注目トピックス 日本株
ドリーム・アーツ Research Memo(1):2024年12月期は期初計画を上方修正し、2ケタの増収増益へ
配信日時:2024/10/15 14:01
配信元:FISCO
*14:01JST ドリーム・アーツ Research Memo(1):2024年12月期は期初計画を上方修正し、2ケタの増収増益へ
■要約
ドリーム・アーツ<4811>は、「協創する喜びにあふれる人と組織と社会の発展に貢献する」をミッションに掲げ、大企業向けノーコード※1開発ツール「SmartDB(R)(スマートデービー)」(以下、「SmartDB」)をはじめとしたSaaS※2プロダクトを提供するクラウドサービスベンダーである。「デジタルの民主化」をコンセプトに掲げ、ITの専門知識を持たない現場部門のビジネス系人材を巻き込んだクラウド時代の業務デジタル化を推進する。なお、東京と広島の2本社体制を敷いている。
※1 ノーコード開発:アプリケーション開発に必須であったプログラミング言語によるソースコードをパーツとしてビジュアル化し、欲しいパーツを直感的に配置することで開発できるツールを利用した開発のこと。
※2 SaaS:Software as a Serviceの略。クラウド上に構築されたソフトウェア・アプリケーションをインターネット経由で利用するサービス。従来のようなパッケージソフトウェアを購入し、ハードウェアにインストールするなどの必要はなく、インターネットでアクセスするだけで利用できる仕組み。
1. 2024年12月期第2四半期の業績概要
2024年12月期第2四半期累計の連結業績は、売上高2,415百万円(前年同期比9.7%増)、営業利益361百万円(同2.4%減)、経常利益357百万円(同2.7%減)、親会社株主に帰属する中間純利益250百万円(同3.0%減)と増収減益となった。クラウド事業へのビジネスモデル転換の仕上げを目的に、既存顧客を中心にクラウドへの移行提案に注力した結果、一時的に全社的な成長は鈍化した形だが、期初の通期業績予想に対する進捗率は売上高が50.3%、営業利益が62.4%と順調に推移した。一方、主力のホリゾンタルSaaS※1(提供ツール「SmartDB」「InsuiteX(R)(インスイートエックス)」(以下、「InsuiteX」))は、導入企業の増加により売上高は同33.4%増と順調に成長を続けている。「SmartDB」がERPフロントシステムなど全社で利用するシステムに採用されるなど新規案件が大型化し、既存顧客のアップセルも好調に推移した。「SmartDB」の拡張性、基幹システムや他社SaaSとの連携性が高い評価を受けるとともに、基幹システムの更新が進む上場企業のニーズを同社が的確に捉えた結果と言える。バーティカルSaaS※2(提供ツール「Shopらん(R)」(以下、「Shopらん」))の売上高も、同8.1%増と順調に推移した。オンプレミス事業※3も含めたストック売上高比率は88.2%(同8.4ポイント上昇)、クラウド事業は76.7%(同9.7ポイント上昇)となり、安定的な収益基盤が整った。損益面では、クラウド事業の成長に伴いインフラコストが増加したが、ストック型収益が積み上がり売上総利益率は57.2%(同2.2ポイント上昇)となった。しかし、若手社員を中心とした給与水準アップ、新規獲得に向けた人員増、販促強化に伴い販管費が増加したため、営業利益など各利益は減益となった。
※1 ホリゾンタルSaaS(Horizontal SaaS):業界を問わず特定の部門や機能に特化したSaaS。企業組織に共通する業務課題を解決するために利用される。
※2 バーティカルSaaS(Vertical SaaS):特定の業界に特化したSaaS。業界特有の業務課題を解決するために利用される。
※3 オンプレミス(on-premises):プレミス(premise)は「構内」「店内」などを意味する。サーバーやソフトウェアなどの情報システムを、使用者が管理している施設内に設置して運用すること。
2. 2024年12月期の業績見通し
2024年12月期の連結業績は、売上高5,050百万円(前期比13.7%増)、営業利益762百万円(同32.1%増)、経常利益758百万円(同34.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益527百万円(同24.4%増)と増収増益を見込む。ホリゾンタルSaaSが好調に推移しており、オンプレミス事業のメンテナンス契約も期初に想定した水準の解約が生じていないため、2024年8月に期初通期予想を売上高は5.2%、営業利益は31.5%上方修正した。クラウド事業の売上高は前期比24.8%増を見込む。オンプレミス事業の売上高は同6.5%減、プロフェッショナルサービス事業の売上高は同17.9%減を見込む。プロフェッショナルサービス事業は、一部顧客に対してクラウド移行提案など「剪定戦略」(剪定=最新プラットフォームへの移行促進、技術的負債になり得る機能削減により将来のシステム負荷を軽減する)を推進しているため、第2四半期では無償稼働が増加したが、下半期に進行している多数の同社SaaS導入支援プロジェクトの実現に期待したい。
3. 中長期の成長戦略
今後の成長戦略として、主力製品「SmartDB」の拡販を成長ドライバーとして顧客基盤を拡充し、アップセル、クロスセルによるオーガニックな成長、そして戦略パートナーを拡大し、「SmartDB」を扱える人材を創出することで成長を図る方針だ。アップセル及びクロスセルについては、製品のオプションを継続的に開発、追加していることもあり、それらを背景として順調に進むと見られる。戦略パートナーの拡大については、2024年2月からスタートさせた「ドリーム・アーツ パートナープログラム(DreamArts Partner:DAP)」と「SmartDB認定資格制度(SmartDB Certified Specialist)」を中核として、人材創出、開発基盤としての利用促進、業種特化ソリューション開発の3層に分けて展開する方針である。すでに、「SmartDB」を利活用するコンサルティング企業やシステムインテグレーターなど戦略パートナーの輪も広がってきており、2024年7月には、DX関連のシステム開発・導入支援サービスを提供しているコンピューターマネージメント<4491>とパートナー契約を締結した。また、同年9月には独立系大手システムインテグレーターの富士ソフト<9749>が同社の公認パートナーとなった。大企業を支援する専門的な知見を持つ伴走者としてDAPに参画し、「SmartDB」の導入を共に展開していくこととなった。「SmartDB」スペシャリスト認定制度「SmartDB Certified Specialist(SCS)」の認定者は1,300人を突破し、「SmartDB」による「デジタルの民主化」の波が大きく広がり始めている。
■Key Points
・「SmartDB」の成長によりクラウド事業へのビジネスモデル転換進む
・2024年12月期第2四半期はクラウド移行提案に注力、成長投資もかさみ減益
・2024年12月期はクラウド事業の成長がけん引し、2ケタ増収増益見込み
(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本章弘)
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ドリーム・アーツ<4811>は、「協創する喜びにあふれる人と組織と社会の発展に貢献する」をミッションに掲げ、大企業向けノーコード※1開発ツール「SmartDB(R)(スマートデービー)」(以下、「SmartDB」)をはじめとしたSaaS※2プロダクトを提供するクラウドサービスベンダーである。「デジタルの民主化」をコンセプトに掲げ、ITの専門知識を持たない現場部門のビジネス系人材を巻き込んだクラウド時代の業務デジタル化を推進する。なお、東京と広島の2本社体制を敷いている。
※1 ノーコード開発:アプリケーション開発に必須であったプログラミング言語によるソースコードをパーツとしてビジュアル化し、欲しいパーツを直感的に配置することで開発できるツールを利用した開発のこと。
※2 SaaS:Software as a Serviceの略。クラウド上に構築されたソフトウェア・アプリケーションをインターネット経由で利用するサービス。従来のようなパッケージソフトウェアを購入し、ハードウェアにインストールするなどの必要はなく、インターネットでアクセスするだけで利用できる仕組み。
1. 2024年12月期第2四半期の業績概要
2024年12月期第2四半期累計の連結業績は、売上高2,415百万円(前年同期比9.7%増)、営業利益361百万円(同2.4%減)、経常利益357百万円(同2.7%減)、親会社株主に帰属する中間純利益250百万円(同3.0%減)と増収減益となった。クラウド事業へのビジネスモデル転換の仕上げを目的に、既存顧客を中心にクラウドへの移行提案に注力した結果、一時的に全社的な成長は鈍化した形だが、期初の通期業績予想に対する進捗率は売上高が50.3%、営業利益が62.4%と順調に推移した。一方、主力のホリゾンタルSaaS※1(提供ツール「SmartDB」「InsuiteX(R)(インスイートエックス)」(以下、「InsuiteX」))は、導入企業の増加により売上高は同33.4%増と順調に成長を続けている。「SmartDB」がERPフロントシステムなど全社で利用するシステムに採用されるなど新規案件が大型化し、既存顧客のアップセルも好調に推移した。「SmartDB」の拡張性、基幹システムや他社SaaSとの連携性が高い評価を受けるとともに、基幹システムの更新が進む上場企業のニーズを同社が的確に捉えた結果と言える。バーティカルSaaS※2(提供ツール「Shopらん(R)」(以下、「Shopらん」))の売上高も、同8.1%増と順調に推移した。オンプレミス事業※3も含めたストック売上高比率は88.2%(同8.4ポイント上昇)、クラウド事業は76.7%(同9.7ポイント上昇)となり、安定的な収益基盤が整った。損益面では、クラウド事業の成長に伴いインフラコストが増加したが、ストック型収益が積み上がり売上総利益率は57.2%(同2.2ポイント上昇)となった。しかし、若手社員を中心とした給与水準アップ、新規獲得に向けた人員増、販促強化に伴い販管費が増加したため、営業利益など各利益は減益となった。
※1 ホリゾンタルSaaS(Horizontal SaaS):業界を問わず特定の部門や機能に特化したSaaS。企業組織に共通する業務課題を解決するために利用される。
※2 バーティカルSaaS(Vertical SaaS):特定の業界に特化したSaaS。業界特有の業務課題を解決するために利用される。
※3 オンプレミス(on-premises):プレミス(premise)は「構内」「店内」などを意味する。サーバーやソフトウェアなどの情報システムを、使用者が管理している施設内に設置して運用すること。
2. 2024年12月期の業績見通し
2024年12月期の連結業績は、売上高5,050百万円(前期比13.7%増)、営業利益762百万円(同32.1%増)、経常利益758百万円(同34.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益527百万円(同24.4%増)と増収増益を見込む。ホリゾンタルSaaSが好調に推移しており、オンプレミス事業のメンテナンス契約も期初に想定した水準の解約が生じていないため、2024年8月に期初通期予想を売上高は5.2%、営業利益は31.5%上方修正した。クラウド事業の売上高は前期比24.8%増を見込む。オンプレミス事業の売上高は同6.5%減、プロフェッショナルサービス事業の売上高は同17.9%減を見込む。プロフェッショナルサービス事業は、一部顧客に対してクラウド移行提案など「剪定戦略」(剪定=最新プラットフォームへの移行促進、技術的負債になり得る機能削減により将来のシステム負荷を軽減する)を推進しているため、第2四半期では無償稼働が増加したが、下半期に進行している多数の同社SaaS導入支援プロジェクトの実現に期待したい。
3. 中長期の成長戦略
今後の成長戦略として、主力製品「SmartDB」の拡販を成長ドライバーとして顧客基盤を拡充し、アップセル、クロスセルによるオーガニックな成長、そして戦略パートナーを拡大し、「SmartDB」を扱える人材を創出することで成長を図る方針だ。アップセル及びクロスセルについては、製品のオプションを継続的に開発、追加していることもあり、それらを背景として順調に進むと見られる。戦略パートナーの拡大については、2024年2月からスタートさせた「ドリーム・アーツ パートナープログラム(DreamArts Partner:DAP)」と「SmartDB認定資格制度(SmartDB Certified Specialist)」を中核として、人材創出、開発基盤としての利用促進、業種特化ソリューション開発の3層に分けて展開する方針である。すでに、「SmartDB」を利活用するコンサルティング企業やシステムインテグレーターなど戦略パートナーの輪も広がってきており、2024年7月には、DX関連のシステム開発・導入支援サービスを提供しているコンピューターマネージメント<4491>とパートナー契約を締結した。また、同年9月には独立系大手システムインテグレーターの富士ソフト<9749>が同社の公認パートナーとなった。大企業を支援する専門的な知見を持つ伴走者としてDAPに参画し、「SmartDB」の導入を共に展開していくこととなった。「SmartDB」スペシャリスト認定制度「SmartDB Certified Specialist(SCS)」の認定者は1,300人を突破し、「SmartDB」による「デジタルの民主化」の波が大きく広がり始めている。
■Key Points
・「SmartDB」の成長によりクラウド事業へのビジネスモデル転換進む
・2024年12月期第2四半期はクラウド移行提案に注力、成長投資もかさみ減益
・2024年12月期はクラウド事業の成長がけん引し、2ケタ増収増益見込み
(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本章弘)
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