注目トピックス 経済総合
NYの視点:トランプ次期米政権による関税策を睨む
配信日時:2025/01/07 07:39
配信元:FISCO
*07:39JST NYの視点:トランプ次期米政権による関税策を睨む
米議会は6日、トランプ氏の大統領選挙勝利を認証した。20日に大統領就任式が行われ、トランプ次期政権が発足する。
ワシントン・ポストは、関係筋の話として、次期政権が関税策において、「重要な輸入品に一律の関税導入を検討」と選挙戦での公約、全輸入品に10%、20%の関税を課すと方針を譲歩する可能性を報じた。ドルは売られ、安心感から特に新興通貨が買われた。
報道では、対象となる部門として、11の商品が言及された。
●防衛関連のサプライチェーン
鋼鉄
鉄
アルミ
銅
●医療サプライ
注射器
針
薬瓶
医薬品の材料
●燃料
電池
希土類鉱物
ソーラーパネル
これに対し、トランプ氏はソーシャルメデイアで投稿し、関係筋などというものはいない、間違った情報だと、一蹴した。金融市場ではトランプ氏が経済政策の柱として選挙戦から主張している関税の行方を睨み今後も神経質な展開が予想される。
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ワシントン・ポストは、関係筋の話として、次期政権が関税策において、「重要な輸入品に一律の関税導入を検討」と選挙戦での公約、全輸入品に10%、20%の関税を課すと方針を譲歩する可能性を報じた。ドルは売られ、安心感から特に新興通貨が買われた。
報道では、対象となる部門として、11の商品が言及された。
●防衛関連のサプライチェーン
鋼鉄
鉄
アルミ
銅
●医療サプライ
注射器
針
薬瓶
医薬品の材料
●燃料
電池
希土類鉱物
ソーラーパネル
これに対し、トランプ氏はソーシャルメデイアで投稿し、関係筋などというものはいない、間違った情報だと、一蹴した。金融市場ではトランプ氏が経済政策の柱として選挙戦から主張している関税の行方を睨み今後も神経質な展開が予想される。
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NYの視点:米12月NY連銀調査:インフレ見通しはまちまち、雇用や消費動向に弱さも
*08:43JST NYの視点:米12月NY連銀調査:インフレ見通しはまちまち、雇用や消費動向に弱さも
NY連銀は12月の消費者調査結果を発表した。今後12カ月の消費者のインフレ期待は3%と、11月の2.97%から上昇した。今後3年も2.97%と、11月2.57%から上昇。一方で、5年は2.72%と、11月2.86%から低下した。ガソリン価格予想は2022年9月来で最低となった。今後3カ月に債務返済が滞る確率は14.16%と、11月の13.15%から上昇。パンデミックによる経済封鎖直後の2020年4月来の水準となった昨年9月に並ぶ高水準となった。また、仕事を失った場合、新たな職が見つかる確率は50.2%と、11月54.1%から大幅に低下し、2021年4月来で最低となった。最新の雇用関連指標が示した強い内容と、対照的な結果となった。今後12カ月間に仕事を失う確率は11.9%と、11月12.5%から1.6%ポイント低下。今後12カ月間に自主的に離職する確率は18.2%と、20.2%から2%低下し、それぞれ2024年1月来で最低となった。雇用削減はしないが、新規雇用も控えている企業の姿勢に一致する。賃金の伸び予想は+2.8%と、11月+3.1%から低下し2021年5月来で最低。調査では、労働市場の状況や消費者動向は他のデータ程強くない。●米・12月NY連銀消費者調査:■インフレ期待1年:3%(予想3.02%、11月+2.97%)3年:2.97%(11月2.57%)5年:2.72%(11月2.86%)住宅価格+3.1%(11月3%)食品価格+4.05%ガソリン価格+2%衣料コスト+5.76%大学教育コスト+5.67%賃貸+5.54%■雇用今後12カ月間で仕事を失う確率:11.9%(11月12.5%)今後12カ月間に自主的に離職する確率:18.2%(20.2%)仕事を失った場合、新たな職が見つかる確率:50.2%(54.1%)、2021年4月来で最低■賃金賃金の伸び:+2.8%(11月+3.1%)、2021年5月来で最低今後3カ月間に債務返済が滞る確率:14.16%(11月13.15%)
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2025/01/14 08:43
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国内外の注目経済指標:12月米コアCPIは高止まりの可能性
*13:22JST 国内外の注目経済指標:12月米コアCPIは高止まりの可能性
1月13日-17日に発表予定の経済指標の予想については以下の通り。■14日(火)午前8時50分発表予定○(日)11月経常収支-予想は+2兆6936億円参考となる10月実績は+2兆4569億円。前年同月比で黒字幅は縮小したが、「第一次所得収支」は3兆円超の黒字を計上。11月については「第一次所得収支」で高水準の黒字が想定されることから、2兆円をこえる黒字となる可能性がある。■15日(水)午後10時30分発表予定○(米)12月消費者物価コア指数-予想は前年比+3.3%参考となる11月実績は前年比+3.3%。サービス価格の上昇率が短期間で大幅に低下する状況ではないため、12月のコアインフレ率は11月実績と同水準となる可能性がある。■16日(木)午後10時30分発表予定○(米)12月小売売上高-予想は前月比+0.5%参考となる11月実績は前月比+0.7%。自動車・同部品の売上が伸びたことが要因。12月については消費者信頼感がまずまず良好であることから、前月比プラスとなる可能性が高い。■17日(金)午前11時発表予定○(中)10-12月期国内総生産-予想は前年比+5.0%外需はまずまず順調。投資や消費など内需は、一進一退の状況にあるものの、政策による下支えの効果が出ていることから、10-12月期については7-9月期の実績(前年比+4.6%)をやや上回る可能性がある。○その他の主な経済指標の発表予定13日(月):(中)12月貿易収支14日(火):(米)12月生産者物価指数15日(水):(欧)11月ユーロ圏鉱工業生産16日(木):(豪)12月失業率17日(金):(米)12月住宅着工件数、(米)12月鉱工業生産
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2025/01/11 13:22
注目トピックス 経済総合
金は高金利・ドル高でも地合いは強い サンワード証券の陳氏
*17:45JST 金は高金利・ドル高でも地合いは強い サンワード証券の陳氏
皆さん、こんにちは。今回は、金についてのレポートを紹介します。陳さんはまず、『金は高金利・ドル高でも地合いは強い』と述べています。続いて、『週明け6日のNY金相場は、米長期金利の上昇を背景に売りが優勢となり、反落した。前週末比7.30ドル(0.27%)安の1オンス=2647.40ドル』と伝え、『トランプ次期米大統領による関税強化策が一部に限定されるとの米紙の報道を受け、米長期金利は朝方に一時低下。ただ報道が消化されると、国債入札を前にした警戒感から長期金利が上昇に転じたため、金利を生まない金の投資妙味が薄れた。金は2624ドル付近まで値を下げる場面があった。米金利、ドルがいずれも上昇するという逆風の中、金相場の地合いは堅調で、下値は限定的だった』と解説しています。次に、『米連邦準備制度理事会(FRB)が、2025年の利下げペース鈍化を示唆したことから、その見通しを考察する手掛かりとなる今週発表予定の経済指標が注目されている。7日発表の11月の米雇用動態調査は強い内容だった。8日発表の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨はややタカ派的な内容だった』と述べています。NY金予想レンジは、『2600~2700ドル』と想定しています。一方、『OSE金は、円安にサポートされて上昇基調を強めている。日銀は12月18―19日の金融政策決定会合で、政策金利を0.25%程度で据え置くことを決めた。経済・物価ともに前回10月の決定会合での判断を維持した』と伝え、『日米の金融政策の違いから、1ドル=158円台まで円安が進み、OSE金も1万3500円台に上昇。昨年つけた最高値にトライする可能性がある』と考察しています。予想レンジは、『1万3200~1万3800円』と想定しています。参考にしてみてくださいね。上記の詳細コメントは、ブログ「テクニカルマイスター」の1月9日付「金は高金利・ドル高でも地合いは強い」にまとめられていますので、ご興味があればご覧ください。
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2025/01/10 17:45
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NYの視点:米12月雇用統計、先行指標は減速の兆しも、鈍化が証明されると利下げ観測再燃へ
*08:12JST NYの視点:米12月雇用統計、先行指標は減速の兆しも、鈍化が証明されると利下げ観測再燃へ
米労働省が発表する12月雇用統計では市場エコノミストの平均予想で失業率が4.2%で前月から変わらず。非農業部門雇用者数は+16.5万人と、前月の+22.7万人から伸び鈍化が予想されている。先行指標のひとつとして注目される民間部門の雇用者数を示すADP雇用統計の12月分は+12.2万人と、11月+14.6万人から予想以上に伸びが鈍化した。8月来で最低の伸びとなった。最新11月JOLT求人件数は809.8万件と、予想外に5月来の800万件台を回復した。ただ、内容では求人件数は4.8%と、6月以来の高水準となったが、一部鈍化基調も見られる。労働者の市場への自信を表明すると見られる自主退職率は1.9%と、前月2.1%から再び低下。自主退職数は306.5万人と、パンデミックにより経済が封鎖された直後の20年8月来で最低となった。採用率も3.3%と、3.4%から低下した。採用者数は526.9万人と、1年間で30万人減少した。米国経済の7割を消費が占めるため注目されるISM非製造業の雇用は51.4と、51.5から低下し、9月来で最低。ただ、活動の拡大となる50を3カ月連続で上回った。ISM製造業の雇用は45.3と、48.1からさらに低下。7カ月連続の50割れで活動の縮小となった。雇用関連指標は依然強弱まちまちながら労働市場は過熱の状況から鎮静化しつつある。雇用減速の証拠も見られ、雇用統計が予想を下回ると、年内の利下げ観測が強まり、ドル売り圧力となる可能性がある。■米12月雇用統計の先行指標●ADP雇用統計:+12.2万人(予想:+14万人、11月:+14.6万人)●JOLT求人:809.8万件(11月783.9万件)●ISM製造業雇用:45.3(48.1)●ISM非製造業雇用:51.4(51.5)●新規失業保険申請件数1/4:20100012/28:21100012/21:220000●消費者信頼感指数:104.7(11月99.2)雇用(%)十分:37.0(11月33.6)不十分:48.2(51.2)雇用を得るのが困難:14.8(15.2)6か月後雇用:増加:19.1(22.8)減少:21.3(17.9)不変:59.6(59.3)所得増加:17.2(20.7)減少:14.3(12.1)不変:68.5(67.2)●米雇用統計予想失業率:4.2%(11月4.2%)非農業部門雇用者数:+16.5万人(+22.7万人)平均時給:前月比+0.3%、前年比+4.0%(+0.4%、+4.0%)
<NH>
2025/01/09 08:12
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ドル円今週の予想(1月6日)サンワード証券の陳氏
*18:07JST ドル円今週の予想(1月6日)サンワード証券の陳氏
皆さん、こんにちは。今回は、ドル円についてのレポートを紹介します。陳さんはまず、今週のドル円について『今週のドル円は、押し目買いが継続しよう』と述べています。続けて、『米連邦準備理事会(FRB)は昨年12月17-18日に開催した連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を0.25%ポイント引き下げて4.50%とした。同時に公表した金利・経済見通しでは2025年の利下げ回数が2回と想定され、9月の前回見通しの4回から半減した』と伝えています。一方で、『日銀は18-19日の金融政策決定会合で、政策金利を0.25%程度で据え置くことを決めた。経済・物価ともに前回10月の決定会合での判断を維持した』と伝えています。陳さんは、『FOMCは、利下げしたものの「タカ派」的会合となり、日銀は金利据え置きとなったものの「ハト派」的会合となった』と述べています。そして、『今週は、8日に米連邦公開市場委員会(FOMC)(12月18-19日分)議事要旨、10日に12月米雇用統計が発表される。議事要旨で利下げに慎重な文言があればドル買いが強まろう。また、雇用統計でも良好な結果が出た場合、ドル高が一段と進むだろう』と考察しています。参考にしてみてくださいね。上記の詳細コメントは、ブログ「テクニカルマイスター」の1月7日付「ドル円今週の予想(1月6日)」にまとめられていますので、ご興味があればご覧ください。
<CS>
2025/01/08 18:07
注目トピックス 経済総合
南アフリカランド円今週の予想(1月6日)サンワード証券の陳氏
*18:05JST 南アフリカランド円今週の予想(1月6日)サンワード証券の陳氏
皆さん、こんにちは。今回は、南アフリカランド円についてのレポートを紹介します。陳さんはまず、今週の南アフリカランド円について、『南アフリカの格付け改善を背景に値固めとなりそうだ』と述べています。続けて、『12月に発表された南アの経済指標は総じて良好な内容で、インフレ圧力が急速に和らぎつつあることから、南アフリカ中銀の追加利下げ期待もあって南アフリカ経済に復調期待が強まっている』と伝えています。また、『経済的な結び付きの強い中国では、中国共産党指導部が2025年に金融緩和と財政支出の拡大を進める方針を発表しており、経済の回復期待が高まっている』と述べています。さらに、『格付け会社S&Pは昨年12月、南アフリカの見通しを「安定的」から「ポジティブ」に変更した』と伝えています。陳さんは、『日銀による追加利上げ観測が大幅に後退したことで、日本円と南アランドの金利差が意識され、ランド買い・円売りが進みやすいだろう』と考察しています。南アフリカランド円の今週のレンジについては、『8.40円~8.70円』と予想しています。上記の詳細コメントは、ブログ「テクニカルマイスター」の1月7日付「南アフリカランド円今週の予想(1月6日)にまとめられていますので、ご興味があればご覧ください。
<CS>
2025/01/08 18:05
注目トピックス 経済総合
NYの視点:米11月JOLT求人件数予想外の増加も内容冴えず、自主退職者数はパンデミック来で最低
*07:44JST NYの視点:米11月JOLT求人件数予想外の増加も内容冴えず、自主退職者数はパンデミック来で最低
米国労働統計局が発表した11月JOLT求人件数は809.8万件と、10月783.9万件から増加し、予想外に5月来の800万件台を回復した。年末年始に向けたサービス業での雇用が増加した結果と見られる。内容で求人件数は4.8%と、6月以来の高水準となった。一部鈍化基調も見られる。労働者の市場への自信を表明すると見られる自主退職率は1.9%と、前月2.1%から再び低下。自主退職数は306.5万人と、パンデミックによる経済封鎖した直後20年8月来で最低となった。採用率も3.3%と、3.4%から低下した。採用者数は526.9万人と、1年間で30万人減少した。雇用削減率は1.1%で変わらず。求人件数が増加したため、失業者1人に対する求人件数は1.133件と、10月の1.122件から増加。しかし、パンデミック前の1.2件を依然下回る。求人件数の増加やISM非製造業が予想を上回ったため短期金融市場では年1回の利下げと、一段と利下げペースの鈍化が織り込まれた。しかし、緩やかながら、雇用の減速も示されており、雇用統計で予想以上の減速が示されると、年内の利下げ観測がさらに強まり、ドルの上昇を妨げる可能性もある。■11月労働市場ダッシュボード求人件数:4.8%(10月4.7%)雇用削減率:1.1%(1.1%)自主的退職率:1.9%(2.1%)採用率:3.3%(3.4%)失業率:4.2%(4.1%)不完全雇用率(U6):7.8%(7.7%)非農業部門雇用者数:+22.7万人(+3.6万人)平均時給:前月比+0.4%、前年比+4.0%(+0.4%、+4.0%)
<CS>
2025/01/08 07:44
注目トピックス 経済総合
英国の対中政策、苦境の1週間【中国問題グローバル研究所】
*10:23JST 英国の対中政策、苦境の1週間【中国問題グローバル研究所】
◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページ(※1)でも配信しているフレイザー・ハウイーの考察をお届けする。次々と明らかになる事実ここ1週間ほど、英国各紙が報じる記事には、中華人民共和国が英国内に及ぼす影響力を懸念する人々に不安を抱かせる内容が続いている。最も注目を集めているのは、アンドリュー王子と親しい関係にあった人物が、長年にわたり中央統一戦線工作部(United Front Work Department:UFWD)に所属していることが明らかになった一件である。UFWDは潤沢な資金に恵まれた中国共産党の組織で、中国共産党の立場と政策に対する中国内外の支持の強化を図っている。その役割は、「世界を中国共産党にとって安全な場所にすること」だと言われている。奔放なことで知られる英国のメディアは、この人物(楊騰波氏)をスパイと報じているが、正確にはスパイではない。スパイというと映画のジェームズ・ボンドやMI6、CIA、旧ソ連のKGBなどを思い浮かべるが、楊氏が中国国家安全部(MSS)に所属しているとはまず考えられない。UFWDは実際のところ、潜入して機密情報を盗んだり工作員をリクルートしたりする従来のスパイとは趣が異なり、その活動は捉えにくい。UFWDの役割は、中国に関わる発言や国家間関係が常に中国共産党寄りになるよう影響を及ぼすことだ。広範囲にわたるUFWDの方針に進んで賛同する場合は、紹介状や中国内での行事への招待、高官代表団の受け入れなど、さまざまな恩恵を受けることができる。詳しくは後に触れよう。さらに、この1週間には、税逃れが目的と思われる中国のダミー会社約3万社が英国で登記されていたという報道もあった。その多くが主力事業とは関係のない同一住所で登記され、実際には100%外国企業でありながら英国企業としてeBayなどのウェブサイトで売買を行っていた。そして納税が必要になると営業を停止し、新しい会社として登記される。時に信じられないほどの安値で中国製品を購入できるディスカウントサイトの増加がこうした動きを煽っており、急速に変化する小売環境の実態に課税制度が追いついていないことを浮き彫りにしている。追い打ちをかけるように、ザ・テレグラフは慈善団体「UK China Transparency」から近日発表される報告書を引用する形で、外務省の高官通訳が、中国共産党のニュースや政策を広める中国語のウェブサイト(これもUFWDの幅広い傘下にある)を運営していると報じた。2015年に撮影された写真を見ると、この通訳者(陈时荣氏)はディナーの席で習近平氏の又隣に座っている。これらは、英国をはじめ世界各国での中国の影響力増大を懸念する中国ウォッチャーにとっては衝撃的な報道であった。英中関係の「黄金期」を築いたデイヴィッド・キャメロン氏とジョージ・オズボーン氏の愚行が次第に明らかになる中、最近の一連の報道で長年にわたる影響が明るみに出たことで、UFWDがいかに深く政財界に浸透していたかが如実に示された。転換点となるか友人を選ぶアンドリュー王子の人選眼は、以前から疑問視されてきた。王子はもはや王室の公務から退いており、マーケティングパーソンが言うところの彼の「ブランド」も、友人関係にあった故ジェフリー・エプスタイン氏が性的人身取引で有罪判決を受けたことで傷つき、回復は望めそうにない。そのアンドリュー王子が今度は中国の「スパイ」と親しい間柄であったようだとなれば、イメージはさらに悪化する。英国の王族に政治的影響力はないが、その存在は人々を惹きつける力があり、王室イベントへの招待を辞退する人などいない。楊騰波氏が目をつけたのはアンドリュー王子のイベント「Pitch@Palace」だ。バッキンガム宮殿でのイベントで若いイノベーターや起業家、スタートアップ経営者が投資者候補に出会えるというプログラムだ。楊氏はこれに関心を持ち、自身も加わった。そしてこのアイデアを拝借して中国でよく似たプログラムを打ち出し、アンドリュー王子のアドバイザーから、中国関連のイベントや交流会で実質的に王子の代理として発言していいという了承を得るまでに至った。その結果、楊氏は特等席で目にした英国内の新しいアイデアや技術を中国に伝え、中国共産党はそれを基に自らに有益とみられる技術の購入、盗用、模倣を戦略的に試みてきた。手段を問わず外国の先端技術を中国に持ち込むことは数十年来の中国共産党の政策である。中国による知的財産の盗用やリバースエンジニアリングに苦い経験をした国は多い。在英中国大使館は当然のことながら楊氏がスパイであることを否定し、「問題を起こすことをやめるよう」英国側に伝えた。実際に楊氏はスパイとは言えず、その点がUFWDの見事なやり口だ。事業団体、国際交流振興を目的に掲げる友好団体、学生団体など、数多くの社会団体の背後にUFWDがいる。そして常に中国共産党の主張に沿ったメッセージが発信され、その主張に異を唱える者は何らかの形で排除されていくが、それ以外にスパイ工作を示唆するものはなにもない。_気の滅入る発覚が相次いだ一週間だったが、希望の兆しがないわけではない。対中政策を一から見直すチャンスといえるからだ。アンドリュー王子の一件をきっかけに、中国の影響力を巡る議論が首相の最優先議題になり得るかもしれない。英国が今できることとは英国ではあまりに長い間、目に余る対中政策が取られてきた。キャメロン政権時代の「無邪気さ」は脱したものの、それに代わる政策がない。基本方針や中国観と呼べるものがないのが現状である。英国は通信機器大手「ファーウェイ(華為)」を最終的に完全排除することに決めたが、さまざまな監視技術や電気通信技術を提供する中国系IT企業は依然として多い。中国は果たして競合相手か、脅威か、それともパートナーか。首相の話に耳を傾けても判然としない。中国について聞かれると、首相は3C政策(challenge(挑戦)、compete(競争)、cooperate(協力))をスローガンのように繰り返し唱えるが、実際にどのように実践するのかは不明なままだ。しかし、2025年にはこの中国問題に取り組み、企業や政治家の今後の指針となり得る有意義な政策を策定するための重要な機会が2つある。とりわけ習近平氏が権力の座にとどまり現在の路線を継続する場合には有効である。労働党は今年の選挙戦の最中に中国についてほとんど触れていなかった。それは単に、本来重要なはずの中国問題が選挙の大きな争点ではなかったからにすぎない。国内問題やEUとの関係、移民問題、ウクライナ戦争が優先された。そうしたなかで、労働党が中国について唯一言及したのが、英中関係の全面的な見直しと監査の公約である。労働党が政権に就いて以降、この見直しに関する公式の議論や具体的な進展はほとんど公表されていない。見直しは確かに始まっており、さまざまな関係者が意見を求められているものの、見直しの範囲や対象が曖昧で、今のところ3C政策のスローガンからほとんど先に進んでいない。ロイターは今週、この見直しは中国をあまり批判しない方向で縮小され、スターマー首相が中国との経済関係を強化しようとしていると報じた。ところがアンドリュー王子の一件が加わったことで、中国問題は一気に注目を集めるようになった。これを受けてスターマー首相がこの見直しに真剣に取り組み、中国ではなく英国の利益を最優先にすることが望まれる。英国では中国寄りのロビー活動が潤沢な資金を背景に依然として活発で、経済協力強化の必要性を唱える大手企業が相変わらず多い。だが、英国の銀行や企業が中国との関係推進姿勢を崩さないのに対して、はるかに多くの資金を中国に投じてきたドイツ企業は今、途方もない経済的苦境に立たされ、自らの愚かさに気づきつつある。スターマー首相にとってのもう1つの重要な機会は、保守党政権時代に提案された、外国政府のために働く者全員に利害関係の申告を義務づける外国影響力登録制度の導入である。この制度では国をレベル分けし、最高レベルの国に属する個人や組織と関係を持つ際には極めて厳格な審査を行う必要がある。北朝鮮やロシア、イランなどの国は当然その最高レベルに分類されることになるが、労働党の手腕が試されるのは、中国も同様に扱うか否かという点である。中国は、習近平氏がトップに君臨しているとしても金正恩氏の北朝鮮とは異なるが、その干渉と影響は驚くべき規模と範囲に及び、他国の比ではない。英国の安全保障を担うMI5とMI6も、厳格な審査を要する最高レベルに中国を分類しなければ、こうした制度に価値はないと明言している。外国勢力の登録制度化で楊騰波氏のような工作員を捕えることができれば理想的だが、直接的なスパイ活動がなくなることはなく、制度を意に介さない者もいるかもしれない。だが、中国と関わるなかで、英国の政治家や企業、大学が、もはや買収されたり自ら進んで秘密情報を漏らしたりすることはないというメッセージを明確に発信することはできる。スターマー首相のスローガンである3C政策はすでに色あせており、支えにも守りにもなっていない。この2つの対応を取るべきであることは明らかであり、首相には思い切った決断が求められる。他国への教訓これが英国だけの問題だとか、中国のために工作活動をしている人間はほんの一握りしかいないなどと考える他国のリーダーがいれば、とんだ考えなしだ。ニューズウィークの2023年のレポートでは、英国全土におよそ400のUFWD関連の機関があると推計している。一見すると、これらの機関はビジネス・教育・社会・文化的な交流を促進する団体のように見えるが、背後には中国共産党がおり、こうした交流を通して議論や考え方を中国共産党の主張に沿ったものへと導く任務を担う。しかもUFWDは世界各地で活動している。中国共産党の投資先や交流相手が所在する国で工作活動をしていないところはない。周囲に溶け込んでいる場合も多い。中国人がいれば必ずUFWDがなんらかの形で彼らの行動を管理し、影響を与えようとする。ただし、海外にいる中国人全員がスパイだというわけではない。本コラムで以前に指摘したように、専門知識や専門技術を持つ中国人が、習近平氏率いる中国で暮らすより良い生活を求めて、東京などの都市を避難先としている。一方、中国共産党は在外中国人が人権や民主主義といった普遍的価値観を受け入れ、そうした考え方を中国に持ち帰ることを非常に恐れている。UFWDの役割は、中国共産党の見解と目標に沿うよう、さりげなく、また時にやや露骨に働きかけることである。例えば大学においては、中国語の授業や書道講座の支援はするが、チベット自治区や新疆ウイグル自治区の少数民族の文化的同化に関する授業や講義には一切手を貸さない。また、香港の未来を懸念する幹部がいる銀行は、新たな営業許可を得るのに苦労する一方で、習近平の経済政策を称賛する競合他社は北京で歓迎されることになる。_英国は、政治および経済の領域における中国の影響力の深さを把握する上で多くの課題を抱えている。一方、他国も最近のトップニュースを受けて、中国との関わり方や実際に誰が関わっているのかを把握するよう迫られているはずである。外国工作員の登録は第一歩にすぎず、これだけでは決して十分ではない。何十年にもわたる中国との関わりから明らかになったのは、経済的な交流を政治的な決定から切り離すことは不可能だということである。中国との交流はすべて政治的性質を帯びており、貿易とビジネスの公平な競争の場を確保するには線引きが必要だ。しかし、ビジネスリーダーたちは中国との取引における政治的リスクを管理する能力がないことを示してきた。そのため、この責任はスターマー首相など選挙で選ばれた公職者の手に委ねられる。今後数カ月間で、首相がどれほど大胆な行動を取ったのか、そして今回明らかになった脅威を理解したのかが明らかになるだろう。Britain Prince Andrew(写真:AP/アフロ)(※1)https://grici.or.jp/
<CS>
2025/01/06 10:23
注目トピックス 経済総合
NYの視点:【今週の注目イベント】米雇用統計、FOMC議事録、カーター元大統領の国葬、各国サービスPMI
*07:36JST NYの視点:【今週の注目イベント】米雇用統計、FOMC議事録、カーター元大統領の国葬、各国サービスPMI
今週は各国のサービス・総合PMIが注目材料となる。さらに、中国やユーロ圏では消費者物価指数(CPI)や生産者物価指数(PPI)など重要インフレ指標が発表される。米国では今年の連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ軌道を判断するうえで重要材料となる雇用統計に注目が集まるほか、0.25%の利下げを決定した12月開催分の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨に注目される。経済の成長は従来想定していたよりも強く、さらに、トランプ次期政権が成長を支援する政策を講じるとの見方に年内の利下げ鈍化見通しが強まった。新政権の政策、また、政策が与える経済やインフレの影響を見極めるため、時間を要するとの見方にFRBが1月のFOMCで、政策を据え置くと見られている。雇用統計の結果や議事要旨の内容が想定通りとなると、ドル買いにつながる。バーキン米リッチモンド連銀総裁は、2025年の見通しを巡り楽観的で成長リスクはより上向きとしたほか、インフレ巡り潜在的に上方リスクがあると言及。市場の政策基調はFRBの中間予想に一致しているとしたほか、クグラーFRB理事も3日のインタビューで、労働市場には依然柔軟性があり時間的な余裕があるとの見解で、利下げ鈍化の市場の見通しを後押しした。また、1月9日はジミー・カーター元大統領の国葬を首都ワシントンの大聖堂で行う。連邦政府機関や行政部門が休業となる。■今週の主な注目イベント●米国6日:製造業受注、サービス・総合PMI、デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、クグラーFRB理事が金融政策を巡る討論会、クック理事が講演7日:JOLT求人件数、ISM非製造業景況指数、バーキン米リッチモンド連銀総裁が講演8日:ADP雇用統計、FOMC議事録、新規失業保険申請件数9日:連邦祭日、カーター元大統領の国葬、ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、バーキン米リッチモンド連銀総裁、シュミッド米カンサス連銀総裁が講演10日:雇用統計、ミシガン大消費者信頼感指数●中国6日:財新サービス、総合PMI9日:CPI、PPI●欧州6日:ユーロ圏、独、仏サービス・総合PMI、独CPI、7日:ユーロ圏CPI、失業率8日:ユーロ圏PPI、消費者信頼感、独製造業受注、ビルロワドガロー仏中銀総裁が講演9日:ユーロ圏小売、独鉱工業生産、●英国8日:ベイリー英中銀議会証言9日:ブリーデン英中銀副総裁●日本9日:世帯支出、景気先行指数●カナダ9日:失業率
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2025/01/06 07:36
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