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明日の株式相場に向けて=地銀株祭りの後に浮上する真の本命は
配信日時:2025/08/20 17:30
配信元:MINKABU
きょう(20日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比657円安の4万2888円と大幅続落。前日の米国株市場でのハイテク株安が引き金となり、東京市場でもこれまで全体相場を牽引してきた主力銘柄に利食い急ぎの動きが加速し、日経平均は一時800円を上回る急落を余儀なくされる場面があった。しかし、大型株の現物沈潜を主軸とした個人投資家を除けば、足もとの急落は痛痒を感じていない向きが多そうだ。むしろ、聞こえてくるのは歓喜の声かもしれない。ソフトバンクグループ<9984.T>などに代表される指数連動性の高い主力株に空売りを乗せ続けたセミプロ的な個人にすれば、ようやく留飲が下がったというケースも考えられる。個別株の騰落では、値下がり銘柄数は5割強にとどまり値上がり銘柄数と大きな差はなかった。業種別では33業種中18業種が高く、上昇した業種が全体の過半を占めており、きょうの段階では悲観に染まった形跡は微塵もない。
日経平均がTOPIXよりも大幅な下落率を強いられたのも、ソフトバンクGとアドバンテスト<6857.T>2銘柄の下げの影響ということでほぼ説明がつく。値上がり上位業種は水産、食料品、陸運、倉庫、建設など内需セクターで固まっており、実態はセクターローテーションに近いものがあった。日経平均が大きく下げる時はリスクオフの流れが全銘柄に波及するのが元来ありがちなパターンだが、今回はこれまでの急騰劇を牽引した一部の銘柄に集中する形で局地的な反動が出たというべきである。それらの銘柄がこれまで高パフォーマンスを演じた背景は指数売買やショートカバーによって舞い上がった意味合いが強く、それだけに個人投資家にとっては全体相場が下がっても傍観者的な視線となる。
ただ、足もとのイベントドリブンを警戒するタイミングであったことは確かだ。市場関係者は一様に、相場を左右するビッグイベントとして米ワイオミング州・ジャクソンホール会議で22日に予定されるパウエルFRB議長の講演を挙げる。ここでの発言内容を警戒してポジション調整の売り圧力が高まっているという見方だが、果たして今回のパウエル講演が、天下分け目の要素をはらんでいるとはとても思えない。投資マネーにとって次期FRB議長が誰になるかということへの関心の方がよほど強いのではないか。
今回パウエル氏が何を言っても、FRBが9月会合で0.25%の利下げを決めることへのコンセンサスはおそらく覆されないであろう。とすれば、パウエル氏が今後の金融緩和に向けたスタンスに慎重なコメントを述べたとして、それにマーケットが失望するという論理は冷静に考えれば成立しない時間軸にある。相場を突き動かすとすれば、パウエル氏がこれまでの見解を全面的に反省し、9月に0.5%の大幅利下げの可能性、あるいは年内残り3回のFOMCすべてで利下げがあり得るというシナリオに言及したような場合だ。しかし、これは今警戒されているものと逆方向のサプライズである。
仮に米国株市場がここから崩れるとすれば、FRB案件に特化したものではなさそうだ。例えばトランプ米大統領の世界に対する貿易交渉はかなり強引で、ここまでゴリ押し的な米国第一主義を米国民が必ずしも望んでいないという現状下、関税デメリットや移民政策が何らかの形で悪い方向で発現された場合、マーケットは夢から醒めたような反応を示す可能性はある。直近の事例では米雇用統計で5月、6月分の目を疑うレベルの下方修正は、トランプ米政権が元凶となっている、というような見方が広がるケースなどが考えられる。市場筋は「22日の講演でパウエル氏がここに言及して間接的にトランプ政権を批判するようなトーンになった場合は、株高に水を差す可能性がある」(ネット証券マーケットアナリスト)という指摘が聞かれた。
全体指数だけ見ればジェットコースター相場だが、当面は木を見る投資戦略で“機を捉える”ことが可能な地合いが続く。きょうはSBIホールディングス<8473.T>の東北銀行<8349.T>との資本・業務提携報道を契機に、地銀株全般に物色の矛先が向いた。SBIが子会社を通じて筆頭株主となっている、じもとホールディングス<7161.T>が一時ストップ高に買われたほか、島根銀行<7150.T>や福島銀行<8562.T>なども大きく上値を伸ばした。業界再編とステーブルコインへの戦略が株高思惑に火をつけた格好だ。次のステージでマークされるのは、この両方に関わる領域で商機を高める金融系システムインテグレーターであろう。SBIが筆頭株主となっているソルクシーズ<4284.T>のほか、キューブシステム<2335.T>やクロスキャット<2307.T>に目を配っておきたい。
あすのスケジュールでは、朝方取引開始前に週間の対外・対内証券売買契約が開示されるほか、後場取引時間中に7月の食品スーパー売上高が発表される。なお、アジア株市場ではフィリピン市場が休場。海外ではユーロ圏購買担当者景気指数(PMI)のほか、米国で重要経済指標相次ぐ。8月の米PMI(S&Pグローバル調査・速報値)、8月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、7月の米景気先行指数、7月の米中古住宅販売件数などにマーケットの関心が高い。個別企業ではウォルマート<WMT>の決算発表が注目される。(銀)
出所:MINKABU PRESS
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