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トヨクモ Research Memo(4):有償契約数、チャーンレート、LTVを重要視
配信日時:2022/07/08 16:04
配信元:FISCO
■事業概要
2. ビジネスモデル
トヨクモ<4058>が提供するサービスは、いわゆるクラウドサービスである。顧客は、申し込みから利用までオンラインで完結する。つまり同社の営業社員が訪問することなく、サービスの導入が可能となっている。なお同社は、顧客が「簡単」「便利」に使えるサービスを提供することにこだわっており、問い合わせを受けた企業に無料の試用期間を提供し、その期間中に顧客の担当者が自ら操作を習得できるよう工夫している。そのため同社が訪問しての説明を行うことなく、必要に応じて電話サポートやホームページのFAQを利用するだけでサービス導入が可能となっている。また、個別にカスタマイズを行わないため、同社にとってサポートの負担も少なくなっている。間接コストを最小限に抑えた効率的な事業運営により、安価なサービスの提供を実現している。
同社のサービスは、利用期間に応じて料金が発生するビジネスモデルである。つまり有償契約数の増加により、継続的に収益が積み上がっていくストック型ビジネスである。また、同社が提供するサービスは、流行に左右されない性質のものであるため、継続して利用されやすく、チャーンレート(年間平均解約率)が低いことも特長である。
サービスの販売は、同社に直接申し込みをした顧客に販売する直販が主流であるが、代理店等の販売パートナーを通して販売する場合もある。
同社が重要視している指標には、「有償契約数」「チャーンレート」「LTV」がある。
(1) 有償契約数
2021年12月期末の有償契約数は前期末比で42.2%増の8,941件となった。内訳は、安否確認サービスの契約数が同32.5%増の2,697件、kintone連携サービスの契約数が同46.8%増の6,244件となった。安否確認サービスでは他社からの乗り換えも見られた。kintone連携サービスは複数のサービスを利用する顧客の増加もあり、大きく伸長した。なお、2022年12月期第1四半期末の有償契約数は9,552件、前期末比611件増となった。安否確認サービスは同134件増の2,831件、Kintone連携サービスが同477件増の6,721件となり堅調な推移となった。kintone連携サービスの同時購入数は2021年12月期末1.59契約/社、2022年12月期第1四半期末1.60契約/社となっており、わずかに上昇した。アンケートフォーム・申し込みフォーム等を作成し、kintoneに直接データ登録できる「フォームブリッジ」と「kintone」に登録されたデータを、外部に公開するための「kViewer」を組み合わせる事例が増えてきていると言う。
(2) チャーンレート
2021年12月期末における同社全体での金額ベースのチャーンレートは、0.62%であり、低水準で推移している。内訳は、安否確認サービスは約0.2%で、kintone連携サービスが約1.0%である。kintone連携サービスは地方自治体からのスポット案件等もあり、チャーンレートは期によって多少の変動は見られるがおおむね安定している。なお、2022年12月期第1四半期末における全体での金額ベースのチャーンレートは0.68%となった。
(3) LTV
同社は顧客生涯価値(LTV:Life Time Value)も重要な指標としている。LTVとは、顧客から将来にわたって得られる収益であり、月次経常収益(MRR:Monthly Recurring Revenue)をチャーンレート(金額ベース)で割って算出される。
全サービスを単純平均したLTVを四半期ベースで見ると、2020年12月期第4四半期の151億円から2022年12月期第1四半期の225億円と緩やかではあるが拡大基調で推移した。個別サービスのLTVの合計値(安否確認サービスのLTV、kintone連携サービスのLTV)では、2020年12月期第4四半期の227億円から2022年12月期第1四半期の437億円と拡大ペースは加速している。両サービスともに契約件数は伸びているため、チャーンレートが低い安否確認サービスが個別サービスのLTVの合計値を押し上げていると弊社は推察している。
ストック売上比率の高さと効率的な販売体制が強み
3. 強み
同社の強みは、「ストック売上比率の高さ」と「効率的な販売体制」である。同社の売上高の99.9%はストック売上となっており、ストック売上比率は非常に高水準である。継続的な売上が見込めるこのビジネスモデルは、同社の経営基盤の強化につながっている。販売体制は、インターネットによる直接販売が主体であり、全体の64%を占めている。提案営業は行わず、ノンカスタマイズでソフトウェアを提供しているため、1契約当たりの獲得コストは低く抑えられていると見られる。案件の発掘は、ネットプロモーション、広告、イベント出展で行うことが多い。その後、見込み客がホームページに来訪してサービスの試用を行い、契約を締結する流れである。契約後のサポートについては、ホームページを充実させること、電話やメール等で効率的に行っている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 藤田 要)
<EY>
2. ビジネスモデル
トヨクモ<4058>が提供するサービスは、いわゆるクラウドサービスである。顧客は、申し込みから利用までオンラインで完結する。つまり同社の営業社員が訪問することなく、サービスの導入が可能となっている。なお同社は、顧客が「簡単」「便利」に使えるサービスを提供することにこだわっており、問い合わせを受けた企業に無料の試用期間を提供し、その期間中に顧客の担当者が自ら操作を習得できるよう工夫している。そのため同社が訪問しての説明を行うことなく、必要に応じて電話サポートやホームページのFAQを利用するだけでサービス導入が可能となっている。また、個別にカスタマイズを行わないため、同社にとってサポートの負担も少なくなっている。間接コストを最小限に抑えた効率的な事業運営により、安価なサービスの提供を実現している。
同社のサービスは、利用期間に応じて料金が発生するビジネスモデルである。つまり有償契約数の増加により、継続的に収益が積み上がっていくストック型ビジネスである。また、同社が提供するサービスは、流行に左右されない性質のものであるため、継続して利用されやすく、チャーンレート(年間平均解約率)が低いことも特長である。
サービスの販売は、同社に直接申し込みをした顧客に販売する直販が主流であるが、代理店等の販売パートナーを通して販売する場合もある。
同社が重要視している指標には、「有償契約数」「チャーンレート」「LTV」がある。
(1) 有償契約数
2021年12月期末の有償契約数は前期末比で42.2%増の8,941件となった。内訳は、安否確認サービスの契約数が同32.5%増の2,697件、kintone連携サービスの契約数が同46.8%増の6,244件となった。安否確認サービスでは他社からの乗り換えも見られた。kintone連携サービスは複数のサービスを利用する顧客の増加もあり、大きく伸長した。なお、2022年12月期第1四半期末の有償契約数は9,552件、前期末比611件増となった。安否確認サービスは同134件増の2,831件、Kintone連携サービスが同477件増の6,721件となり堅調な推移となった。kintone連携サービスの同時購入数は2021年12月期末1.59契約/社、2022年12月期第1四半期末1.60契約/社となっており、わずかに上昇した。アンケートフォーム・申し込みフォーム等を作成し、kintoneに直接データ登録できる「フォームブリッジ」と「kintone」に登録されたデータを、外部に公開するための「kViewer」を組み合わせる事例が増えてきていると言う。
(2) チャーンレート
2021年12月期末における同社全体での金額ベースのチャーンレートは、0.62%であり、低水準で推移している。内訳は、安否確認サービスは約0.2%で、kintone連携サービスが約1.0%である。kintone連携サービスは地方自治体からのスポット案件等もあり、チャーンレートは期によって多少の変動は見られるがおおむね安定している。なお、2022年12月期第1四半期末における全体での金額ベースのチャーンレートは0.68%となった。
(3) LTV
同社は顧客生涯価値(LTV:Life Time Value)も重要な指標としている。LTVとは、顧客から将来にわたって得られる収益であり、月次経常収益(MRR:Monthly Recurring Revenue)をチャーンレート(金額ベース)で割って算出される。
全サービスを単純平均したLTVを四半期ベースで見ると、2020年12月期第4四半期の151億円から2022年12月期第1四半期の225億円と緩やかではあるが拡大基調で推移した。個別サービスのLTVの合計値(安否確認サービスのLTV、kintone連携サービスのLTV)では、2020年12月期第4四半期の227億円から2022年12月期第1四半期の437億円と拡大ペースは加速している。両サービスともに契約件数は伸びているため、チャーンレートが低い安否確認サービスが個別サービスのLTVの合計値を押し上げていると弊社は推察している。
ストック売上比率の高さと効率的な販売体制が強み
3. 強み
同社の強みは、「ストック売上比率の高さ」と「効率的な販売体制」である。同社の売上高の99.9%はストック売上となっており、ストック売上比率は非常に高水準である。継続的な売上が見込めるこのビジネスモデルは、同社の経営基盤の強化につながっている。販売体制は、インターネットによる直接販売が主体であり、全体の64%を占めている。提案営業は行わず、ノンカスタマイズでソフトウェアを提供しているため、1契約当たりの獲得コストは低く抑えられていると見られる。案件の発掘は、ネットプロモーション、広告、イベント出展で行うことが多い。その後、見込み客がホームページに来訪してサービスの試用を行い、契約を締結する流れである。契約後のサポートについては、ホームページを充実させること、電話やメール等で効率的に行っている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 藤田 要)
<EY>
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