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コラム【ポートフォリオのススメ】ハイブリッド証券について(マネックス証券 塚本 憲弘)
配信日時:2023/02/22 09:22
配信元:FISCO
*09:22JST コラム【ポートフォリオのススメ】ハイブリッド証券について(マネックス証券 塚本 憲弘)
今回は債券でリスクを取る投資について紹介します。良い債券投資とはデフォルトを避け高利回りを獲得することです。不況に強い債券投資ですが、保守的な運用だけではなく、リスクを取ってリターン(利回り)を得ることも可能で、その点における本質は株式と同様と言えます。
企業が資金調達する手段として株式と債券のほかに、その要素を複合化したハイブリッド証券という形式があります。まさに債券と株式の両方の性格を持つもので、利息が定められており満期や繰り上げ償還時に額面で償還される債券的性格の一方、企業側はその一定割合を資本としてカウントでき、株式を発行する場合に生じる1株当たりの価値が低下する(希薄化)デメリットを避けられます。状況によっては利払いや繰り上げ償還を見送ることができるなど、資本的性格もあります。
発行体が債務不履行となった場合の法的弁済順位が一般の債券より低いため、その分利回りが高くなっています。なおハイブリッド証券のなかでも弁済順位の高い順に期限付き劣後債、永久劣後債、優先出資証券といった分類があります。この順番はリスクの低い順でもあり、利率の低い順でもあります。
このような性質の証券は金融機関による発行が盛んです。国際的に厳格化される金融機関の自己資本規制に対し、ハイブリッド証券は自己資本比率を引き上げられる有効な資金調達手段であるからです。
このような証券への直接的な投資は個人投資家にはあまり機会がありませんが、ハイブリッド証券ファンド・CoCo債ファンドといった名称の投資信託を通して投資が可能です。ではどのような点が注目されるでしょうか。それは主な発行体である金融機関を取り巻く状況が鍵となります。
まずマクロ経済環境ですが、金融引き締めによる金利上昇は企業にとってコスト増加要因ですが、銀行にとっては利ザヤの改善につながります。金融引き締めスタンスが継続されることは相対的に銀行にとって良い環境と言えます。また、景気が減速し後退期入りする場合には、大きく変動するリスクの高い株式ではなく債券であることのメリットが享受されます。
またこのような証券を発行する世界の主要な金融機関は2008年金融危機以降、厳格な金融当局の管理のもとで、再び景気減速が来ても経済に影響を及ぼさないようにストレステスト等を通じて資本増強が進められています。現在も各行貸倒引当金を引き当てるなど備えがなされており、相応の景気減速となっても耐久力があると予想されます。
金利上昇や景気減速がデフォルト率の増加につながるハイ・イールド債や新興国債と異なる性格を持っており、相対的に利回りの高いこのような証券に投資信託を通じて様々な発行体に投資できることは、分散投資の対象として魅力的です。
厳格に規制管理される金融機関から魅力的な高利回り債が発行されておりますが、リスクとしては損失による自己資本の低下時には債券として返済されないことや、株式に転換されてしまう可能性があり、投資信託では基準価額下落となる点には注意が必要ですが、各行その備えを進めています。マクロ環境の不透明感は根強いですが、景気減速、金利高止まりなど様々な経済シナリオで役割を期待できる投資対象と考えます。
マネックス証券 インベストメント・ストラテジーズ兼マネックス・ユニバーシ
ティ シニアフェロー 塚本 憲弘
マネックス証券 インベストメント・ストラテジーズ 塚本 憲弘
(出所:2/20配信のマネックス証券「メールマガジン新潮流」より、抜粋)
<CS>
企業が資金調達する手段として株式と債券のほかに、その要素を複合化したハイブリッド証券という形式があります。まさに債券と株式の両方の性格を持つもので、利息が定められており満期や繰り上げ償還時に額面で償還される債券的性格の一方、企業側はその一定割合を資本としてカウントでき、株式を発行する場合に生じる1株当たりの価値が低下する(希薄化)デメリットを避けられます。状況によっては利払いや繰り上げ償還を見送ることができるなど、資本的性格もあります。
発行体が債務不履行となった場合の法的弁済順位が一般の債券より低いため、その分利回りが高くなっています。なおハイブリッド証券のなかでも弁済順位の高い順に期限付き劣後債、永久劣後債、優先出資証券といった分類があります。この順番はリスクの低い順でもあり、利率の低い順でもあります。
このような性質の証券は金融機関による発行が盛んです。国際的に厳格化される金融機関の自己資本規制に対し、ハイブリッド証券は自己資本比率を引き上げられる有効な資金調達手段であるからです。
このような証券への直接的な投資は個人投資家にはあまり機会がありませんが、ハイブリッド証券ファンド・CoCo債ファンドといった名称の投資信託を通して投資が可能です。ではどのような点が注目されるでしょうか。それは主な発行体である金融機関を取り巻く状況が鍵となります。
まずマクロ経済環境ですが、金融引き締めによる金利上昇は企業にとってコスト増加要因ですが、銀行にとっては利ザヤの改善につながります。金融引き締めスタンスが継続されることは相対的に銀行にとって良い環境と言えます。また、景気が減速し後退期入りする場合には、大きく変動するリスクの高い株式ではなく債券であることのメリットが享受されます。
またこのような証券を発行する世界の主要な金融機関は2008年金融危機以降、厳格な金融当局の管理のもとで、再び景気減速が来ても経済に影響を及ぼさないようにストレステスト等を通じて資本増強が進められています。現在も各行貸倒引当金を引き当てるなど備えがなされており、相応の景気減速となっても耐久力があると予想されます。
金利上昇や景気減速がデフォルト率の増加につながるハイ・イールド債や新興国債と異なる性格を持っており、相対的に利回りの高いこのような証券に投資信託を通じて様々な発行体に投資できることは、分散投資の対象として魅力的です。
厳格に規制管理される金融機関から魅力的な高利回り債が発行されておりますが、リスクとしては損失による自己資本の低下時には債券として返済されないことや、株式に転換されてしまう可能性があり、投資信託では基準価額下落となる点には注意が必要ですが、各行その備えを進めています。マクロ環境の不透明感は根強いですが、景気減速、金利高止まりなど様々な経済シナリオで役割を期待できる投資対象と考えます。
マネックス証券 インベストメント・ストラテジーズ兼マネックス・ユニバーシ
ティ シニアフェロー 塚本 憲弘
マネックス証券 インベストメント・ストラテジーズ 塚本 憲弘
(出所:2/20配信のマネックス証券「メールマガジン新潮流」より、抜粋)
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