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日本電気硝子:世界一の特殊ガラスメーカー、株価急騰も依然としてPBR0.7倍台かつ配当利回り3%超え
配信日時:2025/09/17 18:00
配信元:FISCO
*18:00JST 日本電気硝子:世界一の特殊ガラスメーカー、株価急騰も依然としてPBR0.7倍台かつ配当利回り3%超え
日本電気硝子<5214>は、ディスプレイ用ガラスや半導体サポートガラス、イメージセンサー用カバーガラスといった領域で世界有数のシェアを誇る特殊ガラスメーカーである。1949年創業以来、液晶・有機ELディスプレイ用ガラス、半導体用サポートガラス、イメージセンサー用カバーガラス、医薬用管ガラス、耐熱・建築用ガラスなど、暮らしの表舞台では目に触れにくいが不可欠なガラス製品を提供し、各分野で世界有数のシェアを築いてきた。売上の約9割を海外が占め、地域別売上高は日本13%、アジア57%、欧米その他30%と、グローバル市場での事業展開が同社の収益基盤を支えている。独自のオーバーフロー法や全電気溶融炉といった製造プロセス技術を基盤に、高歩留まりで超薄板ガラスを生産できること、少量多品種に対応できる柔軟性を備えることが、同社の競争優位を支えている。
事業セグメントは「電子・情報」と「機能材料」の2区分で、2025年12月期第2四半期累計売上高に占める割合は電子・情報54%、機能材料46%となっている。電子・情報はディスプレイ(売上の約8割弱)と電子デバイス(同2割強)で構成され、ディスプレイ用ガラス(世界第2位のシェア)は液晶や有機ELのテレビ、パソコン、スマートフォンのほか、車載ディスプレイ、ウェアラブル端末などに使用される。電子デバイスは最先端の半導体プロセスで使用される半導体用サポートガラス(世界シェア約70%)やLTCC(低温同時焼成セラミックス)製品、封着・被覆・絶縁等を目的として各種電子部品に使用される粉末ガラスのほか、イメージセンサー用カバーガラス、発光デバイスに使用される蛍光体ガラスルミファスなど多岐にわたる。一方、機能材料は複合材(同8割)と医療・耐熱・建築(同2割)で構成され、複合材は自動車・住宅部材向けでグローバル展開、医療では放射線遮蔽ガラスや医薬用管ガラスで高い競争力を誇る。
2025年12月期上期累計の売上高は153,788百万円(前年同期比0.6%減)、営業利益は16,668百万円(同5.7倍)と大幅増益で着地した。ディスプレイ事業は数量減を価格改定や製品ミックス改善で吸収した。電子デバイス事業は半導体やデータセンター向け需要が旺盛で大幅増収増益を確保した。一方、機能材料の複合材は競争激化や石化メーカーの市況悪化を背景に不振が続いた。ただ、医療・建築は数量回復と価格改定がプラスに働いた。同時に業績予想の上方修正を発表しており、通期の売上高は310,000百万円(前期比3.6%増)で据え置き、営業利益は従来予想の23,000百万円から27,000百万円(同4.4倍)に引き上げた。ディスプレイ事業での生産性改善が進展したことや電子デバイス事業の売上高増加等が寄与する。
中期経営計画「EGP2028」では、2028年に売上高4,000億円、営業利益500億円、ROE8%を掲げる。事業戦略では、既存事業の強化と戦略事業の拡大が軸となる。既存事業は、高付加価値製品の開発、事業化を強化するほか、全電気溶融技術を活用して生産性・品質の向上を図っていく。成長ドライバーは電子デバイスで、半導体用サポートガラスやプローブカード基板が柱となる。利益面ではディスプレイや機能材料も営業利益率10%程度を目標に据え、全社での収益性改善を進める方針。また、戦略事業の拡大では、自社の強みを活かして成長が期待できる分野へリソースを積極的に投入する。全固体ナトリウムイオン二次電池や遠赤外線透過ガラス、次世代半導体パッケージ(ガラスコア基板等)向け製品の開発強化などを行っていく。全固体ナトリウム電池は安全性の高さからリチウムイオン電池が使えない用途への展開が期待され、顧客評価も進んでいる段階にあるようだ。
株主還元では、DOE3%を目標に安定配当を継続しており、20年以上にわたり減配なく、配当を維持または増配中となっている。今期は年間145円配を予定。また、政策保有株式の縮減を進めており、売却資金を設備投資や株主還元に充当する。自己資本比率は7割近くと高く、バランスシートは健全。そのほか、為替に関しては輸出比率が高いものの、原材料調達で外貨建て比率も大きく、円高の方がむしろコスト面でポジティブに働くようだ。
総じて同社は、ディスプレイ・電子デバイスで高シェアを維持しつつ、複合材の再編や新規事業の育成により収益基盤の多様化を図っている。足元では電子デバイスが半導体需要の波に乗って成長ドライバーとなり、製造プロセスの効率化が収益改善を下支え。直近の株価は2017年11月高値4920円に迫る勢いで上昇しているが、いまだにPBR0.7倍台かつ配当利回り3%超えとなっている。依然として割安感が残る中、まずはPBR1倍超えを実現できるかに注目しておきたい。技術的優位性と安定した財務基盤を武器に、生活に身近な窓ガラスや食器ではなく「見えない領域で人類の技術進歩を支えるガラス」を生産している必要不可欠な企業として、長期的な成長シナリオは堅固であるといえよう。
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事業セグメントは「電子・情報」と「機能材料」の2区分で、2025年12月期第2四半期累計売上高に占める割合は電子・情報54%、機能材料46%となっている。電子・情報はディスプレイ(売上の約8割弱)と電子デバイス(同2割強)で構成され、ディスプレイ用ガラス(世界第2位のシェア)は液晶や有機ELのテレビ、パソコン、スマートフォンのほか、車載ディスプレイ、ウェアラブル端末などに使用される。電子デバイスは最先端の半導体プロセスで使用される半導体用サポートガラス(世界シェア約70%)やLTCC(低温同時焼成セラミックス)製品、封着・被覆・絶縁等を目的として各種電子部品に使用される粉末ガラスのほか、イメージセンサー用カバーガラス、発光デバイスに使用される蛍光体ガラスルミファスなど多岐にわたる。一方、機能材料は複合材(同8割)と医療・耐熱・建築(同2割)で構成され、複合材は自動車・住宅部材向けでグローバル展開、医療では放射線遮蔽ガラスや医薬用管ガラスで高い競争力を誇る。
2025年12月期上期累計の売上高は153,788百万円(前年同期比0.6%減)、営業利益は16,668百万円(同5.7倍)と大幅増益で着地した。ディスプレイ事業は数量減を価格改定や製品ミックス改善で吸収した。電子デバイス事業は半導体やデータセンター向け需要が旺盛で大幅増収増益を確保した。一方、機能材料の複合材は競争激化や石化メーカーの市況悪化を背景に不振が続いた。ただ、医療・建築は数量回復と価格改定がプラスに働いた。同時に業績予想の上方修正を発表しており、通期の売上高は310,000百万円(前期比3.6%増)で据え置き、営業利益は従来予想の23,000百万円から27,000百万円(同4.4倍)に引き上げた。ディスプレイ事業での生産性改善が進展したことや電子デバイス事業の売上高増加等が寄与する。
中期経営計画「EGP2028」では、2028年に売上高4,000億円、営業利益500億円、ROE8%を掲げる。事業戦略では、既存事業の強化と戦略事業の拡大が軸となる。既存事業は、高付加価値製品の開発、事業化を強化するほか、全電気溶融技術を活用して生産性・品質の向上を図っていく。成長ドライバーは電子デバイスで、半導体用サポートガラスやプローブカード基板が柱となる。利益面ではディスプレイや機能材料も営業利益率10%程度を目標に据え、全社での収益性改善を進める方針。また、戦略事業の拡大では、自社の強みを活かして成長が期待できる分野へリソースを積極的に投入する。全固体ナトリウムイオン二次電池や遠赤外線透過ガラス、次世代半導体パッケージ(ガラスコア基板等)向け製品の開発強化などを行っていく。全固体ナトリウム電池は安全性の高さからリチウムイオン電池が使えない用途への展開が期待され、顧客評価も進んでいる段階にあるようだ。
株主還元では、DOE3%を目標に安定配当を継続しており、20年以上にわたり減配なく、配当を維持または増配中となっている。今期は年間145円配を予定。また、政策保有株式の縮減を進めており、売却資金を設備投資や株主還元に充当する。自己資本比率は7割近くと高く、バランスシートは健全。そのほか、為替に関しては輸出比率が高いものの、原材料調達で外貨建て比率も大きく、円高の方がむしろコスト面でポジティブに働くようだ。
総じて同社は、ディスプレイ・電子デバイスで高シェアを維持しつつ、複合材の再編や新規事業の育成により収益基盤の多様化を図っている。足元では電子デバイスが半導体需要の波に乗って成長ドライバーとなり、製造プロセスの効率化が収益改善を下支え。直近の株価は2017年11月高値4920円に迫る勢いで上昇しているが、いまだにPBR0.7倍台かつ配当利回り3%超えとなっている。依然として割安感が残る中、まずはPBR1倍超えを実現できるかに注目しておきたい。技術的優位性と安定した財務基盤を武器に、生活に身近な窓ガラスや食器ではなく「見えない領域で人類の技術進歩を支えるガラス」を生産している必要不可欠な企業として、長期的な成長シナリオは堅固であるといえよう。
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