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太平電業:建設から補修の安定基盤に加え、バイオマス発電への投資で中長期成長へ
配信日時:2025/10/08 10:42
配信元:FISCO
*10:42JST 太平電業:建設から補修の安定基盤に加え、バイオマス発電への投資で中長期成長へ
太平電業<1968>は、独立系の総合プラント建設会社であり、火力発電所や原子力発電所の建設・補修や、バイオマス発電所の運転業務などを幅広く手掛ける。国内外で多数の実績を有し、香港ランマ発電所など海外でも工事を行ってきた。施工動員力は通常時6,000人規模、繁忙期には8,000人規模まで拡大できる体制を持つ。
同社の事業は大きく「建設工事」と「補修工事」の2つに分かれる。売上構成比は建設が約3割、補修が約7割であり、特に補修工事が安定収益源となっている。建設工事は大型のLNG火力発電所など需要は底堅いが、採算性が低い傾向にある。一方、補修工事はリピート効果により利益率が高く、過去に建設した案件を長期にわたりメンテナンスにつなげることが可能である。この「建設から補修への循環型モデル」が同社の最大の特徴であり、収益の安定性を高めるビジネスモデルとなっている。また、全国展開を行い、繁閑に応じて人員を動かす「動員力」も競合他社との差別化要因である。
2026年3月期第1四半期の業績は、売上高295億円(前年同期比1.7%減)、営業利益15億円(同36.9%減)と減収減益で着地した。これは前年同期に追加工事が発生し利益が押し上げられた反動によるものであり、今期はその特殊要因が剥落した形である。実力ベースでは堅調であり、決算の水準は想定から大きく乖離していない。利益率の変動は受注のタイミングに依存する面があるが、火力発電所補修工事が春と秋に集中、業績は下期に偏重する傾向がある。実際に通期予想では増収増益を見込んでおり、補修需要や原子力再稼働に伴う安全対策工事の寄与が期待される。
2026年3月期は売上高1,430億円(前期比13.8%増)、営業利益150億円(同15.1%増)を予想している。
市場環境をみると、石炭火力の新設は一巡している一方、LNG火力の受注は来年度まで堅調に続く見込みである。また、原子力発電所の再稼働に向けた安全対策工事は本格化し、許可が下りている複数の発電所で案件が発生しており、今後数年にわたって需要が継続することが見込まれる。さらに、老朽化した火力発電所の解体工事や、ごみ焼却施設の案件も増加傾向にあり、補修・解体分野での事業機会は拡大している。
中期経営計画(2023~2025年度)では、最終年度に売上高1,500億円、ROE9%の達成を掲げている。現状では発電所の新設による売上計上が一巡した影響もあり売上目標の達成は難しいとみられるが、補修工事や原子力関連の受注を積み上げることで収益の安定性を確保していく方針である。また、長期的には再生可能エネルギーや新規事業への投資も進めている。「グリーンプロジェクト」として、自社バイオマス発電所のEPC(設計・調達・工事一括請負)を推進し、発電に伴う二酸化炭素を農業利用する試みや、森林整備を目的とした林業への参入など、社会的意義の高い事業拡大を目指している。
株主還元については、2025年3月期から方針を改定し、DOE3%下限、配当性向35%を目安とした。2026年3月期は年間67円(株式分割前換算201円)の配当を予定しており、前期比で実質増配となる。予想配当利回りは3.2%と高水準で、DOEは3.4%を見込む。安定配当を基本としつつ増配姿勢を示しており、株主還元の強化は投資家にとって大きな魅力である。加えて、同社は数年前にIR部門を立ち上げ、投資家向け広報活動を強化している。
短期的には四半期ごとの利益変動が見られるものの、下期偏重の傾向を踏まえれば通期では堅調な業績推移が見込まれる。さらに、脱炭素や原子力再稼働といった政策的な追い風に加え、バイオマス発電所を軸とする「グリーンプロジェクト」など成長投資の進展もあり、同社の中長期的な成長余地は大きい。
<HM>
同社の事業は大きく「建設工事」と「補修工事」の2つに分かれる。売上構成比は建設が約3割、補修が約7割であり、特に補修工事が安定収益源となっている。建設工事は大型のLNG火力発電所など需要は底堅いが、採算性が低い傾向にある。一方、補修工事はリピート効果により利益率が高く、過去に建設した案件を長期にわたりメンテナンスにつなげることが可能である。この「建設から補修への循環型モデル」が同社の最大の特徴であり、収益の安定性を高めるビジネスモデルとなっている。また、全国展開を行い、繁閑に応じて人員を動かす「動員力」も競合他社との差別化要因である。
2026年3月期第1四半期の業績は、売上高295億円(前年同期比1.7%減)、営業利益15億円(同36.9%減)と減収減益で着地した。これは前年同期に追加工事が発生し利益が押し上げられた反動によるものであり、今期はその特殊要因が剥落した形である。実力ベースでは堅調であり、決算の水準は想定から大きく乖離していない。利益率の変動は受注のタイミングに依存する面があるが、火力発電所補修工事が春と秋に集中、業績は下期に偏重する傾向がある。実際に通期予想では増収増益を見込んでおり、補修需要や原子力再稼働に伴う安全対策工事の寄与が期待される。
2026年3月期は売上高1,430億円(前期比13.8%増)、営業利益150億円(同15.1%増)を予想している。
市場環境をみると、石炭火力の新設は一巡している一方、LNG火力の受注は来年度まで堅調に続く見込みである。また、原子力発電所の再稼働に向けた安全対策工事は本格化し、許可が下りている複数の発電所で案件が発生しており、今後数年にわたって需要が継続することが見込まれる。さらに、老朽化した火力発電所の解体工事や、ごみ焼却施設の案件も増加傾向にあり、補修・解体分野での事業機会は拡大している。
中期経営計画(2023~2025年度)では、最終年度に売上高1,500億円、ROE9%の達成を掲げている。現状では発電所の新設による売上計上が一巡した影響もあり売上目標の達成は難しいとみられるが、補修工事や原子力関連の受注を積み上げることで収益の安定性を確保していく方針である。また、長期的には再生可能エネルギーや新規事業への投資も進めている。「グリーンプロジェクト」として、自社バイオマス発電所のEPC(設計・調達・工事一括請負)を推進し、発電に伴う二酸化炭素を農業利用する試みや、森林整備を目的とした林業への参入など、社会的意義の高い事業拡大を目指している。
株主還元については、2025年3月期から方針を改定し、DOE3%下限、配当性向35%を目安とした。2026年3月期は年間67円(株式分割前換算201円)の配当を予定しており、前期比で実質増配となる。予想配当利回りは3.2%と高水準で、DOEは3.4%を見込む。安定配当を基本としつつ増配姿勢を示しており、株主還元の強化は投資家にとって大きな魅力である。加えて、同社は数年前にIR部門を立ち上げ、投資家向け広報活動を強化している。
短期的には四半期ごとの利益変動が見られるものの、下期偏重の傾向を踏まえれば通期では堅調な業績推移が見込まれる。さらに、脱炭素や原子力再稼働といった政策的な追い風に加え、バイオマス発電所を軸とする「グリーンプロジェクト」など成長投資の進展もあり、同社の中長期的な成長余地は大きい。
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