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CAICAD Research Memo(1):暗号資産ビジネスの本格化により、収益基盤の早期確立に取り組む
配信日時:2022/01/24 15:01
配信元:FISCO
■要約
1. 会社概要
CAICA DIGITAL<2315>※1は、金融業向けを主としたシステム開発や暗号資産に関するシステム開発等を行う「ITサービス事業」及び、金融商品取引法に基づく第一種金融商品取引事業、暗号資産※2に関する金融商品の開発・販売等を手掛ける「金融サービス事業」の両輪で事業を展開している。システム開発において長年にわたって蓄積してきた高度な技術やノウハウなどに強みがあり、同社グループ全技術者(約400名)がブロックチェーン技術者になる計画を実行中である。2021年3月には暗号資産交換所を擁する(株)カイカエクスチェンジホールディングス(旧 (株)Zaif Holdings)を連結子会社とし、「CAICAテクノロジーズ」「カイカエクスチェンジグループ」「カイカ証券(旧 eワラント証券)グループ」の3本柱の体制を構築し、暗号資産ビジネスの拡大に向けて体制を整えた。
※1 2021年11月1日より、「株式会社CAICA」から、「株式会社CAICA DIGITAL」へ商号変更した。これと同時に、金融サービス事業に属する子会社の商号もそれぞれ変更し、CAICA(カイカ)ブランドへ統一している(ただし、暗号資産交換所は「Zaif」のサービス名を継続使用)。
※2 暗号資産とは、中央銀行などの公的な発行主体や管理者が存在せず、インターネットを通じて不特定多数に対して商品やサービスの購入の対価として利用できる財産的価値のことを指す。2019年3月15日に暗号資産に関する法改正が閣議決定され、今まで「仮想通貨」と呼ばれていた名称が「暗号資産」へと変更された。
2. 2021年10月期決算の概要
2021年10月期の連結業績は、売上高が前期比0.9%減の5,946百万円、営業損失が915百万円(前期は679百万円の損失)と減収減益となり、損失幅が拡大した。また、修正予想(2021年4月13日公表)に対しても、売上高・各利益ともに大きく下振れる着地となっている。売上高は、2020年10月期における「HRテクノロジー事業」からの撤退が減収要因となった。一方、「ITサービス事業」は金融機関向けを中心におおむね堅調に推移したほか、カイカエクスチェンジホールディングスの連結化(第3四半期から)により「金融サービス事業」が前期比で大きく拡大した。ただ、計画を下回ったのは「金融サービス事業」によるものであり、暗号資産の相場下落局面において暗号資産交換所「Zaif」※の取引量が一時的に減少したことや、カイカ証券(株)における金融商品の販売低迷等が影響した。利益面では、「ITサービス事業」が損益改善を実現したものの、「金融サービス事業」については、売上高の下振れやカイカエクスチェンジホールディングスの連結化に伴う固定費増により損失幅がさらに拡大する結果となった。また、財政状態についても、カイカエクスチェンジホールディングスの連結化により大きく変化(バランスシートの大幅な拡大等)したが、財務の安全性に懸念はない。
※2015年より仮想通貨取引所「Zaif Exchange」として営業を開始した。もともとテックビューロ(株)により運営されていたが、2018年9月に大規模なハッキング被害(仮想通貨不正流出)を受けたことが発覚した後、同年11月に(株)フィスコ仮想通貨取引所(FCCE)に事業譲渡されると、親会社である(株)フィスコデジタルアセットグループ(以下、FDAG。現 カイカエクスチェンジホールディングス)が同社の持分法適用関連会社となった。以降、同社グループ内の暗号資産交換所として事業の立て直しに取り組み、2020年8月には金融庁への業務改善報告を終了している。
3. 2022年10月期の業績見通し
2022年10月期の業績予想について同社は、売上高を前期比28.4%増の7,632百万円、営業利益を211百万円(前期は915百万円の損失)と増収増益により黒字転換を目指している。売上高については、引き続き「ITサービス事業」が堅調に推移するとともに、「金融サービス事業」の伸びが増収に大きく寄与する見通しとなっている。特に「金融サービス事業」については、カイカエクスチェンジホールディングスの通年寄与に加え、カイカ証券とのシナジー創出による暗号資産ビジネスの拡大を想定している。利益面でも、暗号資産交換所「Zaif」への次世代システムの導入や広告投資の拡大など、今後の事業拡大に向けた先行費用を予定しているものの、増収に伴う収益の底上げにより大幅な増益を実現し、黒字転換を図る想定となっている。特に「金融サービス事業」については、暗号資産交換所「Zaif」を中核とする暗号資産ビジネスの本格化により、収益基盤の確立を図っていく方針である。
4. 今後の方向性
同社は、カイカエクスチェンジホールディングスの連結化に伴い、2021年4月に中期経営計画(改訂版)を公表したが、新株予約権の発行による資金調達が計画を下回ったことや、2021年10月期の業績が大きく下振れたことから、中期経営計画は新たに策定し公表する予定。ただし、今後の方向性に大きな見直しはないようだ。すなわち、新しい金融資産である暗号資産、普及拡大が間近に迫ったブロックチェーン(トークンエコノミーの確立を含む)、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)によりさらに加速するデジタル化を背景として、金融と社会が大きく変貌するパラダイムシフトに合致した企業を目指している。戦略の軸は、復活に向けて本格的に動き出した暗号資産交換所「Zaif」を中核とする暗号資産ビジネスの拡大にある。カイカ証券との連携を含む新商品の開発や「Zaif」の顧客基盤を活用したマーケティングなど、シナジー創出による事業拡大を図っていく。
■Key Points
・2021年10月期は暗号資産の相場下落の影響等を受け、計画を大きく下振れて着地
・ カイカエクスチェンジホールディングスの連結化により、暗号資産ビジネスの拡大に向けたグループ体制を構築するとともに、CAICAブランドへの統一にも取り組む。今後は収益基盤の確立が急務
・2022年10月期については増収増益により黒字転換を目指す。各事業の連携等により暗号資産ビジネスの本格化を想定
・2021年10月期の実績をふまえ、中期経営計画は新たに策定し公表する予定であるものの、今後の方向性に変化はない。金融のデジタル化が進むなかで、他社に例を見ない事業基盤を生かし、金融とITをシームレスに統合した新たな「金融プラットフォーマー構想」の実現を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
<YM>
1. 会社概要
CAICA DIGITAL<2315>※1は、金融業向けを主としたシステム開発や暗号資産に関するシステム開発等を行う「ITサービス事業」及び、金融商品取引法に基づく第一種金融商品取引事業、暗号資産※2に関する金融商品の開発・販売等を手掛ける「金融サービス事業」の両輪で事業を展開している。システム開発において長年にわたって蓄積してきた高度な技術やノウハウなどに強みがあり、同社グループ全技術者(約400名)がブロックチェーン技術者になる計画を実行中である。2021年3月には暗号資産交換所を擁する(株)カイカエクスチェンジホールディングス(旧 (株)Zaif Holdings)を連結子会社とし、「CAICAテクノロジーズ」「カイカエクスチェンジグループ」「カイカ証券(旧 eワラント証券)グループ」の3本柱の体制を構築し、暗号資産ビジネスの拡大に向けて体制を整えた。
※1 2021年11月1日より、「株式会社CAICA」から、「株式会社CAICA DIGITAL」へ商号変更した。これと同時に、金融サービス事業に属する子会社の商号もそれぞれ変更し、CAICA(カイカ)ブランドへ統一している(ただし、暗号資産交換所は「Zaif」のサービス名を継続使用)。
※2 暗号資産とは、中央銀行などの公的な発行主体や管理者が存在せず、インターネットを通じて不特定多数に対して商品やサービスの購入の対価として利用できる財産的価値のことを指す。2019年3月15日に暗号資産に関する法改正が閣議決定され、今まで「仮想通貨」と呼ばれていた名称が「暗号資産」へと変更された。
2. 2021年10月期決算の概要
2021年10月期の連結業績は、売上高が前期比0.9%減の5,946百万円、営業損失が915百万円(前期は679百万円の損失)と減収減益となり、損失幅が拡大した。また、修正予想(2021年4月13日公表)に対しても、売上高・各利益ともに大きく下振れる着地となっている。売上高は、2020年10月期における「HRテクノロジー事業」からの撤退が減収要因となった。一方、「ITサービス事業」は金融機関向けを中心におおむね堅調に推移したほか、カイカエクスチェンジホールディングスの連結化(第3四半期から)により「金融サービス事業」が前期比で大きく拡大した。ただ、計画を下回ったのは「金融サービス事業」によるものであり、暗号資産の相場下落局面において暗号資産交換所「Zaif」※の取引量が一時的に減少したことや、カイカ証券(株)における金融商品の販売低迷等が影響した。利益面では、「ITサービス事業」が損益改善を実現したものの、「金融サービス事業」については、売上高の下振れやカイカエクスチェンジホールディングスの連結化に伴う固定費増により損失幅がさらに拡大する結果となった。また、財政状態についても、カイカエクスチェンジホールディングスの連結化により大きく変化(バランスシートの大幅な拡大等)したが、財務の安全性に懸念はない。
※2015年より仮想通貨取引所「Zaif Exchange」として営業を開始した。もともとテックビューロ(株)により運営されていたが、2018年9月に大規模なハッキング被害(仮想通貨不正流出)を受けたことが発覚した後、同年11月に(株)フィスコ仮想通貨取引所(FCCE)に事業譲渡されると、親会社である(株)フィスコデジタルアセットグループ(以下、FDAG。現 カイカエクスチェンジホールディングス)が同社の持分法適用関連会社となった。以降、同社グループ内の暗号資産交換所として事業の立て直しに取り組み、2020年8月には金融庁への業務改善報告を終了している。
3. 2022年10月期の業績見通し
2022年10月期の業績予想について同社は、売上高を前期比28.4%増の7,632百万円、営業利益を211百万円(前期は915百万円の損失)と増収増益により黒字転換を目指している。売上高については、引き続き「ITサービス事業」が堅調に推移するとともに、「金融サービス事業」の伸びが増収に大きく寄与する見通しとなっている。特に「金融サービス事業」については、カイカエクスチェンジホールディングスの通年寄与に加え、カイカ証券とのシナジー創出による暗号資産ビジネスの拡大を想定している。利益面でも、暗号資産交換所「Zaif」への次世代システムの導入や広告投資の拡大など、今後の事業拡大に向けた先行費用を予定しているものの、増収に伴う収益の底上げにより大幅な増益を実現し、黒字転換を図る想定となっている。特に「金融サービス事業」については、暗号資産交換所「Zaif」を中核とする暗号資産ビジネスの本格化により、収益基盤の確立を図っていく方針である。
4. 今後の方向性
同社は、カイカエクスチェンジホールディングスの連結化に伴い、2021年4月に中期経営計画(改訂版)を公表したが、新株予約権の発行による資金調達が計画を下回ったことや、2021年10月期の業績が大きく下振れたことから、中期経営計画は新たに策定し公表する予定。ただし、今後の方向性に大きな見直しはないようだ。すなわち、新しい金融資産である暗号資産、普及拡大が間近に迫ったブロックチェーン(トークンエコノミーの確立を含む)、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)によりさらに加速するデジタル化を背景として、金融と社会が大きく変貌するパラダイムシフトに合致した企業を目指している。戦略の軸は、復活に向けて本格的に動き出した暗号資産交換所「Zaif」を中核とする暗号資産ビジネスの拡大にある。カイカ証券との連携を含む新商品の開発や「Zaif」の顧客基盤を活用したマーケティングなど、シナジー創出による事業拡大を図っていく。
■Key Points
・2021年10月期は暗号資産の相場下落の影響等を受け、計画を大きく下振れて着地
・ カイカエクスチェンジホールディングスの連結化により、暗号資産ビジネスの拡大に向けたグループ体制を構築するとともに、CAICAブランドへの統一にも取り組む。今後は収益基盤の確立が急務
・2022年10月期については増収増益により黒字転換を目指す。各事業の連携等により暗号資産ビジネスの本格化を想定
・2021年10月期の実績をふまえ、中期経営計画は新たに策定し公表する予定であるものの、今後の方向性に変化はない。金融のデジタル化が進むなかで、他社に例を見ない事業基盤を生かし、金融とITをシームレスに統合した新たな「金融プラットフォーマー構想」の実現を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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