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歓迎、英国海軍空母「クイーン・エリザベス」【実業之日本フォーラム】
配信日時:2021/09/07 09:27
配信元:FISCO
2021年9月4日午後、英国海軍の空母「クイーン・エリザベス」(排水量約6万5千トン、全長約280メートル、乗員約1,240人)が米海軍横須賀基地に入港した。ロイターによると、英国のジュリア・ロングボトム駐日大使は、「空母クイーン・エリザベスの日本訪問でインド太平洋地域での英国の存在感が強まり、英日のパートナーシップがさらに引き上げられる」と空母寄港の意義を述べている。
岸防衛大臣は8月27日の記者会見で「英空母打撃群とは、7月11、12日にアデン湾において海賊対処共同訓練を実施したほか、8月24日には『米国主催大規模広域訓練2021(LSGE20121)』の後段部分において、初めて日本周辺で共同訓練を行った。さらに8月25、26日に海上自衛隊は『パシフィック・クラウン21−1』として英空母打撃群と沖縄南方海空域で共同訓練を実施した。海上自衛隊から「いせ」「あさひ」、英空母打撃群からは空母「クイーン・エリザベス」のほか駆逐艦「ディフェンダー」、その他米海軍の駆逐艦、オランダ海軍のフリゲート艦などが参加した。本訓練を通じ戦術技量の向上や各国との連携強化を図り、日英防衛協力が新たな段階に入ったこと、FOIP(Free and Open Indo-Pacific)の維持強化のため英国の関与が強固かつ不可逆的であり、わが国の安全保障のみならず、インド太平洋地域と国際社会の平和と安全の確保に資するものであることを示せた」と今回の英空母打撃群の寄港や共同訓練実施の意義を強調した。
英国政府は、2021年3月16日、欧州連合(EU)離脱後の安全保障、防衛、技術開発及び外交に係る今後の方針をまとめた「統合レビュー( Global Britain in a competitive age、The Integrated Review of Security, Defence, Department and Foreign Policy)」を公表し、英国の防衛は本国及びその周辺を重視しつつ、インド太平洋地域への関与を深める方針を打ち出した。2017年8月には、来日した当時のテリーザ・メイ首相が、安全保障協力に関する日英共同宣言において「日英両国は、戦略的利益並びに自由、民主主義及び法の支配といった基本的価値を共有するグローバルな戦略的パートナーであることを確認し、アジア及び欧州におけるもっとも緊密な安全保障上のパートナーとして国際システムを維持すべく指導力を発揮していく」と力強いコミットメントを発表している。
日英両政府は、2015年から4回の「外務・防衛閣僚会合(2プラス2)」を開催し、2017年1月には「物品役務相互提供協定(ACSA)」を締結した。今後は、日豪ではすでに合意している「円滑化協定」の締結が望まれる。「日英円滑化協定」とは、自衛隊と英国軍がそれぞれの国への入国に際し、武器の持ち込み、税制、司法等を対象に双方の活動に対する法的手続きなどの枠組みを定めることであり、これにより、より円滑な部隊運用と日英間の安全保障関係の強化が期待できる。
今回の英空母「クイーン・エリザベス」のインド太平洋方面への行動は、中国の力による一方的な現状変更の試みに強く反対し、「航行の自由」を守り、国際秩序を損なう行為を許さないという決意の表れと見ることができないだろうか。1902年に締結された「日英同盟」は両国に大きな恩恵をもたらした。憲法やさまざまな制約により短期間で「第2次日英同盟」を締結するまでに至るのは困難だが、今回の英空母「クイーン・エリザベス」の寄港を契機に、対中抑止力という観点においても、日英両国の安全保障に関する協力関係がさらに大きく進展し、強固なものになることを期待したい。
サンタフェ総研上席研究員 將司 覚
防衛大学校卒業後、海上自衛官として勤務。P-3C操縦士、飛行隊長、航空隊司令歴任、国連PKO訓練参加、カンボジアPKO参加、ソマリア沖・アデン湾における海賊対処行動教訓収集参加。米国海軍勲功章受賞。2011年退官後、大手自動車メーカー海外危機管理支援業務従事。2020年から現職。
写真:Keizo Mori/アフロ
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実業之日本フォーラム( https://jitsunichi-forum.jp/ )では、以下の編集方針でサイト運営を進めてまいります。
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・時代を動かすのは「志」、メディア企業の原点に回帰する
・国力・国富・国益という用語の基本的な定義づけを行う
2)地政学・地経学をバックボーンにしたメディア
・米中が織りなす新しい世界をストーリーとファクトで描く
・地政学・地経学の視点から日本を俯瞰的に捉える
3)「ほめる」メディア
・実業之日本社の創業者・増田義一の精神を受け継ぎ、事を成した人や新たな才能を世に紹介し、バックアップする
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岸防衛大臣は8月27日の記者会見で「英空母打撃群とは、7月11、12日にアデン湾において海賊対処共同訓練を実施したほか、8月24日には『米国主催大規模広域訓練2021(LSGE20121)』の後段部分において、初めて日本周辺で共同訓練を行った。さらに8月25、26日に海上自衛隊は『パシフィック・クラウン21−1』として英空母打撃群と沖縄南方海空域で共同訓練を実施した。海上自衛隊から「いせ」「あさひ」、英空母打撃群からは空母「クイーン・エリザベス」のほか駆逐艦「ディフェンダー」、その他米海軍の駆逐艦、オランダ海軍のフリゲート艦などが参加した。本訓練を通じ戦術技量の向上や各国との連携強化を図り、日英防衛協力が新たな段階に入ったこと、FOIP(Free and Open Indo-Pacific)の維持強化のため英国の関与が強固かつ不可逆的であり、わが国の安全保障のみならず、インド太平洋地域と国際社会の平和と安全の確保に資するものであることを示せた」と今回の英空母打撃群の寄港や共同訓練実施の意義を強調した。
英国政府は、2021年3月16日、欧州連合(EU)離脱後の安全保障、防衛、技術開発及び外交に係る今後の方針をまとめた「統合レビュー( Global Britain in a competitive age、The Integrated Review of Security, Defence, Department and Foreign Policy)」を公表し、英国の防衛は本国及びその周辺を重視しつつ、インド太平洋地域への関与を深める方針を打ち出した。2017年8月には、来日した当時のテリーザ・メイ首相が、安全保障協力に関する日英共同宣言において「日英両国は、戦略的利益並びに自由、民主主義及び法の支配といった基本的価値を共有するグローバルな戦略的パートナーであることを確認し、アジア及び欧州におけるもっとも緊密な安全保障上のパートナーとして国際システムを維持すべく指導力を発揮していく」と力強いコミットメントを発表している。
日英両政府は、2015年から4回の「外務・防衛閣僚会合(2プラス2)」を開催し、2017年1月には「物品役務相互提供協定(ACSA)」を締結した。今後は、日豪ではすでに合意している「円滑化協定」の締結が望まれる。「日英円滑化協定」とは、自衛隊と英国軍がそれぞれの国への入国に際し、武器の持ち込み、税制、司法等を対象に双方の活動に対する法的手続きなどの枠組みを定めることであり、これにより、より円滑な部隊運用と日英間の安全保障関係の強化が期待できる。
今回の英空母「クイーン・エリザベス」のインド太平洋方面への行動は、中国の力による一方的な現状変更の試みに強く反対し、「航行の自由」を守り、国際秩序を損なう行為を許さないという決意の表れと見ることができないだろうか。1902年に締結された「日英同盟」は両国に大きな恩恵をもたらした。憲法やさまざまな制約により短期間で「第2次日英同盟」を締結するまでに至るのは困難だが、今回の英空母「クイーン・エリザベス」の寄港を契機に、対中抑止力という観点においても、日英両国の安全保障に関する協力関係がさらに大きく進展し、強固なものになることを期待したい。
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防衛大学校卒業後、海上自衛官として勤務。P-3C操縦士、飛行隊長、航空隊司令歴任、国連PKO訓練参加、カンボジアPKO参加、ソマリア沖・アデン湾における海賊対処行動教訓収集参加。米国海軍勲功章受賞。2011年退官後、大手自動車メーカー海外危機管理支援業務従事。2020年から現職。
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