注目トピックス 日本株
テクマト Research Memo(9):2023年3月期業績は豊富な受注残を背景に増収増益が続く見通し
配信日時:2022/06/15 16:09
配信元:FISCO
■今後の見通し
1. 2023年3月期の業績見通し
テクマトリックス<3762>の2023年3月期の連結業績は、売上収益で前期比17.8%増の43,000百万円、営業利益で同7.1%増の4,000百万円、税引前利益で同6.8%増の3,970百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益で同7.1%増の2,540百万円と増収増益が続く見通し。情報基盤事業を中心に既存事業の拡大を見込んでいる。旧PSPの業績への影響については、売上収益で寄与するものの、営業利益はクラウドシフトを推進するためほとんど貢献を見込んでいない。また、2022年3月期に445百万円を計上した本社移転関連費用について、2023年3月期も約2億円を織り込んでいる。為替が円安にシフトしており情報基盤事業のコスト増への影響が懸念されるものの、二次代理店や最終顧客との交渉により一定水準の費用増分は価格転嫁する格好となっており、影響は限定的となっている。足元も良好な受注環境に変化は見られず受注残高も豊富にあることから、会社計画の達成は十分可能と弊社では見ている。
(1) 情報基盤事業
情報基盤事業の売上収益は前期比11.3%増の27,500百万円、営業利益は同6.4%増の3,250百万円を見込んでいる。売上収益はクラウド型セキュリティ対策製品を中心とした需要拡大と豊富な受注残を背景に、2ケタ成長が続く見通しだ。また、営業利益には本社移転関連費用約1億円を織り込んでいる。営業利益率が12.4%から11.8%に低下する要因は、主に販売構成比の変化によるもので、2022年3月期に引き続き大型案件の比率が上昇し、売上総利益率の低下要因となった。為替の円安が進んでいることもコスト増要因となるが、為替変動部分の一部は二次代理店や最終顧客に転嫁すること、長期契約で前受金として既に徴収している部分については為替変動の影響を受けないことから、その影響は軽微と考えられる。現在は130円/ドルを前提に受注活動を行っている。なお、半導体不足でアプライアンス製品の納期が延伸する傾向が続いているが、顧客も現在の納期を前提に早めの発注をしていることもあり、売上収益への影響は少ないものと見られる。
足元の受注状況は引き続き好調となったようだ。特に、ロシアによるウクライナ侵攻の発生以降、マルウェアを使った電子メールによるサイバー攻撃が急増していることもあり、次世代型メールセキュリティ製品「Proofpoint」の引き合いが活発化している。また、期待される新製品としては2021年12月に販売代理店契約を新たに締結したSentinelOne,Inc.の自律型AIエンドポイントセキュリティ製品「SentinelOne」が挙げられる。様々な攻撃テクニックを検知する自律型AIエンジンによりクラウド上の分析を行うことなく、エンドポイントのエージェントのみでマルウェアの検知や防御、修復などのインシデント対応を「自律的に」行う製品である(=運用担当者の業務負担軽減)。検知能力は非常に高く、2020年版のMITRE ATT&CK※評価では、WindowsとLinux環境の両方で業界唯一100%検知を達成するなど、業界では後発ながらも技術力は最も高く評価されている。同社では今後3年間で10億円の販売を目標としている。
※MITREは、米国の連邦政府が資金を提供する非営利組織。ATT&CK は脆弱性を悪用したサイバー攻撃を、戦術と技術または手法の観点で分類したナレッジベースのことで、不定期もしくは四半期に一度、最新の脅威情報を追加している。多くのセキュリティ製品が参照情報としてATT&CKを活用し、製品評価を行っている。
(2) アプリケーション・サービス事業
アプリケーション・サービス事業の売上収益は前期比31.3%増の15,500百万円、営業利益は同10.3%増の750百万円を見込んでいる。営業利益には本社移転関連費用約1億円を織り込んでいる。売上収益の増加要因としては、旧PSPが年間で寄与することが大きいが、既存事業においても医療分野、ソフトウェア品質保証分野、CRM分野で2ケタ増収、ビジネスソリューション分野で1ケタ増収となる見通しだ。
営業利益の伸びが10.3%増と70百万円増の小幅にとどまるのは、教育事業に対する先行投資を継続することに加えて、旧PSPのPACS製品の販売形態をオンプレミス型からクラウドサービスにシフトすることで、一時的に利益が落ち込むことを想定しているためだ。旧PSPでは2021年6月期に8億円強の営業利益であったが、2023年3月期はほぼ利益貢献しないことを前提に計画に織り込んでいる。2022年3月期は2ヶ月分で170百万円の利益貢献があったため、ほぼ同額の減益を見ていることになる。教育事業の損失継続と旧PSPの減益分を、既存事業の増益と本社移転関連費用の減少でカバーする構図となる。なお、旧PSPでは既存顧客へのクラウドシフトを進めていく予定だが、顧客がリプレイス時にオンプレミス版を継続する可能性もあり、その比率が高ければ売上収益・営業利益の増額要因となる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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1. 2023年3月期の業績見通し
テクマトリックス<3762>の2023年3月期の連結業績は、売上収益で前期比17.8%増の43,000百万円、営業利益で同7.1%増の4,000百万円、税引前利益で同6.8%増の3,970百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益で同7.1%増の2,540百万円と増収増益が続く見通し。情報基盤事業を中心に既存事業の拡大を見込んでいる。旧PSPの業績への影響については、売上収益で寄与するものの、営業利益はクラウドシフトを推進するためほとんど貢献を見込んでいない。また、2022年3月期に445百万円を計上した本社移転関連費用について、2023年3月期も約2億円を織り込んでいる。為替が円安にシフトしており情報基盤事業のコスト増への影響が懸念されるものの、二次代理店や最終顧客との交渉により一定水準の費用増分は価格転嫁する格好となっており、影響は限定的となっている。足元も良好な受注環境に変化は見られず受注残高も豊富にあることから、会社計画の達成は十分可能と弊社では見ている。
(1) 情報基盤事業
情報基盤事業の売上収益は前期比11.3%増の27,500百万円、営業利益は同6.4%増の3,250百万円を見込んでいる。売上収益はクラウド型セキュリティ対策製品を中心とした需要拡大と豊富な受注残を背景に、2ケタ成長が続く見通しだ。また、営業利益には本社移転関連費用約1億円を織り込んでいる。営業利益率が12.4%から11.8%に低下する要因は、主に販売構成比の変化によるもので、2022年3月期に引き続き大型案件の比率が上昇し、売上総利益率の低下要因となった。為替の円安が進んでいることもコスト増要因となるが、為替変動部分の一部は二次代理店や最終顧客に転嫁すること、長期契約で前受金として既に徴収している部分については為替変動の影響を受けないことから、その影響は軽微と考えられる。現在は130円/ドルを前提に受注活動を行っている。なお、半導体不足でアプライアンス製品の納期が延伸する傾向が続いているが、顧客も現在の納期を前提に早めの発注をしていることもあり、売上収益への影響は少ないものと見られる。
足元の受注状況は引き続き好調となったようだ。特に、ロシアによるウクライナ侵攻の発生以降、マルウェアを使った電子メールによるサイバー攻撃が急増していることもあり、次世代型メールセキュリティ製品「Proofpoint」の引き合いが活発化している。また、期待される新製品としては2021年12月に販売代理店契約を新たに締結したSentinelOne,Inc.の自律型AIエンドポイントセキュリティ製品「SentinelOne」が挙げられる。様々な攻撃テクニックを検知する自律型AIエンジンによりクラウド上の分析を行うことなく、エンドポイントのエージェントのみでマルウェアの検知や防御、修復などのインシデント対応を「自律的に」行う製品である(=運用担当者の業務負担軽減)。検知能力は非常に高く、2020年版のMITRE ATT&CK※評価では、WindowsとLinux環境の両方で業界唯一100%検知を達成するなど、業界では後発ながらも技術力は最も高く評価されている。同社では今後3年間で10億円の販売を目標としている。
※MITREは、米国の連邦政府が資金を提供する非営利組織。ATT&CK は脆弱性を悪用したサイバー攻撃を、戦術と技術または手法の観点で分類したナレッジベースのことで、不定期もしくは四半期に一度、最新の脅威情報を追加している。多くのセキュリティ製品が参照情報としてATT&CKを活用し、製品評価を行っている。
(2) アプリケーション・サービス事業
アプリケーション・サービス事業の売上収益は前期比31.3%増の15,500百万円、営業利益は同10.3%増の750百万円を見込んでいる。営業利益には本社移転関連費用約1億円を織り込んでいる。売上収益の増加要因としては、旧PSPが年間で寄与することが大きいが、既存事業においても医療分野、ソフトウェア品質保証分野、CRM分野で2ケタ増収、ビジネスソリューション分野で1ケタ増収となる見通しだ。
営業利益の伸びが10.3%増と70百万円増の小幅にとどまるのは、教育事業に対する先行投資を継続することに加えて、旧PSPのPACS製品の販売形態をオンプレミス型からクラウドサービスにシフトすることで、一時的に利益が落ち込むことを想定しているためだ。旧PSPでは2021年6月期に8億円強の営業利益であったが、2023年3月期はほぼ利益貢献しないことを前提に計画に織り込んでいる。2022年3月期は2ヶ月分で170百万円の利益貢献があったため、ほぼ同額の減益を見ていることになる。教育事業の損失継続と旧PSPの減益分を、既存事業の増益と本社移転関連費用の減少でカバーする構図となる。なお、旧PSPでは既存顧客へのクラウドシフトを進めていく予定だが、顧客がリプレイス時にオンプレミス版を継続する可能性もあり、その比率が高ければ売上収益・営業利益の増額要因となる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<EY>
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