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ココナラ Research Memo(3):「ココナラ」は業界随一のEC型マッチングプラットフォームに成長(1)
配信日時:2021/11/25 16:03
配信元:FISCO
■会社概要
2. ビジネスモデルと強み
(1) ビジネスモデル
「ココナラ」とは、個人が知識・スキル・経験を商品化し、「ECのように売り買いできる」マッチング型プラットフォームのことである。その特長は、納品まで「オンライン」(非対面)で完結すること、EC型で簡単に購入/出品ができること、450種類以上のカテゴリの商品(サービス)を揃えていることの3点となる。サービスの流れは、出品者(個人)が自身の知識・スキルやプロフィール、サービス内容などを「ココナラ」に出品(掲載)し、これらの情報をもとに、購入者は依頼したい内容に応じて購入前に条件等についてメッセージ機能を使って出品者に確認、問題がなければ購入し、サービス提供(制作物の場合は納品)後にサービスのレビュー(評価)を行う流れとなる。購入代金についてはサービス提供の確認があるまでココナラ<4176>で預かる格好となっており、サービス提供が何らかの事由により実施されずキャンセルされた場合には代金は購入者に返金されることになる。
なお、同社は手数料として販売額の20%を出品者から、5%を購入者からそれぞれ徴収している※。出品者の手数料率について20%の水準が高いかどうかだが、例えば、企業で働くデザイナーが同じ案件を受注した場合、企業の取り分が約70%でデザイナーの収入は残り30%というのが相場と言われている。しかし「ココナラ」では自身で販売額を設定できることもあり、20%という手数料率に割高感を感じる出品者はいないと思われる。一方、購入者側から見ても5%という手数料を払うことになるが、制作会社あるいは広告代理店などを通じて同一案件を発注した場合は中抜きされるため、「ココナラ」で購入するよりも数倍から10倍以上になるケースもあり、手数料負担は感じないものと思われる。こうしたコストメリットが認知されたことで、ここ数年でビジネス目的の購入比率が上昇しており、現在はユーザーの約半数程度がビジネス目的になっていると同社では推計している。
※2021年4月11日までは販売額が5万円以下の部分については25%、5万円超~10万円の部分は20%、10万円超~50万円の部分は15%、50万円超の部分は10%(税抜)とし、出品者から手数料を徴収していたが、同年4月12日に変更した。なお電話相談サービスについては、出品者から約50%の手数料を徴収している。
「ココナラ」を利用するためには会員登録(無料)が必要となるため、いかに会員数を増やしていくことができるかが流通高を拡大していくための鍵を握ることになる。会員属性は男女比に偏りがなく、20~40代を中心に幅広い年齢層が利用している。商品を購入した会員が継続的にサービスを購入することで、全体としての収益が層のように積み上がる傾向にあり、こうした会員数を獲得することで流通高が伸びるリカーリング型のビジネスモデルとなっている。
またKPIとしては、会員数に加えて流通高を構成する「購入UU数」と「1人当たり購入額」を挙げている。それぞれを引き上げていく施策を行うことで、流通高の拡大を図っていく戦略だ。また、出品者側から見れば、販売UU数と1人当たり販売額で流通高が構成されることになる。ここ数年はいずれのKPIも右肩上がりとなっており、これが流通高の高成長につながっている。この流通高に手数料率を掛け合わせたものが営業収益となる。営業費用の主なものは、人件費・採用費を中心に広告宣伝費、業務委託費(管理部門の業務委託、「ココナラ法律相談」の顧客開拓のための業務委託)、地代家賃のほか、変動費となる支払手数料(クレジット会社の決済手数料等)やシステム・通信費などが挙げられる。営業収益に占める変動費率は20%台前半の水準となっており、限界利益率の高いビジネスモデルとなっていることが特長だ。
「ココナラ」以外のサービスとして、「ココナラ法律相談」がある。「ココナラ法律相談」は、法律トラブルを抱えるユーザーがインターネット上で弁護士に無料相談できる法律Q&Aと、依頼を検討するユーザーが弁護士検索・問い合わせができる2つの機能をもったプラットフォームである。有料登録弁護士からの広告掲載料(月額2.5~3万円)を営業収益として計上するストック型ビジネスモデルで、有料登録弁護士数をいかに増やすことができるかが成長の鍵を握ることになる。登録弁護士獲得のための営業活動はすべて外部委託で行っており、2021年8月期末の登録弁護士数は2,770人、うち有料登録弁護士数は732人と前期末比で2倍ペースの伸びとなっている。
競合としては、業界最大手となる「弁護士ドットコム」のほか、複数のサービスがある。法律Q&A機能について「弁護士ドットコム」は有料課金ユーザーでないと部分的にしか閲覧・投稿ができないが、「ココナラ法律相談」では無料ユーザー登録ですべて閲覧・投稿できるようになっている。また、弁護士広告ページについて、競合にはない独自取材の弁護士インタビュー記事を充実させている。コンテンツ内容を充実させるだけでなく、Google検索において幅広い検索キーワードで表示されるようSEO対策も強化しており、「ココナラ」からの流入もあって訪問ユーザー数は順調に増加している。営業収益の規模は全体の10%未満とまだ小さく、「弁護士ドットコム」との差も大きいが※、すでに収益化しており、成長事業として今後も注力していく方針となっている。
※弁護士ドットコムの有料登録弁護士数は2021年9月末で5,140人、年間売上高は約22億円。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<EY>
2. ビジネスモデルと強み
(1) ビジネスモデル
「ココナラ」とは、個人が知識・スキル・経験を商品化し、「ECのように売り買いできる」マッチング型プラットフォームのことである。その特長は、納品まで「オンライン」(非対面)で完結すること、EC型で簡単に購入/出品ができること、450種類以上のカテゴリの商品(サービス)を揃えていることの3点となる。サービスの流れは、出品者(個人)が自身の知識・スキルやプロフィール、サービス内容などを「ココナラ」に出品(掲載)し、これらの情報をもとに、購入者は依頼したい内容に応じて購入前に条件等についてメッセージ機能を使って出品者に確認、問題がなければ購入し、サービス提供(制作物の場合は納品)後にサービスのレビュー(評価)を行う流れとなる。購入代金についてはサービス提供の確認があるまでココナラ<4176>で預かる格好となっており、サービス提供が何らかの事由により実施されずキャンセルされた場合には代金は購入者に返金されることになる。
なお、同社は手数料として販売額の20%を出品者から、5%を購入者からそれぞれ徴収している※。出品者の手数料率について20%の水準が高いかどうかだが、例えば、企業で働くデザイナーが同じ案件を受注した場合、企業の取り分が約70%でデザイナーの収入は残り30%というのが相場と言われている。しかし「ココナラ」では自身で販売額を設定できることもあり、20%という手数料率に割高感を感じる出品者はいないと思われる。一方、購入者側から見ても5%という手数料を払うことになるが、制作会社あるいは広告代理店などを通じて同一案件を発注した場合は中抜きされるため、「ココナラ」で購入するよりも数倍から10倍以上になるケースもあり、手数料負担は感じないものと思われる。こうしたコストメリットが認知されたことで、ここ数年でビジネス目的の購入比率が上昇しており、現在はユーザーの約半数程度がビジネス目的になっていると同社では推計している。
※2021年4月11日までは販売額が5万円以下の部分については25%、5万円超~10万円の部分は20%、10万円超~50万円の部分は15%、50万円超の部分は10%(税抜)とし、出品者から手数料を徴収していたが、同年4月12日に変更した。なお電話相談サービスについては、出品者から約50%の手数料を徴収している。
「ココナラ」を利用するためには会員登録(無料)が必要となるため、いかに会員数を増やしていくことができるかが流通高を拡大していくための鍵を握ることになる。会員属性は男女比に偏りがなく、20~40代を中心に幅広い年齢層が利用している。商品を購入した会員が継続的にサービスを購入することで、全体としての収益が層のように積み上がる傾向にあり、こうした会員数を獲得することで流通高が伸びるリカーリング型のビジネスモデルとなっている。
またKPIとしては、会員数に加えて流通高を構成する「購入UU数」と「1人当たり購入額」を挙げている。それぞれを引き上げていく施策を行うことで、流通高の拡大を図っていく戦略だ。また、出品者側から見れば、販売UU数と1人当たり販売額で流通高が構成されることになる。ここ数年はいずれのKPIも右肩上がりとなっており、これが流通高の高成長につながっている。この流通高に手数料率を掛け合わせたものが営業収益となる。営業費用の主なものは、人件費・採用費を中心に広告宣伝費、業務委託費(管理部門の業務委託、「ココナラ法律相談」の顧客開拓のための業務委託)、地代家賃のほか、変動費となる支払手数料(クレジット会社の決済手数料等)やシステム・通信費などが挙げられる。営業収益に占める変動費率は20%台前半の水準となっており、限界利益率の高いビジネスモデルとなっていることが特長だ。
「ココナラ」以外のサービスとして、「ココナラ法律相談」がある。「ココナラ法律相談」は、法律トラブルを抱えるユーザーがインターネット上で弁護士に無料相談できる法律Q&Aと、依頼を検討するユーザーが弁護士検索・問い合わせができる2つの機能をもったプラットフォームである。有料登録弁護士からの広告掲載料(月額2.5~3万円)を営業収益として計上するストック型ビジネスモデルで、有料登録弁護士数をいかに増やすことができるかが成長の鍵を握ることになる。登録弁護士獲得のための営業活動はすべて外部委託で行っており、2021年8月期末の登録弁護士数は2,770人、うち有料登録弁護士数は732人と前期末比で2倍ペースの伸びとなっている。
競合としては、業界最大手となる「弁護士ドットコム」のほか、複数のサービスがある。法律Q&A機能について「弁護士ドットコム」は有料課金ユーザーでないと部分的にしか閲覧・投稿ができないが、「ココナラ法律相談」では無料ユーザー登録ですべて閲覧・投稿できるようになっている。また、弁護士広告ページについて、競合にはない独自取材の弁護士インタビュー記事を充実させている。コンテンツ内容を充実させるだけでなく、Google検索において幅広い検索キーワードで表示されるようSEO対策も強化しており、「ココナラ」からの流入もあって訪問ユーザー数は順調に増加している。営業収益の規模は全体の10%未満とまだ小さく、「弁護士ドットコム」との差も大きいが※、すでに収益化しており、成長事業として今後も注力していく方針となっている。
※弁護士ドットコムの有料登録弁護士数は2021年9月末で5,140人、年間売上高は約22億円。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<EY>
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