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アンジェス Research Memo(4):慢性椎間板性腰痛症対象の第2相臨床試験は2025年内の被験者登録完了目指す
配信日時:2025/08/04 12:04
配信元:FISCO
*12:04JST アンジェス Research Memo(4):慢性椎間板性腰痛症対象の第2相臨床試験は2025年内の被験者登録完了目指す
■アンジェス<4563>の主要開発パイプラインの動向
2. NF-κBデコイオリゴDNA(AMG0103)
NF-κBデコイオリゴDNAは、人工核酸により遺伝子の働きを制御する「核酸医薬品」の一種で、生体内で免疫・炎症反応を担う転写因子のタンパク質(NF-κB)に対する特異的な阻害剤である。NF-κBが炎症関連遺伝子の特定のDNA配列領域に結合し、スイッチが入ることで痛みなどの炎症の原因であるタンパク質が生成されるが、NF-κBデコイオリゴDNAを体内に入れることで、炎症を引き起こすゲノムとNF-κBが結合しにくくなり、炎症の原因であるタンパク質の生成を抑制する。
2023年3月に塩野義製薬と国内第2相臨床試験への協力に関する契約を締結(開発費の一部を負担)し、同年10月から第2相臨床試験を開始した。予定症例数を92例※とし、最初の2例で最大投与量20mgの安全性試験を実施、安全性及び忍容性が確認されたことを受け、10mg、20mg、プラセボの3群(各30例、単回投与)に分類した比較試験を実施している。観察期間は12ヶ月で、有効性については「痛み」の指標であるNRSスコアの変化で評価する。現在、20mg投与群の被験者登録が進んでおり、予定よりも若干ペースが遅れぎみとなっているが、2025年内の被験者登録完了に向けてリクルーティングを強化する方針である。順調に進めば2027年に臨床試験の結果が発表される見通しで、良好な結果が得られた場合にはライセンスアウトする意向だが、塩野義製薬との協議次第となる。
※ 対象者は18~75歳で3ヶ月以上持続する腰痛を有し、腰痛のNRSスコア(自己申告による痛みの指標)が臀部痛や下肢痛のNRSスコアよりも大きく、腰痛に対する保存的治療で効果が不十分な患者とする。スクリーニング時点の腰痛のNRSスコアは4~9の患者(中等度から強い痛み)で、かつ、投与実施日当日及び前日のNRSスコアが4~9の患者。複数個所に痛みを持つ患者は除外。
国内の臨床試験に先駆けて米国で実施した後期第1相臨床試験(プラセボ対照無作為化二重盲検試験、25症例、観察期間12ヶ月)の結果が、脊椎疾患専門の学術誌「The Spine Journal※」に掲載された。安全性及び忍容性に問題がなかったほか、有効性においても投与量3群(0.3mg、3.0mg、10.0mg)のうち最大投与量群において投与後早期に腰痛が大幅軽減し、1年後には投与前と比較して平均77%の痛みの軽減が認められたほか、同投与群に関しては治験期間をとおして鎮痛薬を追加投与された症例がなく、鎮痛効果が持続していることが示唆された。また、椎間板の高さについてもプラセボ群が減少したのに対して、10mg投与群では増加が認められ、椎間板の形態的な改善効果が示唆される結果が得られたとしている。日本の臨床試験では米国の最大投与量を上回る20mg群の試験も行っていることから、好結果を得られる可能性が高いと弊社では見ている。
※ 「The Spine Journal」は、北米脊椎学会が発行する脊椎外科に関する研究論文やレビュー、症例報告などを掲載する脊椎疾患分野を代表する国際的な学術誌で各国から寄せられた質の高い論文を隔週で提供している。
国内では慢性椎間板性腰痛症の患者に対して、内服・外用薬治療など対症療法が主に行われている。AMG0103は単回投与で1年間の効果持続が見込まれるため、患者のQOL向上にも貢献する。開発に成功すれば、慢性椎間板性腰痛症に使用される世界初の核酸医薬品となる可能性があり、2027年に発表される臨床試験の結果が注目される。
「AV-001」は2025年内に前期第2相臨床試験の速報結果判明の見通し
3. ARDS治療薬(Tie2受容体アゴニスト)
カナダのVasomuneとの共同開発品であるARDS治療薬「AV-001」(Tie2受容体アゴニスト)※は、2018年より全世界を対象に急性呼吸不全など血管の不全を原因とする疾患の治療薬として共同開発を進めてきたが、中等度から重度の新型コロナウイルス感染症肺炎患者向けの治療薬としても効果があると見て、2022年1月より米国で前期第2相臨床試験を実施している。ただ、新型コロナウイルス感染症の変異株では重篤な肺炎を発症する感染者が急減したことから、現在は対象疾患をインフルエンザ等のウイルス性及び細菌性肺炎を含むARDSに拡大し(FDA承認済み)、目標症例数も当初予定の約120例から約60例に縮小したうえで臨床試験を進めている。60名を投与量で3群に分け、「AV-001」と標準治療薬またはプラセボと標準治療薬のいずれかを投与し、安全性及び忍容性と有効性を評価する。
※ 同社は2018年7月にVasomuneと、急性呼吸不全など血管の不全を原因とする疾患を対象とした「AV-001」の全世界を対象とした共同開発契約を締結した。開発費用と将来の収益を折半し、また、同社がVasomuneに対して契約一時金及び開発の進捗に応じたマイルストーンを支払う契約となっている。ARDSの患者数は米国だけで26万人いる。
2025年7月時点で最終コホートの登録が進行中であり、順調に進めば秋ころに被験者登録を完了し、年内にトップラインデータが判明する見通しだ。良好な結果が得られればライセンスアウトする意向だが、後期第2相臨床試験でも引き続き開発助成金を得られる可能性があるため、独自で臨床試験を進めることも選択肢の1つとして考えている。自社で開発を進めた方が上市後に得られる利益も大きくなるためだ。なお、「AV-001」は2024年5月に米国FDAからFast Track※に指定されており、臨床試験に関する協議や審査などの手続きが迅速化される。
※ 重篤な疾患に対する新たな治療法やアンメット・メディカル・ニーズを満たす可能性のある薬剤などの開発を促進し、迅速に審査することを目的に制定された制度。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2. NF-κBデコイオリゴDNA(AMG0103)
NF-κBデコイオリゴDNAは、人工核酸により遺伝子の働きを制御する「核酸医薬品」の一種で、生体内で免疫・炎症反応を担う転写因子のタンパク質(NF-κB)に対する特異的な阻害剤である。NF-κBが炎症関連遺伝子の特定のDNA配列領域に結合し、スイッチが入ることで痛みなどの炎症の原因であるタンパク質が生成されるが、NF-κBデコイオリゴDNAを体内に入れることで、炎症を引き起こすゲノムとNF-κBが結合しにくくなり、炎症の原因であるタンパク質の生成を抑制する。
2023年3月に塩野義製薬と国内第2相臨床試験への協力に関する契約を締結(開発費の一部を負担)し、同年10月から第2相臨床試験を開始した。予定症例数を92例※とし、最初の2例で最大投与量20mgの安全性試験を実施、安全性及び忍容性が確認されたことを受け、10mg、20mg、プラセボの3群(各30例、単回投与)に分類した比較試験を実施している。観察期間は12ヶ月で、有効性については「痛み」の指標であるNRSスコアの変化で評価する。現在、20mg投与群の被験者登録が進んでおり、予定よりも若干ペースが遅れぎみとなっているが、2025年内の被験者登録完了に向けてリクルーティングを強化する方針である。順調に進めば2027年に臨床試験の結果が発表される見通しで、良好な結果が得られた場合にはライセンスアウトする意向だが、塩野義製薬との協議次第となる。
※ 対象者は18~75歳で3ヶ月以上持続する腰痛を有し、腰痛のNRSスコア(自己申告による痛みの指標)が臀部痛や下肢痛のNRSスコアよりも大きく、腰痛に対する保存的治療で効果が不十分な患者とする。スクリーニング時点の腰痛のNRSスコアは4~9の患者(中等度から強い痛み)で、かつ、投与実施日当日及び前日のNRSスコアが4~9の患者。複数個所に痛みを持つ患者は除外。
国内の臨床試験に先駆けて米国で実施した後期第1相臨床試験(プラセボ対照無作為化二重盲検試験、25症例、観察期間12ヶ月)の結果が、脊椎疾患専門の学術誌「The Spine Journal※」に掲載された。安全性及び忍容性に問題がなかったほか、有効性においても投与量3群(0.3mg、3.0mg、10.0mg)のうち最大投与量群において投与後早期に腰痛が大幅軽減し、1年後には投与前と比較して平均77%の痛みの軽減が認められたほか、同投与群に関しては治験期間をとおして鎮痛薬を追加投与された症例がなく、鎮痛効果が持続していることが示唆された。また、椎間板の高さについてもプラセボ群が減少したのに対して、10mg投与群では増加が認められ、椎間板の形態的な改善効果が示唆される結果が得られたとしている。日本の臨床試験では米国の最大投与量を上回る20mg群の試験も行っていることから、好結果を得られる可能性が高いと弊社では見ている。
※ 「The Spine Journal」は、北米脊椎学会が発行する脊椎外科に関する研究論文やレビュー、症例報告などを掲載する脊椎疾患分野を代表する国際的な学術誌で各国から寄せられた質の高い論文を隔週で提供している。
国内では慢性椎間板性腰痛症の患者に対して、内服・外用薬治療など対症療法が主に行われている。AMG0103は単回投与で1年間の効果持続が見込まれるため、患者のQOL向上にも貢献する。開発に成功すれば、慢性椎間板性腰痛症に使用される世界初の核酸医薬品となる可能性があり、2027年に発表される臨床試験の結果が注目される。
「AV-001」は2025年内に前期第2相臨床試験の速報結果判明の見通し
3. ARDS治療薬(Tie2受容体アゴニスト)
カナダのVasomuneとの共同開発品であるARDS治療薬「AV-001」(Tie2受容体アゴニスト)※は、2018年より全世界を対象に急性呼吸不全など血管の不全を原因とする疾患の治療薬として共同開発を進めてきたが、中等度から重度の新型コロナウイルス感染症肺炎患者向けの治療薬としても効果があると見て、2022年1月より米国で前期第2相臨床試験を実施している。ただ、新型コロナウイルス感染症の変異株では重篤な肺炎を発症する感染者が急減したことから、現在は対象疾患をインフルエンザ等のウイルス性及び細菌性肺炎を含むARDSに拡大し(FDA承認済み)、目標症例数も当初予定の約120例から約60例に縮小したうえで臨床試験を進めている。60名を投与量で3群に分け、「AV-001」と標準治療薬またはプラセボと標準治療薬のいずれかを投与し、安全性及び忍容性と有効性を評価する。
※ 同社は2018年7月にVasomuneと、急性呼吸不全など血管の不全を原因とする疾患を対象とした「AV-001」の全世界を対象とした共同開発契約を締結した。開発費用と将来の収益を折半し、また、同社がVasomuneに対して契約一時金及び開発の進捗に応じたマイルストーンを支払う契約となっている。ARDSの患者数は米国だけで26万人いる。
2025年7月時点で最終コホートの登録が進行中であり、順調に進めば秋ころに被験者登録を完了し、年内にトップラインデータが判明する見通しだ。良好な結果が得られればライセンスアウトする意向だが、後期第2相臨床試験でも引き続き開発助成金を得られる可能性があるため、独自で臨床試験を進めることも選択肢の1つとして考えている。自社で開発を進めた方が上市後に得られる利益も大きくなるためだ。なお、「AV-001」は2024年5月に米国FDAからFast Track※に指定されており、臨床試験に関する協議や審査などの手続きが迅速化される。
※ 重篤な疾患に対する新たな治療法やアンメット・メディカル・ニーズを満たす可能性のある薬剤などの開発を促進し、迅速に審査することを目的に制定された制度。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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