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前澤給装 Research Memo(6):サステナビリティ経営の実現
配信日時:2024/07/12 13:26
配信元:FISCO
*13:26JST 前澤給装 Research Memo(6):サステナビリティ経営の実現
■中長期の成長戦略
1. スタンダード市場の選択
前澤給装工業<6485>は2022年4月の東証市場区分再編に伴い、プライム市場を選択し、同年5月に2025年3月期を最終年度とする「中期経営計画2024」を策定した。しかし、プライム市場の上場維持基準の適合状況や同社を取り巻く事業環境等を総合的に勘案した結果、プライム市場の上場維持基準に適合しているものの、流通株式時価総額や1日平均売買代金の基準に抵触する上場廃止リスクが継続的に存在することから、2023年10月にスタンダード市場へ移行した。選択理由としては、水道用給水装置メーカーとして、水道インフラ分野を軸に、屋内配管分野などへ事業領域を拡大してきたものの、現時点及び中期的な視点で捉えた同社事業の規模や領域に鑑み、スタンダード市場のコンセプトにより適していると判断した。同社株主が安心して同社株式を保有・売買できる環境を確保し、プライム市場上場維持にかかる負荷を本来の事業成長分野に集中的に振り向けていくことで、持続的成長と中長期的な企業価値向上を目指す。実際、中期経営計画に対しては、売上高が上振れ、営業利益ではほぼ目標値で着地する予想となっており、市場環境が不透明ななかで健闘していると評価できる。
2. サステナビリティ経営の実現
同社は「将来にわたり、すべての人々が安心して暮らせる社会の実現に貢献し、広く社会から必要とされる存在であり続ける」ことを実現するために、サステナビリティ基本方針の下、重要課題(マテリアティ)を特定し、優先的に取り組んでいる。マテリアリティとしては、持続可能な水道インフラへの貢献、再生可能エネルギー利用促進やリサイクル材料の積極活用及び環境配慮型製品の開発、中長期的な成長を支える人材の確保、ガバナンスやコンプライアンス強化、の4項目を挙げている。
4つのマテリアリティのうち、事業の拡大のためには、持続可能な水道インフラへの貢献が最重要課題であると弊社では見ている。具体的な取り組みとして、高いシェアを有する給水装置事業では、安定的な収益拡大のために底堅い需要が見込まれる「老朽化取替に付帯する需要」を確実に取り込み、地震災害に備える「耐震」製品等のニーズに応え、配水支管を中心に安定的な成長を目指す。
厚生労働省「水道行政の最近の動向等について」(2023年3月)によると、全国の水道施設の更新費・修繕費は過去10年間平均で約13,000億円と推定される。これに対し老朽化対策を中心とした将来にわたる単純更新費は平均18,000億円必要と試算され、このうち管路が70%強を占めることから、同市場は安定した需要が続くと見られる。なお、老朽化対策として多額の資金を投入し、耐震適合を進めているが、更新は遅れ気味のようだ。
水道管路の法定耐用年数は40年であり、高度経済成長期に整備された施設の更新を進めているが、更新投資が不足しており、管路の経年化率(老朽化)の上昇や管路更新率の低下が課題となっている。近年、大雨や水道管破損による大規模な断水が多数発生しており、対策が急務となっている。水道管破損は直接的には地震によるものの、水道管の老朽化と耐震性への対応が十分でないことも課題となっている。これらを考慮すると、今後、耐震適合率向上へのニーズが高まると見られる。現在、「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」に基づき水道の耐災害性強化対策が推進されており、同社が取り扱う配水支管についても耐震適合率の上昇が進むと見られる。
このような状況に対し同社は、顧客のニーズに合った製品や災害に強い付加価値の高い製品開発を行うことで、着実に売上を拡大している。具体的には、耐震強化型継手や地盤変動対応継手、人口減少に伴う給水量の減少に対応したダウンサイジング対応製品などがある。
また同社最大の売上地域である関東では、東京都が耐食性及び耐震性に優れたステンレス鋼管による給水分岐配管を採用し、2002年度末までに公道の給水管を鉛管からステンレス鋼管へ取り替えた。ステンレス化により、圧倒的な漏水率の低下が実現された。漏水防止対策は地球温暖化対策にも寄与しており、貴重な水資源の有効利用、水を供給する過程(取水・浄水・送配水)で使用するエネルギーやCO2排出量削減にもつながっている。なお東京都は、恒久的な防食対策として道路下に使用する給水装置材料のオールステンレス化を予定している。同社は、配水管の分岐から第一止水栓、メーター用止水栓の接続部までステンレス製の製品をラインナップしており、東京地区の受注増が見込めると弊社では見ている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 岡本 弘)
<SO>
1. スタンダード市場の選択
前澤給装工業<6485>は2022年4月の東証市場区分再編に伴い、プライム市場を選択し、同年5月に2025年3月期を最終年度とする「中期経営計画2024」を策定した。しかし、プライム市場の上場維持基準の適合状況や同社を取り巻く事業環境等を総合的に勘案した結果、プライム市場の上場維持基準に適合しているものの、流通株式時価総額や1日平均売買代金の基準に抵触する上場廃止リスクが継続的に存在することから、2023年10月にスタンダード市場へ移行した。選択理由としては、水道用給水装置メーカーとして、水道インフラ分野を軸に、屋内配管分野などへ事業領域を拡大してきたものの、現時点及び中期的な視点で捉えた同社事業の規模や領域に鑑み、スタンダード市場のコンセプトにより適していると判断した。同社株主が安心して同社株式を保有・売買できる環境を確保し、プライム市場上場維持にかかる負荷を本来の事業成長分野に集中的に振り向けていくことで、持続的成長と中長期的な企業価値向上を目指す。実際、中期経営計画に対しては、売上高が上振れ、営業利益ではほぼ目標値で着地する予想となっており、市場環境が不透明ななかで健闘していると評価できる。
2. サステナビリティ経営の実現
同社は「将来にわたり、すべての人々が安心して暮らせる社会の実現に貢献し、広く社会から必要とされる存在であり続ける」ことを実現するために、サステナビリティ基本方針の下、重要課題(マテリアティ)を特定し、優先的に取り組んでいる。マテリアリティとしては、持続可能な水道インフラへの貢献、再生可能エネルギー利用促進やリサイクル材料の積極活用及び環境配慮型製品の開発、中長期的な成長を支える人材の確保、ガバナンスやコンプライアンス強化、の4項目を挙げている。
4つのマテリアリティのうち、事業の拡大のためには、持続可能な水道インフラへの貢献が最重要課題であると弊社では見ている。具体的な取り組みとして、高いシェアを有する給水装置事業では、安定的な収益拡大のために底堅い需要が見込まれる「老朽化取替に付帯する需要」を確実に取り込み、地震災害に備える「耐震」製品等のニーズに応え、配水支管を中心に安定的な成長を目指す。
厚生労働省「水道行政の最近の動向等について」(2023年3月)によると、全国の水道施設の更新費・修繕費は過去10年間平均で約13,000億円と推定される。これに対し老朽化対策を中心とした将来にわたる単純更新費は平均18,000億円必要と試算され、このうち管路が70%強を占めることから、同市場は安定した需要が続くと見られる。なお、老朽化対策として多額の資金を投入し、耐震適合を進めているが、更新は遅れ気味のようだ。
水道管路の法定耐用年数は40年であり、高度経済成長期に整備された施設の更新を進めているが、更新投資が不足しており、管路の経年化率(老朽化)の上昇や管路更新率の低下が課題となっている。近年、大雨や水道管破損による大規模な断水が多数発生しており、対策が急務となっている。水道管破損は直接的には地震によるものの、水道管の老朽化と耐震性への対応が十分でないことも課題となっている。これらを考慮すると、今後、耐震適合率向上へのニーズが高まると見られる。現在、「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」に基づき水道の耐災害性強化対策が推進されており、同社が取り扱う配水支管についても耐震適合率の上昇が進むと見られる。
このような状況に対し同社は、顧客のニーズに合った製品や災害に強い付加価値の高い製品開発を行うことで、着実に売上を拡大している。具体的には、耐震強化型継手や地盤変動対応継手、人口減少に伴う給水量の減少に対応したダウンサイジング対応製品などがある。
また同社最大の売上地域である関東では、東京都が耐食性及び耐震性に優れたステンレス鋼管による給水分岐配管を採用し、2002年度末までに公道の給水管を鉛管からステンレス鋼管へ取り替えた。ステンレス化により、圧倒的な漏水率の低下が実現された。漏水防止対策は地球温暖化対策にも寄与しており、貴重な水資源の有効利用、水を供給する過程(取水・浄水・送配水)で使用するエネルギーやCO2排出量削減にもつながっている。なお東京都は、恒久的な防食対策として道路下に使用する給水装置材料のオールステンレス化を予定している。同社は、配水管の分岐から第一止水栓、メーター用止水栓の接続部までステンレス製の製品をラインナップしており、東京地区の受注増が見込めると弊社では見ている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 岡本 弘)
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