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我々は念ずるのみならず行動すべき時、ロシアによるウクライナ侵攻が示唆するもの(元統合幕僚長の岩崎氏)1
配信日時:2022/04/21 16:01
配信元:FISCO
ロシアがウクライナに軍事侵攻した。米国のバイデン大統領は、侵攻前からロシア軍の行動、戦争準備までの情報をウクライナへ提供するとともに公表をしてきた。この情報には、かなり詳細な軍事情報のみならず、ロシア軍やプーチン大統領の意図までも含まれていた。かなり秘匿度の高い情報であり、これまで米国が同盟国にさえ開示してこなかった情報である。米国のプーチン大統領に対する強い警告の表れと取れる。しかし、米国やNATOは、強い警告を発する一方で、ロシアがウクライナを軍事侵攻しても米国やNATOはウクライナへ軍を派遣することがない事(「軍事不介入」)も何度となく表明している。プーチン大統領が米国やNATOの態度の如何によらずウクライナに対する軍事侵攻を考えていたか否かを、私達には知る由もないが、この「軍事不介入」宣言が結果的にプーチン大統領の背中を押したとも考えられる。
プーチン大統領は、2月21日に東部ウクライナのドネツク・ルガンスクの2つの自治共和国の独立を承認し、2月24日に(バイデン大統領に背中を押されて)ウクライナ攻撃を開始した。
私は前回、プーチン大統領の思惑(目的)に関して記述した。その中で、2014年3月のロシアによるクリミア自治共和国の一方的な「併合」の後、仏や独の仲介の下で締結された2回にわたる「ミンスク合意」についても解説している。私は、ロシアの一方的な「クリミア併合」を認めるものではないが、この「ミンスク合意」は尊重すべきと考えている。我が国では、大きな報道がされなかったものの、昨年10月、ゼレンスキー大統領は、この「ミンスク合意」に反し、東部ウクライナに於いて、トルコ製無人機バイラクタル(TB2)により、ウクライナのドンバス地域で活動していいたロシア派武装勢力を攻撃した。この攻撃で周辺住民も巻き込まれる事態が生起した。この事態を受け、プーチン大統領は、ゼレンスキー大統領を強く非難した。また、欧米の首脳はエスカレートを懸念し、ゼレンスキー大統領を諫めた。しかし、ゼレンスキー大統領は、毅然たる態度で「自国の領土と主権を死守する」との声明を発表し、他国のアドバイスを受け入れる態度を見せなかった。
私は、今回の事態は、今までの多くの戦いもそうであった様に、相互の誤認識から起った可能性が高いと考えている。多くの事態は突然に生起することが殆どなく、いろいろな経緯を経た結果として起こるものである。我々は、今、起こっている事のみで判断をしてはならない。争いの真の原因を探り、解決しないと、また同じことが起こってしまう。やはり、歴史を振り返ることは重要な事であり、実力行使(戦争等)が起こる前に、歴史や経緯を踏まえた抑止策を講ずる必要が或る。我が国を含む西側諸国では、連日、ウクライナの市民が犠牲になっている事を大きく取り上げているが、「可哀そう」だけでは、問題解決にならない。双方の接点を探り出す必要がある。
さて、ロシアがウクライナに軍事侵攻した当初は、仏独やトルコ等の欧州諸国による停戦に向けた仲介がおこなわれていたものの、なかなか折り合い点を見いだせず、ウクライナ各地での戦闘が継続されている。そして最近では、ロシア海軍の黒海艦隊の旗艦である「モスクワ」がウクライナの対艦ミサイル「ネプチューン」により被弾し、沈没した。旗艦「モスクワ」は、黒海艦隊の象徴であり、指揮中枢でもあった。また、同艦は、黒海沿岸部や南部ウクライナ方面の防空任務も有していた。同艦の喪失はロシア軍にとって相当な痛手であり、再編せざるを得ないであろう。これにより、停戦合意は更に遠ざかり、長期化の様相を呈してきた。
今回の事態を受けて、ドイツのショルツ首相はいち早く行動し、ロシアとウクライナの仲介に乗り出された。そして、仲介が困難とみるや即座にドイツの国防方針を大きく変更させた。素晴らしい判断である。どの国であろうが、自国の安全保障政策は国策の最優先事項であり、基本中の基本である。ショルツ首相は、国政を担うリーダーとして当然の判断を下した。ドイツ国民は、そのことをよく理解しており、必ずしも支持率の高くなかった政権の支持率が急激に高まった。今、我々は、このウクライナ侵攻事態から何を学び、何を準備すべきなのであろうか。
1.新時代の到来
第二次世界大戦(我が国では、大東亜戦争)が終結し、間もなくして、冷戦と呼ばれる米ソの対立があった。この冷戦とは、実際の弾を打ち合う「熱い戦い」に対する言葉として使用された。「核爆弾(原子爆弾・水素爆弾)」が登場し、一旦戦火が開かれると、エスカレートして世界核戦争になり、人類の破滅に至る恐れがある。戦争のハードルが、これまでよりも遥かに高くなった。即ち「熱い戦い」が出来難くなったのである。西の代表の米国と、東の代表のソ連の対立により、かつてのドイツは東西に引き裂かれ、韓半島は南北に分断された。「ベルリンの壁」や「38度線」は、この「東西冷戦」を象徴するものであった。この「冷戦」が長い間続けられたが、1980年代後半になり、ソ連の経済が低迷し始め、東欧諸国のソ連(ロシア)離れが顕在化し始め、遂に1989年12月に「ベルリンの壁」が市民により崩され、1991年にソ連が崩壊することとなった。これが「冷戦」の終焉である。ここからが所謂、「ポスト冷戦」の始まりであり、米国の一極支配の始まりでもあった。
しかし、21世紀に入り、米国の一極支配に翳りが見え始め、米国に挑戦する国や勢力が出てきた。「9.11米国同時多発テロ」がその顕著な例である。そして、中国の経済が目覚ましい成長を遂げ、ソ連崩壊後、低迷していたロシアも、石油や天然ガスの輸出を伸ばし、徐々に復活してきた。米国は依然として世界の超大国であるものの、相対的な強さや大きさが低下し始めていることは事実である。
2015年9月、米国のオバマ大統領は、訪米した習近平主席に対し、「米国は、かつての様な超大国でないと明言し、“米国は最早、世界の警察官ではない”」と発言した。そして、「今後、米中による二大大国で世界をリードしよう」と述べたのである。確かに、中国が経済的にも、軍事的にも、かなりの勢いで伸びていたことは事実であるが、習近平主席に対し、この様な言葉を掛けたら、利用されるだけである。習近平主席にすれば、「私が、米国大統領に中国の偉大さを認めさせた」と自慢できるからである。オバマ大統領は、温和で尊敬できる素晴らしい人物であるものの、中国という国、習近平主席を見誤っていたのではないかと考えざるを得ない。あのオバマ大統領の「お言葉」は、世界をリードしている国の指揮官・リーダーとして果して適切な言葉だったのだろうかと疑問に思っているのは私だけであろうか。米国大統領の一挙手一投足、一言一言が世界を動かすのである。この言葉を聞いた習近平主席は小躍りしたに違いない。
その後、中国の経済成長率は、一時期よりも低下してきているものの、欧米や我が国の経済成長に比較すれば、まだまだ高いレベルで推移しており、この経済力を梃に「一帯一路(OBOR)」をこのコロナ下でも淡々と進め、東南アジアから中央アジア、そしてウクライナに至る地域や南太平洋諸島、インド洋地域での影響力を拡張させている。軍に於いては、特に海・空軍力の増強に努め、最近では中国海軍の艦艇数が米海軍のそれを抜いたとの報道もあるくらいの伸びを見せている。私は、総合的な国力に於いて、中国がまだまだ米国に及ばず、軍事力でも、中国軍(PLA)が米軍に対し優勢と思わない。米軍がまだまだ優勢である。しかし、米軍は全世界に展開しており、PLAの殆どは、自国周辺に展開している。特に、南シナ海・東シナ海が中心である。台湾海峡を含むこの周辺では中国海軍が優勢になりつつあることは事実であろう。
私は、核抑止の概念も崩れつつあるのではとの懸念を抱いている。「冷戦」時代は、核保有国同士の戦争は抑制されていたものの、最近の科学技術の進歩により、戦術核が出現しており、限定的な使用が可能ではないかとの懸念も出始めている。2014年3月、ロシアは突如、クリミア自治共和国の住民選挙の結果を受けて同共和国を併合した。この直後、国際社会は、ロシアに対する経済制裁を行った。これに対し、プーチン大統領は2015年2月、「核の使用」を仄めかした。プーチン大統領は「核」も使える武器の1つと考え始めている。極めて危険で独裁者的な感覚を持った大統領である。私は、この様なことから、これまでの「核抑止」や「拡大抑止」の概念・効果が崩れかけているのではと感じている。
また、今回、バイデン大統領は、ウクライナ不介入の理由を「ウクライナは米国の同盟国でもなく、防衛義務がない」と断言した。一理あるものの、米国の過去の行動と異なる発言である。これまで、米国は、クウエートを助け、ボスニアで戦い、シリアで戦ってきている。全て米国の同盟国ではない。仮に米国がこれまでの方針を転換したのであれば、台湾はどうなるのだろうかという疑問が湧く。台湾は米国の同盟国ではなく、防衛義務がない。
この様な観点から、私は既に、「ポスト冷戦」時代は終わり、新時代が到来しているのではと考えている。新時代には、新時代にふさわしい、新しい概念・政策・対応が必要であり、これまでの考え方から脱却しないと時代から置き去りにされてしまう。当然、守るべき伝統や理念、政策もあるが、テラノザウルスにならない様、時代の変化に適切に追随する為に優位を持った「脱皮」が必要になってきている。
「我々は念ずるのみならず行動すべき時、ロシアによるウクライナ侵攻が示唆するもの(元統合幕僚長の岩崎氏)2」に続く。
岩崎茂(いわさき・しげる)
1953年、岩手県生まれ。防衛大学校卒業後、航空自衛隊に入隊。2010年に第31代航空幕僚長就任。2012年に第4代統合幕僚長に就任。2014年に退官後、ANAホールディングスの顧問(現職)に。
写真:代表撮影/ロイター/アフロ
■実業之日本フォーラムの3大特色
実業之日本フォーラム( https://jitsunichi-forum.jp/ )では、以下の編集方針でサイト運営を進めてまいります。
1)「国益」を考える言論・研究プラットフォーム
・時代を動かすのは「志」、メディア企業の原点に回帰する
・国力・国富・国益という用語の基本的な定義づけを行う
2)地政学・地経学をバックボーンにしたメディア
・米中が織りなす新しい世界をストーリーとファクトで描く
・地政学・地経学の視点から日本を俯瞰的に捉える
3)「ほめる」メディア
・実業之日本社の創業者・増田義一の精神を受け継ぎ、事を成した人や新たな才能を世に紹介し、バックアップする
<FA>
プーチン大統領は、2月21日に東部ウクライナのドネツク・ルガンスクの2つの自治共和国の独立を承認し、2月24日に(バイデン大統領に背中を押されて)ウクライナ攻撃を開始した。
私は前回、プーチン大統領の思惑(目的)に関して記述した。その中で、2014年3月のロシアによるクリミア自治共和国の一方的な「併合」の後、仏や独の仲介の下で締結された2回にわたる「ミンスク合意」についても解説している。私は、ロシアの一方的な「クリミア併合」を認めるものではないが、この「ミンスク合意」は尊重すべきと考えている。我が国では、大きな報道がされなかったものの、昨年10月、ゼレンスキー大統領は、この「ミンスク合意」に反し、東部ウクライナに於いて、トルコ製無人機バイラクタル(TB2)により、ウクライナのドンバス地域で活動していいたロシア派武装勢力を攻撃した。この攻撃で周辺住民も巻き込まれる事態が生起した。この事態を受け、プーチン大統領は、ゼレンスキー大統領を強く非難した。また、欧米の首脳はエスカレートを懸念し、ゼレンスキー大統領を諫めた。しかし、ゼレンスキー大統領は、毅然たる態度で「自国の領土と主権を死守する」との声明を発表し、他国のアドバイスを受け入れる態度を見せなかった。
私は、今回の事態は、今までの多くの戦いもそうであった様に、相互の誤認識から起った可能性が高いと考えている。多くの事態は突然に生起することが殆どなく、いろいろな経緯を経た結果として起こるものである。我々は、今、起こっている事のみで判断をしてはならない。争いの真の原因を探り、解決しないと、また同じことが起こってしまう。やはり、歴史を振り返ることは重要な事であり、実力行使(戦争等)が起こる前に、歴史や経緯を踏まえた抑止策を講ずる必要が或る。我が国を含む西側諸国では、連日、ウクライナの市民が犠牲になっている事を大きく取り上げているが、「可哀そう」だけでは、問題解決にならない。双方の接点を探り出す必要がある。
さて、ロシアがウクライナに軍事侵攻した当初は、仏独やトルコ等の欧州諸国による停戦に向けた仲介がおこなわれていたものの、なかなか折り合い点を見いだせず、ウクライナ各地での戦闘が継続されている。そして最近では、ロシア海軍の黒海艦隊の旗艦である「モスクワ」がウクライナの対艦ミサイル「ネプチューン」により被弾し、沈没した。旗艦「モスクワ」は、黒海艦隊の象徴であり、指揮中枢でもあった。また、同艦は、黒海沿岸部や南部ウクライナ方面の防空任務も有していた。同艦の喪失はロシア軍にとって相当な痛手であり、再編せざるを得ないであろう。これにより、停戦合意は更に遠ざかり、長期化の様相を呈してきた。
今回の事態を受けて、ドイツのショルツ首相はいち早く行動し、ロシアとウクライナの仲介に乗り出された。そして、仲介が困難とみるや即座にドイツの国防方針を大きく変更させた。素晴らしい判断である。どの国であろうが、自国の安全保障政策は国策の最優先事項であり、基本中の基本である。ショルツ首相は、国政を担うリーダーとして当然の判断を下した。ドイツ国民は、そのことをよく理解しており、必ずしも支持率の高くなかった政権の支持率が急激に高まった。今、我々は、このウクライナ侵攻事態から何を学び、何を準備すべきなのであろうか。
1.新時代の到来
第二次世界大戦(我が国では、大東亜戦争)が終結し、間もなくして、冷戦と呼ばれる米ソの対立があった。この冷戦とは、実際の弾を打ち合う「熱い戦い」に対する言葉として使用された。「核爆弾(原子爆弾・水素爆弾)」が登場し、一旦戦火が開かれると、エスカレートして世界核戦争になり、人類の破滅に至る恐れがある。戦争のハードルが、これまでよりも遥かに高くなった。即ち「熱い戦い」が出来難くなったのである。西の代表の米国と、東の代表のソ連の対立により、かつてのドイツは東西に引き裂かれ、韓半島は南北に分断された。「ベルリンの壁」や「38度線」は、この「東西冷戦」を象徴するものであった。この「冷戦」が長い間続けられたが、1980年代後半になり、ソ連の経済が低迷し始め、東欧諸国のソ連(ロシア)離れが顕在化し始め、遂に1989年12月に「ベルリンの壁」が市民により崩され、1991年にソ連が崩壊することとなった。これが「冷戦」の終焉である。ここからが所謂、「ポスト冷戦」の始まりであり、米国の一極支配の始まりでもあった。
しかし、21世紀に入り、米国の一極支配に翳りが見え始め、米国に挑戦する国や勢力が出てきた。「9.11米国同時多発テロ」がその顕著な例である。そして、中国の経済が目覚ましい成長を遂げ、ソ連崩壊後、低迷していたロシアも、石油や天然ガスの輸出を伸ばし、徐々に復活してきた。米国は依然として世界の超大国であるものの、相対的な強さや大きさが低下し始めていることは事実である。
2015年9月、米国のオバマ大統領は、訪米した習近平主席に対し、「米国は、かつての様な超大国でないと明言し、“米国は最早、世界の警察官ではない”」と発言した。そして、「今後、米中による二大大国で世界をリードしよう」と述べたのである。確かに、中国が経済的にも、軍事的にも、かなりの勢いで伸びていたことは事実であるが、習近平主席に対し、この様な言葉を掛けたら、利用されるだけである。習近平主席にすれば、「私が、米国大統領に中国の偉大さを認めさせた」と自慢できるからである。オバマ大統領は、温和で尊敬できる素晴らしい人物であるものの、中国という国、習近平主席を見誤っていたのではないかと考えざるを得ない。あのオバマ大統領の「お言葉」は、世界をリードしている国の指揮官・リーダーとして果して適切な言葉だったのだろうかと疑問に思っているのは私だけであろうか。米国大統領の一挙手一投足、一言一言が世界を動かすのである。この言葉を聞いた習近平主席は小躍りしたに違いない。
その後、中国の経済成長率は、一時期よりも低下してきているものの、欧米や我が国の経済成長に比較すれば、まだまだ高いレベルで推移しており、この経済力を梃に「一帯一路(OBOR)」をこのコロナ下でも淡々と進め、東南アジアから中央アジア、そしてウクライナに至る地域や南太平洋諸島、インド洋地域での影響力を拡張させている。軍に於いては、特に海・空軍力の増強に努め、最近では中国海軍の艦艇数が米海軍のそれを抜いたとの報道もあるくらいの伸びを見せている。私は、総合的な国力に於いて、中国がまだまだ米国に及ばず、軍事力でも、中国軍(PLA)が米軍に対し優勢と思わない。米軍がまだまだ優勢である。しかし、米軍は全世界に展開しており、PLAの殆どは、自国周辺に展開している。特に、南シナ海・東シナ海が中心である。台湾海峡を含むこの周辺では中国海軍が優勢になりつつあることは事実であろう。
私は、核抑止の概念も崩れつつあるのではとの懸念を抱いている。「冷戦」時代は、核保有国同士の戦争は抑制されていたものの、最近の科学技術の進歩により、戦術核が出現しており、限定的な使用が可能ではないかとの懸念も出始めている。2014年3月、ロシアは突如、クリミア自治共和国の住民選挙の結果を受けて同共和国を併合した。この直後、国際社会は、ロシアに対する経済制裁を行った。これに対し、プーチン大統領は2015年2月、「核の使用」を仄めかした。プーチン大統領は「核」も使える武器の1つと考え始めている。極めて危険で独裁者的な感覚を持った大統領である。私は、この様なことから、これまでの「核抑止」や「拡大抑止」の概念・効果が崩れかけているのではと感じている。
また、今回、バイデン大統領は、ウクライナ不介入の理由を「ウクライナは米国の同盟国でもなく、防衛義務がない」と断言した。一理あるものの、米国の過去の行動と異なる発言である。これまで、米国は、クウエートを助け、ボスニアで戦い、シリアで戦ってきている。全て米国の同盟国ではない。仮に米国がこれまでの方針を転換したのであれば、台湾はどうなるのだろうかという疑問が湧く。台湾は米国の同盟国ではなく、防衛義務がない。
この様な観点から、私は既に、「ポスト冷戦」時代は終わり、新時代が到来しているのではと考えている。新時代には、新時代にふさわしい、新しい概念・政策・対応が必要であり、これまでの考え方から脱却しないと時代から置き去りにされてしまう。当然、守るべき伝統や理念、政策もあるが、テラノザウルスにならない様、時代の変化に適切に追随する為に優位を持った「脱皮」が必要になってきている。
「我々は念ずるのみならず行動すべき時、ロシアによるウクライナ侵攻が示唆するもの(元統合幕僚長の岩崎氏)2」に続く。
岩崎茂(いわさき・しげる)
1953年、岩手県生まれ。防衛大学校卒業後、航空自衛隊に入隊。2010年に第31代航空幕僚長就任。2012年に第4代統合幕僚長に就任。2014年に退官後、ANAホールディングスの顧問(現職)に。
写真:代表撮影/ロイター/アフロ
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1)「国益」を考える言論・研究プラットフォーム
・時代を動かすのは「志」、メディア企業の原点に回帰する
・国力・国富・国益という用語の基本的な定義づけを行う
2)地政学・地経学をバックボーンにしたメディア
・米中が織りなす新しい世界をストーリーとファクトで描く
・地政学・地経学の視点から日本を俯瞰的に捉える
3)「ほめる」メディア
・実業之日本社の創業者・増田義一の精神を受け継ぎ、事を成した人や新たな才能を世に紹介し、バックアップする
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