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明日の株式相場に向けて=大インフレ予兆「金鉱脈」に飢える市場

配信日時:2025/09/03 17:30 配信元:MINKABU
 きょう(3日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比371円安の4万1938円と反落。9月相場は何となく予想された出足で、最初の3営業日で差し引き800円近く水準を切り下げた。悪材料というのは後付けでいくらでも出てくるので額面通りに受け取る必要はないが、楽観もできない。簡単に今の相場の立ち位置を定義するのであれば、大インフレの気配を察知して急いで株を買いたいというニーズと、歪みの生じている債券市場の崩落が株式市場に波及するという懸念、この2つが同じ時間軸でぶつかり合っている。  今週は4日に8月のADP全米雇用リポート、週末5日に8月の米雇用統計を控えており、この内容に市場の耳目が集まることになる。米雇用統計については非農業部門の雇用者数の伸びが7月は7万3000人だったが、8月は7万5000人がコンセンサスとなっており、7月から失速も加速もしないような状況が見込まれている。こういうケースは予想する側も気迷い気味で、フタを開けてみると結構上下にブレたりするものだが、よほどのことがない限り、今月16~17日に行われるFOMCでの利下げシナリオが覆る可能性は低そうだ。また、場合によっては通常の2回分に相当する0.5%利下げも取り沙汰されるが、「7月から若干上昇が見込まれている失業率が想定外に上振れるようなことがない限り、50ベーシスの線は薄そうだ」(生保系エコノミスト)とする。来週は10日に米生産者物価指数(PPI)、11日に消費者物価指数(CPI)と連日ビッグイベントがあり、日本ではその直後の12日にメジャーSQを控えているだけに、先物主導の売り仕掛けに神経を尖らせる環境が続く。個別株はどうしてもハイテクから離れた中小型材料株選好となりやすい。  足もとで金市況の上昇が顕著である。NY金先物価格がフシ目の3600ドル大台を突破し3週間ぶりに最高値を更新しており、リスクに身構える投資マネーの思惑が投影されている。欧州では長期金利の上昇が止まらず、英国では10年債利回りが4.8%台に浮上し27年ぶりの高い水準となり、政局不安に揺れるフランスでも3.6%弱と今年に入って最高水準を更新した。欧州は財政出動によって軍事力強化に動かざるを得ない状況で、財政悪化懸念が拭えないことが背景にある。  また、米国では次回FOMCで0.25%の利下げが濃厚視されているものの、トランプ関税に伴うインフレ圧力の火種が残っている。片や日本でもきょうは新発10年物国債が売られ、利回りは1.630%まで上昇、8月27日につけた17年ぶりの水準にツラ合わせした。こうした日米欧の事情を考慮して、投資対象としての「金」優位の構図は変化の余地なしという見方が支配的となりつつある。  株を買わずに金を買うというスタンスを前面に押し出すのであれば、金連動型ETFを購入するという手段がある。現物国内保管型で安心感のある純金上場信託(現物国内保管型)<1540.T>などが有力だ。また、株式市場で光が当たっている「金関連銘柄」にも着目しておきたい。代表的なのは鹿児島県の菱刈鉱山を有する住友金属鉱山<5713.T>が挙げられるが、きょうは全体下げ相場に逆行して一時3.9%高に買われ、連日の年初来値高値更新と気を吐いた。同社株だけでなく、今は非鉄株全般に動意する銘柄が多くなっている。例えば、こちらはゴールドではなく「チタン関連」だが、大阪チタニウムテクノロジーズ<5726.T>が空売りを呼び込み需給相場の様相を呈しており、これもインフレモードを反映している。  株価的にボラティリティの大きいものを狙いたいのは人情で、その場合マークしたいのが「都市鉱山」から貴金属回収ビジネスを展開するアサカ理研<5724.T>。時価総額100億円未満の小型株で過去にも大相場を演じている。またAREホールディングス<5857.T>も貴金属リサイクルを手掛けるが、PER10倍前後と割安感が強く、株主還元に前向きで、配当利回り3.8%前後とインカム株としてのアプローチでも魅力を内包している。そして、同業態の常連銘柄として松田産業<7456.T>は投資指標面で評価余地がある。売上高と最終利益は今3月期に過去最高更新が予想されている。このほか、穴株では非鉄商社でレアメタルに強みを持つアルコニックス<3036.T>をチェックしておきたい。同社は株主配当を重視しており、今3月期は前期実績から10円増配となる84円を計画しており、4%近い配当利回りが魅力だ。  あすのスケジュールでは、週間の対外・対内証券売買契約が朝方取引開始前に開示されるほか、前場取引時間中に30年物国債の入札が予定されている。また、8月の輸入車販売、8月の車名別新車販売、8月の軽自動車販売が発表される。海外では、マレーシア中銀が政策金利を発表するほか、欧州では7月のユーロ圏小売売上高が開示される。米国では7月のADP全米雇用リポートにマーケットの注目度が高い。週間の米新規失業保険申請件数、7月の米貿易収支、8月のISM非製造業景況指数、4~6月期米労働生産性指数の改定値などにも耳目が集まる。なお、この日はNY連銀のウィリアムズ総裁の講演も予定されており、その内容に投資家の関心が向かいそうだ。(銀) 出所:MINKABU PRESS

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