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アンジェス Research Memo(7):2025年12月期第1四半期の営業損失が縮小。Emendo関連で費用削減
配信日時:2025/08/04 12:07
配信元:FISCO
*12:07JST アンジェス Research Memo(7):2025年12月期第1四半期の営業損失が縮小。Emendo関連で費用削減
■アンジェス<4563>の業績動向
1. 2025年12月期第1四半期の業績概要
2025年12月期第1四半期の事業収益は169百万円(前年同期比55百万円増)、営業損失は1,255百万円(同1,221百万円減)、経常損失は1,237百万円(同289百万円減)、親会社株主に帰属する四半期純損失は1,247百万円(同576百万円減)となった。
事業収益は、前年同期にAnoccaから受領した契約一時金収入等による研究開発事業収益74百万円がなくなったものの、希少遺伝性疾患に関するオプショナルスクリーニング検査の手数料収入が前年同期比78百万円増加の113百万円と拡大したことに加え、HGPS及びPDPL※治療剤として2024年5月より販売を開始した「ゾキンヴィ」で55百万円の売上を計上したことが増収要因となった。
※ 乳児早老症とも言われるHGPS(ハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群)はLMNA遺伝子の突然変異により発症し、深刻な成長障害、強皮症に似た皮膚、全身性脂肪性筋萎縮症、脱毛症、骨格形成不全、動脈硬化の促進などにより、平均寿命は14.5歳と報告されている致死性の高い疾患である。また、PDPL(プロセシング不全性プロジェロイド・ラミノパチー)もLMNAやZMPSTE24遺伝子の変異により、同様の症状が生じ老化を促進する。「ゾキンヴィ」は、HGPS患者の死亡率を72%減少させ平均生存期間を4年程度延長させるという臨床データがある。HGPS及びPDPLの世界における患者数は600人程度で、HGPSは日本でも難病指定され、患者数は数名程度と報告されている。患者1人当たりの年間売上高は薬価ベースで1億円強である。
売上原価は前年同期比71百万円増加の113百万円となった。ACRLの売上原価が検査数の増加に伴い37百万円増加したほか、「ゾキンヴィ」の商品仕入原価36百万円を計上したことが増加要因となった。「ゾキンヴィ」の仕入れについては円建て決済のため、為替変動の影響を受けない。
研究開発費は前年同期比181百万円減少の789百万円となった。Emendoの事業構造改革に伴う人員の減少により人件費関連が118百万円減少したことが主因だ。販管費は同1,055百万円減少の521百万円となった。前期末にEmendoに関わるのれんを一括で減損処理したことに伴い、のれん償却額がなくなり813百万円の減少要因となったほか、Emendoの人員減少に伴い人件費関連が143百万円減少した。また、Emendoにおける弁護士やコンサルタント等への報酬減少により支払手数料も90百万円減少した。
営業外収支は前年同期比931百万円悪化した。従来はEmendoへの貸付金の評価替えを行っていたが、前期末に当該貸付金を貸倒引当金として計上したことにより、貸付金に関わる評価替えの影響がなくなったことに伴い為替差益が897百万円減少した。また、前年同期において計上したVasomuneの開発プロジェクトに関わる補助金収入27百万円がなくなったことも減少要因となった。
2025年12月期の事業収益は下振れる可能性。営業損失は大幅縮小の見通し
2. 2025年12月期の業績見通し
2025年12月期の業績は事業収益で1,350百万円(前期比706百万円増)、営業損失で5,800百万円(同3,309百万円減)、経常損失で5,820百万円(同1,717百万円減)、親会社株主に帰属する当期純損失で5,850百万円(同22,278百万円減)と期初計画を据え置いた。
事業収益は、ACRLにおける手数料収入や「ゾキンヴィ」の売上をそれぞれ約2倍増で見込んでいる。「ゾキンヴィ」についてはおおむね計画どおりに進捗しているが、検査手数料収入については下期に計画していた能力増強投資を資金余力の面から見直すことを検討しているようで、計画を下回る可能性がある。HGF遺伝子治療用製品の上市を経営の最優先課題として取り組んでいるため、資金面で余裕が出てくる状況となれば、増強投資を実行するものと思われる。
営業損失についてはEmendoに関わるのれん償却額(前期3,322百万円)がなくなるほか、人件費や支払手数料の減少が見込まれることから、計画どおり縮小する見通しだ。また、前期に計上した減損損失20,048百万円がなくなるため、親会社株主に帰属する当期純損失も大幅縮小が見込まれる。なお、研究開発費についてはHGF遺伝子治療用製品の販売承認申請に向けた準備費用などを見込んでいるため、前期比で若干増加する計画となっている。
2025年12月期の事業活動資金は新株予約権の行使により調達する方針
3. 財務状況について
2025年12月期第1四半期末の財務状況は、資産合計が前期末比1,011百万円増加の5,680百万円となった。流動資産では、第三者割当による第45回新株予約権の行使が進んだことにより現金及び預金が968百万円増加したほか、HGF遺伝子治療用製品の治験に関わる原材料の製造及び検査事業に関わる試薬等の購入により、原材料及び貯蔵品が107百万円増加した。固定資産は、投資有価証券が21百万円、繰延税金資産が23百万円それぞれ減少した。
負債合計は前期末比49百万円減少の2,462百万円となった。買掛金が33百万円、未払金が104百万円それぞれ増加した一方で、未払法人税等が108百万円、リース債務が52百万円減少した。純資産合計は同1,061百万円増加の3,217百万円となった。第45回新株予約権の行使により、資本金が1,165百万円、資本剰余金が1,165百万円それぞれ増加した一方で、親会社株主に帰属する四半期純損失の計上により利益剰余金が1,247百万円減少した。
同社の収益は開発ステージが続いていることもあり、当面は損失が続く可能性が高いことから、事業活動資金については新株予約権の行使により調達する方針だ。2025年4月から6月までの3ヶ月間において新たな行使により14億円強を調達しており、第45回新株予約権の未行使分は6月末で282,676個(株数で2,826万株)となっている。行使価額55円で残りすべてを行使したと仮定すればさらに約15億円が調達できる計算となり、2025年12月期の資金繰りについては問題ないと思われる。
2026年12月期以降については、HGF遺伝子治療用製品の販売パートナー契約の締結時期や契約額の規模によって変わってくるが、それまでは引き続き第三者割当による新株予約権を発行し、株式市場から資金調達を行う可能性が高い。HGF遺伝子治療用製品の米国での潜在市場規模が同社の想定している1千億円以上で評価されれば、契約一時金だけで100億円以上のディールとなる可能性は十分にあり、資金面の不安は一気に解消されることになる。このため、今後のライセンス交渉や、その前段階として学術誌への発表を目指している臨床試験結果に関する論文の内容が注目される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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1. 2025年12月期第1四半期の業績概要
2025年12月期第1四半期の事業収益は169百万円(前年同期比55百万円増)、営業損失は1,255百万円(同1,221百万円減)、経常損失は1,237百万円(同289百万円減)、親会社株主に帰属する四半期純損失は1,247百万円(同576百万円減)となった。
事業収益は、前年同期にAnoccaから受領した契約一時金収入等による研究開発事業収益74百万円がなくなったものの、希少遺伝性疾患に関するオプショナルスクリーニング検査の手数料収入が前年同期比78百万円増加の113百万円と拡大したことに加え、HGPS及びPDPL※治療剤として2024年5月より販売を開始した「ゾキンヴィ」で55百万円の売上を計上したことが増収要因となった。
※ 乳児早老症とも言われるHGPS(ハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群)はLMNA遺伝子の突然変異により発症し、深刻な成長障害、強皮症に似た皮膚、全身性脂肪性筋萎縮症、脱毛症、骨格形成不全、動脈硬化の促進などにより、平均寿命は14.5歳と報告されている致死性の高い疾患である。また、PDPL(プロセシング不全性プロジェロイド・ラミノパチー)もLMNAやZMPSTE24遺伝子の変異により、同様の症状が生じ老化を促進する。「ゾキンヴィ」は、HGPS患者の死亡率を72%減少させ平均生存期間を4年程度延長させるという臨床データがある。HGPS及びPDPLの世界における患者数は600人程度で、HGPSは日本でも難病指定され、患者数は数名程度と報告されている。患者1人当たりの年間売上高は薬価ベースで1億円強である。
売上原価は前年同期比71百万円増加の113百万円となった。ACRLの売上原価が検査数の増加に伴い37百万円増加したほか、「ゾキンヴィ」の商品仕入原価36百万円を計上したことが増加要因となった。「ゾキンヴィ」の仕入れについては円建て決済のため、為替変動の影響を受けない。
研究開発費は前年同期比181百万円減少の789百万円となった。Emendoの事業構造改革に伴う人員の減少により人件費関連が118百万円減少したことが主因だ。販管費は同1,055百万円減少の521百万円となった。前期末にEmendoに関わるのれんを一括で減損処理したことに伴い、のれん償却額がなくなり813百万円の減少要因となったほか、Emendoの人員減少に伴い人件費関連が143百万円減少した。また、Emendoにおける弁護士やコンサルタント等への報酬減少により支払手数料も90百万円減少した。
営業外収支は前年同期比931百万円悪化した。従来はEmendoへの貸付金の評価替えを行っていたが、前期末に当該貸付金を貸倒引当金として計上したことにより、貸付金に関わる評価替えの影響がなくなったことに伴い為替差益が897百万円減少した。また、前年同期において計上したVasomuneの開発プロジェクトに関わる補助金収入27百万円がなくなったことも減少要因となった。
2025年12月期の事業収益は下振れる可能性。営業損失は大幅縮小の見通し
2. 2025年12月期の業績見通し
2025年12月期の業績は事業収益で1,350百万円(前期比706百万円増)、営業損失で5,800百万円(同3,309百万円減)、経常損失で5,820百万円(同1,717百万円減)、親会社株主に帰属する当期純損失で5,850百万円(同22,278百万円減)と期初計画を据え置いた。
事業収益は、ACRLにおける手数料収入や「ゾキンヴィ」の売上をそれぞれ約2倍増で見込んでいる。「ゾキンヴィ」についてはおおむね計画どおりに進捗しているが、検査手数料収入については下期に計画していた能力増強投資を資金余力の面から見直すことを検討しているようで、計画を下回る可能性がある。HGF遺伝子治療用製品の上市を経営の最優先課題として取り組んでいるため、資金面で余裕が出てくる状況となれば、増強投資を実行するものと思われる。
営業損失についてはEmendoに関わるのれん償却額(前期3,322百万円)がなくなるほか、人件費や支払手数料の減少が見込まれることから、計画どおり縮小する見通しだ。また、前期に計上した減損損失20,048百万円がなくなるため、親会社株主に帰属する当期純損失も大幅縮小が見込まれる。なお、研究開発費についてはHGF遺伝子治療用製品の販売承認申請に向けた準備費用などを見込んでいるため、前期比で若干増加する計画となっている。
2025年12月期の事業活動資金は新株予約権の行使により調達する方針
3. 財務状況について
2025年12月期第1四半期末の財務状況は、資産合計が前期末比1,011百万円増加の5,680百万円となった。流動資産では、第三者割当による第45回新株予約権の行使が進んだことにより現金及び預金が968百万円増加したほか、HGF遺伝子治療用製品の治験に関わる原材料の製造及び検査事業に関わる試薬等の購入により、原材料及び貯蔵品が107百万円増加した。固定資産は、投資有価証券が21百万円、繰延税金資産が23百万円それぞれ減少した。
負債合計は前期末比49百万円減少の2,462百万円となった。買掛金が33百万円、未払金が104百万円それぞれ増加した一方で、未払法人税等が108百万円、リース債務が52百万円減少した。純資産合計は同1,061百万円増加の3,217百万円となった。第45回新株予約権の行使により、資本金が1,165百万円、資本剰余金が1,165百万円それぞれ増加した一方で、親会社株主に帰属する四半期純損失の計上により利益剰余金が1,247百万円減少した。
同社の収益は開発ステージが続いていることもあり、当面は損失が続く可能性が高いことから、事業活動資金については新株予約権の行使により調達する方針だ。2025年4月から6月までの3ヶ月間において新たな行使により14億円強を調達しており、第45回新株予約権の未行使分は6月末で282,676個(株数で2,826万株)となっている。行使価額55円で残りすべてを行使したと仮定すればさらに約15億円が調達できる計算となり、2025年12月期の資金繰りについては問題ないと思われる。
2026年12月期以降については、HGF遺伝子治療用製品の販売パートナー契約の締結時期や契約額の規模によって変わってくるが、それまでは引き続き第三者割当による新株予約権を発行し、株式市場から資金調達を行う可能性が高い。HGF遺伝子治療用製品の米国での潜在市場規模が同社の想定している1千億円以上で評価されれば、契約一時金だけで100億円以上のディールとなる可能性は十分にあり、資金面の不安は一気に解消されることになる。このため、今後のライセンス交渉や、その前段階として学術誌への発表を目指している臨床試験結果に関する論文の内容が注目される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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