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スパークス G Research Memo(7):平均運用資産残高は2ケタ増、基礎収益は過去最高を更新
配信日時:2025/07/25 12:07
配信元:FISCO
*12:07JST スパークス G Research Memo(7):平均運用資産残高は2ケタ増、基礎収益は過去最高を更新
■スパークス・グループ<8739>の業績動向
1. 2025年3月期の業績概要
2025年3月期の連結業績は、営業収益が前期比8.9%増の17,961百万円、営業利益が同3.2%増の7,717百万円、経常利益が同3.9%減の7,778百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同19.4%減の5,252百万円となった。
営業収益は、平均運用資産残高が前期比14.2%増の19,122百万円と増加し、残高報酬(手数料控除後)が同9.7%増の12,867百万円と拡大した。他方で、成功報酬は同7.6%減となったものの、「プライベート・エクイティ」の未来創生ファンドにおいて初の成功報酬(8億円)を獲得しており、過去の推移と比較すれば依然として高水準を維持している。
利益面では、人件費の増加やオフィスの拡張などを背景として経常的経費が前期比14.3%増加したものの、増収効果により打ち返し、営業増益を確保した。同社が重要な経営指標として掲げている基礎収益は、同5.9%増の6,722百万円と過去最高を更新した。なお、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益は減益となったが、主な要因は為替差益及び投資事業組合運用益の減少などによる営業外収益の縮小、投資有価証券売却益の減少に伴う特別利益の減少である。
注力分野の実績は以下のとおりである。
(1) 日本株式
2025年3月期末の運用資産残高は前期末比1.6%減の12,925億円となった。ロング・ショート投資戦略及び長期厳選投資戦略については資産残高が堅調に積み上がったが、価値創造投資戦略やマーケット・ニュートラル投資戦略などにおいては資金流出が発生し、全体としては微減となった。ただし、2025年3月期末の日経平均株価(終値)が同11.8%下落した厳しいマーケット環境を踏まえると、運用資産残高の減少幅を小幅にとどめることができた点は健闘したといえる。また、ロング・ショート投資戦略においては、欧州のUCITSファンド(EUの規制に準拠して設立され、加盟国内で販売することができるファンド)を初組成し、運用を開始した。今後は欧州の機関投資家を主要なターゲットとして販路の拡大を図り、さらなる資金流入を目指す。
(2) OneAsia
2025年3月期末の運用資産残高は、前期末比17.3%減の1,043億円となった。韓国株式市場は2025年3月期末の韓国総合株価指数(KOSPI)が同9.7%下落、KOSDAQ指数が同25.7%下落(いずれも終値ベース)と厳しいマーケット環境となっている。そのなかで、同社の運用は相対的に良好なパフォーマンスを維持していたものの、大口顧客によるポートフォリオのリバランスに伴う利益確定のための解約などが発生し、運用資産残高の減少につながった。この動きは一時的な資金流出と見られ、同社は高い運用パフォーマンスを維持することにより、再び資産残高の積み上げを図る方針を示している。中期的にはパフォーマンス実績を基盤とした顧客資金の回帰が期待される。
(3) 実物資産
2025年3月期末の運用資産残高は、前期末比5.8%増の3,021億円となった。日本全国348ヶ所に及ぶ太陽光発電を初めとした再生可能エネルギー発電事業への投資を推進しており、主に第4四半期に開始した蓄電所への投資が資産残高の増加に寄与した。
同社は2025年3月25日に北海道札幌市における蓄電所事業へ参画すると発表した。蓄電所は、電力系統に直接接続することにより、市場を通じて電力の調整力及び供給力を提供するインフラで、エネルギーシステムにおいて極めて重要な役割を果たす。欧州・米国・中国では、脱炭素社会の実現や再生可能エネルギーの導入拡大を背景として蓄電所の導入が急速に進展しており、今や再生可能エネルギーにおいて主力電源化の鍵を握りつつある。国内においても、風力・太陽光など天候や時間帯によって発電量が大きく変動する再生可能エネルギーの普及を本格化させていくうえで、出力変動を抑制し電力の安定供給を実現する蓄電所の整備は不可避といえる。現時点では、電力需給の調整手段として再生可能エネルギーの出力を抑制する一方、火力発電所で調整することが中心となっているが、経済性や脱炭素の観点からは持続可能とは言い難いだろう。そのなかで、蓄電所の本格導入は再生可能エネルギーによる電力を余すことなく活用する道を拓くとともに、系統安定化や需給柔軟性の向上を通じて火力依存からの脱却とカーボンニュートラルの達成に向けた実効性の高い手段となる。関西電力<9503>、JA三井リース(株)とのパートナーシップのもと、2028年4月の商用運転開始を目標とするプロジェクトが進行中であり、今後さらなる事業拡大が見込まれる。
(4) プライベート・エクイティ
2025年3月期末の運用資産残高は、主に宇宙フロンティアファンドの残高増加により前期末比5.2%増の1,729億円となった。未来創生ファンドの運用資産残高は、1号ファンド及び2号ファンドにおける投資期間満了に伴う残高報酬の計算基礎となる額の変更により減少したものの、1号ファンドについては投資家への分配が進捗し、初の成功報酬として8億円を計上した。宇宙フロンティアファンドでは、1号ファンドがフルインベストメントとなったため2号ファンドを2024年4月に設立しており、運用開始に伴い運用資産残高が増加した。2号ファンドは第4四半期に2件の投資を実行している。日本モノづくり未来ファンドでは、同社2件目のTOBが成立した。2025年3月3日に、鍛造技術を基盤として自動車・建設機械・産業機械向けの金属部品の製造及び販売を行う(株)シンニッタンのTOBを開始、同年4月14日に議決権の約91%の応募が集まり、TOBが完了した。非公開化して企業価値を高めた後、再上場を目指すもので、ファンドを通じたTOBによる運用資産残高の拡大や再上場時の株式売却による利益の積み上げも積極的に検討する方針だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 吉林拓馬)
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1. 2025年3月期の業績概要
2025年3月期の連結業績は、営業収益が前期比8.9%増の17,961百万円、営業利益が同3.2%増の7,717百万円、経常利益が同3.9%減の7,778百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同19.4%減の5,252百万円となった。
営業収益は、平均運用資産残高が前期比14.2%増の19,122百万円と増加し、残高報酬(手数料控除後)が同9.7%増の12,867百万円と拡大した。他方で、成功報酬は同7.6%減となったものの、「プライベート・エクイティ」の未来創生ファンドにおいて初の成功報酬(8億円)を獲得しており、過去の推移と比較すれば依然として高水準を維持している。
利益面では、人件費の増加やオフィスの拡張などを背景として経常的経費が前期比14.3%増加したものの、増収効果により打ち返し、営業増益を確保した。同社が重要な経営指標として掲げている基礎収益は、同5.9%増の6,722百万円と過去最高を更新した。なお、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益は減益となったが、主な要因は為替差益及び投資事業組合運用益の減少などによる営業外収益の縮小、投資有価証券売却益の減少に伴う特別利益の減少である。
注力分野の実績は以下のとおりである。
(1) 日本株式
2025年3月期末の運用資産残高は前期末比1.6%減の12,925億円となった。ロング・ショート投資戦略及び長期厳選投資戦略については資産残高が堅調に積み上がったが、価値創造投資戦略やマーケット・ニュートラル投資戦略などにおいては資金流出が発生し、全体としては微減となった。ただし、2025年3月期末の日経平均株価(終値)が同11.8%下落した厳しいマーケット環境を踏まえると、運用資産残高の減少幅を小幅にとどめることができた点は健闘したといえる。また、ロング・ショート投資戦略においては、欧州のUCITSファンド(EUの規制に準拠して設立され、加盟国内で販売することができるファンド)を初組成し、運用を開始した。今後は欧州の機関投資家を主要なターゲットとして販路の拡大を図り、さらなる資金流入を目指す。
(2) OneAsia
2025年3月期末の運用資産残高は、前期末比17.3%減の1,043億円となった。韓国株式市場は2025年3月期末の韓国総合株価指数(KOSPI)が同9.7%下落、KOSDAQ指数が同25.7%下落(いずれも終値ベース)と厳しいマーケット環境となっている。そのなかで、同社の運用は相対的に良好なパフォーマンスを維持していたものの、大口顧客によるポートフォリオのリバランスに伴う利益確定のための解約などが発生し、運用資産残高の減少につながった。この動きは一時的な資金流出と見られ、同社は高い運用パフォーマンスを維持することにより、再び資産残高の積み上げを図る方針を示している。中期的にはパフォーマンス実績を基盤とした顧客資金の回帰が期待される。
(3) 実物資産
2025年3月期末の運用資産残高は、前期末比5.8%増の3,021億円となった。日本全国348ヶ所に及ぶ太陽光発電を初めとした再生可能エネルギー発電事業への投資を推進しており、主に第4四半期に開始した蓄電所への投資が資産残高の増加に寄与した。
同社は2025年3月25日に北海道札幌市における蓄電所事業へ参画すると発表した。蓄電所は、電力系統に直接接続することにより、市場を通じて電力の調整力及び供給力を提供するインフラで、エネルギーシステムにおいて極めて重要な役割を果たす。欧州・米国・中国では、脱炭素社会の実現や再生可能エネルギーの導入拡大を背景として蓄電所の導入が急速に進展しており、今や再生可能エネルギーにおいて主力電源化の鍵を握りつつある。国内においても、風力・太陽光など天候や時間帯によって発電量が大きく変動する再生可能エネルギーの普及を本格化させていくうえで、出力変動を抑制し電力の安定供給を実現する蓄電所の整備は不可避といえる。現時点では、電力需給の調整手段として再生可能エネルギーの出力を抑制する一方、火力発電所で調整することが中心となっているが、経済性や脱炭素の観点からは持続可能とは言い難いだろう。そのなかで、蓄電所の本格導入は再生可能エネルギーによる電力を余すことなく活用する道を拓くとともに、系統安定化や需給柔軟性の向上を通じて火力依存からの脱却とカーボンニュートラルの達成に向けた実効性の高い手段となる。関西電力<9503>、JA三井リース(株)とのパートナーシップのもと、2028年4月の商用運転開始を目標とするプロジェクトが進行中であり、今後さらなる事業拡大が見込まれる。
(4) プライベート・エクイティ
2025年3月期末の運用資産残高は、主に宇宙フロンティアファンドの残高増加により前期末比5.2%増の1,729億円となった。未来創生ファンドの運用資産残高は、1号ファンド及び2号ファンドにおける投資期間満了に伴う残高報酬の計算基礎となる額の変更により減少したものの、1号ファンドについては投資家への分配が進捗し、初の成功報酬として8億円を計上した。宇宙フロンティアファンドでは、1号ファンドがフルインベストメントとなったため2号ファンドを2024年4月に設立しており、運用開始に伴い運用資産残高が増加した。2号ファンドは第4四半期に2件の投資を実行している。日本モノづくり未来ファンドでは、同社2件目のTOBが成立した。2025年3月3日に、鍛造技術を基盤として自動車・建設機械・産業機械向けの金属部品の製造及び販売を行う(株)シンニッタンのTOBを開始、同年4月14日に議決権の約91%の応募が集まり、TOBが完了した。非公開化して企業価値を高めた後、再上場を目指すもので、ファンドを通じたTOBによる運用資産残高の拡大や再上場時の株式売却による利益の積み上げも積極的に検討する方針だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 吉林拓馬)
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