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MDNT Research Memo(7):「慢性心不全治療薬」「新型コロナウイルスワクチン」に資源集中
配信日時:2021/12/27 16:07
配信元:FISCO
■メディネット<2370>の事業活動の進捗と今後の取り組み
2. 再生医療等製品事業の進捗と今後の取り組み
再生医療等製品事業では、1) 「慢性心不全治療に用いる再生医療等製品の実用化」(九州大学との共同研究開発)、2) 「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の予防を目的とした自家樹状細胞ワクチンの開発」(国立がん研究センター、慶應義塾大学と共同研究)、3) 「HSP105に関連したがん免疫療法」(国立がん研究センターとの共同研究開発)、4) 「グルコース誘導体(2DG)によるT細胞の免疫細胞治療技術の開発」、5) 「キメラ受容体遺伝子を導入した免疫細胞の開発」(京都府立医科大学との共同研究開発)、6) 先制医療における免疫細胞治療の有用性にかかる共同研究等の研究開発を進めている。主要研究開発6テーマのうち、1) 及び2) を優先的に資源を集中して取り組んでいる。それ以外の開発テーマについては、開発が一定程度進んだ段階で事業性評価をベースに優先的に取り組むテーマの取捨選択や、国内外に目を向けて出口が見えている他社の開発テーマのライセンスイン、または当該企業・研究機関との資本業務提携等といった動きが今後あるかどうかにも注目したいところである。
一方、同社は日本における自家細胞培養軟骨「NeoCart(R)」の製品開発に取り組んでいる。2018年12月に、米国食品医薬品局(FDA)の第III相臨床試験(安全性・有効性評価)の最終評価を発表、米国ヒストジェニックス(当時)のデータは有効性を示唆する結果ではあったものの、生物学的製剤承認申請(BLA)には追加の臨床試験を行う段階にある。
(1) 慢性心不全治療向け「α-GalCer/DC」の共同開発状況
同社と九州大学は難治性疾患である拡張型心筋症における新たな治療法として、樹状細胞を担体としたαガラクトシルセラミド(α-GalCer/DC)を用いてナチュラルキラーT細胞を活性化させ慢性心筋炎症を制御する研究に取り組んでいる。九州大学医学部の筒井教授主導のもと第I/IIa相臨床試験を実施した。同社は治験製造面で支援し、次相IIb試験の共同研究に向けて、治験製品の製造準備(同社品川CPFへ製造移管、製法変更等)及びPMDAとの協議(IIb相試験プロトコル、治験製品の品質や供給体制等)を進めている。現在は第IIb治験届出の準備が整ったとしており、2022年9月期中(出来るだけ早い時期)に治験開始と見られる。同研究は市場や投資家からの関心が高く、臨床試験結果に注目が集まっている。
(2) 新型コロナウイルス感染症ワクチンの開発状況
新型コロナウイルス感染症ワクチンは、引き続き世界で約160品目の研究開発が進められている。開発中のワクチンには、「不活性ワクチン」「組換えタンパクワクチン」「ウイルスベクターワクチン」「DNAワクチン」「メッセンジャーRNAワクチン」といった様々なワクチンがあり、米国Pfizer Inc.、独BioNTech SE、米国Moderna, Inc.、英国オックスフォード大学及び英国AstraZeneca PLCで開発・製造されたワクチンは、それぞれ世界各国で認可され接種が進んでいる。その反面、接種後は血栓ができる恐れや副反応のリスクも懸念されている。しかしその確率はわずかとされ、ワクチン接種による恩恵はリスクを上回ると言われており接種を奨励している国や地域は多い。
一方、同社が開発している「自家樹状細胞ワクチン」はこれらのワクチンとは異なる。樹状細胞にSARS-CoV-2抗原をパルスし細胞性免疫により細胞傷害性リンパ球(CTL)を誘導して、体内でウイルスに感染した細胞そのものを殺傷し、除去する。さらに、一部のCTLはメモリーT細胞となって、ウイルス(SARS-CoV-2)に対する細胞傷害活性を持ったまま宿主に記憶されるため、長期的な予防効果が見込まれている。
同社の樹状細胞はがん治療分野で独自に開発したものであるが、「自家樹状細胞ワクチン」はそのメカニズムを新型コロナウイルス向けに応用開発したものである。樹状細胞はがん治療分野では十数年前から実地医療現場で使用され、十分な安全性実績がある。しかし、樹状細胞ワクチンは患者自身の樹状細胞の成分採血をするため治療に手間がかかり、万人向けのワクチンとしては適していないため、同社は新型コロナウイルスのワクチンについては、重症化リスクのある高齢者・基礎疾患を有する人や医療従事者などウイルスに感染しやすい環境下の就業者が対象者となるとしている。2021年12月現在は、治験前に必要な非臨床安全性試験を実施しており、2022年以降の治験届の提出を予定している。ちなみに、樹状細胞を使ったワクチン開発は米国AIVITA Biomedical, INC.等数社しか行っていない極めて希少性の高いワクチンで、樹状細胞の活性化処理法に関する特許は同社が保有している。
また同社は、「樹状細胞ワクチンプラットホーム」構想を描いている。「樹状細胞ワクチン」とは、樹状細胞を基盤に、そこに体内に侵入してきた異物(抗原)の“目印”を記憶させてそのターゲット(特定のウイルスや細菌)を攻撃する仕組みである。ターゲットを切り替えれば、新型コロナウイルスの変異種(直近のオミクロン株が好例)をはじめ、未だ有効なワクチンや治療薬が確立していない感染症(SARS、MERS、エボラ出血熱、ジカ熱、デング熱等)や多様な疾病(ウイルス性肝炎、HIV感染症、AIDS発症等)に対応したワクチンや治療薬の迅速な開発が可能となる。同社のコア技術は「免疫細胞」であり、免疫細胞技術をベースに現行のがん細胞治療分野から感染症(ウイルス・細菌)、さらにアンメット・メディカルニーズ対応やオーファン・ドラッグ(希少疾病用医薬品)新薬開発への道筋が開かれる。このビジネスモデルが国内外医療機関・製薬業界に高く評価されれば、同社の企業価値がさらに高まるものと弊社では期待している。
(3) 米国での自家細胞培養軟骨NeoCart(R)の進捗
日本における自家細胞培養軟骨「NeoCart(R)」の開発と販売を目的として、米国Ocugen, Inc.(旧 ヒストジェニックス)間で締結していたライセンス契約は、米国Medavate Corp.への引き継ぎ(データも含め技術資産譲渡)は実現しなかった。Ocugenは米国での開発再開を目指し、FDA(アメリカ食品医薬品局)と第III相の追加試験プロトコルについての協議を開始している。時間を要しているが、少しずつ進捗していると言う。同社は、Ocugenでの開発方針が決定次第、日本における開発方針を決定する。
(4) 先制医療における免疫細胞治療の有用性にかかる共同研究
2021年3月より臨床研究を開始しており、研究成果は免疫細胞治療の有用性の確立に向けた研究推進と再生医療等製品の治験に利用される。同社は、研究成果は早ければ2021年中にまとまるとしており、収集した基礎データはがん予防や感染症への応用を予定している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水啓司)
<EY>
2. 再生医療等製品事業の進捗と今後の取り組み
再生医療等製品事業では、1) 「慢性心不全治療に用いる再生医療等製品の実用化」(九州大学との共同研究開発)、2) 「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の予防を目的とした自家樹状細胞ワクチンの開発」(国立がん研究センター、慶應義塾大学と共同研究)、3) 「HSP105に関連したがん免疫療法」(国立がん研究センターとの共同研究開発)、4) 「グルコース誘導体(2DG)によるT細胞の免疫細胞治療技術の開発」、5) 「キメラ受容体遺伝子を導入した免疫細胞の開発」(京都府立医科大学との共同研究開発)、6) 先制医療における免疫細胞治療の有用性にかかる共同研究等の研究開発を進めている。主要研究開発6テーマのうち、1) 及び2) を優先的に資源を集中して取り組んでいる。それ以外の開発テーマについては、開発が一定程度進んだ段階で事業性評価をベースに優先的に取り組むテーマの取捨選択や、国内外に目を向けて出口が見えている他社の開発テーマのライセンスイン、または当該企業・研究機関との資本業務提携等といった動きが今後あるかどうかにも注目したいところである。
一方、同社は日本における自家細胞培養軟骨「NeoCart(R)」の製品開発に取り組んでいる。2018年12月に、米国食品医薬品局(FDA)の第III相臨床試験(安全性・有効性評価)の最終評価を発表、米国ヒストジェニックス(当時)のデータは有効性を示唆する結果ではあったものの、生物学的製剤承認申請(BLA)には追加の臨床試験を行う段階にある。
(1) 慢性心不全治療向け「α-GalCer/DC」の共同開発状況
同社と九州大学は難治性疾患である拡張型心筋症における新たな治療法として、樹状細胞を担体としたαガラクトシルセラミド(α-GalCer/DC)を用いてナチュラルキラーT細胞を活性化させ慢性心筋炎症を制御する研究に取り組んでいる。九州大学医学部の筒井教授主導のもと第I/IIa相臨床試験を実施した。同社は治験製造面で支援し、次相IIb試験の共同研究に向けて、治験製品の製造準備(同社品川CPFへ製造移管、製法変更等)及びPMDAとの協議(IIb相試験プロトコル、治験製品の品質や供給体制等)を進めている。現在は第IIb治験届出の準備が整ったとしており、2022年9月期中(出来るだけ早い時期)に治験開始と見られる。同研究は市場や投資家からの関心が高く、臨床試験結果に注目が集まっている。
(2) 新型コロナウイルス感染症ワクチンの開発状況
新型コロナウイルス感染症ワクチンは、引き続き世界で約160品目の研究開発が進められている。開発中のワクチンには、「不活性ワクチン」「組換えタンパクワクチン」「ウイルスベクターワクチン」「DNAワクチン」「メッセンジャーRNAワクチン」といった様々なワクチンがあり、米国Pfizer Inc.、独BioNTech SE、米国Moderna, Inc.、英国オックスフォード大学及び英国AstraZeneca PLCで開発・製造されたワクチンは、それぞれ世界各国で認可され接種が進んでいる。その反面、接種後は血栓ができる恐れや副反応のリスクも懸念されている。しかしその確率はわずかとされ、ワクチン接種による恩恵はリスクを上回ると言われており接種を奨励している国や地域は多い。
一方、同社が開発している「自家樹状細胞ワクチン」はこれらのワクチンとは異なる。樹状細胞にSARS-CoV-2抗原をパルスし細胞性免疫により細胞傷害性リンパ球(CTL)を誘導して、体内でウイルスに感染した細胞そのものを殺傷し、除去する。さらに、一部のCTLはメモリーT細胞となって、ウイルス(SARS-CoV-2)に対する細胞傷害活性を持ったまま宿主に記憶されるため、長期的な予防効果が見込まれている。
同社の樹状細胞はがん治療分野で独自に開発したものであるが、「自家樹状細胞ワクチン」はそのメカニズムを新型コロナウイルス向けに応用開発したものである。樹状細胞はがん治療分野では十数年前から実地医療現場で使用され、十分な安全性実績がある。しかし、樹状細胞ワクチンは患者自身の樹状細胞の成分採血をするため治療に手間がかかり、万人向けのワクチンとしては適していないため、同社は新型コロナウイルスのワクチンについては、重症化リスクのある高齢者・基礎疾患を有する人や医療従事者などウイルスに感染しやすい環境下の就業者が対象者となるとしている。2021年12月現在は、治験前に必要な非臨床安全性試験を実施しており、2022年以降の治験届の提出を予定している。ちなみに、樹状細胞を使ったワクチン開発は米国AIVITA Biomedical, INC.等数社しか行っていない極めて希少性の高いワクチンで、樹状細胞の活性化処理法に関する特許は同社が保有している。
また同社は、「樹状細胞ワクチンプラットホーム」構想を描いている。「樹状細胞ワクチン」とは、樹状細胞を基盤に、そこに体内に侵入してきた異物(抗原)の“目印”を記憶させてそのターゲット(特定のウイルスや細菌)を攻撃する仕組みである。ターゲットを切り替えれば、新型コロナウイルスの変異種(直近のオミクロン株が好例)をはじめ、未だ有効なワクチンや治療薬が確立していない感染症(SARS、MERS、エボラ出血熱、ジカ熱、デング熱等)や多様な疾病(ウイルス性肝炎、HIV感染症、AIDS発症等)に対応したワクチンや治療薬の迅速な開発が可能となる。同社のコア技術は「免疫細胞」であり、免疫細胞技術をベースに現行のがん細胞治療分野から感染症(ウイルス・細菌)、さらにアンメット・メディカルニーズ対応やオーファン・ドラッグ(希少疾病用医薬品)新薬開発への道筋が開かれる。このビジネスモデルが国内外医療機関・製薬業界に高く評価されれば、同社の企業価値がさらに高まるものと弊社では期待している。
(3) 米国での自家細胞培養軟骨NeoCart(R)の進捗
日本における自家細胞培養軟骨「NeoCart(R)」の開発と販売を目的として、米国Ocugen, Inc.(旧 ヒストジェニックス)間で締結していたライセンス契約は、米国Medavate Corp.への引き継ぎ(データも含め技術資産譲渡)は実現しなかった。Ocugenは米国での開発再開を目指し、FDA(アメリカ食品医薬品局)と第III相の追加試験プロトコルについての協議を開始している。時間を要しているが、少しずつ進捗していると言う。同社は、Ocugenでの開発方針が決定次第、日本における開発方針を決定する。
(4) 先制医療における免疫細胞治療の有用性にかかる共同研究
2021年3月より臨床研究を開始しており、研究成果は免疫細胞治療の有用性の確立に向けた研究推進と再生医療等製品の治験に利用される。同社は、研究成果は早ければ2021年中にまとまるとしており、収集した基礎データはがん予防や感染症への応用を予定している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水啓司)
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