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天昇電 Research Memo(1):2024年3月期は、減価償却費増を吸収して前期比75.7%の営業増益
配信日時:2024/06/26 12:41
配信元:FISCO
*12:41JST 天昇電 Research Memo(1):2024年3月期は、減価償却費増を吸収して前期比75.7%の営業増益
■要約
天昇電気工業<6776>は、1936年(昭和11年)に創業した歴史のある合成樹脂(プラスチック)成形品メーカーである。長い歴史のなかで培われた技術力は高く、顧客との信頼関係も厚い。製品の向け先は幅広い業種に及んでいるが、近年は自動車向けの比率が約55%と高い。今後は、内需向けの製品を拡充する一方で、北米でも事業拡大を進めていく。同社は長い間、業績低迷に苦しんでいたが2017年3月期に復配(年間3.0円)した。2024年3月期は、営業利益が前期比で大幅増となったことから、年間配当を5.0円に増配した。業績の回復に伴い、財務体質も改善しつつある。
1. 2024年3月期の業績
2024年3月期の連結業績は、売上高26,905百万円(前期比12.6%増)、営業利益1,062百万円(同75.7%増)、経常利益1,322百万円(同75.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益948百万円(同55.0%増)となった。国内では、主たる向け先である自動車メーカーの生産・販売が回復したことに加え、米国では設備増設の効果もあり、非自動車製品の需要が増加した。中国では前期まで好調であったICトレーなどが減速したが、国内・米国が好調であったことから連結売上高は大幅増収となった。過去数年間で、米国子会社での設備増設に加えて、金型を中心に設備投資を積極的に行ったことから減価償却費が前期比340百万円増加したが、これを吸収して営業利益は大幅増益となった。この結果、償却前営業利益(営業利益+減価償却費)は前期比32.0%増となり、キャッシュ・フローも改善した。
2. 2025年3月期の見通し
2025年3月期の連結業績は、売上高30,000百万円(前期比11.5%増)、営業利益1,400百万円(同31.7%増)、経常利益1,400百万円(同5.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益900百万円(同5.2%減)と予想している。自動車生産がさらに回復すると見ていること、米国での増設の効果がさらに寄与することなどから、同11.5%の増収を見込んでいる。営業利益については減価償却費は前期と同水準になると推測されるものの、これを吸収して同31.7%の増益を見込んでいる。経常利益については、為替差益を見込んでいないことから増益幅は小さくなる。親会社株主に帰属する当期純利益は、2024年3月期に発生した補償金や補助金などが剥落することから減益を予想している。業績の回復だけでなく、財務基盤も着実に改善している点は大いに注目する必要があるだろう。
3. 中長期の成長戦略
現在は売上高の約55%が自動車向けとなっているが、今後は雨水貯留浸透槽などの内需型製品の売上高を伸ばすなどして自動車向け比率を35%程度とすることで成長を図る。地域別では、米国での事業をさらに拡大することも目指しているが、既に米国での大型設備投資は2024年3月期からこの投資の回収期に入っている。同社では自動車向けを増やすと同時に非自動車の比率を伸ばすことで自動車向け比率を下げる計画だ。容易ではないが徐々に進んでおり、これが達成できれば、同社の体質は大きく変わるだろう。ここ数年で財務体質も改善されてきていることから定量的な数値とともに同社の事業体質がどう変わっていくのか、今後に注目したい。
■Key Points
・プラスチック成形品の老舗メーカー。技術力が高く顧客からの信頼は厚い
・2024年3月期は大幅営業増益。2025年3月期も前期比31.7%の営業増益を目指す
・今後は内需型製品及び海外事業の拡大で収益基盤の安定化を図る
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
<SO>
天昇電気工業<6776>は、1936年(昭和11年)に創業した歴史のある合成樹脂(プラスチック)成形品メーカーである。長い歴史のなかで培われた技術力は高く、顧客との信頼関係も厚い。製品の向け先は幅広い業種に及んでいるが、近年は自動車向けの比率が約55%と高い。今後は、内需向けの製品を拡充する一方で、北米でも事業拡大を進めていく。同社は長い間、業績低迷に苦しんでいたが2017年3月期に復配(年間3.0円)した。2024年3月期は、営業利益が前期比で大幅増となったことから、年間配当を5.0円に増配した。業績の回復に伴い、財務体質も改善しつつある。
1. 2024年3月期の業績
2024年3月期の連結業績は、売上高26,905百万円(前期比12.6%増)、営業利益1,062百万円(同75.7%増)、経常利益1,322百万円(同75.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益948百万円(同55.0%増)となった。国内では、主たる向け先である自動車メーカーの生産・販売が回復したことに加え、米国では設備増設の効果もあり、非自動車製品の需要が増加した。中国では前期まで好調であったICトレーなどが減速したが、国内・米国が好調であったことから連結売上高は大幅増収となった。過去数年間で、米国子会社での設備増設に加えて、金型を中心に設備投資を積極的に行ったことから減価償却費が前期比340百万円増加したが、これを吸収して営業利益は大幅増益となった。この結果、償却前営業利益(営業利益+減価償却費)は前期比32.0%増となり、キャッシュ・フローも改善した。
2. 2025年3月期の見通し
2025年3月期の連結業績は、売上高30,000百万円(前期比11.5%増)、営業利益1,400百万円(同31.7%増)、経常利益1,400百万円(同5.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益900百万円(同5.2%減)と予想している。自動車生産がさらに回復すると見ていること、米国での増設の効果がさらに寄与することなどから、同11.5%の増収を見込んでいる。営業利益については減価償却費は前期と同水準になると推測されるものの、これを吸収して同31.7%の増益を見込んでいる。経常利益については、為替差益を見込んでいないことから増益幅は小さくなる。親会社株主に帰属する当期純利益は、2024年3月期に発生した補償金や補助金などが剥落することから減益を予想している。業績の回復だけでなく、財務基盤も着実に改善している点は大いに注目する必要があるだろう。
3. 中長期の成長戦略
現在は売上高の約55%が自動車向けとなっているが、今後は雨水貯留浸透槽などの内需型製品の売上高を伸ばすなどして自動車向け比率を35%程度とすることで成長を図る。地域別では、米国での事業をさらに拡大することも目指しているが、既に米国での大型設備投資は2024年3月期からこの投資の回収期に入っている。同社では自動車向けを増やすと同時に非自動車の比率を伸ばすことで自動車向け比率を下げる計画だ。容易ではないが徐々に進んでおり、これが達成できれば、同社の体質は大きく変わるだろう。ここ数年で財務体質も改善されてきていることから定量的な数値とともに同社の事業体質がどう変わっていくのか、今後に注目したい。
■Key Points
・プラスチック成形品の老舗メーカー。技術力が高く顧客からの信頼は厚い
・2024年3月期は大幅営業増益。2025年3月期も前期比31.7%の営業増益を目指す
・今後は内需型製品及び海外事業の拡大で収益基盤の安定化を図る
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
<SO>
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