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アンジェス Research Memo(1):HGF遺伝子治療用製品の米国市場での上市を最優先に取り組む
配信日時:2025/08/04 12:01
配信元:FISCO
*12:01JST アンジェス Research Memo(1):HGF遺伝子治療用製品の米国市場での上市を最優先に取り組む
■要約
アンジェス<4563>は、1999年に設立された大阪大学発のバイオベンチャーで、長期ビジョンとして「遺伝子医薬のグローバルリーダー」になることを目指している。2020年に先進ゲノム編集技術の開発を行うEmendoBio Inc.(以下、Emendo)を子会社化し、2021年には国内で希少遺伝性疾患向け拡大新生児スクリーニング検査※を行う衛生検査所「アンジェスクリニカルリサーチラボラトリー(以下、ACRL)」を開設、検査受託サービスを開始した。
※ 公費負担ですべての新生児に実施しているマススクリーニング検査に含まれていない疾患に対する有償検査サービスで、(一社)希少疾患の医療と研究を推進する会(以下、CReARID(クレアリッド))から受託して実施している。
1. 開発パイプラインの動向
HGF遺伝子治療用製品については、米国で軽度から中等度の包括的高度慢性下肢虚血(CLTI)を対象に開発を進めており、第2b相臨床試験の良好な結果を受け、2024年9月に米国食品医薬品局(以下、FDA)からブレイクスルーセラピー※に指定された。現在は製造販売承認申請に向け製造委託先と交渉を進めているほか、販売パートナーの探索活動も進めている。販売パートナー契約で交渉の一助となる学術誌への論文掲載に関しては、2025年8月ころを目安に発行元と調整を進めており、これらが順調に進めば2026年前半に承認申請や販売パートナー契約が締結される可能性があると弊社では見ている。同社では同疾患の米国内の対象患者数が約50万人、売上ポテンシャルとして1千億円超の規模が期待できると見ており、今後の動向が注目される。慢性椎間板性腰痛症を対象としたNF-κBデコイオリゴDNAの国内第2相臨床試験は2025年内の被験者登録完了と2027年前半の試験結果発表を目指す。
※ ブレイクスルーセラピー指定制度とは、重篤な疾患や生命を脅かす疾患に対する新規治療薬の開発と審査を迅速化することを目的にFDAが導入した制度で、臨床試験の結果などをもとに既存の治療法よりも顕著な改善を示す可能性のある開発品が指定を受ける。
2. ACRLの取り組み状況
新生児を対象とした希少遺伝性疾患の検査事業は順調に受託件数が増加しており、2025年12月期第1四半期(2025年1月~3月)の売上高は前年同期比3.2倍増の113百万円となった。CReARIDからの受託に加えて、自治体からの直接受託も新たに開始したことが要因だ。また、確定診断※として用いられる遺伝学的検査や治療効果のモニタリングを行うためのバイオマーカー検査の体制も整備し、希少遺伝性疾患検査に関するワンストップサービス体制を構築している。旺盛な需要に対応すべく2025年に能力増強投資を計画していたが、資金面の問題から能力増強計画を2026年以降に先送りすることも検討しているようだ。
※ スクリーニング検査の結果で疾患の疑いがある場合、また、発症した症状から該当の疾患である可能性がある場合に、その病気の原因である遺伝子変異の有無を確認することで該当の疾患かどうかを確定させる検査(確定検査)。
3. 業績動向
2025年12月期第1四半期の業績は、事業収益が169百万円(前年同期比55百万円増)、営業損失が1,255百万円(同1,221百万円減)となった。事業収益は、検査事業の成長や「ゾキンヴィ」で55百万円を計上したことが増収要因となった。利益面では、Emendoに関わるのれん償却額がなくなったことや前期に実施した事業構造改革による人件費等の減少により損失額が縮小した。2025年12月期の事業収益は1,350百万円(前期比706百万円増)、営業損失は5,800百万円(同3,309百万円減)と期初計画を据え置いた。事業収益については、検査事業の能力増強計画が先送りされれば下振れする可能性が大きい。ただ、利益面ではおおむね計画どおりとなる見通しだ。なお、2025年3月末の現金及び預金残高は2,676百万円となっているが、当面は第三者割当による新株予約権の行使を進めることで事業活動資金を調達する方針である。
■Key Points
・HGF遺伝子治療用製品は米国で2026年前半の販売承認申請目指す
・慢性椎間板性腰痛症を対象とした第2相臨床試験は2025年内の被験者登録完了目指す
・2025年12月期の事業収益は下振れの可能性があるものの、営業損失は大幅縮小見通し
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<HN>
アンジェス<4563>は、1999年に設立された大阪大学発のバイオベンチャーで、長期ビジョンとして「遺伝子医薬のグローバルリーダー」になることを目指している。2020年に先進ゲノム編集技術の開発を行うEmendoBio Inc.(以下、Emendo)を子会社化し、2021年には国内で希少遺伝性疾患向け拡大新生児スクリーニング検査※を行う衛生検査所「アンジェスクリニカルリサーチラボラトリー(以下、ACRL)」を開設、検査受託サービスを開始した。
※ 公費負担ですべての新生児に実施しているマススクリーニング検査に含まれていない疾患に対する有償検査サービスで、(一社)希少疾患の医療と研究を推進する会(以下、CReARID(クレアリッド))から受託して実施している。
1. 開発パイプラインの動向
HGF遺伝子治療用製品については、米国で軽度から中等度の包括的高度慢性下肢虚血(CLTI)を対象に開発を進めており、第2b相臨床試験の良好な結果を受け、2024年9月に米国食品医薬品局(以下、FDA)からブレイクスルーセラピー※に指定された。現在は製造販売承認申請に向け製造委託先と交渉を進めているほか、販売パートナーの探索活動も進めている。販売パートナー契約で交渉の一助となる学術誌への論文掲載に関しては、2025年8月ころを目安に発行元と調整を進めており、これらが順調に進めば2026年前半に承認申請や販売パートナー契約が締結される可能性があると弊社では見ている。同社では同疾患の米国内の対象患者数が約50万人、売上ポテンシャルとして1千億円超の規模が期待できると見ており、今後の動向が注目される。慢性椎間板性腰痛症を対象としたNF-κBデコイオリゴDNAの国内第2相臨床試験は2025年内の被験者登録完了と2027年前半の試験結果発表を目指す。
※ ブレイクスルーセラピー指定制度とは、重篤な疾患や生命を脅かす疾患に対する新規治療薬の開発と審査を迅速化することを目的にFDAが導入した制度で、臨床試験の結果などをもとに既存の治療法よりも顕著な改善を示す可能性のある開発品が指定を受ける。
2. ACRLの取り組み状況
新生児を対象とした希少遺伝性疾患の検査事業は順調に受託件数が増加しており、2025年12月期第1四半期(2025年1月~3月)の売上高は前年同期比3.2倍増の113百万円となった。CReARIDからの受託に加えて、自治体からの直接受託も新たに開始したことが要因だ。また、確定診断※として用いられる遺伝学的検査や治療効果のモニタリングを行うためのバイオマーカー検査の体制も整備し、希少遺伝性疾患検査に関するワンストップサービス体制を構築している。旺盛な需要に対応すべく2025年に能力増強投資を計画していたが、資金面の問題から能力増強計画を2026年以降に先送りすることも検討しているようだ。
※ スクリーニング検査の結果で疾患の疑いがある場合、また、発症した症状から該当の疾患である可能性がある場合に、その病気の原因である遺伝子変異の有無を確認することで該当の疾患かどうかを確定させる検査(確定検査)。
3. 業績動向
2025年12月期第1四半期の業績は、事業収益が169百万円(前年同期比55百万円増)、営業損失が1,255百万円(同1,221百万円減)となった。事業収益は、検査事業の成長や「ゾキンヴィ」で55百万円を計上したことが増収要因となった。利益面では、Emendoに関わるのれん償却額がなくなったことや前期に実施した事業構造改革による人件費等の減少により損失額が縮小した。2025年12月期の事業収益は1,350百万円(前期比706百万円増)、営業損失は5,800百万円(同3,309百万円減)と期初計画を据え置いた。事業収益については、検査事業の能力増強計画が先送りされれば下振れする可能性が大きい。ただ、利益面ではおおむね計画どおりとなる見通しだ。なお、2025年3月末の現金及び預金残高は2,676百万円となっているが、当面は第三者割当による新株予約権の行使を進めることで事業活動資金を調達する方針である。
■Key Points
・HGF遺伝子治療用製品は米国で2026年前半の販売承認申請目指す
・慢性椎間板性腰痛症を対象とした第2相臨床試験は2025年内の被験者登録完了目指す
・2025年12月期の事業収益は下振れの可能性があるものの、営業損失は大幅縮小見通し
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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