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TKP Research Memo(6):コロナ禍が継続するなかでも「TKP職域ワクチンセンター」運営が業績に大きく貢献
配信日時:2021/11/05 15:06
配信元:FISCO
■決算概要
2. 2022年2月期上期の連結業績
ティーケーピー<3479>の2022年2月期上期の連結業績は、売上高が前年同期比6.9%増の219.55億円、営業損失が4.98億円(前年同期は20.13億円の損失)、経常損失が7.46億円(同21.19億円の損失)、親会社株主に帰属する四半期純損失が21.33億円(同24.03億円の損失)となった。また、重視するEBITDAについては、同212.9%増の22.83億円と大きく回復した。
売上高については、TKP単体による一定の回復が増収に寄与した。コロナ禍の長期化により第1四半期こそ低調に推移したものの、第2四半期は「TKP職域ワクチンセンター」の運営※1や同社運営アパホテルによる新型コロナ軽症者用一棟貸し※2が貢献し、コロナ禍が継続するなかでも大幅な業績の回復につなげることができた。一方、日本リージャスについては、前期における大口顧客の解約が影響し減収となったが、減少傾向にあった売上高は底を打ち、上昇トレンドに入ってきた。
※1 2021年6月21日より開始された新型コロナワクチン職域接種に対し、同社会場の一部無償提供を開始するとともに、自社内での職域接種対応が困難な中小企業をサポートすべく、新型コロナワクチン接種のオペレーションや医療従事者の手配を実施する「TKP職域ワクチンセンター」を迅速に整備・開設した。その結果、全国約20施設にて1,500社以上、延べ90万人の新型コロナワクチン接種を実施することができた。
※2 2021年2月以降、同社が運営するアパホテル10棟のうち4棟を新型コロナ軽症者用宿泊療養施設として順次提供を開始したほか、9月6日より「抗体カクテル療法センター」としての提供も開始している。
損益面に目を向けると、TKP単体については、売上高の一定の回復に加え、不採算施設からの撤退や周辺サービスの整理などが奏功し上期黒字化を達成した。とりわけ第2四半期においては、宿泊事業の黒字化及び「TKP職域ワクチンセンター」の貢献により大幅な四半期黒字化を実現した。ただ、グループ全体で営業損失となったのは、日本リージャスにおける先行費用(将来を見据えた積極出店)の継続が主因である。もっとも、EBITDAについては、前年同期比で大きく回復するとともに、TKP単体及び日本リージャスともに黒字を確保している。また、特別損益の動きとして、日本リージャスにおける大口顧客の解約等に伴う「顧客関連資産」に対する減損損失(16.35億円)など、17.61億円の減損損失を計上した。
財政状態については、固定資産の圧縮等により、総資産が前期末比6.7%減の1,090.33億円と減少した。一方で、自己資本は新株予約権(第7回)の行使に伴って約83億円を調達したことにより、同13.4%増の376.85億円と増加し、自己資本比率は34.6%(前期末は28.4%)に改善した。また、手許流動性は「現金及び預金」(123.12億円)や調達枠を含めて約300億円を確保しており、支払い能力に懸念はない。2021年2月に発行した第8回新株予約権(発行時点の想定調達金額は合計約100億円)についても、今後の成長資金確保に向けて行使促進を検討中である。
連結業績の主な内訳は以下のとおりである。
(1) TKP単体の業績
TKP単体の業績は、売上高が前年同期比15.5%増の123.25億円、営業利益が0.64億円(前年同期は18.77億円の損失)、EBITDAが5.21億円(同14.18億円の損失)と、売上高の回復により営業黒字化を達成した。前年同期はキャンセル料収入によるかさ上げが大きかったことを勘案すると、実態としての回復幅はさらに大きかったと言える。コロナ禍の長期化により、貸会議室事業や料飲・宿泊事業等の需要減により第1四半期こそ回復に遅れが生じたものの、第2四半期に入ってからは「TKP職域ワクチンセンター」の運営に加え、同社運営アパホテルによる新型コロナ軽症者用一棟貸しが進捗したことで業績が大きく回復に向かった。重視するKPIである「坪あたり売上高」についても、第2四半期はコロナ禍以降で最高水準に到達している。また損益面でも、不採算施設からの撤退や周辺サービスの整理に加え、「TKP職域ワクチンセンター」による貢献や宿泊事業の黒字化により第2四半期は四半期黒字化を実現し、第1四半期の損失分をカバーした。なお、2021年8月末の施設数は、上期出店3、退店13により241施設(総面積は約13.3万坪)となっている。
(2) 日本リージャスの業績
日本リージャスの業績は、売上高が前年同期比2.8%減の85.85億円、営業損失が4.37億円(前年同期は4.37億円の利益)、EBITDAが前年同期比45.8%減の10.71億円と減収減益となり、営業損失を計上した。前期における大口顧客の解約が影響し減収減益となったものの、減少傾向にあった売上高は第2四半期で底を打ち、上昇トレンドに入ってきたようだ。稼働率についても、前期から緩やかな低下傾向にあったものの、第2四半期には70%程度(全施設平均)に戻ってきた。また、損益面で営業損失を計上したのは、売上減による影響に加え、将来のフレキブルオフィス需要の拡大を見据えた積極出店の継続によるところが大きい。なお、2021年8月末の施設数は、上期出店5、退店0により167施設(総面積は約4.2万坪)となっている。
3. 2022年2月期上期の総括
以上から2022年2月期上期を総括すると、コロナ禍の長期化により貸会議室需要の低迷が続くなかで、不採算施設からの撤退などにより筋肉質の収益体質への転換を進める一方、新型コロナワクチンの職域接種という社会課題にいち早く対応し、需要を取り込むことによって業績の回復を実現できた点は、守りと攻めの両面で数値以上の成果を残したと評価できる。特に、社会課題の解決を通じて獲得できた、ブランド認知や信頼、各方面とのネットワーク(政府・自治体や経済界、各企業の人事・総務部門等)は、今後の事業拡大に結び付く重要な資産として捉えることができる。また、スペースに顧客ニーズに応えるコンテンツサービス(運営オペレーションやシステム等)を開発し、ソリューションの提供につなげたことは、同社ならではの対応力の高さを実証しただけでなく、今後の方向性や可能性を示すものとして注目すべきポイントと言えよう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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2. 2022年2月期上期の連結業績
ティーケーピー<3479>の2022年2月期上期の連結業績は、売上高が前年同期比6.9%増の219.55億円、営業損失が4.98億円(前年同期は20.13億円の損失)、経常損失が7.46億円(同21.19億円の損失)、親会社株主に帰属する四半期純損失が21.33億円(同24.03億円の損失)となった。また、重視するEBITDAについては、同212.9%増の22.83億円と大きく回復した。
売上高については、TKP単体による一定の回復が増収に寄与した。コロナ禍の長期化により第1四半期こそ低調に推移したものの、第2四半期は「TKP職域ワクチンセンター」の運営※1や同社運営アパホテルによる新型コロナ軽症者用一棟貸し※2が貢献し、コロナ禍が継続するなかでも大幅な業績の回復につなげることができた。一方、日本リージャスについては、前期における大口顧客の解約が影響し減収となったが、減少傾向にあった売上高は底を打ち、上昇トレンドに入ってきた。
※1 2021年6月21日より開始された新型コロナワクチン職域接種に対し、同社会場の一部無償提供を開始するとともに、自社内での職域接種対応が困難な中小企業をサポートすべく、新型コロナワクチン接種のオペレーションや医療従事者の手配を実施する「TKP職域ワクチンセンター」を迅速に整備・開設した。その結果、全国約20施設にて1,500社以上、延べ90万人の新型コロナワクチン接種を実施することができた。
※2 2021年2月以降、同社が運営するアパホテル10棟のうち4棟を新型コロナ軽症者用宿泊療養施設として順次提供を開始したほか、9月6日より「抗体カクテル療法センター」としての提供も開始している。
損益面に目を向けると、TKP単体については、売上高の一定の回復に加え、不採算施設からの撤退や周辺サービスの整理などが奏功し上期黒字化を達成した。とりわけ第2四半期においては、宿泊事業の黒字化及び「TKP職域ワクチンセンター」の貢献により大幅な四半期黒字化を実現した。ただ、グループ全体で営業損失となったのは、日本リージャスにおける先行費用(将来を見据えた積極出店)の継続が主因である。もっとも、EBITDAについては、前年同期比で大きく回復するとともに、TKP単体及び日本リージャスともに黒字を確保している。また、特別損益の動きとして、日本リージャスにおける大口顧客の解約等に伴う「顧客関連資産」に対する減損損失(16.35億円)など、17.61億円の減損損失を計上した。
財政状態については、固定資産の圧縮等により、総資産が前期末比6.7%減の1,090.33億円と減少した。一方で、自己資本は新株予約権(第7回)の行使に伴って約83億円を調達したことにより、同13.4%増の376.85億円と増加し、自己資本比率は34.6%(前期末は28.4%)に改善した。また、手許流動性は「現金及び預金」(123.12億円)や調達枠を含めて約300億円を確保しており、支払い能力に懸念はない。2021年2月に発行した第8回新株予約権(発行時点の想定調達金額は合計約100億円)についても、今後の成長資金確保に向けて行使促進を検討中である。
連結業績の主な内訳は以下のとおりである。
(1) TKP単体の業績
TKP単体の業績は、売上高が前年同期比15.5%増の123.25億円、営業利益が0.64億円(前年同期は18.77億円の損失)、EBITDAが5.21億円(同14.18億円の損失)と、売上高の回復により営業黒字化を達成した。前年同期はキャンセル料収入によるかさ上げが大きかったことを勘案すると、実態としての回復幅はさらに大きかったと言える。コロナ禍の長期化により、貸会議室事業や料飲・宿泊事業等の需要減により第1四半期こそ回復に遅れが生じたものの、第2四半期に入ってからは「TKP職域ワクチンセンター」の運営に加え、同社運営アパホテルによる新型コロナ軽症者用一棟貸しが進捗したことで業績が大きく回復に向かった。重視するKPIである「坪あたり売上高」についても、第2四半期はコロナ禍以降で最高水準に到達している。また損益面でも、不採算施設からの撤退や周辺サービスの整理に加え、「TKP職域ワクチンセンター」による貢献や宿泊事業の黒字化により第2四半期は四半期黒字化を実現し、第1四半期の損失分をカバーした。なお、2021年8月末の施設数は、上期出店3、退店13により241施設(総面積は約13.3万坪)となっている。
(2) 日本リージャスの業績
日本リージャスの業績は、売上高が前年同期比2.8%減の85.85億円、営業損失が4.37億円(前年同期は4.37億円の利益)、EBITDAが前年同期比45.8%減の10.71億円と減収減益となり、営業損失を計上した。前期における大口顧客の解約が影響し減収減益となったものの、減少傾向にあった売上高は第2四半期で底を打ち、上昇トレンドに入ってきたようだ。稼働率についても、前期から緩やかな低下傾向にあったものの、第2四半期には70%程度(全施設平均)に戻ってきた。また、損益面で営業損失を計上したのは、売上減による影響に加え、将来のフレキブルオフィス需要の拡大を見据えた積極出店の継続によるところが大きい。なお、2021年8月末の施設数は、上期出店5、退店0により167施設(総面積は約4.2万坪)となっている。
3. 2022年2月期上期の総括
以上から2022年2月期上期を総括すると、コロナ禍の長期化により貸会議室需要の低迷が続くなかで、不採算施設からの撤退などにより筋肉質の収益体質への転換を進める一方、新型コロナワクチンの職域接種という社会課題にいち早く対応し、需要を取り込むことによって業績の回復を実現できた点は、守りと攻めの両面で数値以上の成果を残したと評価できる。特に、社会課題の解決を通じて獲得できた、ブランド認知や信頼、各方面とのネットワーク(政府・自治体や経済界、各企業の人事・総務部門等)は、今後の事業拡大に結び付く重要な資産として捉えることができる。また、スペースに顧客ニーズに応えるコンテンツサービス(運営オペレーションやシステム等)を開発し、ソリューションの提供につなげたことは、同社ならではの対応力の高さを実証しただけでなく、今後の方向性や可能性を示すものとして注目すべきポイントと言えよう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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