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テノックス Research Memo(10):2024年3月期は減益・計画未達も受注高と受注残高が大きく伸び実態は好調
配信日時:2024/07/16 15:10
配信元:FISCO
*15:10JST テノックス Research Memo(10):2024年3月期は減益・計画未達も受注高と受注残高が大きく伸び実態は好調
■業績動向
1. 2024年3月期の業績動向
テノックス<1905>の2024年3月期の業績は、売上高が20,207百万円(前期比10.3%増)、営業利益が520百万円(同20.2%減)、経常利益が557百万円(同19.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益が388百万円(同19.6%減)と増収減益だった。期初計画比では、売上高で992百万円、営業利益で289百万円、経常利益で282百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で171百万円の未達となった。一方、受注高が25,735百万円(同42.0%増)、受注残高が11,818百万円(同104.1%増)となったことから、実態は好調だったと言える。
日本経済は、雇用や所得環境の改善、インバウンド需要の増加など景気の緩やかな回復が続くことが期待されている。一方、長期化するウクライナ情勢などの地政学リスクや円安による物価高騰に伴う個人消費の減速などが危惧され、先行きへの不透明感は拭えない状況が続いている。建設業界においては、公共投資、民間投資ともに緩やかながら増加することが見込まれ、建設需要全体としては底堅く推移しつつある。しかし、高止まりする建設資材価格や現場従事者の慢性的な不足に加え、建設業の「2024年問題(時間外労働の上限規制)」への対応など多くの課題を抱えている。このような環境の下、同社は、2024年3月期を最終年度とする中期経営計画Phase2(2021~2023年度)に沿って、開発戦略など3つの基本戦略に基づいた各種施策に取り組んだ。
この結果、売上げ面では、北海道新幹線延伸事業や関西インフラ関連などの土木杭工事、工場関連や物流施設などの大型地盤改良工事、ベトナムでの大型工場案件が寄与した。日本経済の回復から工場などの設備投資が回復してきたことに加え、スーパーゼネコンへの営業強化や地震による液状化対策の提案なども奏功したようだ。利益面では、建設資材価格の高止まりや労務費の増加などに伴って工事利益が減益となり、売上総利益率が低下した。販管費は、給与上昇や人員増による人件費、新工法や新設備の認定取得などの調査研究費、一時的だが新基幹システムを見込んだPC入れ替え・更新による消耗品費などが押し上げたが、増収により販管費率は若干改善した。期初計画との比較で業績未達となったのは、北海道新幹線延伸事業が火山周辺の特殊地盤を克服するため遅れが生じたことが要因だ。ただし、受注高、受注残高ともに大きく積み上がったことを考えると、北海道新幹線延伸事業の集中的な施工は2025年3月期へと期ズレしたと見られる。
セグメント別では、建設事業が地盤改良工事と土木杭工事が好調で、売上高は19,706百万円(前期比10.3%増)となったが、建設資材価格の高止まりや労務費などが増加したことに伴い工事利益が減益となったことでセグメント利益は506百万円(同19.9%減)となった。建設事業の内訳について、土木杭工事は北海道新幹線延伸事業や関西インフラ関連などが好調だったものの、低採算の大型工事や、材料価格が高騰した鋼管杭工事が多かったことから、増収減益となった。建築杭工事は、鋼材価格の高騰により主力のTN-X工法の競争力が一時的に低下したことで減収減益となったが、鋼材価格の先高観が希薄化し需要が増加に転じつつあること、増加が続くデータセンターに対し地震の横揺れに強い鋼管杭の特長が強みになることから、ボトムアウトしつつあるようだ。地盤改良工事は、半導体関連の部品工場が好調を継続、首都圏の物流施設に一巡感はあったもののデータセンターの勢いが強まり、大幅増収増益となった。海外建設事業は、大型工場案件が受注につながるなど増収増益となった。建設事業以外では、土木建築コンサルティング全般等事業は、コロナ禍後に研究機関も予算が戻ってきたようで、鉄道やため池関連の実験・試験業務に関する収入が増加したが、人件費など販管費も増加したため、増収減益となった。その他の事業は、神奈川県川崎市に所有している不動産の賃貸が中心で、業績はおおむね横ばいだった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
<HN>
1. 2024年3月期の業績動向
テノックス<1905>の2024年3月期の業績は、売上高が20,207百万円(前期比10.3%増)、営業利益が520百万円(同20.2%減)、経常利益が557百万円(同19.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益が388百万円(同19.6%減)と増収減益だった。期初計画比では、売上高で992百万円、営業利益で289百万円、経常利益で282百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で171百万円の未達となった。一方、受注高が25,735百万円(同42.0%増)、受注残高が11,818百万円(同104.1%増)となったことから、実態は好調だったと言える。
日本経済は、雇用や所得環境の改善、インバウンド需要の増加など景気の緩やかな回復が続くことが期待されている。一方、長期化するウクライナ情勢などの地政学リスクや円安による物価高騰に伴う個人消費の減速などが危惧され、先行きへの不透明感は拭えない状況が続いている。建設業界においては、公共投資、民間投資ともに緩やかながら増加することが見込まれ、建設需要全体としては底堅く推移しつつある。しかし、高止まりする建設資材価格や現場従事者の慢性的な不足に加え、建設業の「2024年問題(時間外労働の上限規制)」への対応など多くの課題を抱えている。このような環境の下、同社は、2024年3月期を最終年度とする中期経営計画Phase2(2021~2023年度)に沿って、開発戦略など3つの基本戦略に基づいた各種施策に取り組んだ。
この結果、売上げ面では、北海道新幹線延伸事業や関西インフラ関連などの土木杭工事、工場関連や物流施設などの大型地盤改良工事、ベトナムでの大型工場案件が寄与した。日本経済の回復から工場などの設備投資が回復してきたことに加え、スーパーゼネコンへの営業強化や地震による液状化対策の提案なども奏功したようだ。利益面では、建設資材価格の高止まりや労務費の増加などに伴って工事利益が減益となり、売上総利益率が低下した。販管費は、給与上昇や人員増による人件費、新工法や新設備の認定取得などの調査研究費、一時的だが新基幹システムを見込んだPC入れ替え・更新による消耗品費などが押し上げたが、増収により販管費率は若干改善した。期初計画との比較で業績未達となったのは、北海道新幹線延伸事業が火山周辺の特殊地盤を克服するため遅れが生じたことが要因だ。ただし、受注高、受注残高ともに大きく積み上がったことを考えると、北海道新幹線延伸事業の集中的な施工は2025年3月期へと期ズレしたと見られる。
セグメント別では、建設事業が地盤改良工事と土木杭工事が好調で、売上高は19,706百万円(前期比10.3%増)となったが、建設資材価格の高止まりや労務費などが増加したことに伴い工事利益が減益となったことでセグメント利益は506百万円(同19.9%減)となった。建設事業の内訳について、土木杭工事は北海道新幹線延伸事業や関西インフラ関連などが好調だったものの、低採算の大型工事や、材料価格が高騰した鋼管杭工事が多かったことから、増収減益となった。建築杭工事は、鋼材価格の高騰により主力のTN-X工法の競争力が一時的に低下したことで減収減益となったが、鋼材価格の先高観が希薄化し需要が増加に転じつつあること、増加が続くデータセンターに対し地震の横揺れに強い鋼管杭の特長が強みになることから、ボトムアウトしつつあるようだ。地盤改良工事は、半導体関連の部品工場が好調を継続、首都圏の物流施設に一巡感はあったもののデータセンターの勢いが強まり、大幅増収増益となった。海外建設事業は、大型工場案件が受注につながるなど増収増益となった。建設事業以外では、土木建築コンサルティング全般等事業は、コロナ禍後に研究機関も予算が戻ってきたようで、鉄道やため池関連の実験・試験業務に関する収入が増加したが、人件費など販管費も増加したため、増収減益となった。その他の事業は、神奈川県川崎市に所有している不動産の賃貸が中心で、業績はおおむね横ばいだった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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