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S&P500 月例レポート ― 資金の流れに逆らうな、楽観論が優勢な12月 (3) ―
配信日時:2022/01/21 11:41
配信元:MINKABU
●新型コロナウイルス関連
○米国では、新型コロナウイルスの1日の新規感染者数が2021年12月30日に58万2044人に達しました。
○製薬大手ファイザーは、同社製ワクチンの2回接種ではオミクロン株への高い予防効果が期待できず、3回(ブースター)接種を行うことでオミクロン株に対する十分な中和抗体を得られるとの見方を示しました。
○米国疾病対策センター(CDC)は、ファイザー製ワクチンの16~17歳を対象としたブースター接種を承認しました。
○ニューヨーク市は米国の大都市圏の中で初めて、官民問わず全ての職員および従業員にワクチン接種を義務づけることを決定しました。
○ファイザーは、同社が開発した新型コロナウイルス感染症の経口治療薬に入院・死亡リスクを89%軽減する効果があり、オミクロン株にも有効であることを明らかにしました。
○英国では、1日の新規感染者数が20万人に達したと推定され、規制が強化されました。
○CDCは新型コロナウイルスワクチンについて、ジョンソン・エンド・ジョンソン製よりもファイザーおよびモデルナ製を推奨するとの見解を示しました。
○米国では、1日の新規感染者数が12月22日に24万2794人となり、59%がオミクロン株に感染していることが明らかになりました。
○バイデン大統領はオミクロン株の感染拡大を受け、家庭で使える検査キット5億回分を無償配布し、さらに医療機関を支援するため、軍に所属する医療関係者を派遣すると発表しました。
○米食品医薬品局(FDA)は、ファイザーおよびメルク製の経口治療薬を承認しました。12歳以上の新規感染者が対象で、医師の処方を受けて自宅で服用することが可能です。
○中国北部の西安市では感染者数が急増しており、ロックダウン措置により1300万人に影響が及んでいます。北京では2月4日~20日にわたり、冬季オリンピックが開催される予定です。
○CDCは、感染者の隔離期間を10日から5日に短縮することを決定しました。これに倣い、多くの機関がそれぞれの指針を改定しました。
○新型コロナウイルス関連データ:
⇒世界全体のワクチン接種回数は91億2000万回となりました(11月末時点では80億1000万回)。
米国は現時点で、
→ワクチン接種回数が5億800万回(11月末時点では4億6100万回)に達しました(ブースター接種を含みます)。
→人口の73.4%(同70.2%)が少なくとも1回は接種したことになり、人口の62.0%(同59.4%)が2回の接種を終えました。人口の20.7%がブースター接種を受けました。
→米国の1日当たり感染者数の7日間平均は34万4543人に増加しました(同8万3120人)。また、入院者数の7日間平均は8万1847人に増加しました(同5万4906人)。
●各国中央銀行の動き(および関連ニュース)
○FRBのパウエル議長は議会証言で、オミクロン株が経済を減速させる可能性があることを指摘しました。また、FRBは景気刺激策の縮小を前倒しする準備ができていることと、インフレが予想よりも強いことにも言及しました。
○ベージュブック(地区連銀経済報告)によると、経済は緩やかなペースで成長しており、個人消費は上向いていますが、建設支出は原材料不足や労働力不足が足かせとなっています。
○中国人民銀行は、12月15日から銀行の預金準備率を0.50%ポイント引き下げて8.4%とし、これにより約1880億ドルの流動性が供給されました。
○12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、インフレ(2022年まで高水準が続く見通し)、新型コロナウイルスと変異株、個人消費、供給不足と労働力不足について再検討され、FRBは債券買い入れの規模を11月の月額1200億ドルから12月は同900億ドル、2022年1月には同600億ドルに縮小し、2022年3月に終了する可能性もあると発表しました。2022年中に利上げを開始する見通しで、年内に3回の利上げが見込まれています(市場は6月のFOMCで1回目の利上げがあると予想しています)。FRBは量的緩和を終了する理由として、インフレ率の上昇が広範囲にわたっていることと、労働市場が逼迫していることを挙げました。この発表に市場は反応し、S&P500指数は午後2時の時点で前日比0.35%下落していましたが、最終的に同1.63%上昇でその日の取引を終え、出来高は7790億ドルに上りました。
○イングランド銀行は予想外に政策金利を0.10%から0.25%に引き上げました。英国のインフレ率は、同銀の2.0%の目標に対して5.1%となっています。オミクロン株の感染が拡大し、ロンドンがロックダウンの状態にあることから、金利は据え置かれると予想されていました。
○欧州中央銀行(ECB)の政策理事会は、2020年3月に開始したパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)を段階的に縮小していくと発表しました。
●IPOおよび「空箱」SPAC
○動画ニュースやクイズなどを配信するバズフィードはIPO価格8ドルで上場しました。一時14.77ドルを付けましたが、5.33ドルに下落して月を終えました。
○半導体大手のインテルは、2017年に153億ドルで買収した自動運転部門モービルアイ(Mobileye)を2022年半ばに上場する計画を明らかにしました。市場は(現在の)企業価値を500億ドルと見積もっています。
○今後も活発なIPOが見込まれます。
⇒デジタル貯蓄・投資アプリを運営するエイコーンズはSPAC経由での上場を計画しており、企業評価額を22億ドルと見込んでいます。
⇒イスラエルのデジタル取引プラットフォームのイートロはSPAC(FinTech)経由で上場すると発表しました。時価総額100億ドルを見込んでいます。
●企業業績
○2021年第3四半期の利益と売上高は予想を大幅に上回りました。決算を終えた500銘柄中401銘柄(80.2%)で営業利益が予想を上回り、84銘柄で予想を下回り、15銘柄で予想通りとなりました。また、売上高では499銘柄中377銘柄(75.60%)が予想を上回り、過去最高を更新しました(2021年第2四半期比で2.8%増、2020年第3四半期比で13.95%増)。
⇒2021年第3四半期は、過去最高を記録した2021年第2四半期の水準から0.04%の小幅減益となりました(2021年第3四半期のEPSは52.03ドル、2021年第2四半期は52.05ドル)。
⇒2021年通年については過去最高益を更新する見通しで、前年比で65.2%の増益が見込まれ、2021年予想PERは22.6倍となっています(2020年の利益は同22.1%減)。
⇒2022年の利益は2021年予想からさらに8.7%増と、過去最高益の再度の更新が見込まれ、2022年予想PERは20.8倍となっています。
⇒2021年第3四半期中に株式数の減少によってEPSが大きく押し上げられた発表済みの銘柄の割合は7.4%でした(第2四半期は5.4%、2020年第3四半期は9.6%、2019年第3四半期は22.8%)。
⇒2021年第3四半期の営業利益率は13.20%となり、過去最高となった第2四半期の13.54%からは低下しましたが、依然として高水準を維持しています(1993年以降の平均は8.12%)。
○2021年第4四半期については、決算期がずれている15銘柄が決算発表を終え、そのうち11銘柄で利益が予想を上回り、13銘柄で売上高が予想を上回りました。
●個別銘柄
○ソーシャルメディア大手のツイッターの共同創業者で最高経営責任者(CEO)のジャック・ドーシー氏は、2021年11月に自身の退任を発表した後、同氏がCEOを務める決済サービスのスクエアの社名をブロックに変更すると発表しました(社名変更は2021年12月10日に実施)。
⇒それとは別に、ソーシャルメディア大手のメタ・プラットフォームズ(旧フェースブック)は、FBからMVRSへのティッカーの変更を2021年12月1日から2022年第1四半期に延期しました(延期の理由は明らかにされていません)。
○S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスはS&P500指数の構成銘柄の入れ替えを4組実施しました。ITサービス会社EPAMシステムズがS&P500指数に採用され、カナディアン・パシフィック・レイルウェイに買収されたカンザス・シティ・サザンが同指数から除外されました。残りの3組はS&P500指数とS&P中型株400指数の構成銘柄の入れ替えによるもので、商業銀行のシグネチャー・バンク、イスラエルの太陽光発電システムソリューションプロバイダーのソーラーエッジ・テクノロジーズ、金融データ・ソフトウエア企業のファクトセット・リサーチ・システムズがS&P中型株400指数からS&P500指数に移行し、家具・備品メーカーのレゲット・アンド・プラット、アパレル企業のヘインズブランズ、送金サービスを提供するウエスタン・ユニオンがS&P500指数からS&P中型株400指数に移行しました。
●注目点
○2021年10月までの1年間で、クレジットカードの申込件数が増加し、米国の消費者の27%(その前の1年間は16%)が新規または追加のクレジットカードを申し込みました。個人消費支出は景気回復(及び過去最高の売上高と利益)の支えとなっています。
○ビットコインのボラティリティは引き続き高い水準で推移し、1日で20%下落する日もありました。12月は11月末から18.6%下落、年初来では60.0%上昇して月を終えました。
○米国生命保険協会は、2020年の死亡給付金の支払いが前年比15%急増して904億ドルとなり、スペイン風邪が流行した1918年以降で最大の増加率となったことを明らかにしました。同協会は新型コロナウイルスの感染拡大をその理由に挙げています。
○注目すべき点として、米国の2021年6月までの12ヵ月の人口増加率は、低い出生率と新型コロナウィルスによる死亡者数を背景に、0.1%となりました。
○CDCは、米国の平均寿命が2020年に1.8年低下して、77歳になったと発表し(平均寿命が2.9年低下して63.3歳となった1943年以降で最大の低下幅)、新型コロナウイルスが死因の第3位となったことを明らかにしました(死因の第1位は心臓疾患、第2位はガン)。男性の平均寿命は76.3歳から74.2歳に、女性は81.4歳から79.9歳に低下しました。
○米国人の大好きな野球に関しては、メジャーリーグベースボール(MLB)では労働争議が発生し、選手たちの施設への立ち入りを禁止するロックアウト(1990年以降で初めて)に発展しました。2022年2月までに決着がつかなければ、シーズン開幕に影響するとみられています。そうなれば、野球ファンは興味の対象を市場に変更するかもしれません。
※「資金の流れに逆らうな、楽観論が優勢な12月 (4)」へ続く
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