SiLK VISION2027」の概要
(1) 位置付け及び方向性
2024年7月に10ヶ年計画の第2ステージにあたる新中期経営計画「SiLK VISION 2027」を公表した。前中期経営計画で創出してきた各種シード事業の社会実装に加え、既存事業の成長に合わせたM&A戦略の実行、業務提携による戦略ポートフォリオの拡大に取り組む。併せて、「Trusted Web」※の概念に則った事業展開を推進し、既存の高収益化ビジネスから高PER化に向けて、最終的には通信生まれのweb3実装企業への転換(カテゴリーチェンジを含む)につなげる考えである。
※ インターネット上のデータのやり取りにおいて、データの信頼性を確保する仕組みを構築する構想。同社は「信用の所在地」の追求という表現で、自らの存在価値を高める方向性を示している。
(2) web3社会実装に向けた象徴的な取り組み
1) 医療DX
2024年5月に日本最大クラスの病床数/臨床データ基盤を持つ藤田学園と医療DX等における共同研究開発の基本合意書を締結した。政府の推進する医療DXとTrusted Web構想の概念設計に基づくサービスを構築し、「データの信頼性と検証可能性の向上」「国民の健康推進と医療サービスの質の向上」の実現を目指すものである。具体的な動きとして、ヘルスケアデータの管理・活用、マイナンバーカードをトラストアンカーとした共通IDに関する共同事業、各病院や研究機関・国・自治体などへの技術提供の検討を進めている。本件が実現すれば、個人が医療情報を管理できるようになり、過去の治療歴や診断結果などの情報を各医療機関と共有することで、診療の効率と質の向上はもちろん、医療リソースの不足や合理化などの課題解決にも貢献できる。
2) 「One Vision」構想
web3によるステークホルダーコミュニティ実証実験「One Vision」の新しい株主還元策として、株主自身のスマートフォンでブロックチェーンが動作する「フリービット株主DAO」アプリを2024年6月より提供開始した。参加メリットとして、ブロックチェーンのシーリング(マイニング)報酬として「TONE Coin」の獲得、株主専用コミュニティへの参加と貢献トークンの獲得(予定)、同社グループの先進的な実証実験への参加(予定)などが挙げられる。同社では「One Vision」を通し、同社に関わる顧客・株主・従業員がコミュニティとして1つのビジョンを共有し、世界規模のL1ブロックチェーンを運営する計画である。これにより、web3時代の新しいステークホルダーコミュニティを基盤としてスマートフォンの待機電力とCPUを利用した地球にやさしいブロックチェーンネットワークを維持するという社会実験に貢献し、世界一規模の「非中央集権化」を実現したブロックチェーンコミュニティを目指している。
(3) 財務戦略と業績目標
事業活動で創出する営業キャッシュフローを原資として、「成長投資」「株主還元」「健全な財務体質の維持」の3つのバランスを考慮したキャピタルアロケーションを目指している。具体的には営業キャッシュフロー(3年間累計120億円以上)を「成長投資」に75億円以上、「株主還元」に30億円程度、「その他(サステナビリティ、人的投資、内部留保)」に15億円程度を配分していく考えだ。
また、最終年度(2027年4月期)の業績目標として、売上高63,000百万円~70,000百万円、営業利益8,000百万円(年平均成長率13%)を掲げている。売上高目標がレンジ形式となっているのは、ソフトウェアで提供するのか、ハードウェアも組み合わせた形で提供するのかの違いによって売上高が変動するためである。利益目標については、提供形態にかかわらず生み出される付加価値をコミットする水準として設定しているようだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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1. 10ヶ年計画の方向性とロードマップ
フリービット<3843>は、5G/web3時代の到来やその先の6Gを見据え、2021年〜2030年にかけての10ヶ年計画を推進している。これまで通信インフラ事業で培ってきた技術的優位性に加え、独自開発したレイヤ1ブロックチェーン技術を組み合わせたWeb2.0とweb3のハイブリッド手法により段階的・補完的にweb3を社会実装することで「通信生まれのweb3実装企業~Platform Maker~」として進化し、複雑化する社会課題の解決と持続的な成長を実現する方針である。つまり、web3の時代においては、これまでのように巨大なITプラットフォーマーにゆだねるのではなく、様々なプラットフォーマーが分散された状態で社会を前に進めるような未来を創っていくために、新しく立ち上がってくるプラットフォーマーを「Building Blocks」(限界コストゼロ)で支援する高付加価値型事業への転換を目指している。そのためのロードマップとして10年間を3つのフェーズに分け、「SiLK VISION 2024」をPre 5G/web3(成長事業の創出)、「SiLK VISION 2027」をCore 5G/web3(社会実装と成長加速)、「SiLK VISION 2030」を6G/web4 Standby(事業拡張とグローバル展開)と位置付けている。
2. これまでの経緯
Pre 5G/web3(成長事業の創出)として位置付けた前中期経営計画「SiLK VISION 2024」では、1) ポートフォリオの整理に着手したうえで、2) 最終年度の売上高500億円、営業利益50億円の実現を目指すことと、3) 新規事業や技術開発への先行投資を行うことを重視して取り組んできた。特に世界的な成長領域と考えるモバイル革命領域(5Gインフラ支援)、生活革命領域(5G生活様式支援)、生産革命領域(企業・クリエイター 5G DX支援)にフォーカスするとともに、5G Infra Platform(MVNE、固定網、クラウドなど)や5G Homestyle(集合住宅向けインターネットサービス)などの既存事業を「パフォーマンスゾーン」と位置付け、そこから創出されたキャッシュを、成長事業への転換を図る「トランスフォーメーションゾーン」(5G Lifestyle TONE/DTI等)や革新的なシード創出を目指す「インキュベーションゾーン」(5G Workstyle、5G Heathstyle、StandAlone等)への戦略投資に振り向けてきた。その結果、1) については事業のオフバランス化や垂直統合により財務的な改善(ネットキャッシュ、自己資本比率等)が図れたほか、2) についても、既存事業における主力サービスの伸びや業務効率の推進などにより業績目標を達成できた。また、3) については、「トーンモバイル」における5G/web3を見据えた各種サービスの展開や、さらには「TONE Care」「TONE Coin」「TONE Chain」「ONE VISION」「StandAlone」など、今後に向けていくつものタネ(各種シード事業)を生み出した。
3. 新中期経営計画「SiLK VISION2027」の概要
(1) 位置付け及び方向性
2024年7月に10ヶ年計画の第2ステージにあたる新中期経営計画「SiLK VISION 2027」を公表した。前中期経営計画で創出してきた各種シード事業の社会実装に加え、既存事業の成長に合わせたM&A戦略の実行、業務提携による戦略ポートフォリオの拡大に取り組む。併せて、「Trusted Web」※の概念に則った事業展開を推進し、既存の高収益化ビジネスから高PER化に向けて、最終的には通信生まれのweb3実装企業への転換(カテゴリーチェンジを含む)につなげる考えである。
※ インターネット上のデータのやり取りにおいて、データの信頼性を確保する仕組みを構築する構想。同社は「信用の所在地」の追求という表現で、自らの存在価値を高める方向性を示している。
(2) web3社会実装に向けた象徴的な取り組み
1) 医療DX
2024年5月に日本最大クラスの病床数/臨床データ基盤を持つ藤田学園と医療DX等における共同研究開発の基本合意書を締結した。政府の推進する医療DXとTrusted Web構想の概念設計に基づくサービスを構築し、「データの信頼性と検証可能性の向上」「国民の健康推進と医療サービスの質の向上」の実現を目指すものである。具体的な動きとして、ヘルスケアデータの管理・活用、マイナンバーカードをトラストアンカーとした共通IDに関する共同事業、各病院や研究機関・国・自治体などへの技術提供の検討を進めている。本件が実現すれば、個人が医療情報を管理できるようになり、過去の治療歴や診断結果などの情報を各医療機関と共有することで、診療の効率と質の向上はもちろん、医療リソースの不足や合理化などの課題解決にも貢献できる。
2) 「One Vision」構想
web3によるステークホルダーコミュニティ実証実験「One Vision」の新しい株主還元策として、株主自身のスマートフォンでブロックチェーンが動作する「フリービット株主DAO」アプリを2024年6月より提供開始した。参加メリットとして、ブロックチェーンのシーリング(マイニング)報酬として「TONE Coin」の獲得、株主専用コミュニティへの参加と貢献トークンの獲得(予定)、同社グループの先進的な実証実験への参加(予定)などが挙げられる。同社では「One Vision」を通し、同社に関わる顧客・株主・従業員がコミュニティとして1つのビジョンを共有し、世界規模のL1ブロックチェーンを運営する計画である。これにより、web3時代の新しいステークホルダーコミュニティを基盤としてスマートフォンの待機電力とCPUを利用した地球にやさしいブロックチェーンネットワークを維持するという社会実験に貢献し、世界一規模の「非中央集権化」を実現したブロックチェーンコミュニティを目指している。
(3) 財務戦略と業績目標
事業活動で創出する営業キャッシュフローを原資として、「成長投資」「株主還元」「健全な財務体質の維持」の3つのバランスを考慮したキャピタルアロケーションを目指している。具体的には営業キャッシュフロー(3年間累計120億円以上)を「成長投資」に75億円以上、「株主還元」に30億円程度、「その他(サステナビリティ、人的投資、内部留保)」に15億円程度を配分していく考えだ。
また、最終年度(2027年4月期)の業績目標として、売上高63,000百万円~70,000百万円、営業利益8,000百万円(年平均成長率13%)を掲げている。売上高目標がレンジ形式となっているのは、ソフトウェアで提供するのか、ハードウェアも組み合わせた形で提供するのかの違いによって売上高が変動するためである。利益目標については、提供形態にかかわらず生み出される付加価値をコミットする水準として設定しているようだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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